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 No.12-22  6月13日

[ 中南米 ]
チリ:CODELCO、Chuquicamata鉱山坑内採掘移行建設、2012年末前に承認
チリ:政府、リチウム資源開発に関する特別操業契約(CEOL)に係る入札要領を発表
ブラジル:鉄鋼企業の投資は減少するが、原料開発は重点的に行う
ブラジル:CSA製鉄所の売却、Vale、EBXグループBaista氏が関心を示す
ブラジル:2012年Q1、鉱業セクターの収益は第3位
ペルー:Quellaveco銅プロジェクト、対話協議会が再び延期
ペルー:政府、争議防止対策の一環として経済的恩恵の前渡しを検討
ペルー:経済財政大臣、社会争議による投資凍結を警告
ペルー:Xstrataへの抗議運動、郡知事釈放要求と政府批判を併せて展開
ペルー:Minas Conga金プロジェクト、反対デモ依然続行
ペルー:2012年3月鉱産物輸出額実績
アルゼンチン:鉱山企業、輸出外貨規制により輸出を停止
アルゼンチン:Río Negro州議会、鉱業公社設立を承認
エルサルバドル:加Pacific Rim社、El Dorado金銀プロジェクトに係るICSIDの判決が間近と発表
グアテマラ:加Anfield社、Mayaniquelニッケル・プロジェクトの新規探鉱ライセンスを取得
メキシコ:加McEwen社、El Gallo金銀プロジェクトの新規資源量を公表

[ 北米 ]
加:Canada Lithium Corp社、ケベックリチウムプロジェクトの採掘権を獲得
加:ヌナブト準州政府、ウラン政策綱領を公表
加:Teck、Trail製錬所の組合加盟労働者と労働協約締結

[ 欧州・CIS ]
ロシア:ヴォロネジ州・エラン及びヨルカ鉱床の鉱石処理プロジェクト、MMSKが落札、ウラルで処理へ
ロシア:コルィマ鉱床の地質調査に5億2,000万ルーブル超の連邦予算割当

  [ アフリカ ]
ボツワナ:Boseto銅プロジェクトの選鉱施設が完成
モザンビーク:Momaチタンプロジェクト、生産拡大に向けたFSを検討
DRCコンゴ:Malaysia Smelting社、DRCコンゴのAfrica Smelting社株40%を獲得
DRCコンゴ:Anglo American、カタンガ州に探鉱事務所を開設
エチオピア:タンタルの生産及び輸出を一時停止
南ア:GDPに占める鉱業の割合が過去100年間で最低値を記録

[ オセアニア ]
豪:60億A$の石炭開発PJが一時延期に

[ アジア ]
インドネシア:全国鉱山労働者団体、現在の鉱石輸出規制の取り下げを政府に要求
インドネシア:政府、製錬所建設投資に対する金融機関支援を促進する方針
インドネシア:政府、鉱石輸出税課税基準額を決定
インドネシア:鉱石輸出規制後鉱石輸出が停滞、1か月間の損失額は1億US$
豪:中国五鉱資源、Aveburyニッケル鉱山を売却へ
中国:工業情報化部・環境保護部、鉛蓄電池産業参入許可条件を公表
中国:江西省、世界最大規模のタングステン鉱床発見
中国:金堆城モリブデン株式公司、選鉱能力増大
中国:湖南省、鉱物資源量の増大を目指す
中国:工業情報化部、レアアース備蓄制度導入を検討
中国:江西省、レアアース採掘許可証を削減へ
中国:湖南科力遠新エネルギー株式有限公司、益陽鴻源希土有限責任公司を買収へ
中国:広東省、レアアース産業の整理統合へ
中国:調査船「海洋6号」、太平洋へ鉱産資源調査に出航
中国:江西省新余市、世界最大の湿式ニッケル製錬基地建設
中国:国税総局、33項目の民間投資の税優遇政策を発表
中国:Johnson Controls, Inc.、天津に新蓄電池工場建設
中国:6月から実施される新たな経済政策一覧


チリ:CODELCO、Chuquicamata鉱山坑内採掘移行建設、2012年末前に承認

 CODELCOのThomas Kellar総裁が記者会見で明らかにしたところによると、Chuquicamata鉱山坑内採掘移行プロジェクトの建設は、CODELCO役員会により2012年末までに承認される見込みである。Keller総裁は、「計画は予定どおり進捗しており、2012年下半期中に役員会に承認を求める」と語った。Chuquicamata坑内採掘は2019年末の生産開始が計画されており、フル操業時には粗鉱処理量14万t/日、銅34万t/年、モリブデン1.8万t/年以上の生産が見込まれている。埋蔵量17億t、銅品位0.7%、モリブデン品位502 ppmが見積もられている他、資源量増加の余地は残っているとされる。

(2012. 6. 8 サンティアゴ 縫部保徳) 目次へ
チリ:政府、リチウム資源開発に関する特別操業契約(CEOL)に係る入札要領を発表

 チリ鉱業省は、2012年6月9日、地元紙の紙上で、リチウム資源開発に関する特別操業契約(CEOL)に係る入札と入札要領の販売を発表した。政府は、落札企業に対して、1932年鉱業法の規定に従って設定されている鉱区を除き、チリ国内におけるすべての場所におけるリチウム資源について、特別操業契約を締結後、20年間にわたり、10万t(金属量)まで、探査、採掘、選鉱を行う権限を与える。契約企業は特別操業契約に従って、生産したリチウムをチリ国内で販売または輸出できる。応札資格は、官民、単独、共同を問わず、あらゆる自然人又は法人となっている。入札要領は、2012年6月11日(月)から7月31日(火)まで、鉱業省で購入(150,000 Peso(約24,000円))できる。また、応札書類は、同じく鉱業省に対し、2012年9月12日(水)17:00までに提出しなければならない。
 CEOL:Contrato Especial de Opercion para la Exploracion, Explotacion y Beneficio de Yacimintos de Litio

