2013年7月22日付け地元紙によると、エクアドル鉱業会議所のJavier Cruz会頭は、鉱業法の一部改正に対して、改正により改善された点として、①不法鉱業活動に対する罰則規定が強化されると同時に合法的活動への転向の道が広げられたこと、②外資による鉱業事業に対するロイヤルティの上限が設けられたこと、③権益取得のための諸手続きが簡素化されたこと、④新たに設けられた中規模鉱業カテゴリーでは生産活動実施の上で優遇措置があり、中規模鉱業の発展が期待されること等があると述べた。 一方で同会頭は、「超過利益税(Windfall Tax:市場価格上昇分に対する特別利益税)は世界で例をみない税であり、加えて法人税の前納は外資の興味を引き出すには大きなマイナス要素である。外資が生み出す鉱業事業の利益は、政府・外資で均衡のとれた配分であるべきで、鉱業会議所は政府に見直しを訴え、法令改正を求めていく」との意向を示した。 また、現行の鉱業契約制度について、「企業が探鉱権を取得し、探鉱活動に投資し鉱床を確認したとしても、開発のためには政府との鉱業契約交渉が必要であり、政府提示の条件次第では合意に達しないリスクがある。ロイヤルティと諸税を納付し、鉱業活動が当局の管理下にあれば鉱業契約締結は必要ない」と述べた。 同会頭は、Kinross Gold社(本社:カナダ)のFruta del Norte金・銀プロジェクト(Zamora Chinchipe県)撤退にも言及し、「当該プロジェクトは大規模鉱業の象徴的なもので、この金鉱床の発見は過去25年で世界最大級であり、証券業界においても、Kinross Gold社が政府との鉱業契約締結に至った場合、世界の投資家はエクアドルへの投資に積極的に動くであろうと見られていたが、Kinross Gold社の撤退により振り出しに戻った」とコメントした。 さらに同会頭は、「鉱業法は炭化水素法に準拠した形となっているが、鉱業は石油開発とは異なる事業であり、特に、超過利益税を鉱業に適用することは、外資導入の障害になる。外資の関心を高めるためには鉱業税制の改正が必要であり、超過利益税を撤廃することは不可能であっても税率改正や所得税前納システムの撤廃、付加価値税優遇措置などにより、改正鉱業法をより現実的なものにすることが重要である」との見解を述べた。 |