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インドネシア鉱業法改正の行方 その3

鉱物石炭鉱業法案(RUU Pertambangan Mineral dan Batubara:(以下「新鉱業法案」という))は、2005年5月20日にエネルギー鉱物資源省(MEMR: Ministry of Energy and Mineral Resources)から議会に上程されたが、1年5か月を経た現在でも成案に至らずその審議の状況については、ベールに隠されている。 新鉱業法案には、国民の共有の財産である資源が外国資本に占有され国民に還元されていないとするNGOなどの批判を受けて、インドネシアが世界に先駆け革新的に導入し飛躍的な鉱業発展に貢献した事業契約(COW:Contract of Works【KK:Kontrak Karya】)制度を廃止し、事業許可(IU:Izin Usaha)制へと大きく政策転換を図る規定が盛り込まれている。一方で現行鉱業法(No11/1967)では純インドネシア法人(PMDA:Penanaman Model Dalam Negeri)にしか認めていなかった鉱業権(KP)の保有を事業許可(IU)制に切り替え、外国法人(PMA:Penanaman Model Asing)にも開放するという規定を含み、新投資法の趣旨を反映して内外差別の撤廃を基本方針としている。さらに地方自治法(No.22/1999)との不整合を是正するため、鉱業許認可発給に係る地方分権化を明記し、不法採掘業者(Illegal Mining)に対する罰則を強化し、環境保護を徹底させる内容ともなっている。しかし、これら規定に対し、業界団体、地方政府、NGOは様々な意見と激しい批判を寄せている。 新鉱業法案の改正動向については、これまで「インドネシア鉱業法改正の行方」(平成17年11月24日付けカレントトッピクス)及び「インドネシア鉱業法改正の行方 その2」(平成18年3月2日付け)の2回にわたり2005年10月末以降、2006年前半までの議会における鉱業法案の審議状況を紹介しているが、本稿では、議会第7委員会(常設委員会:エネルギー・鉱物資源・技術開発・環境担当)委員であるアリ・ムバラク(Ari Mubarak)国会議員(開発統一党[PPP])、ワフュディン・ムナウィル(Wahyundin Munawir)国会議員(福祉正義党[PKS])、アリフ・ムストファ(Arif Mustopha)議会第7委員会専門スタッフへのインタビューと、同氏らから入手した2006年8月30日付の新鉱業法案草稿(以下「草稿」という)により、これまでの同法案審議のポイントと議論の焦点を紹介する。また、7月12日、9月13日の作業委員会において、経済界の利益に理解を示す政府与党ゴルカル党が、事業契約(COW)の廃止と事業許可(IU)制の折衷案として新たな鉱業事業協約(PUP: Perjanjian Usaha Pertambangan:Mining Business Agreement)という概念を提案しているため、あわせて紹介する。 |
1. 審議の経緯
新鉱業法案は、2005年5月20日、MEMRから議会に上程され、7月21日の議会本会議において、同法案の審議は第7委員会が担当し、第7委員会のもとに特別委員会(特別委)を設置し法案の詳細を検討することになった。特別委は、現在議会にある10会派を代表する50人の議員から構成され、第7委員会の議員のほか、国内・地方自治問題を担当する第2委員会、農業、林業、漁業などを担当する第4委員会の議員が参加している。
特別委の委員長にはゴルカル党のアグスマン・エフェンディ(Agusman Effendi)議員、副委員長には、ソニー・ケラフ(Sonny Keraf)(闘争民主党[PDIP])、サルジャン・タヒル(Sarjan Tahir) (民主党[PD])、ロムジ・ニハン(Romzi Nihan)(開発統一党[PPP])の3議員が選出された。
2005年10月までの時点では、特別委は炭鉱が多い南スマトラ州にある国立スリウィジャヤ大学、州議会連合会、インドネシア鉱業専門家協会(Perhapi)などの代表を招聘して公聴会を開催した。それ以降、今年の2月には、特別委は南スラウェシ州マカッサル市にある国立ハサヌディン大学、民間研究機関「地方開発研究所」(Lembaga Kajian Pengawasan Daerah)、国営鉱山会社アネカ・タンバンなどの代表と公聴会を開いた。
特別委自身は1月19日から5月24日までに新鉱業法案の各条項に関する各会派の意見リスト(DIM)をまとめ、作業委員会(作業委)にその後の審議を委ねた。作業委は、特別委に選出された第7委員会のメンバーのみから成り、委員長・副委員長は特別委の委員長・副委員長が兼任している。
インドネシアの法案審議は、一般的には法案が他の常設委員会に関係する事項に及ぶときは、関係する常設委員会からメンバーを選出し、特別委を編成し、法案の審議、検討を行う。法案の所掌範囲が単独の常設委員会に限定される事項については、当該常設委員会のメンバーのみで構成する作業委を編成し審議することになる。新鉱業法案の審議においては、特別委は各会派の意見リスト(DIM)を作成し、作業委がDIMに基づき法案の最終案を作成するのが役目とされている。