(2012. 6. 12 サンティアゴ 神谷夏実) 目次へ
ブラジル:鉄鋼企業の投資は減少するが、原料開発は重点的に行う

 世界的な鉄鋼需要の落ち込みを見越し、ブラジルの鉄鋼メーカーは鉄鋼プラントへの投資を控える代わりに、原料高による生産コスト増加を避けるために鉄鉱石開発への投資を増やすとみられる。ブラジル開発銀行(BNDES)の予測では、2012年~2015年の鉄鋼メーカーによる投資は210億レアル(約105億US$)で、2007年~2010年の320億レアル(約160億US$)から大幅に減少する。世界的には鉄鋼の供給過剰が起きており、ブラジル国内でも、景気減速に加え、輸入鋼材の増加の影響を受けている。また鉄鉱石価格の高騰はブラジルの鉄鋼メーカーの収益を圧迫しており、鉄鋼メーカーは原料コストを抑えるために、鉄鉱山開発への投資は増加させる傾向にある。主要な鉄鉱山開発計画として、CSNはCasa de Pedra鉄鉱山を拡張するとともに、Namisaプロジェクトを日系企業等と開発している。Usiminasは、住友商事とともにMineracao Usiminasを立ち上げ、約40億レアルの投資で鉱山開発を行っている。

(2012. 6. 5 サンティアゴ 神谷夏実) 目次へ
ブラジル:CSA製鉄所の売却、Vale、EBXグループBaista氏が関心を示す

 Thyssen Krupp社は、CSAの鉄鋼プラントの売却で、Valeその他企業の売り先と交渉を行っているが、地元メディアによると、EBXグループのBatista氏も関心を示している。CSA鉄鋼プラントは、Thyssen Krupp社が73.1%、Valeが26.9%を保有している。また韓国Poscoも同プラントに関心を示しているとの報道もある。同プラントの売却は、Thyssen Krupp社が米国アラバマ州に保有する圧延工場とパッケージになっており、両プランとを合わせると、ブラジルでの鉄鋼生産と米国市場における製品販売ビジネスも手に入ることになるというメリットがある。
 なお、両プラントの簿価は約70億€とされている。なお、ブラジルの他の鉄鋼メーカーである、Gerdau 、Usiminasは、CSAプラントの取得には関心を示していないとされる。

(2012. 6. 11 サンティアゴ 神谷夏実) 目次へ
ブラジル:2012年Q1、鉱業セクターの収益は第3位

 2012年Q1の鉱業セクター企業による売り上げは80億レアル(約40億US$、対前年同期比40%減)でり、ブラジルの上場企業の売り上げとしては、金融、石油セクターに次ぐ第3位であった。鉱業セクター売り上げの72%はValeによるものであった。なお2012年Q1の金融セクターの売り上げは114億レアル(約57億US$)、石油セクターは93億レアル(約48億US$)であった。

(2012. 6. 11 サンティアゴ 神谷夏実) 目次へ
ペルー:Quellaveco銅プロジェクト、対話協議会が再び延期

 2012年6月4日付け地元紙等によると、5月30日に実施が予定されていたQuellaveco銅プロジェクトを巡るMoquegua県政府とAnglo American代表との対話協議会は、Cusco県及びCajamarca県で展開されている争議を配慮し、無期限で延期されることになった。
 一方で、Moquegua県政府は、同プロジェクトの環境影響評価(EIA)に関して、国連プロジェクトサービス機関(UNOPS)による外部評価を依頼するとの計画を明らかにしている。

(2012. 6. 11 リマ 山内英生) 目次へ
ペルー:政府、争議防止対策の一環として経済的恩恵の前渡しを検討

 2012年6月4日付け地元紙等によると、Castilla経済財政大臣は、相次ぐ社会争議の防止策の一環として、地域住民が鉱業プロジェクトによってもたされる経済的恩恵を前倒しで享受できる仕組みを検討中であることを明らかにした。
 同大臣は、地域住民が生活レベルの改善を実感することができれば、現状を変えていくことができるはずだとの考えを示した。

(2012. 6. 11 リマ 山内英生) 目次へ
ペルー:経済財政大臣、社会争議による投資凍結を警告

 2012年6月5日付け地元紙等によると、Castilla経済財政大臣は、ペルーに対する約500億US$にも上る投資が社会争議の解決待ちの状態であるとして危機感を表明した。
 同大臣は、長期かつ大型投資の対象国に求められるものは税制や法制度の安定と社会的秩序であると説明し、法治国家としての社会秩序の回復と対話協議の再開が急がれると訴えた。更に同大臣は、鉱業が国の基幹産業であることに言及し、ペルー経済の成長維持のために鉱業投資は欠かせないものであるとコメントした。

(2012. 6. 11 リマ 山内英生) 目次へ
ペルー:Xstrataへの抗議運動、郡知事釈放要求と政府批判を併せて展開

 2012年6月6~9日付け地元各紙によると、Xstrataの鉱業活動に対する反対運動の激化で死者2名が発生し、非常事態宣言が出されたCusco県のEspinar郡では、反鉱山運動を扇動した容疑で同郡のMollohuanca知事が逮捕されたことや非常事態宣言の発令等によって住民らの反政府感情が高まっており、Xstrataへの反対運動と相まって情勢は一層悪化している。
 Espinar保護戦線のHuaman代表は、Mollohuanca知事が釈放されない限り、対話協議には応じないとの姿勢を明らかにしている。
 一方、Pulgar-Vidal環境大臣は、国にとってEspinar郡の住民らの要求は優先事項であると前置きしつつ、同郡の環境や衛生状況、地表水や地下水の水質、土壌や大気の現状を正確に把握・特定することを目的とした、Espinar郡衛生・環境包括プランの立ち上げを発表した。

(2012. 6. 11 リマ 山内英生) 目次へ
ペルー:Minas Conga金プロジェクト、反対デモ依然続行

 2012年6月6~10日付け地元各紙によると、Cajamarca県では、5月31日に開始されたMinas Conga金プロジェクトに対する反対抗議デモが依然として実施されている中、同県のSantos知事は、同プロジェクトを巡る争議の解決に向けて中央政府との対話に応じる意思があることを表明し、必要であればHumala大統領との会見を申請することも考慮していると述べた。
 一方、検察庁は、同知事がHumala大統領による選挙公約の不履行を理由として、大統領の退陣を求める趣旨の発言を行ったことに関する調査を開始した。
 他方、Valdes首相は6月中にもNewmontから同プロジェクトの継続を決定する旨の返答を得たいとの期待を示した。

