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カザフスタンの地下資源をめぐる最新の動向 -地質委員会の改組、地下資源法の改正-
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石油・ガス分野への投資を中心に外国投資が250億ドルを超え、一人当たりではロシアの10倍にもなるカザフスタン。ナザルバエフ大統領による絶対主義的な指導体制、批判を浴びた昨秋の下院選挙、蔓延する汚職など多くの課題が指摘される一方で、5年間に亘り年率ほぼ10%で経済成長を続け、CIS諸国にあって最も近代化した金融制度との評価も得られている。3つの有力格付機関すべてが投資適格と認定している同国の好調な経済は、石油・ガスを始め、銅や亜鉛などの鉱物資源の輸出に依存しており、一次産品以外の産業発展は経済多角化に向けて取り組む喫緊の優先課題となっている。最近、同国では、地下資源保護を管轄してきた地質委員会の改組と地下資源法の改正が行われた。本稿では、2004年における非鉄金属の生産実績とともに最新の動向を報告する。 |
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地質委員会の改組
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地下資源法の改正
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法改正の意義と背景
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その他の動向
2004年10月、地質・地下資源保護委員会は、9月29日付け1449号「政府機構の改革に関する大統領令」を受け、管理機能強化を柱とする改組(名称も地質・地下資源使用委員会に変更)が行われた。新たに制定された組織規定によれば、同委員会の主な機能は以下のとおり。
| (1) | 地質調査、埋蔵量評価(国家査定)の実施 | |
| (2) | 地質・地下資源情報に関するデータベースの整備 | |
| (3) | 地質・地下資源に関する外国との国際事業におけるカザフスタン代表 | |
| (4) | 地下資源法の策定 | |
| (5) | 地下資源利用ライセンスに関する鉱区リストの作成 | |
| (6) | 鉱床開発プロジェクトの承認 | |
| (7) | 地下資源利用者(ライセンス所有者)との地下資源利用契約の締結 | |
| (8) | 地下資源採掘計画の承認、地下資源利用者の監督 |
2004年12月1日、地下資源法が5年ぶりに改正された。原則として入札によって付与される地下資源利用ライセンス、ライセンス取得者が政府(エネルギー・鉱物資源省が窓口機関)との間で地下資源利用契約を締結して地下資源利用者(事業者)となる枠組みそのものには変更はないが、法改正のポイントとライセンスに関する主な内容は以下のとおり。
| (1) | 改正のポイント | |
| 1) | 「譲渡される地下資源利用ライセンスの買収や、ライセンスを所有する法人の権益獲得に対して、国に優先権を認める」条項の追加 | |
| 2) | 「入札によらず、政府との直接交渉によって地下資源利用契約を締結する」規定の追加 | |
| 3) | 「探鉱作業によって事業者が商業上の発見を行った場合、事業者に対し採掘権を取得する排他的権利を認め、支出した経費を国が補填する」条項の追加 | |
| 4) | 地下資源利用ライセンスの譲渡と権利剥奪に関する規定の明確化 | |
| 5) | 採掘権の入札・地下資源利用契約に関する前提条件として、国による埋蔵量評価を明文化 | |
| 6) | 「地下資源利用におけるカザフ人の雇用、国内産品・サービスの活用、高度処理技術に関する義務」規定の追加 | |
| 7) | 入札手続きの期間(申請受付:最低1か月、入札予告:最低3か月、審査:2か月以内)を明文化 | |
| 8) | 応札時のプロポーザル(提案書)に記載すべき事項の追加(環境保護対策、地域社会開発計画、その他の義務等について) | |
| (2) | ライセンスに関する主な内容 | |
| 地下資源利用契約の締結 | ||
| ・ | 提案書に記載した事業計画の内容を最低限満足することが契約条件 | |
| 地下資源利用ライセンス | ||
| ・ | 探鉱権:6年以内、2回更新可(各2年間) | |
| ・ | 探鉱権から採掘権への移行優先権: | |
| ・ | 商業上の発見を行った場合、事業者には採掘権を取得する排他的権利が認められる | |
| ・ | 採掘権:25年以内(大規模優良鉱床の場合は45年以内) | |
| ・ | 探鉱・採掘権(パッケージ):それぞれの作業に必要な期間 | |
| 第三者へのライセンス譲渡 | ||
| ・ | 可能(ただし、国家機関による許可を受けることが条件) | |
| ライセンスの停止・権利剥奪 | ||
| ・ | 規則を遵守せず、契約どおりに事業計画を履行しない場合、停止・権利剥奪される | |
