報告書&レポート
国際銅研究会第2回特別総会の概要報告
国際銅研究会第2回特別総会が9月22日~23日にポルトガルのリスボン(研究会本部・事務局所在地)で開催され、世界17か国・地域から約30人の銅関係の政府・民間関係者、国際機関関係者が参加した。 |
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統計委員会
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環境経済委員会
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常任委員会
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総会
統計委員会では、事務局より世界の2004年、2005年の銅需給予測と各国ベースの銅需給予測及びその議論、銅及び銅合金製造工場一覧の見直し完了、銅リサイクルWGの活動状況報告(Eurometauxと共同で検討した当初のリサイクル効率比率とは異なる総合リサイクル効率比率という指標についての報告等)、承認されている活動計画(銅スクラップ貿易フロー、銅市場への中国の影響、ロシア銅産業に関する調査)についての検討状況報告、今後検討している調査についての報告(銅需要予測の精度を高める銅市場心証指標の検討)が行われた。
統計委員会の主要な成果であり、同委員会で討議、コンセンサスが得られ、その後の総会で承認された2004年、2005年の需給予測については、以下の通り。
2004年の世界の鉱山生産は、89.7万トン(前年比6.6%)増加し1,455万トン、2005年は更に107.2万トン(7.4%)増加し、1,563万トンとなる見込み。2005年は、ラテン米で新規に31.5万トン、北米の生産再開で10万トンの追加、アジアでは、インドネシアの生産回復と他の国での新規追加で17.5万トン上昇する。
2004年の世界の地金生産(1次、2次を含む)は、供給途絶の余裕分も含めて、56.2万トン(前年比3.7%)増加し1,577万トン、2005年は115.5万トン(7.3%)増加し、1,693万トンとなる見込み。2004年の地金生産の伸びが鉱山生産増加に対して遅れ、2004年後半の精鉱供給のタイト感は緩和し始める。アジア(中国、インド、タイ)の地金生産能力増、メインテナンス完了による稼働率上昇、精鉱供給増が、2004年後半、2005年の地金生産を増加させる見込みである。
2004年の世界の地金消費は、88.7万トン(前年比5.7%)増加し1,647万トン、2005年は67.3万トン(4.1%)増加し、1,715万トンとなる見込み。アジア全体の需要増は2004年、2005年とも力強く、北米は2004年に顕著な回復期となるものの2005年はその動きが遅くなり、欧州は2004年は前期より後期に増加し、2004年、2005年を通じて緩やかに増加すると見込まれる。
2004年は、銅地金供給の大幅な増加にもかかわらず、これを上回る地金消費の増加により、生産不足は37.6万トンから70.1万トンに増加する見込み。2005年は、高い稼働率による地金生産の急上昇と地金消費の伸び鈍化により、生産不足が22.0万トンに低下する見込み。供給途絶の余裕分16.8万トンを除けば、2005年の地金需給は、ほぼバランスすると見込まれる。
世界の銅地金需給予測 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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環境経済委員会では、事務局より、廃自動車に関する規制が与える影響についてのケース・スタディの実施状況、北米のおける銅産業部門の経済的貢献に関する調査の進捗状況、カントリープロファイルとしてブラジル調査の完成、銅リサイクルWGにおける銅フローモデル(西欧版)の完成と北米版作成検討、一次産品基金(CFC)からの資金で行うプロジェクトとして、銅の国際政策レビューとエネルギー効率に関するワークショップ(ICAとの共同提案)、閉山で影響を受ける地域における持続可能な一次産品生産のための共同体の準備に関する調査(UNCTADとの共同提案)の調整状況等が報告された。
また、銅産業部門に影響を与える規制として、2つの問題が報告された。一つは、EUの持続可能な開発に関する戦略で、今後パブリック・コンサルティングが加えられ、2005年1月に完成予定であることが報告された。もう一つは、世界銀行の採掘産業レビュー(EIR)で、EIRで指摘があったいくつかの点で世銀が改革を迫られていること、ただ、例えば石炭開発からの撤退等世銀としてある分野から完全に手を引くというような提案については拒否していることからもわかるように、世銀自身は現実的な反応であったことなどが紹介された。
研究会のメンバーシップについて、事務局より、日本は再加盟予定で現在国内手続き中であることが改めて説明された。また、加盟国の2004年の分担金の支払い状況がレビューされ、いくつかの未払い国について状況確認がなされた。さらに、研究会の財務状況として、厳しい支出削減努力により、2004年の収入と支出は、ほぼバランスされる見込みであることも報告された。
総会では、国際銅研究会が国際鉛亜鉛研究会、国際ニッケル研究会とともに、事務局長及び事務局所在地を統一するという研究会合理化案に参加するかどうかの議論がなされた。出席国は、加盟国としてベルギー、チリ、EU、フランス、フィンランド、ドイツ、ギリシャ、インド、イタリア、メキシコ、ペルー、ポルトガル、ロシア、セルビア、スペイン、米国、これにオブザーバーとして日本を加えた17か国・地域であった。
まず、前回5月の総会で提案されたポルトガル提案(所在地は統一するものの、銅研究会専任の事務局長とその他2研究会担当の事務局長の2人にするという提案)の経済的評価について、EU代表が事前に配布されたペーパーに基づき説明を行った。本提案は一定の経済的なメリットがあることが説明されたものの、一部の国を除き、参加加盟国の大勢は1人の事務局長とすべきとの主張に変化がなかった。
この状況で、参加加盟国の一致したコンセンサスを目指すために、米国よりアプローチを変えて、特定の国に分担が集中しすぎることには問題があるとの観点から、まず加盟各国の分担金についてのあり方を見直すために、加盟各国の分担を均一にする(均一割合は100~75%で残りを銅貿易量で配分)との提案がなされた。この提案についての事務局のシュミレーションの結果、現在の分担が少ない国の負担が逆に増えることから反対が多く出され、米国は二次提案として、分担金に一定のキャップ(上限10~15%)を設けるとの提案を行った。このシュミレーションでは、すべての国が減少することになるために案として受け入れられ、協議の結果、10%キャップを設けることに合意した。
この結果、3研究会合同の1人事務局長とする方向で、他の2研究会との調整を始めることも決定され、現事務局長の任期延長については、暫定的に2005年6月まで延長することも決定された。なお、2005年の予算は所在地がどこになるかで正確な数字は変わることも確認された。
今後、10月初旬の国際ニッケル研究会及び国際鉛亜鉛研究会の総会を経て、10月末または11月初めに開催される選出委員会(3研究会の議長国及び常任委員長国、合理化タスクフォース議長国:チリ、メキシコ、インド、フランス、ノルウェー、EU、米国、豪州と他の参加希望加盟国で構成予定)で所在地(候補:ロンドン、リスボン、ベニス)と事務局長候補の選定が行われる予定。