(2012. 6. 11 リマ 山内英生) 目次へ
ペルー:2012年3月鉱産物輸出額実績

 国税庁によると、2012年3月の鉱産物輸出額は前年同月比で5.8%減少して2,242百万US$となった。
 内訳は、鉛が34.8%増の207百万US$、金が2%減の799百万US$、銅が3.8%減の998百万US$、亜鉛が23.8%減の121百万US$、鉄鉱石が5.4%減の65百万U$などとなっている。

(百万US$)

鉱種 3月 1~3月
2011 2012 伸び率 2011 2012 伸び率
1,038 998 -3.8% 2,698 2,737 1.4%
815 799 -2.0% 2,076 2,638 27.1%
亜鉛 159 121 -23.8% 410 347 -15.5%
19 18 -3.4% 51 58 12.9%
154 207 34.8% 416 564 35.4%
鉄鉱石 69 65 -5.4% 241 242 0.7%
68 1 -99.1% 235 3 -98.8%
その他 60 33 -44.1% 157 129 -18.1%
鉱産物合計 2,380.0 2,242.0 -5.8% 6,285.0 6,718.0 6.9%
輸出額総計 3,741.0 3,911.0 4.5% 10,089.0 11,476.0 13.7%
(2012. 6. 11 リマ 山内英生) 目次へ
アルゼンチン:鉱山企業、輸出外貨規制により輸出を停止

 メディア報道によると、アルゼンチン連邦政府が課した輸出日から30日以内での為替市場における輸出外貨の売却義務が原因で鉱山企業は輸出を停止している。この輸出停止は一時的で、政府の措置が3か月以上続くと生産活動を停止せざるを得ないと言われる。ドーレ輸出の場合、金、銀等の含有量は精錬企業が決定するため、輸出決済は通常200~500日後に行われている。アルゼンチン鉱業協会(CAEM)は政府宛書簡で、輸出代金の決済には少なくとも195日が必要であるとを陳情した。

(2012. 6. 4 サンティアゴ 縫部保徳) 目次へ
アルゼンチン:Río Negro州議会、鉱業公社設立を承認

 Río Negro州議会が鉱業公社(EMiR SA)設立法案を承認した。EMiR SAは株式会社として設立され、全株式の少なくとも60%は州政府が保有することが定められている。同公社は鉱物資源及びその副産物の探査、調査、開発だけでなく、運搬、貯蔵、工業化、商業化も行い、地域の発展に寄与することを目標としている。
 アルゼンチンでは鉱物資源開発収益の地元還元を目的とした州鉱業公社の設立が相次いでいる。

(2012. 6. 8 サンティアゴ 縫部保徳) 目次へ
エルサルバドル:加Pacific Rim社、El Dorado金銀プロジェクトに係るICSIDの判決が間近と発表

 Pacific Rim Mining Corp(本社:バンクーバー)は、エルサルバドルに保有するEl Dorado金銀プロジェクトに係る世界銀行傘下の国際投資紛争解決センター(ICSID)の判決が間近である旨2012年6月4日付け同社HPに発表した。
 2008年、同国政府は、地元住民が環境への影響を懸念する中、Pacific社が持つ探鉱ライセンスを合法的で無いとして取り消した。これに対し、同社は2009年4月、ICSIDにこの問題を提訴した。同社は、同国への投資はDR-CAFTA(北米・中米・ドミニカ共和国自由貿易協定)により保証されており、探鉱ライセンスに何ら違法性は無いと主張している。
 同プロジェクトの精測及び概測資源量は、4.3百万t、平均品位 金9.42 g/t、銀 68.96 g/tと評価されている。

(2012. 6. 9 メキシコ 高木博康) 目次へ
グアテマラ:加Anfield社、Mayaniquelニッケル・プロジェクトの新規探鉱ライセンスを取得

 Anfield Nickel Corp.(本社:バンクーバー)は、グアテマラ共和国東部に保有するMayaniquelニッケル・プロジェクトの新規探鉱ライセンスを取得した旨2012年6月6日付け同社HPに発表した。
 同社は、同プロジェクトを2009年にBHP Billiton社から買収している。2011年7月のプレFS調査によると、マインライフ29.5年、平均年間ニッケル生産量19.9千t、8%割引正味現在価値(NPV)606百万US$、税引前内部収益率14.1%、初期開発コスト12.3億US$と試算されている。今後、最近終了した総延長15 kmのボーリング探査の結果を加味したFS調査を2012年Q3に完了させる予定である。その後、操業開始には36か月のエンジニアリング・建設工事が必要で、操業開始からフル操業までに12か月が必要であるとしている。

(2012. 6. 9 メキシコ 高木博康) 目次へ
メキシコ:加McEwen社、El Gallo金銀プロジェクトの新規資源量を公表

 McEwen Mining Inc.(本社:トロント)は、メキシコ・シナロア州に保有するEl Gallo金銀プロジェクトの新規資源量を2012年6月5日付け同社HPに公表した。
 これによると、精測及び概測資源量(含有量)は、銀1,652 t(従来比33%増)、金17.3 tとなった。同社は、2012年Q3から生産を開始する予定である。
 同社は、2012年1月に加US Gold社と加Minera Andes社との合併により誕生し、アルゼンチンのSan José金銀鉱山の49%権益を保有している。