今回の地下資源法の改正は、カザフ政府の見解によれば、(1)効率的な地下資源利用を促すために、管理強化を図り、(2)内外の投資家の権利と利益を保証し、(3)国家にとっても有益な新たな枠組みを構築する必要に迫られて行ったものとされている。条項や規定で見てみると、(1)は、環境保護対策、カザフ人の雇用、国内産品・サービスの活用や高度処理技術を事業者(地下資源利用者)に義務付けたこと。(2)は、ライセンスの譲渡や権利剥奪が具体的に記述されたこと。探鉱権で商業上の発見を行った事業者に採掘権を取得する排他的権利を認め、支出した経費を国が補填することを規定したこと。(3)は、譲渡される地下資源利用ライセンスの買収や、ライセンスを所有する法人の権益獲得に対して、国に優先権を認めたこと。が政府見解を裏付ける内容となっている。
一方、新聞各紙は、今回の法改正は、カザフ領内で石油・ガス開発を行う外国企業の権益をカザフ政府がこれら外国企業に優先して取得する権利がある(国に先買権の行使を認める)と規定(上述(3)に該当する部分)するために行われたものと論評し、これまで外国企業が独占してきた開発利権を「カザフ政府が取り戻す1」ことができるよう、カザフスタンに有利な改正が行われたと伝えている。
| 4-1 | PSA(生産物分与協定)法の草案 |
| 2004年、カザフ政府は、今後のPSA(生産物分与協定)2方式による探鉱・採掘活動を沖合鉱区のプロジェクトに限定するとの方針を策定し、PSA法の草案を国会で審議する予定であったが、最近の新聞報道によれば、上程は3月以降にずれ込むものと見られている。この法案には、事業実施中に発生した事故が環境と人の健康に与えた被害に対する補償、改正地下資源法と同様に、カザフ人の雇用、国内産品・サービスの活用や高度な技術の利用を事業者に義務付ける規定が盛り込まれるものと見られている。 | |
| 4-2 | 鉱区入札の情報 |
| 地質・地下資源使用委員会の幹部の情報によれば、鉱区入札のために同委員会が作成した鉱区リスト(石油・天然ガス案件28件、非鉄金属案件120件)が政府の承認を受け、2004年12月31日付け政令として施行された(入札時期は調整中)。この他、PSA方式による沖合鉱区に関しても、現在、リストアップの作業中とされる。 | |
| 種類 | 探鉱権 | 採掘権 | 探鉱・採掘権 | 計 |
| 石油・天然ガス | 20 | - | 8 | 28 |
| 金 | 34 | 3 | 18 | 55 |
| 白金 | 3 | - | - | 3 |
| 銅 | 8 | 3 | 5 | 16 |
| 亜鉛・鉛 | 3 | 1 | - | 4 |
| 多金属 | 10 | - | 1 | 11 |
| ニッケル・コバルト | 4 | 11 | 2 | 17 |
| タングステン | - | - | 1 | 1 |
| マンガン | 2 | - | 1 | 3 |
| チタン | 4 | 1 | - | 5 |
| ニオブ・タンタル | 1 | - | - | 1 |
| 錫 | 1 | - | - | 1 |
| ボーキサイト | 2 | - | 1 | 3 |
| 計 | 92 | 19 | 37 | 148 |
(参考) 非鉄金属の生産実績
(1) カザフスタンにおける主な非鉄金属の生産量推移
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(2) カザフスタンにおける主な非鉄金属資源の生産量
| 種別 | 単位 | 2003年 | 2004年 | 前年比増減(%) |
| 金 | kg | 9,939 | 9,579 | -3.6 |
| 銀 | t | 804.6 | 707.5 | -12.1 |
| 銅 | t | 432,401 | 445,230 | +3.0 |
| 銅精鉱 | t | 484,500 | 461,800 | -4.7 |
| 鉛 | t | 116,006 | 157,000 | +35.3 |
| 鉛精鉱 | t | 38,200 | 32,800 | -14.1 |
| 亜鉛 | t | 294,965 | 316,515 | +7.3 |
| 亜鉛精鉱 | t | 393,200 | 359,200 | -8.6 |
(3) カザフスタンにおける石油・ガス生産量(2004年)
| 原油 |
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120万バレル/日 | ||||
| ガスコンデンセート |
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| 天然ガス |
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| 1 | カザフ政府は、かつてカシャガン油田のコンソーシアム(Agip KCO)の権益14.29%を保有していたが、1998年にコンソーシアムのパートナーにこれを売却。当時、プロジェクトはまだ試掘前で、厳しい財政状況下にあったカザフ政府は、キャッシュ調達の必要に迫られて手放したとされる。今回の法改正に対して、エネルギー・鉱物資源省の高官は、「カザフスタンは、カシャガン油田プロジェクトのBG権益を最初に購入する全ての法的根拠を手にした。」と発言(11/5付けInterfax Kazakhstan)。2003年3月にBGが権益16.67%を中国企業に売却する契約を発表して以降、パートナーによる先買権行使、カザフ政府の買収通告(2004年6月)と曲折を経て、事態は最終局面に向かった。 |
| 2 | 税金の多くを国に対する生産物の分与に換えることで免除される、主に油・ガス田開発で適用されている方式であり、Product-Sharing Agreementsの略。PSA法の草案は、開発中のカシャガン油田や、生産中のカラチャガナク・ガス田(KIO)の操業とは切り離して検討されているとされる。 |



