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ベースメタルの国際市場と需給動向(2006年5月)
1. 国際市場
5月のLME(London Metal Exchange)の月平均価格は、銅、ニッケル、亜鉛ともに急伸した。銅が12か月連続で上昇し26.0%増の8,046US$/t、ニッケルは2か月連続で上昇し17.5%増の21,077US$/t、亜鉛は10か月連続で上昇し15.6%増の3,566US$/tとなった。
銅は、4月の上昇傾向に引き続き、需給タイト感に反応した投機資金の流入から、5月前半は上昇を続け、5月中旬に史上最高値を更新した。その後は米国の利上げ継続予測等を受け、投機資金の流入が一服し、急落した。ニッケルはステンレス需要の回復傾向等が材料となり投機資金が流入し、5月を通じて上下はあったものの、史上最高値を更新した。亜鉛もLME在庫が減少し続けており、依然として需給がタイトであり、価格は5月中旬に史上最高値を更新した後、銅と同様に投機資金の流入が一服し、急落した。
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LME月平均価格の推移
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2. 需給動向
2006年1~3月の需給動向 |
(出典:国際銅・ニッケル・鉛亜鉛研究会)
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2.1 銅
【需要】
2006年1~3月の銅世界消費は前年同期比1.0%増の4,118千tであった。世界消費は2005年12月1,316千t、2006年1月1,374千t、2月1,310千t、3月1,434千tと推移している。国別では、最大消費国の中国が6.4%減、2位米国が2.7%減、5位韓国が3.0%減だったものの、3位の日本が7.0%増、4位ドイツが7.4%増もあり、全体として微増した。
【供給】
2006年1~3月の銅鉱山生産(金属純分)は前年同期比で微減(0.7%減)の3,503tであった。鉱山生産は2005年12月1,407千t、2006年に入り減少し、1月1,190千t、2月1,087千t、3月1,226千tと推移している。鉱山設備稼働率は2006月1月83.6%、2月84.4%。3月85.8%と低い水準で推移している。国別では、3位ペルーが5.4%増、5位ロシアが0.5%増となったが、最大生産国のチリが前年同期並で微減、2位米国3.7%減、4位豪州が2.0%減、6位インドネシア31.2%と大幅減と世界的な減少傾向のため、全体として減少した。
2006年1~3月の地金生産は前年同月比4.8%増の4,182tであった。地金生産は2005年12月1476千t、2006年1月1,401千t、2月1,332千t、3月1,449千tと推移している。精錬所設備稼働率は2006月1月80.4%、2月84.5%。3月82.8%と比較的低い水準で推移している。国別では、2位チリで4.3%減、5位ロシアが前年同期並の微減となったものの、最大生産国となった中国で前年同月比20.1%と大幅増、3位日本6.8%増、4位ロシア2.7%増等世界的な増加により、全体として減少した。
【需給バランス】
2006年1~3月の銅需給バランスは64千tの供給超過であった。2005年12月に160千tの大幅供給超過を記録した後、1月27千t、2月22千t、3月15千tと供給超過であるものの、減少傾向にある。季節調整後の需給バランスでは12月45千t、2006年1月41千t、2月50千t、3月59千tと供給超過で推移している。LME在庫は2005年末からの増加傾向が3月まで継続していたが、4月末に117.7千t、5月末現在では112.1千tと減少傾向に転じており、依然低い水準にある。
【価格】
7,391US$/tでスタートした5月のLME銅価格は5月上旬は乱高下を繰り返しつつも上昇傾向にあり、5月12日にはドル建て史上最高値の8,788US$/tに達した、その後、5月中旬は乱高下を繰り返しつつも下降傾向にあり、5月22日には7,620US$/tまで下落した。その後は再び上昇傾向にあり、5月30日に8,421US$/tまで達した後、8,140US$/tに下落して終了した。
2.2 ニッケル
【需要】
2006年1~3月のニッケル消費は324千tで、前年同期比0.2%増となった。消費量第1位の中国は10.9%増、第3位の米国は6.3%増であったが、第2位日本は9.3%減、第4位ドイツは1.2%減、第5位韓国は11.1%減であった。
【供給】
2006年1~3月のニッケル鉱石生産は365千t(金属純分)で、前年同期比9.1%増となった。最大生産国のロシアは3.0%増、第2位カナダは30.9%と大幅増、第3位豪州は0.6%増、第4位のインドネシアは23.5%の大幅増となり、第5位ニューカレドニアの9.6%減を補った。2006年1~3月の一次ニッケル地金生産は326千tで、前年同期比0.4%増となった。最大生産国ロシアは0.9%の微増、第3位カナダは2.4%増、第5位中国は15.0%増となったが、第2位の日本は6.7%減、第4位豪州5.9%減であった。
【需給バランス】
2006年3月の需給バランスは、2千tの供給過剰となっている。1月は4.7千tの供給過剰、2月は0.6千tの供給不足、3月は2.1千tの供給不足となっている。
【価格】
LMEニッケル価格は5月に入っても20,000US$/t前後の記録的高値で推移し、5月12日には22,300US$/tをつけた。その後、投機資金の流入に一服感があり、下落傾向にあったが、下旬には23,000US$/t台となり、5月末日現在23,100US$/tとドル建てで再度史上最高値を更新した。
2.3 亜鉛
【需要】
2006年1~3月の世界消費は前年同期比で4.6%増の2,723千tであった。3位日本が2.0%減、5位ドイツが6.3%減となったが、最大消費国の中国が15.9%増、2位の米国が4.9%増、4位の韓国が7.0%増となり全体として増加した。
【供給】
2006年1~3月の鉱山生産は、前年同月比で、5.9%増の2,527千tであった。3位ペルーが9.2%減、5位カナダが8.4%減となったが、最大生産国の中国が24.0%と大幅増、2位豪州が6.0%増、4位の米国が1.9%増となり全体として増加した。
2006年1~3月の地金生産は、前年同月比で、3.5%増の2,620千tであった。2位カナダが0.4%減、4位日本が12.6%減、5位スペイン前年同月とほぼ同値となったが、最大生産国の中国が18.0%増、3位韓国が7.9%増となり全体として増加した。
【需給バランス】
2006年1~3月の需給バランス、いずれの月も供給不足であった。この期間の需給バランスは103千tの供給不足であり、米国備蓄放出を考慮しても95千tの供給不足となった。引き続き供給不足の傾向が継続しており、LME在庫量は2006年4月に前月から24千t減少して261千tとなり、5月に入ってからさらに22千t減少し、5月31日現在239千tと依然低い水準にある。
【価格】
LME亜鉛価格は5月2日に3,359US$/tでスタートした後、5月上旬は小幅な増減はあったものの上昇を続け、5月11日に3,990US$/tに達し、ドル建て最高値を更新した。5月中旬は増減があったものの、減少傾向で5月19日に3,325US$/tまで下落したが、その後は上昇傾向に転じて5月31日に3,910US$/tで終了した。