(2012. 6. 9 メキシコ 高木博康) 目次へ
加:Canada Lithium Corp社、ケベックリチウムプロジェクトの採掘権を獲得

 Canada Lithium Corp社(本社:加トロント)は2012年6月4日、同社が100%所有するケベックリチウムプロジェクトの採掘権をケベック州の天然資源・野生生物保護省(MNRF)より獲得したと発表した。
 本プロジェクトはモントリオール市北西525 kmにあるVal d’Or近郊に位置し、建設工事は20%以上が完了、現在は選鉱施設の機械及び電気系統の部品が取り付けられているところである。すでに粉砕機、ボールミル、キルン、湿式冶金処理機等の設備もサイトに到着している。現在は尾鉱処理施設の運営許可を含む複数の許認可を待っているところであるが、資本支出予算2.07億C$内で、主だったサイト建設スケジュールは計画通り進んでおり、2012年末には、採掘及びリシア輝石処理プラントの試運転が開始され、2013年Q1末には最初の炭酸リチウムの生産が予定される。
 オープンピットの同プロジェクトがフル稼働すると、年間100万tの鉱石が採掘され、約2万tのバッテリーグレード炭酸リチウムの生産が見込まれる。
 採掘権獲得を受け同社株価は17%以上上昇した。

(2012. 6. 11 バンクーバー 室井エリサ) 目次へ
加:ヌナブト準州政府、ウラン政策綱領を公表

 ヌナブト準州政府は、2012年6月6日、ウラン鉱業に対する均衡の取れた姿勢を維持することを目的にウラン政策綱領を発表した。本政策綱領は、数か月にわたる協議、研究、検討を経て、策定されたものである。
 発表されたウラン政策要領によると、ヌナブト準州政府は、同州の人口増加に対応するための潜在的な収入源として鉱業を重要とみなしており、また雇用の供給源としても重要とする一方で、以下の原則を条件としてウラン探鉱・採掘活動を支持するとしている。
・ ヌナブト準州で採掘されたウランは、平和的かつ環境に責任を有する目的にのみ使用される。
・ ヌナブト準州居住者が、ウラン探鉱・採掘活動の主要な受益者でなければならない。
・ ウラン探鉱・採掘に関わる労働者及びヌナブト準州居住者すべての健康と安全が、国家基準により守られなければならない。
・ ウラン探鉱・採掘に際しては、特に土地、水、野生生物に対する環境基準が確実なものとされなければならない
・ ウラン探鉱・採掘は、ヌナブト準州居住者、特にウラン開発地に近いコミュニティの支持を受けていなければならない。

(2012. 6. 11 バンクーバー 片山弘行) 目次へ
加:Teck、Trail製錬所の組合加盟労働者と労働協約締結

 Teck Resources Ltd.(以下、Teck)は、2012年6月8日、BC州に位置するTrail製錬所の鉄鋼労働組合(United Steelworkers)第480支部及び第9705支部加盟の労働者と2012年6月1日から2017年5月31日までの新たな労働協約を締結したことを発表した。
 Trail製錬所の新たな労働協約により、労働協約署名ボーナス及び3四半期にわたっての年金・退職手当の見越し額として、2012年Q2に約3,400万C$を計上することとしている。

(2012. 6. 11 バンクーバー 片山弘行) 目次へ
ロシア:ヴォロネジ州・エラン及びヨルカ鉱床の鉱石処理プロジェクト、MMSKが落札、ウラルで処理へ

 2012年6月4日付け現地報道によると、ウラル採鉱冶金会社(略称:UMMC、本社:スヴェルドロフスク州ヴェルフニャヤ・プィシマ市)は、ヴォロネジ州のニッケル採掘及び処理に関し、メドノゴルスク銅硫黄コンビナート(略称:MMSK、本社:オレンブルグ州メドノゴルスク市)をパートナーとして選定したと発表した。
 5月22日に実施された入札でヴォロネジ州ノヴォホペルスク地区エラン及びヨルカ銅ニッケル鉱床の利用権を落札したMMSKのプロジェクトでは、キーロフグラードの多金属生産施設(UMMCの冶金部門企業であるUralelectromed(ウラル電気銅)の分工場)にニッケルカソード生産工場を建設することが予定されている。また、ヴォロネジの鉱石に含まれる銅及び白金族金属の処理は、Uralelectromed(本社:スヴェルドロフスク州ヴェルフニャヤ・プィシマ市)の本社施設で行われる計画になっている。
 MMSK提案のプロジェクトに詳しいUMMCのグリゴリー・ルドイ鉱業担当取締役によると、ヴォロネジ州の鉱床の資源は一般的原料とは言えない多金属鉱で、MMSKがその処理で豊富な経験を持つことも落札者決定に影響を与えたとしている。また、ルドイ氏は、落札したプロジェクトが競争で優位に立てた主な点はその環境要素であるとしている。環境問題の解決には、プロジェクト予定総額500億ルーブル超のうち約36億ルーブルが充てられる予定である。他の入札参加者が提示した環境対策費はこの金額を下回った。ルドイ氏は、「おそらく、環境の重視こそが入札委員会の決定をMMSKに有利なものにした。これが主要審査基準の一つだったからである」としている。
 ルドイ氏によると、地下鉱山と選鉱プラントから成る将来の採鉱選鉱コンビナートの規模はまだ最終的に確定していない。エラン及びヨルカ鉱床には推定埋蔵量しかないためである。採鉱選鉱コンビナートの設計は、埋蔵量の追加探査、評価、国家鉱量委員会による認定を経て初めて開始することができる。
 探査・評価作業は2013年初めには開始予定である。地質調査は2016~2017年には終了する。埋蔵量が確定されれば、2018年には坑内堀鉱山(4つの立坑を想定)と選鉱プラントの建設を開始できる。2020年に最初の5万tを採鉱、2027年には採鉱量は約350万tに達し、そこから30万tの精鉱を生産することができる。
 現在の見積もりでは、鉱床の埋蔵量は45年分である。既にMMSKは専門監督官庁と共同で、この地下資源鉱区の土壌、水、空気のモニタリングシステムの開発に着手している。鉱床開発プロジェクト全体の実施におけるあらゆる環境破壊を防止するため、MMSKの専門家は監督機関の職員と共に四半期毎にサンプルを採取し、その結果に基づきしかるべき現状報告書を作成する。このために毎年約1,300万~1,500万ルーブルが充てられる予定である。

