報告書&レポート
カナダ・ブリティッシュ・コロンビア州における鉱業投資環境改善の取組みの現状
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ブリティッシュ・コロンビア州(以下「BC州」。)経済は、1990年以降、景気が低迷していたが、今年に入り好調な住宅投資や活発なエネルギー投資等から、3%を上回る経済成長が期待されている。主要産業である鉱業についても金属市況の上昇とBC州政府の投資環境改善の動きを背景に探鉱投資の大幅な増加が期待されている。今回はBC州政府のこうした改善努力の現状を報告する。 |
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BC州の鉱業の現状
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タスクフォース設立
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BC州における投資改善に関する取組状況
- 法人所得税率を16.5%から13.5%へ低減及び個人投資家に対し個人所得税率を25%割引
- 「連邦フロースルー株式制度」をモデルに20%の税額控除を受けられる新たな「フロースルー株式制度」を導入(連邦制度の税額控除延長にあわせ州税も延長)
- 法人資本税の廃止
- 鉱業用機械及び備品について州税を廃止及び鉱業用機械または備品の修理用備品等についても税額免除を拡大
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あとがき
BC州の鉱業界は、近年の金属市況低迷と革新系の前NDP(New Democratic Party)政権の鉱業政策とが相俟って、州内の探鉱活動が沈滞化し、下表の通り稼動中の鉱山は、6鉱山まで減少した。また、探鉱投資額も1990年の227百万Cドルに対し、2001年には29百万Cドルまで激減し、鉱業関係者からは、BC州のマイニングの危機が声高に叫ばれてきた。しかし、自由党へ政権交代以降、BC州政府による鉱業投資環境の改善努力と昨今の金属市況の回復により、探鉱投資は上昇に転じ、昨年は、推定45~55百万Cドルまで回復し、今年は、さらに倍増すると予測されている。こうした状況を鉱業権設定状況で見ると、2004年1月から5月までの設定状況は24,000件に達しており、昨年の同時期に対し77%増加し、一昨年に対しては、165%増加している。特にBC州北部地域の権益取得数を比較すると、2003年同時期の北部地域の権益取得数5,484件に対し、今年は、14,861件に上っており、同地域を中心にグラスルーツの探鉱が戻ったことを示す結果となっている。
| BC州の稼行金属鉱山数の推移 | ||||||||||||||||
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BC州では、昨年6月に州議会議員15名で構成する鉱業タスクフォースを設置し、具体的な改善課題の抽出とその解決の方策について検討を実施した。その概要は以下の通り。
| 1) | 役割:非鉄金属、石炭、金などを目的としたすべての鉱産物を対象として各種法制度、政策及び事務手続きの見直しや投資促進の観点から税制等を含めた投資環境改善を検討。 |
| 2) | 検討方法:BC州およびユーコン準州鉱業協会など関係団体、地方ビジネス協会、商工会議所、BC州地方自治体連合及びFirst Nationsの各組織代表との意見交換や操業鉱山関係者へのインタビュー等を通じて問題点を把握するとともに弁護士から専門的なアドバイスを受けつつ解決方策を検討し、報告書のとりまとめる。全体の報告書は、秋ごろには公表される予定。 |
BC州政府が鉱業の推進と投資環境改善のため、これまでに取組んでいる改善措置の状況は以下の通り。
| (1) | 税制に関する措置 |
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| (2) | 運送コストに関する措置 |
| BC州では、鉱物ポテンシャルが非常に高く、探鉱が盛んな北部地域において将来の鉱石搬送ルートを確保するため、内陸部のハブステーションとなっているプリンスジョージを中心に既存鉄道ルートを活用すべく1,500万ドルをかけて改修を行うとともにプリンスルパート港をコンテナ港として活用すべく、1,720万ドルをかけて港を拡張する事を決定。この北部搬送ルートができれば、アジア向けの鉱石輸送は現状のバンクーバールートに比べ、3日間輸送時間を短縮することが可能。 | |
| (3) | 土地利用に関する措置 |
| これまで州内の開発可能な地域が不明確であったことから、探鉱開発が実施可能な地域と開発を行えない地域の2つのゾーンに分け、エリアを明確化。この結果、13%が国立公園等として開発が禁止され、残り87%は、開発が可能となった。 | |
| (4) | Community及びFirst Nations問題に関する措置 |
| 鉱業開発地域は、First Nations居住地域と関係が深く、開発の大きな障害となってきたが、鉱山開発に伴う運送や飲食などの関連産業を通じてFirst Nations の人々の雇用創出など地域の経済活動に結びつけることにより、地域経済の活性化がもたらされるという基本理念の下、BC州政府と各団体関係者が話し合いを重ねた結果、本年6月現在で各関係者と4つの基本合意を締結するとともに69の基本合意に関係する措置と145の経済措置の合意取り付けを実施。BC州では、この合意を受け、これらの地域において雇用の創出に向けた鉱業開発に関連する職業訓練等を実施する予定。 | |
| (5) | その他 |
| 上記措置のほか、BC州地質調査所による地質情報提供をオンライン化するとともに、各種事務手続きの迅速化と併せて鉱業権取得手続きのオンライン化を導入するなどさまざまな改善措置を実施。カナダ探鉱開発協会(PDAC)は、先月、こうした取組みに対し、昨年に続き本年もBC州に賞を授与することを決定。 |
BC州では、上記の通り州政府の鉱業活性化に向けた取組みと相俟って探鉱開発は近年にない活気を見せており、10月には休止していたGiblartar鉱山も再開を予定するなど、今後の探鉱の成果と開発の進展によりBC州の鉱業復活が注目されている。
| BC州における稼行6鉱山の概要 | ||||||||||||||||||||||||||||
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