報告書&レポート
シリーズ:非鉄原料調達の先兵(その1)中国政府と一体化し非鉄原料の安定確保を図る中国五鉱集団公司(Minmetals)
| 国際市場における中国企業の台頭が紙面を賑わすことが急速に増加してきた。中国国内での資源需要は急速な経済発展と共に驚異的に増加している。中国は資源埋蔵国であると共に大消費国でもあり、その胃袋は巨大で中国語で言うと“海量”と表現される。つまり海水のような莫大な量を消費するということを意味する。豊富な資源とは言っても銅、アルミ、鉄といった社会基盤整備に不可欠な原材料の多くは、中国国内で賄うことが出来ず、海外からの輸入に頼らざるを得ない状況にある。しかし、海外で自ら非鉄原料調達するという発想はこれまでの中国にはなかったが、2000年前後から国を挙げて取り組み始めている。中でもNoranda社の買収に名乗りを上げたことで広く知られることとなった中国五鉱集団公司は、中国では今や海外での非鉄原料確保の先頭に立つ存在である。 本稿では、中国の非鉄原料調達に大きな役割を果たしつつある五鉱集団公司について紹介する。 |
1. 五鉱集団公司(Minmetals)とは
中国五鉱集団公司は国有資産監督管理委員会が管理する中央政府直属の国有企業であり、傘下として中国五鉱有色金属股●有限公司(China Minmetals Non-ferrous Metals Co., Ltd、以下、五鉱有色公司と呼ぶ)を持ち、政府の意向に添う形で、国内の国有非鉄製錬企業に対し長期安定した原料確保が出来るよう中国政府の施策を間接的に実施している。五鉱集団公司の中でも、五鉱有色公司こそが非鉄金属原料調達の担い手となっている。
中国五鉱集団公司の前身は、金属、鉱産物、電気機械等を対象とした輸出入を業務とする中国五金鉱産輸出入総公司であり、1950年に発足(成立)した。1998年に旧有色金属工業総公司が政府機関の機構改革により、同総公司の傘下の貿易商社である中国有色金属工業輸出入総公司を吸収し、集団化を進め改名した。当初は対外貿易経済合作部が所管する国営企業であったが、2000年の政府機関の機構改革時に国家国有資産管理監督委員会に移管替えとなった。同時に、国有資産監督管理委員会が管理する中央政府直属の国有企業となり、電力、通信、石油エネルギー、鉄鋼など中国経済を担う187社の中に名を連ねる中核国有企業のうちの一社となった。
五鉱集団公司の業務内容は、当初は鉄鋼輸入が中心であったが、その後非鉄金属の輸出入部門、貨物輸送部門、不動産、建築及び土木の工事請負部門等の様々な分野に参入している。ちなみに2003年の売上高は116億ドルで、推定ではあるが内訳として、鉄鋼50%、コークス、合金鉄15%、非鉄金属10~15%、貨物輸送、不動産他20%から25%となっている。
五鉱集団公司は国内で168社の独資企業及び持ち株企業を保有し、海外でも50社の子会社と事務所を持つ。公司の競争力を高めるためにグローバル企業へスケールアップを計るため海外進出を積極的に推し進めている。同集団公司が特に積極的に進めている分野は鉄鋼、非鉄金属、各種素材原料の貿易、金融、不動産であり、それぞれの分野の専門性を高め、持続的な発展を目指す総合企業として発展させるという方針を明らかにしている。
2. 中国五鉱有色金属股●有限公司(China Minmetals Non-ferrous Metals Co., Ltd/CMN)
五鉱集団公司の中で、主として非鉄金属の輸出入を行っているのが五鉱有色公司である。
五鉱有色公司は、いささかその身の上は複雑である。中国の国家機関は1998年以降機構改革の流れを受け、強引に統廃合が進められ、五金鉱産輸出入総公司の一部の部門となった。その後2001年12月18日、五鉱集団公司が別の5つの国内大手企業(上海工業投資(集団)公司、金誠江成源製錬所、宜興新威集団公司、中国食糧油食品輸出入(集団)公司、自貢硬質合金有限責任公司)と連携し、非鉄を扱う部門を五鉱有色金属股●有限公司として設立するに至った。出資比率は第1図の通りで、大部分(80%)を五鉱集団公司が占めている。従って、五鉱集団公司の非鉄金属及び鉱産物を扱う貿易業務は五鉱有色公司が全て行っており、非鉄金属での売上高は2004年で20.7億ドル(170億元)。である。取り扱う非鉄金属はアルミ、銅、錫、タングステン等であり、2004年の部門別売上高は第1表の通り。登録資本は5.31億元である。