(2012. 6. 11 モスクワ 大木雅文) 目次へ
ロシア:コルィマ鉱床の地質調査に5億2,000万ルーブル超の連邦予算割当

 2012年6月6日付け現地報道では、マガダン州政府広報によると、同州コルィマ鉱床での地質調査に対する2012年連邦予算からの資金手当は1億230万ルーブル増加し、5億2,550万ルーブルに決定した。地下資源利用者の資金による地質調査は245万2,600ルーブルを予定し前年並みである。
 鉱業の多様化と新規鉱床開発に伴い、2012年の利用に供される同州地下資源区域リストに入ったのは、亜鉛、鉛、銀、銅、鉄、カドミウムの地質調査、探査、採掘対象のクナレフスカヤ有望鉱床、オムスクチャン地区ナチャリノエ鉱床(錫、タングステン)及びガリモフスコエ鉱床(石炭)、ハスィンスキー地区ヘチンスコエ鉱床(錫、銀)、オラ地区ロリンスカヤ鉱床(銅)及びタリニコワヤ鉱床(銅、モリブデン、金、銀)、セヴェロ・エヴェンスク地区フリチャンスキー産炭地域(石炭)及びチャイブヒンスコエ鉱床(褐炭)、オラ地区メルコヴォドネンスコエ鉱床(褐炭)である。
 また、2012年は、プリマガダニエのオセンネ・オクシンスコエ・モリブデン鉱床、オラ地区ウルチャン錫鉱床及びスレドネカン地区イカン・バスチオン・タインストヴェンヌィ錫鉱床の競売の公告が予定されている。
 さらに、2012年はオモロン山塊における鉄鉱石探査作業の完了を予定している。これらの地下資源区域は、予測資源量の認定後、競売にかけられる。
 2012年、貴金属及びその他鉱物の採掘量の拡大が見込まれており、予算上の計画値は金19.2 t、銀785 t、石炭45万tなどとなっている。

(2012. 6. 11 モスクワ 大木雅文) 目次へ
ボツワナ:Boseto銅プロジェクトの選鉱施設が完成

 Discovery Metals社(本社:ブリスベン)の2012年6月4日付け発表によれば、Boseto銅プロジェクト(同社が権益100%保有)の選鉱施設が操業を開始し、銅銀精鉱の生産は予定どおり2012年6月中に開始する見込みである。本プロジェクトの計画鉱石処理量は3百万t/年であり、銅生産量は36,000 t/年、銀生産量は34 t/年となっている。5月時点で既に500,000 tの原料鉱石が採掘されており、6月にはさらに200,000 tが採掘され、生産開始に向けた準備が着々と進んでいる。

(2012. 6. 11 ロンドン 小嶋吉広) 目次へ
モザンビーク:Momaチタンプロジェクト、生産拡大に向けたFSを検討

 メディア報道によれば、Kenmare Resources社(本社:ダブリン)が操業を行うMomaチタンプロジェクトは最近のチタン価格上昇を受け、生産拡大に向けたFS実施を検討している模様である。同プロジェクトは、2012年内を目途にイルメナイト1,200千t/年、ジルコン75千t、ルチル21千t/年にまで生産を拡大させるべく現在、能力増強に取り組んでいるところであるが、今後の価格次第では、さらに生産を拡大させる予定である。生産拡大に向けたFSは2012年末までに終了する予定であるが、電力の手当が最大の課題となっている模様である。

(2012. 6. 11 ロンドン 小嶋吉広) 目次へ
DRCコンゴ:Malaysia Smelting社、DRCコンゴのAfrica Smelting社株40%を獲得

 Malaysia Smelting社(以下MSC、本社:Kuala Lumpur)は2012年6月5日、DRCコンゴにLubumbashi錫製錬所を有するAfrica Smelting社の株40%を獲得したと発表した。Lubumbashi錫製錬所は、同国のカタンガ州に位置しており、現在は2基目の電気炉を建設中で、完成後は錫地金3,500 t/年の生産が可能になると見込まれている。MSCの発表によると、同社は国際的な錫製錬及び取引市場への参加を企業目標として掲げており、今回Africa Smelting社株を獲得したことにより、アフリカ大陸における錫産業への直接的な関与を得ることにつながった。
 なお、Lubumbashi錫製錬所は2012年11月末までに生産を開始する予定である。

(2012. 6. 8 ロンドン 北野由佳) 目次へ
DRCコンゴ:Anglo American、カタンガ州に探鉱事務所を開設

 メディア報道によれば、Anglo AmericanはDRCコンゴでの探鉱活動を積極的に推進するため、キンシャサに支店を設置するとともに、カタンガ州Lubumbashiに探鉱事務所を開設した模様である。
 同社は2002年、隣国ザンビアにおいて子会社ZCI(Zambia Copper Investments)が保有していたKonkola Copper Mines社の株式65%を売却して以後、カッパーベルト地域での探鉱活動を見合わせていたが、最近の銅価上昇に伴い、再度、同地域でのプロジェクト形成を目指している。Anglo Americanはカタンガ州で現在、21件の探鉱ライセンスを保有している。
 他のメジャーもカタンガ州での探鉱活動を活発化させており、Valeは4件の探鉱ライセンスを2010年に取得している。

(2012. 6. 11 ロンドン 小嶋吉広) 目次へ
エチオピア:タンタルの生産及び輸出を一時停止

 各社の報道によると、エチオピア政府は、同国内にタンタルの製錬施設が建設されるまでの間、同国内におけるタンタルの生産及び輸出を一時停止することを決定した。同国政府がタンタルの生産及び輸出を停止した理由は、タンタル鉱石のウラン含有率が高くなりタンタル鉱石を輸出するためには製錬施設により放射能汚染リスクを取り除く必要が出てきたこと、及び国内で製錬を行うことにより高付加価値化を目指していることが挙げられる。同国の鉱山省は、2013年には製錬能力125~150 t/年の製錬施設を稼働開始させる計画である。

(2012. 6. 8 ロンドン 北野由佳) 目次へ
南ア:GDPに占める鉱業の割合が過去100年間で最低値を記録

 南アフリカ統計局は2012年5月29日、2012年Q1における同国のGDPデータを発表した。これによると、同国の鉱業がGDP全体に占める割合は5%を下回っており、Economists.co.zaのMike Schussler主任エコノミストによると、過去約100年間でも最も低い数値であった。また鉱業のGDP成長率は前年同期比で-9.9%となっており、プラチナ鉱山での労働争議、コモディティ価格の低迷、電力及び人件費の上昇、鉱山国営化に関する議論等が悪影響を与えたと考えられている。

