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ベースメタルの国際市場と需給動向(2004年8月)
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国際市場
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需給動向
8月のLME(London Metal Exchange)の月平均価格は、銅が対前月比1.3%増の2,846.10 USドル/tとなったが、ニッケルは同9%減の13,685.95 USドル/t、亜鉛は同1.3%減の975.81 USドル/tと値を下げた。
LME在庫は銅、ニッケル、亜鉛ともに前月末よりも増えており、ニッケルと亜鉛が値を下げたこととあわせ、ベースメタル需要の伸びは鈍り価格はピークを超えたとの見解がアナリストの間で台頭しつつある。その一方で、2004年後半から2005年にかけての需要は依然として堅調で高価格が続くとの予想も、生産者を中心に根強い。
| 平均価格(cash settlement、USドル/t) | 在庫(t) | ||||||
| 2003年 | 2004年7月 | 2004年8月 | 前月比 | 2004.7.30 | 2004.8.31 | 増減 | |
| Cu | 1,778.41 | 2,808.43 | 2,846.10 | +1.3% | 88,450 | 104,950 | +16,500 |
| Ni | 9,625.53 | 15,031.59 | 13,685.95 | -9.0% | 10,158 | 11,502 | +1,344 |
| Zn | 826.90 | 988.32 | 975.81 | -1.3% | 706,050 | 737,150 | +31,100 |

| 鉱山生産 | 精錬生産 | 消費 | 需給バランス(t) | ||||
| 1~6月(t) | 前年比 | 1~6月(t) | 前年比 | 1~6月(t) | 前年比 | ||
| Cu | 6,878,000 | +1.1% | 7,623,000 | +2.1% | 8,305,000 | +6.0% | -682,000 |
| Ni | 640,700 | +1.6% | 632,100 | +4.9% | 634,400 | +3.0% | -2,300 |
| Zn | 4,754,000 | +1.1% | 5,009,000 | +3.3% | 4,951,000 | +1.2% | +58,000 |
| (1) | 銅 |
| 【需給】 鉱山生産は1~3月期が2.1%減であったものの、4~6月期は4.1%増となり、1~6月期としては1.1%増であった。インドネシアのGrasberg鉱山が4月に本格生産を再開したこと、価格上昇が増産を促したことが背景にある。精錬生産は2.1%増であったが、一次生産の1%増に対しスクラップからの二次生産が10.8%増と大きく伸びたことが特筆される。一方、1~6月期の消費は6.0%増で、1~5月期の6.4%増よりも増加率は低下したものの、依然として生産増を上回るペースである。中国(17.2%増)、日本(5.1%増)、米国(9.0%増)が消費の牽引者である。金融引き締め政策の影響が注目されている中国の消費動向であるが、6月の消費量は254,700tで前月比5.1%増、前年同月比11.6%増と依然として好調に推移している。しかしながら、前年同月比で30%以上増加していた2~4月の勢いはない。需給バランスは6月は92,000tの供給不足、1~6月は682,000tの供給不足となっている。 【在庫】 【価格】 |
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| (2) | ニッケル |
| 【需給】 1~6月の鉱山生産は、豪州とフィリピンがそれぞれ前年同期比で減産となった以外はいずれも増産で、全体で1.6%増となった。また、一次ニッケル精錬生産は日本、カナダ、中国の増産により4.9%増となった。一方、1~6月のニッケル消費は中国が13.3%増と依然として2ケタ増を示しており、全体で3.0%増であった。中国の6月のニッケル消費量は前月と同量の11,000tで、前年同月比13.4%増であり、需要減の徴候はまだ見受けられない。需給バランスは6月が200tの供給不足、1~6月が2,300tの供給不足でほぼ均衡状態にある。 【在庫】 【価格】 |
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| (3) | 亜鉛 |
| 【需給】 1~6月の鉱山生産は最大生産国の中国が前年同期比12.6%増だったが、2位の豪州が15.6%減、3位のペルーが6.7%減、5位の米国が6.7%減で、上位10か国の生産量は0.1%増に留まった。しかしナミビア、トルコ、モロッコ等の11~20位生産国の合計は14.8%となり、全体で1.1%増となった。製錬生産量も最大生産国の中国が16.7%増で、ナミビアとカザフスタンの増産と合わせ、全体で3.3%増となった。一方、1~6月の消費は、2位の米国が9.0%増と好調である一方で、最大消費国の中国は4.1%増と前年までの2ケタ増の勢いが衰えており、欧州と日本は消費減であったため、全体で1.2%増に留まった。需給バランスは6月が33,900tの生産過剰、1~6月は58,000tの生産過剰状態にある。 【在庫】 【価格】 |


