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2005年世界の非鉄金属分野の探鉱動向
| ベースメタル・長期的な低迷等の影響から1990年代後半から2000年代初頭まで低迷していた世界の探鉱投資は、2001年後半からの金価格の上昇基調に転じたことに加え、2003年後半以降のベースメタル価格急騰、歴史的な高水準化等から、2002年を底に急激な回復を示し、2005年の探鉱予算は前年比34%増の51億ドルと過去最高の1997年に次ぐ規模に達した。ここでは、カナダのMetals Economics Group(MEG)社発行の「Corporate Exploration Strategies」レポートをベースに、2005年の世界の非鉄金属探鉱動向を報告する。 |
1. 2005年世界の探鉱予算
図1は過去10年間の世界の非鉄金属探鉱予算推移を示したものである。MEGの推計によると、2005年の探鉱予算は約51億ドル(探鉱予算を10万ドル以上計上している1,431社の合計は48.9億ドル)で前年比34%増と大幅アップし、1997年のピーク時の予算(52億ドル)に次ぐ規模となった。これは、昨今の金属価格の高騰により非鉄金属各社の収益が軒並み過去最高益を記録していることや、コモディティに対する投資家の関心が高まり、特にジュニア市場へ探鉱資金の流入が加速されたこと等が主要因であると見られる。
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| 図1 世界の非鉄金属探鉱予算推移 |
出典:MEG
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2. メジャー企業、ジュニア企業等の探鉱予算の変遷
図2は、1997年から2005年までのメジャー企業(非鉄金属分野の売上げ額5億ドル以上)、中堅企業(非鉄金属分野の売上げ額5千万ドル~5億ドル)及びジュニア企業(探鉱資金を市場で調達している企業)等の探鉱予算の変遷を示したものである。1997年のBre-X事件(インドネシア・Busang金鉱山開発を巡るBre-X社の虚偽報告事件)以降、ジュニア企業に対する信頼が薄れ、ジュニア企業への投資離れが進んだが、2003年より、市況回復をきっかけにジュニア探鉱投資額が増加に転じ、2005年は前年比57%増の23.3億ドルと過去最高額に達した。これは、メジャー企業全体の探鉱予算額を大きく上回っており、世界の探鉱投資回復の大きな原動力となっている。
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| 図2 メジャー企業、ジュニア企業等の探鉱予算の内訳(単位: US$mil) |
出典:MEG
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3. 鉱種別探鉱予算の内訳
2005年の鉱種別探鉱予算の内訳(図3)を見ると、依然、金が全体予算の約50%を占め(増加率は前年比31%増)、探鉱予算拡大のけん引役になっていることに加え、ベースメタル市況の好調から、ベースメタル予算が前年比54%増と大幅に増加したことが特徴的である。ベースメタルの内訳では、銅が前年比43%増、ニッケルが65%増と拡大傾向が持続したことに加え、亜鉛が前年比90%増と急回復したのが注目される。但し、絶対額は、2001年のレベルでまだ低水準の状況に留まっている。
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| 図3 鉱種別予算配分 |
出典:MEG
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| 図4 ベースメタル予算の推移 |
出展::MEG |
| 表1 鉱種別探鉱予算の推移 |
(単位:百万US$)
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| 注:数字は探鉱予算を10万US$以上計上している企業の統計(2005年は1,431社が対象) |
出典:MEG
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4. 地域別探鉱予算の内訳
次に、2005年の地域別探鉱予算の内訳(図5)を見ると、北米27%、中南米23%、アフリカ17%の順。ここ数年の傾向としては、その他(中国、モンゴル、ロシア等)の割合が拡大しているのが注目される。
2005年における各地域の鉱種別シェア(図6)を見ると、金のシェアが最も高いのは、東南アジア、次いで、豪州になっている。ベースメタルについては、中南米、東南アジア、豪州の順。北米、アフリカはベースメタルの比率が少なく、替わってダイヤモンドの比率が大きいのが特徴的である。特にアフリカは金とダイヤモンドの比率が合計で全体の約7割を占めている。
国別(表2)では、トップ3(カナダ、豪州、米国)は変わらず、この先進3か国で世界の探鉱予算の約4割を占める。第4位にはロシアが入り、この2年間で5倍に拡大した。以下ペルー、メキシコ、南アフリカの順。その他大きく躍進した国は、アルゼンチン(約3倍)、アンゴラ(2.7倍)、タンザニア(71%増)等
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| 図5 地域別探鉱予算の推移(百万US$) |
出典:MEG
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| 図6 2004年各地域の鉱種別予算シェア(百万US$) |
出典:MEG
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| 表2 2004年探鉱対象国ランキング |
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出典:MEG
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5. ステージ別予算
図7は過去10年間の探鉱ステージ別予算の推移を示したものである。各ステージ別の探鉱予算比率は2003年まで大きな変化はなく、概ねグラスルーツ探鉱:5割、レイトステージ探鉱(鉱量確定調査、F/S調査):3割、マインサイト探鉱(既生産鉱山周辺調査):2割で推移していた。2004年、2005年は、特にレイトステージの予算が大幅に増加し、2005年はグラスルーツとレイトステージの予算がほぼ同額となった。レイトステージ探鉱については、価格低迷時に開発が見送られていた案件が昨今の金属価格高騰でフィージブルになったこと、マインサイトについては、主にメジャー企業による昨今の増産に対応するための短期的な鉱量拡大への対応と見られ、今後もこの傾向は続くものと見られる。
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| 図7 探鉱ステージ別予算の推移(百万US$) |
出典:MEG
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6. 各社の探鉱予算
表3に2004年探鉱予算トップ10社と主なベースメタル生産企業の探鉱予算額を示した。トップは、2004年と同様、ダイヤモンド生産会社であるDe Beers Groupで、前年比20%増の2.04億ドル、2位はNewmontで前年並の1.46億ドル。3位はブラジルの鉄鋼会社であるCVRD(前年7位)が入り、62%増の1.39億ドルと大きく拡大し、ベースメタル企業のトップに躍進した。次いで、Barrick Gold、Rio Tintoが続く。上位10社のうち半数が金生産企業で、これらの企業が世界の探鉱予算に大きな影響を与えている構造は変わらない。
また、各社の探鉱予算規模を評価するために、非鉄金属売上高に対する探鉱予算の比率を見ると、金生産企業が4~6%であるのに対し、ベースメタル企業の多くは1%前後と概して低い水準であることがわかる。
7. 今後の探鉱活動の見通し
2005年における大手非鉄企業の決算は金属相場上昇が追い風となり、軒並み過去最高水準の増収増益を確保するものと見込まれている。また、ジュニア企業の資金調達も同様の理由から潤沢に進んでいる。そのため、2006年の探鉱予算は、増加基調が持続し、過去最高を記録するとの見方が有力である。但し、増加率については、大手企業同士のM/Aの進行に伴い非鉄メジャー企業の探鉱費の伸び悩みが予想されるため、10~15%程度に留まるものと見られる。
| 表3 非鉄メジャー企業及び主要ベースメタル企業の探鉱予算 |
(百万US$)
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出典:MEG
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