(2012. 6. 8 ロンドン 北野由佳) 目次へ
豪:60億A$の石炭開発PJが一時延期に

 2012年6月6日付け地元各紙は、連邦政府のTony Bruke環境大臣がQueensland州が認めたGina Rinehart氏とインドGVKグループが所有するAlpha Coalプロジェクト($ AU 6.4 billon規模)の実施を一時延期したことを伝えている。同大臣はQueensland州が認めた本プロジェクトの環境影響評価を非難するとともに、UNESCOが同州の石炭、LNG等の開発と港の開発がGreat Barrier Reefに環境影響を及ぼすと警告している内容を重視し今回の指示を出したことを伝えている。

(2012. 6. 12 シドニー 伊藤浩) 目次へ
インドネシア:全国鉱山労働者団体、現在の鉱石輸出規制の取り下げを政府に要求

 2012年5月28日付け地元紙等報道によれば、インドネシアの全国の鉱山労働者団体であるThe National Mining Workers Solidarity(SPARTAN)は、政府に対し、2012年5月から実施されている鉱石輸出規制の根拠となるエネルギー鉱物資源大臣令2012年第7号の廃止を要求している。
 SPARTANの主張は、同大臣令による輸出規制により、全国数千規模の鉱山会社が生産停止を余儀なくされなくなり、その影響で4百万人超の鉱山労働者が失業すると指摘している。さらに、新鉱業法(2009年第4号)では2014年までの輸出が認められているにもかかわらず、今回の同大臣令で現在の規制が実施されていることは、法制上矛盾している点を指摘。加えて、Freeport、Inco、Newmountなどの外国企業が適用されていないことは、外資優遇の結果を招いており、同大臣令の廃止ができないのならば、現ユドヨノ政権は、国民の側に立っていないとし、退陣すべきであるとの姿勢も示している。

(2012. 6. 11 ジャカルタ 高橋健一) 目次へ
インドネシア:政府、製錬所建設投資に対する金融機関支援を促進する方針

 2012年5月31日付け地元紙等報道によれば、インドネシア政府は、新鉱業法(2009年第4号)に基づく2014年までの製錬所建設投資に対し、金融機関による支援を促進する方針であることを示した。Hidayat工業相が示したもので、国家として製錬所建設を投資優先セクターと位置付けた上で、中央銀行も含め、金融機関から投資資金の最大限のサポートを受けられるようにし、製錬所建設にインセンティヴを与える考えである。現在、政府は、国営銀行を中心とする複数の国内銀行との協議を進めているとしている。

(2012. 6. 11 ジャカルタ 高橋健一) 目次へ
インドネシア:政府、鉱石輸出税課税基準額を決定

 インドネシア政府は、2012年6月1日付けで、鉱石輸出税の課税基準価格を決定した。政府規定の一つである財務大臣決定(1956/KM.4/2012)により規定されている。この課税基準価格は、5月16日に施行となった財務大臣令(2012年同第75号)で規定された鉱産物65品目について、6月2日から6月30日の輸出に対して適用され、この基準価格で算定された金額に対し、同財務大臣の規定による20%が課税されることとなる。主な基準価格は以下のとおりであるが、鉄鉱石、ニッケル、ボーキサイトなど、純度により価格設定がなされているものもある。

(単位:US$/t)

銅鉱: 2,165.00
硫化鉄鉱:焼いてないもの: 264.00
鉄鉱:凝結させてないもの;
  Fe含有 51.99%以下: 34.00
  同上52~56.99%: 43.07
  同上57%~60.99%: 78.10
  同上 61%以上: 119.00
鉄鉱:凝結させたもの: 147.40
硫化鉄鉱:焼いたもの: 101.50
ニッケル(湿量);
  Ni含有1.5%以下: 15.80
  同上1.5~1.8%: 25.14
  同上1.8 ~2%: 32.69
  同上2%以上: 41.52
ボーキサイト;
  Al2O3含有 46%以下: 15.36
  同上47%~50%: 17.46
  同上51%以上: 17.91
(2012. 6. 11 ジャカルタ 高橋健一) 目次へ
インドネシア:鉱石輸出規制後鉱石輸出が停滞、1か月間の損失額は1億US$

 2012年6月8日付け地元紙等報道によれば、インドネシア商工会議所(KADIN)は、5月から実施されている鉱石輸出規制により、実施後1か月間での鉱山業界全体の損失額試算額は1兆ルピア(約1億US$)に達していて、鉱山事業経営そのものが困難になっていると指摘した。
 Natsir Mansyur副会頭が述べたもので、この1か月間、鉱石輸出は大きく停滞しており、大きな要因としては、政府内及び政府と業界間の十分な調整なしに規制が実施されたことに加え、輸出許可取得条件及び手続きが複雑になっていることにより、業界に混乱を与えていると指摘している。この状態は当面解消される見込みは薄いとし、政府が解決策を示すべきだと主張している。

(2012. 6. 11 ジャカルタ 高橋健一) 目次へ
豪:中国五鉱資源、Aveburyニッケル鉱山を売却へ

 安泰科によると、中国五鉱資源有限公司は、豪州タスマニア州Aveburyニッケル鉱山の売却を計画している。ニッケル価格下落により、同鉱山は2008年12月に操業を停止しており、年間生産能力は8,500 tである。
 五鉱資源によると、いくつかの企業が鉱山買収に興味を示している。

(2012. 6. 11 北京 土居正典) 目次へ
中国:工業情報化部・環境保護部、鉛蓄電池産業参入許可条件を公表

 安泰科によると、2012年5月31日、工業情報化部及び環境保護部は共同で「鉛蓄電池産業への参入許可条件」(以下「許可条件」)を公表した。2012年7月1日から実施される。
 中国の同産業は、設備の自動化水準も低い小規模企業が多く、環境対策が不十分なため、環境汚染の深刻化、衛生管理など多くの問題を抱えている。「参入許可条件」では、新規参入若しくは拡張する企業は50万kVAh、既存企業は20万kVAh以上と、年間生産能力を制限している。また、企業に密閉された自動化・機械化設備の導入、生産規模に見合う省エネ及び汚染処理設備の設置、汚染物質排出削減を求めている。

