報告書&レポート
ベースメタルの国際市場と需給動向(2006年9月号)
1. 国際市場
9月のLME(London Metal Exchange)の月平均価格は、銅、ニッケルは前月から下降し、亜鉛は前月から上昇した。銅が2か月連続で下降し1.2%減の7,602US$/t、ニッケルは3か月ぶりに下降し2.0%減の30,131US$/t、亜鉛は3か月連続で上昇し1.7%増の3,403US$/tとなった。
銅は投機資金の流入が一服した感があるが、8月下旬の上昇傾向が9月上旬まで引き続いた。その後下降傾向に転じ、乱高下を繰り返しつつ終了した。
ニッケルについても投資資金の流入が一服した感があり、月中旬まで下降傾向にあったが再び上昇傾向となり、依然高い水準である。
亜鉛は9月上旬までは上昇傾向、9月中旬まで下降傾向に転じたが、その後再び上昇傾向になり終了した。
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LME月平均価格の推移
2. 需給動向
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2.1 銅
【需要】
2006年1~7月の銅世界消費は前年同期比2.9%増の9,974千tであった。世界消費は4月1,439千t、5月1,487千t、6月1,435千t、8月1,429千tと推移している。国別では、最大消費国の中国が7.8%減、5位韓国が4.3%減だったものの、2位米国が1.4%増、3位ドイツが32.4%と大幅増、4位日本が6.2%増、もあり、全体として増加した。
【供給】
2006年1~7月の銅鉱山生産(金属純分、以下同様)は前年同期比で1.1%増の8,467千tであった。鉱山生産は4月1,197千t、5月1,256千t、6月1,236千t、7月1,260千tと推移している。鉱山設備稼働率は4月86.5%、5月87.7%、6月89.1%、3月87.5%と比較的低い水準で推移している。国別では、4位豪州が1.8%減であったが、最大生産国のチリが3.8%増、2位米国が1.3%増、3位ペルーが5.8%増、5位中国が13.5%増となり、全体として増加した。
2006年1~7月の地金生産は前年同期比6.2%増の9,984千tであった。地金生産は4月1,423千t、5月1,446千t、6月1,443千t、7月1,455千tと推移している。精錬所設備稼働率は4月83.9%、5月82.4%、6月84.8%、7月82.4%と比較的低い水準で推移している。国別では、2位チリで1.7%減であったが、最大生産国の中国で20.5%増、3位日本11.5%増、4位米国5.4%増、5位ロシア1.9%増といった世界的な増加により、全体として増加した。
【需給バランス】
2006年1~7月の銅需給バランスは10千tの供給超過であった。4月16千t、5月41千tと供給不足であったが、6月7千t、7月26千tと供給超過に転じている。季節調整後の需給バランスでは4月18千tは供給超過であったが、5月に24千tの供給不足に転じた。その後、再び6月48千t、7月2千tと供給超過の傾向にある。LME在庫は回復傾向にあり、7月末の97千tから、8月末に125千t、9月末現在では116千tと推移している。
【価格】
9月の銅LME価格は7,590 US$/tでスタートした後上昇傾向にあり9月7日には7,980US$/tに達した。その後下降傾向に転じ、9月20日に7,230US$/tまで下落した。その後は乱高下を繰り返し9月29日に7,601US$/tで終了した。
2.2 ニッケル
【需要】
2006年1~7月のニッケル消費は770.0千tで、前年同期比5.1%の増となった。消費量第1位の中国は15.2%増、第3位の米国は9.1%増第、4位ドイツは3.9%の増であったが、第2位日本は3.2%の減、第5位韓国は6.7%の減であった。
【供給】
2006年1~7月のニッケル鉱山生産(金属純分、以下同様)は853.5千tで、前年同期比8.2%増となった。最大生産国のロシアは2.5%増、第2位カナダは28.1%と大幅増、第4位のインドネシアは20.0%の大幅増となり、第3位豪州は2.1%減、第5位ニューカレドニアの10.8%の減を補った。
2006年1~7月の一次ニッケル地金生産は765.2千tで、前年同期比2.3%の増となった。最大生産国ロシアは2.8%増、第3位カナダは9.8%増、第4位中国は16.1%の増となったが、第2位の日本は1.5%減、第5位豪州は14.8%の減であった。
【需給バランス】
2006年1~7月の需給バランスは、11.8千tの供給不足となっている。ニッケルのLME在庫は、7月末に4.1千tまで減少したが、8月末には5.2千t、9月末には5.5千tと若干回復傾向にある。
【価格】
32,250US$/tでスタートした9月のLMEニッケル価格は8月中旬までは乱高下を繰り返しつつも下降傾向にあり9月18日に27,500US$/tとなった。その後は上昇傾向となり、9月29日に31,500 US$/tと依然高い水準で終了した。
2.3 亜鉛
【需要】
2006年1~7月の世界消費は前年同期比で3.3%増の6,294千tであった。3位日本が4.2%減、となったが、最大消費国の中国が11.6%増、2位の米国が8.4%増、4位の韓国が2.3%増、5位ドイツが1.4%増となり全体として増加した。
【供給】
2006年1~7月の鉱山生産(金属純分、以下同様)は、前年同期比で、3.3%増の5,961千tであった。3位ペルーが6.5%減、5位カナダが11.2%減となったが、最大生産国の中国が14.5%増、2位豪州0.5%増、4位の米国が3.0%増となり全体として増加した。
2006年1~7月の地金生産は、前年同期比で、3.0%増の6,109千tであった。4位日本が9.7%減、5位スペインが前年同期並となったが、最大生産国の中国が11.8%増、2位カナダが3.2%増、3位韓国が7.7%増となり全体として増加した。
【需給バランス】
2006年1~7月の需給バランス、いずれの月も供給不足であった。この期間の需給バランスは185千tの供給不足となった。引き続き供給不足の傾向が継続しており、LME在庫量は2006年8月に前月から12千t減少して174千tとなり、9月に入ってからさらに33千t減少し、9月29日現在140千tと依然低い水準にある。
【価格】
3,441US$/tでスタートした9月のLME亜鉛価格は、9月上旬まで上昇傾向にあり、9月7日には9月の最高値3,672US$/tに達した。その後は乱高下を繰り返しつつも下降傾向にあり9月18日には9月の最低値3,215US$/tまで下落した。その後、上昇傾向に転じ、9月29日に3,360US$/tで終了した。