![]() |
|
3. 五鉱集団公司の最近の動向
五鉱有色公司は中国の主要銅生産企業5社(江西銅業公司、銅陵有色金属公司、雲南銅業集団公司、大冶有色金属公司、中条山有色金属有限公司)と共に、海外における銅精鉱を中心とする銅資源確保を目的に中銅総合銅業有限責任公司(China United Copper Co., Ltd./CUC)を設立させた。同公司によって、海外の銅精鉱の輸入に関する調達交渉を行い、政府系の探査、開発企業と連携を取って探鉱、開発を視野に入れて活動している。
最近では2004年10月、ポーランド銅生産企業KGHM社と銅地金輸入に関する合意(2010年までに30万t)、さらにはキューバのニッケル生産工場やニッケル鉱山開発における投資合意及びチリCodelco社と銅資源の共同開発及び地金輸入に関する枠組み合意を行うなど、長期安定的な銅、ニッケル等資源確保と言う面で大きな役割を果たそうとしている。
また、五鉱集団公司が最近まで進めていたカナダNoranda社買収交渉については、当初の独占的交渉権が失効した後も、精力的に交渉しているという情報が伝えられていたが、2005年3月9日には最終的に、Noranda社がFalconbridge社の全株式を30億カナダドル相当の株式交換による全面合併するというアナウンスが出たと同時に、同社の買収交渉を打ち切った。もしNorannda社買収が成功した暁には、ニッケル生産で世界第3位のFalconbridge社の59%の株式をも所有することになり、中国にとっては資源確保面でも安定確保に幅が出てくるというメリットも同時に享受できるはずであった。Noranda社を買収することによって、五鉱集団公司の鉱山上流部門のグローバル化が図られ、同時にNoranda社の持つ管理システム、専門的知識、技術が手に入り、さらに世界各国に保有している銅、ニッケル、亜鉛の開発プロジェクト等を引き継ぐこととなるとの思惑がはずれた格好となった。しかし今後は、これまでの交渉過程で得た両社の友好関係を維持しつつ、合併後の新会社からの鉱物資源や金属の買い付けや共同出資によるプロジェクトの開発等、戦略的提携をも視野に入れた覚書締結などの可能性を図るとの五鉱集団関係者の情報もある。現に2005年初、五鉱集団の周中枢総裁はジャマイカにおいて、買収劇の渦中のNoranda社とドミニカ共和国におけるフェロニッケル工場からのフェロニッケル共同買い付けに関する協定書を結ぶ等、Norannda社と極めて友好的な関係は、これを裏付けるものと言えよう。
非鉄原料確保という政策的役割から言えば、五鉱集団公司は、五鉱有色公司を通じて海外の銅精鉱の輸入調達に関する交渉を主に行うこととしていたようであるが、今後は銅に留まらずニッケル、アルミ、亜鉛、白金などの探鉱、開発、投融資等に触手を伸ばすとみられ、まさに非鉄貿易商社から資源総合企業へと変貌しつつある。五鉱集団公司は急増する非鉄金属の国内需要に対応するための非鉄原料確保の先兵として、その役割がさらに大きくなるものと思われ、ここ数年は五鉱集団公司の動きに目が離せない状況が続くものと思われる。
(参考)
| 保有企業 | |
| 独資企業: | 中国五金制品輸出入公司、中国外貿金融租賃公司、中国国際工程和材料公司、中国五鉱国際広告展覧公司、中国五鉱服務公司、中国五鉱通霊宝石公司、五鉱房地産公司、王府国際旅行社、中国五鉱深セン公司、中国五鉱珠海公司、中国五鉱海南貿易開発公司、中国五鉱上海浦東公司、中国五鉱寧波貿易公司、中国五鉱江蘇貿易公司 |
| 直接持ち株企業: | 五鉱発展株式有限公司、五鉱有色金属株式有限公司、五鉱投資発展株式有限公司、五鉱集団財務有限公司、五鉱物業管理有限公司、中鉱競売株式有限公司、鎮江五鉱貿易発展有限公司、五鉱浙江国際貿易有限公司、五鉱烟台有限公司、厦門五鉱実業有限公司、新疆五鉱阿拉山口貿易有限公司 |
| 間接持ち株企業: | 五鉱鋼鉄有限責任公司、五鉱貿易有限責任公司、中国鉱産進出口有限責任公司、五鉱国際貨運有限責任公司、五鉱国際入札有限責任公司、北京香格里拉飯店有限公司、中国五鉱石油器材貿易公司、深セン實達先物有限責任公司、上海東方先物有限責任公司、无錫市環保公司(以上は主要な企業である) |
| 海外: | 日本、韓国、アメリカ、南ア、イギリス、北欧、ドイツ、フランス、シンガポール、南米、オーストラリアなど事務所と子会社を持つ。 |
| ●= | ![]() |