(2012. 6. 11 北京 土居正典) 目次へ
中国:江西省、世界最大規模のタングステン鉱床発見

 国土資源部は2012年6月5日、「江西省地質鉱産探査開発局が1年半にわたる探査の結果、同省九江市武寧県大湖塘地域で推定埋蔵量106万tのタングステン鉱床を発見した。同鉱床は世界最大で、その潜在価値は3,000億元(474億US$)である」と公表した。
 一部の現地報道は6日付で、厦門タングステン業が鉱床発見と報道したが、探査に投資したのは江西巨通実業である。同日付で、厦門タングステン業は「鉱床発見とは無関係」と公告した。
 安泰科によると、江西巨通実業の権益30%を保有する厦門三虹タングステン・モリブデンの劉同高董事長は、厦門タングステン業董事長でもある、また、2011年4月に厦門タングステン業は、九江市でのタングステンの探査及び高度加工産業の発展のため、五鉱有色金属、厦門三虹、九江市及び同市修水県政府と「硬質合金プロジェクト協力協議書」を締結している。

(2012. 6. 11 北京 土居正典) 目次へ
中国:金堆城モリブデン株式公司、選鉱能力増大

 安泰科によると、甘粛省・金堆城モリブデン株式公司汝陽分公司の新選鉱場(5,000 t/日)が完成、その選鉱能力は7,000 t/日となり稼働を開始した。同公司は金堆城選鉱場も保有していて、合計選鉱能力は40,000 t/日となった。2012年のモリブデン精鉱生産量は30%増加し3.8万tとなる見込みである。生産される精鉱は自社用で、自給率はおよそ100%である。
 なお、親会社の金堆城モリブデン業集団有限公司は、世界の大手モリブデン生産企業の一つで、金属モリブデンの7%のシェアを有している。

(2012. 6. 11 北京 土居正典) 目次へ
中国:湖南省、鉱物資源量の増大を目指す

 安泰科によると、湖南省国土資源庁は、2015年までに省レベル重要鉱床生成区の鉱徴地などでの物理探査、地化学探査及びリモートセンシング探査など地質調査及び評価を行い、同省の資源量の増大を目指す。目標量は、石炭3.5億t、マンガン2,700万t、鉛亜鉛820万t、タングステン・錫100万t、ウラン5,000 t、鉄鉱石4,000万t、レアアース10万tである。

(2012. 6. 11 北京 土居正典) 目次へ
中国:工業情報化部、レアアース備蓄制度導入を検討

 現地報道によると、価格変動抑制のため、工業情報化部は、レアアース備蓄制度導入及び企業間取引に公開の場を提供するレアアース取引所設立の検討を開始した。レアアース産業管理強化が実質的な段階に入った。
 企業を含め検討中の計画案では、レアアース生産者は、価格が一定水準を下回る場合には供給過剰分を市場で買付け、上回る場合には市場で売却する。
 国務院は、2011年5月に「レアアース産業の持続的かつ健全な発展の促進に関する若干の意見」を発表し、国と企業が連携し、製品及び資源による戦略的備蓄制度の確立を提言している。また2012年の全国政治協商会議でも、委員から備蓄制度導入及び財政補助の提案があった。
 2011年のレアアース価格は、上半期は急騰、下半期は暴落と乱高下した。価格維持のため、9及び10月に包鋼稀土国際貿易有限公司が買上げを行ったほか、包鋼稀土による精錬分離企業への原料供給停止、贛州稀土鉱業公司傘下全鉱山及び製錬分離企業の全面的生産停止が行われたが、市場価格への影響はほとんどなかった。

(2012. 6. 11 北京 土居正典) 目次へ
中国:江西省、レアアース採掘許可証を削減へ

 現地報道によると、第12次5カ年計画期間(2011年~2015年)中、江西省政府はレアアース産業の整理・管理に重点を置く方針で、現在発行されている88件の採掘許可証を42件に削減する計画である。また、小規模生産、旧式設備のみ有している若しくは環境対策が不十分な製錬分離企業に対し、2012年6月末までの閉鎖を求めている。この閉鎖処置により、同省の3万とも4万tともいわれる製錬分離能力は2.5万tに減少する。さらに、大気及び水質汚染物質排出基準の100%達成、鉱山周辺の生態環境復旧作業強化などを目指している。

(2012. 6. 11 北京 土居正典) 目次へ
中国:湖南科力遠新エネルギー株式有限公司、益陽鴻源希土有限責任公司を買収へ

 現地報道によると、湖南科力遠新エネルギー株式有限公司は、益陽鴻源希土有限責任公司を21.2億元(3.3億US$)で買収する。交渉は2011年9月に開始されたが、レアアースの価格変動が大きく価格動向予測が難しく合意に達せず、12月に一旦中止となっていた。
 益陽鴻源公司は、レアアース製錬・加工、販売及び研究を行っていて、湖南省で唯一の輸出枠を有している。2012年の割当量は軽希土832 t及び中重希土34 tの計866 tである。
 湖南科力遠公司は、ニッケル水素電池やニッケル・カドミウム電池の開発、生産、販売を行っている。今回の買収により、日本にあるハイブリッド車用ニッケル水素電池を生産する同公司湘南工場(旧パナソニック湘南工場)へのレアアース供給が可能となる。

