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ベースメタルの国際市場と需給動向(2005年3月)
3月のLME(London Metal Exchange)の月平均価格は、銅が9か月連続で上昇して3.9%増の3,379.60USドル/t、ニッケルは3か月連続で上昇し5.5%増の16,190.00USドル/t、亜鉛は6か月連続で上昇し3.9%増の1,377.69USドル/tであった。引き続き銅、ニッケル、亜鉛ともに高いレベルを維持しており、最近、銅では過去最高値を更新するという状態が見られる一方天井感も出てきている。こうした価格変動の主要因は、金属市場の需給がタイトという状況の中で、ファンド資金の影響が大きいと言われている。銅は、非常に低い在庫レベルと精錬所のボトルネックが継続、ニッケルは主要生産者の減産予想からくる需給タイト感、亜鉛はLME在庫減少が継続していること等により、いずれも先月来の高いレベルを維持している。在庫レベルが全般的に低いため、供給上の問題の影響が大きくとられる傾向にある一方、中国の金属需要や為替等の他の市場動向の影響を受けたファンド資金の動き次第では、現在の価格水準が急変する可能性もあり、今後も当面高いレベルで推移しつつも、市場は不安定な動きを見せると考えられる。
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2. 需給動向
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2・1 銅
【需要】
国別の2005年1月の消費量は、最大消費国中国が前年同月比20.0%増と大幅増となる一方、その他主要国では2位米国7.0%減、3位日本0.9%減、4位ドイツ7.2%減となったものの、世界計では1.4%増の1,384.2千tであった。世界の消費を月別に見ると、2004年10月1,344.4千t、11月1,434.2千t、12月1,281.1千tと増減を繰り返し、2005年1月は1,384.2千tと増加した。注目の中国の消費動向も、2004年10月232.8千t、11月307.4千t、12月263.7千tと増減を繰り返し、2005年1月は296.3千tと増加した。
【供給】
2005年1月の鉱山生産は前年同月比14.1%増の1,230.2千tであった。月別の鉱山生産を見ると、2004年後半1,200千t台を維持し、10月1,293.1千t、11月1,281.9千tであったが、12月1,350.1千tと2004年最高値を更新した後、2005年1月は1,230.2千tと減少し、鉱山の設備稼働率も04年後半以降93%前後と高いレベルで推移し、10月以降さらに上昇し12月97.5%まで上昇したが、05年1月は88.4%に低下した。2005年1月の国別生産量は、最大生産国チリが前年同月比11.7%増、2位米国8.1%増、3位ペルー9.2%増、4位豪州20.3%増、5位インドネシアがGrasberg鉱山の事故からの回復により163.3%増と各国とも増産となった。
2005年1月の精錬生産は前年同月比7.0%増の1,364.5千tであった。月別の精錬生産は2004年10月以降増加傾向で10月1,354.7千t、11月1,362.2千t、12月1,381.8千tと増加したが、2005年1月は1,364.5千tと若干減少した。2004年11月まで精錬所稼働率は80%台で徐々に上昇傾向にあったが、2004年11月84.0%、12月82.1%、2005年1月80.7%とまた減少してきている。2005年1月の国別生産量は、最大生産国のチリ(EW生産を含む、以下同様)が0.5%増、2位中国29.3%増、3位日本0.2%増、5位ロシア11.6%増、6位ドイツ5.4%増と、4位米国が1.9%減少した以外は主要国で増加しており、全体でも7.0%増となった。
【需給バランス】
2005年1月は19.7千tの供給不足であった。2004年秋以降は供給不足と供給超過を繰り返しており、04年12月は107千tの供給超過であったが、2005年1月197千tの供給不足となった。季節調整後の需給バランスでは、2004年10月は2004年で初めて供給超過(35千t)となったが11月は61千tの供給不足に戻り、12月26千tの供給不足、2005年1月も12千tの供給不足となった。
【価格】
3月のLME銅価格は、先月末の3,405USドル/tから2日続けて下落し3,200USドル台に一旦なったものの、すぐに3,300USドル台に回復、その後3,300USドル台後半から3,400USドル台を少し超える高いレベルで推移し、3月31日には3,408USドルを記録して終了した。
2・2 ニッケル
【需要】
2005年1月の消費量は前年同月比2.4%増の105.0千tであった。4位韓国がと6位台湾が増減なしとなったものの、最大消費国の日本が7.1%増、2位中国が33.3%増と大幅増、3位米国が4.2%増、5位ドイツが2.4%増となり、全体としては消費量が増加した。
【供給】
2005年1月の鉱山生産は前年同月比1.2%減の106.3千tであった。最大生産国のロシアは増減なし、3位豪州は32.7%減と大幅減、4位インドネシアが1.5%減となり、2位カナダが1.2%増、5位ニューカレドニアが10.5%増となったものの、全体としては微減となった。
2005年1月の一次精錬生産は前年同月比3.6%減の104.9千tであった。最大生産国のロシアが3.2%減、2位日本が22.6%減と大幅減、4位豪州が6.5%減、5位中国も17.8%減と大幅減、6位ノルウェーも2.8%減となり、3位カナダが19.8%増と大幅増となったものの減産国の減産分を補いきれず、全体としては減少した。
【需給バランス】
2005年1月の需給は微量(100t)の供給不足となった。前年末からみると需給とも若干減少し、ほぼバランスした状態が続いている。
【価格】
LMEニッケル価格は、3月2日に15,000USドル/t台を記録した以外は、3月24日まで16,000USドル台の前半を維持し続けたが、3月29日、30日と15,000USドル台に下げた後、3月31日には16,250USドルで終了した。
2・3 亜鉛
【需要】
2005年1月の消費量は前年同月比3.8%増の883千tであった。最大消費国の中国が11.6%増となる一方、2位米国9.3%減、3位日本1.9%減、4位ドイツは増減なし、5位韓国7.3%減となったが、全体としては増加した。
【供給】
2005年1月の鉱山生産は、最大生産国の中国が前年同月比43.4%増と大幅増、2位豪州7.3%増、5位米国15.0%増、6位メキシコ7.5%増となる一方、3位ペルー2.7%減、4位カナダ19.7%減となったが、世界合計では11.4%増の851千tとなった。
2005年1月の精錬生産は、最大生産国の中国が前年同月比22.1%増、2位カナダ11.5%増、3位韓国3.6%増、4位日本3.6%増、6位豪州7.7%増となり、5位スペインが2.3%減となった以外は増加し、全体で10.1%増の890千tとなった。
【需給バランス】
2005年1月の需給バランスは7千tの供給超過となった。一方LMEの在庫量は、3月31日現在574.1千tとなり、前月から3.1万t減少している。
【価格】
1,300USドル/t台後半でスタートしたLME亜鉛価格は、3月8日に1,400USドル台を突破した後伸び悩み、3月18日には再び1,300USドル台に下落、3月31日1,349USドルで終了した。