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ベースメタルの国際市場と需給動向(2006年7月号)

7月のLME(London Metal Exchange)の月平均価格は、銅、ニッケル、亜鉛ともに前月から上昇した。銅が1か月ぶりに上昇し7.1%増の7,712US$/t、ニッケルは1か月ぶりに上昇し28.1%と大幅増の26,586US$/t、亜鉛は1か月ぶりに上昇し3.5%増の3,340US$/tとなった。
銅は、投機資金の流入もあり、6月下旬の上昇傾向が引き続き、7月半ばまで乱高下を繰り返しつつも上昇した後、一旦下落したものの、月末には上昇傾向で終了した。
ニッケルは、ステンレスによる消費の伸び、需給のタイト感による投資資金の流入等を材料に、7月半ばまで上昇しドル建て史上最高値を記録した。その後一旦急落したものの、上昇傾向で終了した。
亜鉛も他金属と同様に、7月中旬まで乱高下を繰り返しつつも上昇し、その後下降傾向にあったが、再び上昇傾向に転じた。
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LME月平均価格の推移
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2. 需給動向
2006年1~5月の需給状況 |
(出典:国際銅・ニッケル・鉛亜鉛研究会)
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2.1銅
【需要】
2006年1~5月の銅世界消費は前年同期比2.3%増の7,008千tであった。世界消費は2月1,306千t、3月1,436千t、4月1,419千t、5月1,459千tと推移している。国別では、最大消費国の中国が7.3%減、5位韓国が2.3%減だったものの、2位米国が2.5%増、3位日本が8.3%増、4位ドイツが18.1%増もあり、全体として増加した。
【供給】
2006年1~5月の銅鉱山生産(金属純分、以下同様)は前年同期比で微減(0.5%減)の5,947千tであった。鉱山生産は2月1,089千t、3月1,227千t、4月1,196千t、5月1,249千tと推移している。鉱山設備稼働率は2006月2月84.5%、3月85.9%、4月86.4%、5月87.2%と比較的低い水準で推移している。国別では、最大生産国のチリが1.4%増、3位ペルーが5.3%増、5位ロシアが1.5%増となったが、2位米国が2.4%減、4位豪州が2.9%減もあり、全体として微減であった。
2006年1~5月の地金生産は前年同期比5.2%増の7,021千tであった。地金生産は2月1,328千t、3月1,444千t、4月1,415千t、5月1,437千tと推移している。精錬所設備稼働率は2月84.2%、3月82.5%。4月83.4%、5月81.8%と比較的低い水準で推移している。国別では、2位チリで3.8%減であったが、最大生産国の中国で前年同月比19.6%増、3位日本9.1%増、4位米国3.0%増、5位ロシア2.9%増といった世界的な増加により、全体として減少した。
【需給バランス】
2006年1~5月の銅需給バランスは13千tの供給超過であった。2月22千t、3月9千tと供給超過であったが、4月以降は供給不足に転じ、4月5千t、5月22千tと増加傾向にある。季節調整後の需給バランスでは2月47千t、3月50千t、4月29千tと供給超過で推移したが、5月に5千tの供給不足に転じた。LME在庫は4月からの減少傾向が6月まで続き、6月末に93.6千tまで減少した。7月末現在では97.4千tと回復傾向にあるが、依然低い水準にある。
【価格】
7,375US$/tでスタートした7月のLME銅価格は月前半は乱高下を繰り返しつつも上昇傾向にあり、7月14日に8,151US$/tに達した。その後、下降傾向に転じ、7月24日に7,621 US$/tまで下落し、その後再び上昇して7,850.5US$/tで終了した。
2.2 ニッケル
【需要】
2006年1~5月のニッケル消費は547千tで、前年同期比1.6%増となった。
第2位日本は12.6%減、第5位韓国は9.1%減であったが、消費量第1位の中国は11.7%増、第3位の米国は8.5%増、4位ドイツが0.5%増であり全体として増加した。
【供給】
2006年1~5月のニッケル鉱石生産は616千t(金属純分)で、前年同期比10.2%増となった。第3位豪州は1.6%減、第5位ニューカレドニアの7.5%減であったが、最大生産国のロシアは2.7%増、第2位カナダは35.4%と大幅増、第4位のインドネシアは31.3%の大幅増となり、全体として増加した。
2006年1~5月の一次ニッケル地金生産は552千tで、前年同期比1.9%増となった。第4位豪州6.7%減であったが、最大生産国ロシアは0.9%の微増、第2位の日本も0.5%と微増、第3位カナダは3.1%増、第5位中国は6.7%増となり、全体として増加した。
【需給バランス】
2006年1~5月の需給バランスは、5.9千tの供給過剰となっている。LME在庫は7月末で前月から6.3千t減少し、4.1千tとなり依然低い水準にある。
【価格】
22,690US$/tでスタートした7月のLMEニッケル価格は7月前半は乱高下を繰り返しつつも上昇傾向にあり7月17日にドル建て史上最高値29,850US$/tまで達した。その後、7月19日に25,400US$/tまで下落した後、再び上昇傾向となり、7月31日に27,205US$/tと高い水準で終了した。
2.3亜鉛
【需要】
2006年1~5月の世界消費は前年同期比で2.4%増の4,471千tであった。3位日本が4.2%減、5位ドイツが2.3%減となったが、最大消費国の中国が8.7%増、2位の米国が7.6%増、4位の韓国が9.4%増となり全体として増加した。
【供給】
2006年1~5月の鉱山生産は、前年同期比で、5.7%増の4,258千t(金属純分)であった。3位ペルーが8.7%減、5位カナダが11.1%減となったが、最大生産国の中国が21.1%と大幅増、2位豪州が3.5%増、4位の米国が4.7%増となり全体として増加した。
2006年1~5月の地金生産は、前年同月比で、1.9%増の4,350千tであった。4位日本が12.0%減、5位スペイン前年同期とほぼ同値となったが、最大生産国の中国が10.7%増、2位カナダが0.6%増、3位韓国が8.2%増となり全体として増加した。
【需給バランス】
2006年1~5月の需給バランス、いずれの月も供給不足であった。この期間の需給バランスは121千tの供給不足となった。引き続き供給不足の傾向が継続しており、LME在庫量は、7月に入ってから前月より32千t減少し、7月31日現在185千tと依然低い水準にある。
【価格】
3,222US$/tでスタートした7月のLME亜鉛価格は、7月中旬までは乱高下を繰り返しつつも上昇傾向であり、7月12日には3,591US$/tに達した。その後は下降傾向にあり7月24日には3,126US$/tまで下落した後、再び上昇傾向に転じ、7月31日に3,380US$/tで終了した。