(2012. 6. 11 北京 土居正典) 目次へ
中国:広東省、レアアース産業の整理統合へ

 現地報道によると、広東省政府は6月3日、「レアアース産業整理統合推進に関する意見書(以下「意見書」)」を公布した。意見書では、2012年2月27日に広晟資産経営有限公司を中心に設立された「広東省レアアース産業集団」を核とする合併・買収・合弁などにより、上流の採掘・選鉱及び製錬分離企業を2013年末までに、下流の産業チェーンを2015年末までに、其々整理統合する基本方針を打ち出している。また省政府は、レアアース探鉱権及び採掘権の新規申請手続きを重点的にサポートすると同時に、韶関市・河源市・梅州市などの政府や企業と協力し、開発及び経営を同産業集団へ集中させるとしている。
 しかし同省には、合法的採掘権をほぼ押さえ、採掘・生産・販売を行う広晟有色公司があり、広晟資産経営有限公司が支配的株主である。広晟有色公司の2011年年次報告書によると、同公司の3事業のうち「レアアースとその関連製品」による営業収入が総収入の90.47%を占め、「タングステンとその関連製品」及び「その他の商品取引」による収入はごくわずかである。こうした状況の中でレアアース事業を切り離そうとすれば、同社の事業はほとんどゼロに等しい事態になる。

(2012. 6. 11 北京 土居正典) 目次へ
中国:調査船「海洋6号」、太平洋へ鉱産資源調査に出航

 現地報道によると、2012年6月2日午前11時、中国人民の期待を載せて、海洋地質(調査)専用船の「海洋6号」が専用ふ頭から太平洋に向けて出航した。これに先立ち広州の中国地質調査局で壮行式典が行われた。
 今回の調査は第27次航海で、予定調査日数は120日にわたる。主要任務は、第一に、海山区域でのコバルトリッチクラスト資源調査で基礎的な資料の収集、第二に調査区域における環境とその評価に関わる科学研究の展開、第三に特定海域の調査を行う有人深海調査艇「蛟龍」の深度7,000 mへの試験のサポートである。

(2012. 6. 4 金属企画調査部 渡邉美和) 目次へ
中国:江西省新余市、世界最大の湿式ニッケル製錬基地建設

 現地報道によると、中国のリチウム産業のリーダー企業である江鋰公司(注;江鋰科技有限公司の略か)の党関係者によると、同公司は、国家的に新技術企業と世界最大のラテライト鉱石湿式ニッケル製錬企業を目指して、建設投資を進めている。総投資額280億元(44億US$)で4つのプロジェクトを運営する。内訳は10万t電解ニッケル、6万tのニッケル条線加工、3万tリチウム塩、そして500万tのCCD鉄粉である。建設は3期に分かれていて、第1期では、現存設備に新たに2万tの能力を増加させる電解ニッケルプラント、1万tの条線加工、1万tのリチウム塩プラントなどである。
 同公司はこれまでに2008年の文川大地震や引き続く暴雪などの影響も受けたものの、これまでに1万t(/年)のリチウム塩生産能力、3万tの電解ニッケル、1万tのニッケル条線加工、60万tの硫酸などの能力を回復させ、ニッケルとリチウムを2本柱に技術改善など実行してきている。

(2012. 6. 4 金属企画調査部 渡邉美和) 目次へ
中国:国税総局、33項目の民間投資の税優遇政策を発表

 現地報道によると、中国国税総局は「民間投資の健康的発展を奨励指導する税収政策」を発表、各税務機関に民間投資に関連する優遇税制を通知した(注;通知月日は2012年6月6日と思われる)。これによれば、税制優遇策は33項目に及び、増値税、消費税(注;中国の「消費税」は日本でいうと物品税の類)、営業税、企業所得税、不動産税、関税等の多種の税にわたる。中央政府が民間投資の発展を重視したもので、2010年5月に国務院が発表した「民間投資の健康的発展を奨励する若干の意見」と2012年3月に発展改革委員会がまとめた「2012年の経済体制改革重点工作の深化の意見通知」に基づくもの。
 なお、6月7日段階でまだ33項目の具体的な例示は入手できていない。

(2012. 6. 7 金属企画調査部 渡邉美和) 目次へ
中国:Johnson Controls, Inc.、天津に新蓄電池工場建設

 現地報道によると、世界最大の自動車用蓄電池メーカーである江森自控(Johnson Controls, Inc.)は、2012年6月7日、天津に新たな蓄電池工場を建設する協議を締結、2012年下期に着工、2014年末の稼働が計画されている。投資額は2億US$。
 江森自控(Johnson Controls, Inc.)の総裁は、協議締結式の席上、「我々は、2015年には中国の自動車販売量は年2,500万台になると予想している。新たな生産基地を天津に建設することは、我が社が中国市場を大変重視している結果である」と述べた。
 同社は既に、2011年に浙江省の長興工場を稼働させている。また、重慶の工場も2012年下期に生産開始予定である。また、上海には2005年に買収した生産拠点がある。天津の新工場の生産量は年間600万個と計画されていて、2017年には同社の中国での生産量は年3,000万個に達する計画である。

(2012. 6. 8 金属企画調査部 渡邉美和) 目次へ
中国:6月から実施される新たな経済政策一覧

 現地メディアでは、2012年6月から実施される新たな経済政策一覧について以下のように(注;広東の高速道路費用などあまり非鉄金属と関係なさそうなものは省略)報道された。中でも稀土の専用伝票や省エネテレビ・エアコンの補助、上海株式取引所の手数料調整などが特に関心を持たれている。

① 希土の専用伝票制度6月から実施
② 省エネ型のテレビ・エアコン購入に際しての補助
  6月1日から暫定1年の予定で、省エネ型のテレビ・エアコン購入に際して100~400元(1,200~5,000円)/台が補助される。
③ 人民元と日本円の直接交換開始
④ 上海株式取引所の手数料を25%引き下げ
⑤ 証券のインサイダー取引犯罪に関する司法解釈適用
⑥ 中国内4先物取引所の手数料、平均で30%引き下げ
⑦ 食品輸出入に関わる包装上表示検査体制
⑧ 工員の職業上での健康保証が雇用者にあることの明確化
⑨ その他

(2012. 6. 1 金属企画調査部 渡邉美和) 目次へ
おことわり:本レポートの内容は、必ずしも独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構としての見解を示すものではありません。正確な情報をお届けするよう最大限の努力を行ってはおりますが、本レポートの内容に誤りのある可能性もあります。本レポートに基づきとられた行動の帰結につき、独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構及びレポート執筆者は何らの責めを負いかねます。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。

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