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2003年中国の非鉄金属対外貿易、活況かつ大幅輸入超過
中国経済は順調な成長を続け、2003年のGDP成長率は9.1%を記録した。それに伴い各種非鉄金属の需要量は急増中であり、2003年の非鉄金属の対外貿易は、輸出入の額、量ともに前年より大幅に増加している。以下では、中国海関統計資料を基礎とし、銅、アルミ、鉛、亜鉛、ニッケル、錫の輸出入の現状と変化を報告する。 |
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輸出入額
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輸出入量
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原料(精鉱、スクラップ)
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地金
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まとめ
中国海関統計によると、2003年の非鉄金属原料の輸入額は150.91億ドルで35.4%増、輸出額は54.59億ドルで36.6%増となった。ネット輸入額は96.32億ドルに達し、対前年比34.7%増である。特に銅精鉱輸入については、12.88億ドルとなり対前年比59.1%増と大幅な増加。また、鉛精鉱の輸入額は139.7%増の2.03億ドルになり、更に大きな変化を示した。亜鉛精鉱の輸入は昨年より14.4%減の1.54億ドルと縮小した。ニッケル精鉱は額的には少ないが50%増の510万ドル。
2003年の非鉄金属原料の輸出入量は、銅精鉱の輸入(現物量:以下同じ)が266.90万トンと大幅に増加し、対前年比で29.2%増大。因みに2002年は8.4%の減少であった。平均品位を30%として計算した場合、銅金属量は約80万トンになる。鉛精鉱とニッケル精鉱の輸入量も大幅に増加し、対前年比でそれぞれ74.5%増と31.4%増で、それぞれ67.90万トンと0.93万トンとなった。2003年の非鉄金属原料の輸入で、減少が著しかったのは錫精鉱で、24.7%減の0.24万トンであった。また、亜鉛精鉱は5.0%減の74.56万トンとなっている。
一方、輸出量は、銅精鉱とアルミナがそれぞれ25.6%増と28.7%増であった他、その他4種の非鉄金属鉱産原料はほとんど輸出されない。銅精鉱とアルミナの輸出量の伸び率は大きかったが、現物量ではそれぞれ6.21万トンと6.31万トンでしかなかった。
粗銅の輸入量は対前年比18.0%増の12.33万トン(銅含有量12.1万トン)で、輸出量は56.0%減の0.15万トンであった。ザンビアのチャンビシ鉱山産の粗銅の輸入拡大もその背景にあると思われる。
スクラップに関しては、銅スクラップの輸入量が前年と変わらずの2.7%増となったが、数量的には最も多く、316.18万トン(銅含有量約92万トン)に達した。アルミスクラップの輸入量は引き続き堅調な伸びを見せ、65.34万トン(現物量、以下同じ)になり、前年同期比で46.1%増。亜鉛スクラップの輸入量は、2002年で前年同期比44.2%増であったが、2003年はさらに32.2%増加の6.75万トンに達し、亜鉛スクラップ原料の輸入がここ数年急増している。ニッケルスクラップの輸入量は数量的にはそれほど多くないが14.2%増となった。
(表1) 非鉄原料の輸入量 | (現物量:トン) | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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出所:海関統計 |
銅地金輸入量は135.83万トンで、対前年比15.0%増であった。アルミ地金の輸入量は54.51万トンで、前年比2倍強の増加であった。また、銅地金の輸出量は15.9%減の6.44万トンであったが、アルミ地金の輸出は67.1%増の103.77万トンに急増した。2003年の銅地金の輸入量とアルミ地金の輸出入量はいずれもこれまでの最高記録を更新している。
2003年の銅地金とアルミ地金の貿易の特徴は、下半期の輸出入量が上半期のそれをはるかに上回っていることである。例えば下半期の対上半期比は、輸入量で銅地金は25.2%増で、アルミ地金は42.2%増で、輸出量では銅地金が3.3%増、アルミ地金が57.6%増となっている。
鉛・亜鉛地金については、鉛地金は輸入が減少し、輸出が増加、亜鉛地金は輸出が減少し、輸入が急増している。鉛及び亜鉛地金はどちらも生産量がその消費量を上回る非鉄金属で、主に輸出によって国内市場の需給バランスをとっている。前年と比べると、2003年の鉛地金の輸出量は43.56万トンで、10.6%増であったが、鉛地金の輸入量は18.7%減の2.50万トンであった。一方、亜鉛地金の輸出量は4.6%減の45.10万トンであったが、輸入量は98.7%増の13.60万トンであった。この亜鉛地金輸入急増の陰には、亜鉛精鉱の調達が容易に進まず、かつ国内需要が急激に増したことが理由として挙げられる。亜鉛地金はこれまで輸出品目として定着していたが、ここ1~2年は輸出比率が下がり輸入比率が上がってきており、2003年は前年の輸出量を4.6%下回った。2003年の鉛の輸出量が生産量に占める比率は27.6%で、亜鉛の輸出量が生産量に占める比率も19.7%で、それぞれ前年より減少している。ニッケル地金については輸出入量が急増している。ニッケル地金の輸出量は1.06万トン、輸入量は6.76万トンで、それぞれ前年比136.9%、114.8%の大幅な伸び率になっている。
(表2) 2003年の地金輸出入量 | (トン) | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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出所:海関統計 |
2003年の中国の非鉄金属の対外貿易の状況は、輸出入の額、量ともに前年より大幅に増加し、96.32億ドルの輸入超過となった。非鉄原料では銅精鉱、鉛精鉱ニッケル精鉱、亜鉛スクラップの輸入が急増したことが特徴的である。また、輸入銅スクラップは対前年比2.7%増の微増であるものの、316.18万トン(鉛含有量約92万トン)と膨大な量で、依然中国の銅原料として大きなウェートを占める。ここ数年、中国の非鉄原料としてのスクラップの位置付けは、銅だけに留まらず亜鉛においても重要性が増している。
今後2008年のオリンピックまで中国の経済成長は若干の減速こそあれ、トレンドとしては7%~8%の経済成長が続くとされ、中国の非鉄金属原料の輸入量は引き続き拡大するものと見込まれよう。