作業委は6月21日に審議を開始し、7月13日までに新鉱業法案の第2章と第3章まで、9月28日までに第4章の第20条までの審議を終えた。
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2. 新鉱業法案審議のポイントと議論の焦点
今回の調査において入手した草稿と2005年5月20日付け新鉱業法案とを対比し内容を確認すると大きな改定は出て来ていない。しかし、各条文の審議のポイントを見ると資源ナショナリズムの台頭を予感させる内容変更、記述を見ることができる。
草稿は、新鉱業法案同様に第9章75条の条文から構成され、以下に最近の審議のポイントと議論の焦点を紹介する。
2.1 資源ナショナリズムの台頭
草稿において、唯一全面改訂された条項としては、第2章の第2条が挙げられる。
第2章は、新鉱業法案では、「鉱物と石炭の管理」という題で、同章の最初の第2条は「インドネシアの鉱業に関する法的な領土にある鉱物と石炭は、国民の最大限の繁栄のために国家が管理する天然資源である。」(要旨)ということに過ぎなかったが、草稿では、第2章の題が「原則と目的」になり、第2条は「国家、政府もしくは地方政府による鉱物と石炭の支配は、利益、公正、バランス、国民参加、透明性、法の確実性、継続性を原則とし、環境保全、民族主義、調和、競争力、安全、国民福祉、自立、国家行政秩序を配慮して行なう」に改定された。
次に第3条は、新鉱業法案では、「大統領は、国家の利益を考え、以下を指定する。(a) インドネシアの鉱業に関する法的な領土の一部における国家の保留地、および/または、(b) 鉱物と石炭に関する国内のニーズを満たす活動を優先すること。」となっていたが、草稿では次のように全面改訂された。
すなわち、「国家による鉱物と石炭の支配は、次の目的を有する。(a) 国民に利益をもたらし競争力を維持できるような探査開発活動の効果的な実施と管理を保証する。(b) 鉱物と石炭の開発の利益を保証する。(c) 原材料としての鉱物と石炭の供給を保証する。(d) 国内企業が国内、地域、国際市場で競合できるような能力を支持・育成する。(e) 国家経済に最大限に貢献できるような現地社会の所得の増加および地域経済の振興を達成する。(f) 環境保全に配慮しつつ、雇用機会を創出し、国民の福祉と能力を向上させる。(g) 鉱物と石炭と関わる鉱物事業に関する法令を明確化する」となっている。
第2条と第3条がこのように全面改訂された事実からは、草稿が新鉱業法案よりも資源ナショナリズムを意識した内容に変わっていることがわかる。
2.2 事業体の分類
鉱業事業を営むことのできる事業体の分類については、新鉱業法案と草稿の内容には変化は見られない。第7条(草稿)には、鉱物及び石炭の鉱業事業には、事業法人(Badan Usaha)と個人(Perorangan)との両方が参入できるとされている。
(1) 事業法人とはインドネシアの法律に基づき、国内で設立された事業法人を指し、
(ⅰ) 国有企業(BUMN:Badan Usaha Milik Negara)
(ⅱ) 地方公営企業(BUMD:Badan Usaha Milik Daerah)
(ⅲ) 民間企業(BUMS:Badan Usaha Milik Swasta)
(ⅳ) 協同組合(Koperasi)と定義している。
(2) 個人とは、インドネシア国民。
したがって第7条を踏まえれば、外国投資企業が鉱業部門に参入する場合は、現地法人(PMA:Penanaman Model Asing)を設立するか、既存の国内事業法人と提携し探鉱等事業を実施することになる。
2.3 鉱業事業の分類
次に、鉱業事業の分類についても、第8条(草稿)に(1) 鉱物、(2) 石炭の2つに分類されているが、(1)は更に(a) 放射性鉱物、(b) 金属鉱物、(c) 非金属鉱物、(d) 岩石の4分類の鉱業事業が定義され、基本的方針には変更はなさそうである。
2.4 鉱業事業の形態
さらに、新鉱業法案の内容で最も注目されている鉱業事業の形態については、第9条(草稿)において(1) 委託鉱業事業(PUP)、(2) 鉱業事業許可(IUP)、(3) 住民鉱業事業許可(IPR)の3形態が温存されている。
(1) 委託鉱業事業(PUP:Penugasan Usaha Pertambangan) (新鉱業法案:第14条1項)
PUPとは、第22条(草稿)により鉱物・石炭の鉱業事業を管轄する大臣が放射性鉱物の鉱業事業を委託することを意味する。
(2) 鉱業事業許可(IUP:Izin Usaha Pertambangan) (新鉱業法案:第15条1項)
IUPとは、第7条~9条および第26~29条(草稿)に基づき、金属鉱物と石炭の鉱業事業および非金属・非石炭の鉱業事業に関する事業許可で、国有企業(BUMN)、地方公営企業(BUMD)、民間企業(Badan Usaha Milik Swasta)、協同組合(Koperasi)および個人に対して与えられる。
(3) 住民鉱業事業許可(IPR: Izin Pertambangan Rakyat)
IPRは、第1条8項(草稿)で、「個人および住民団体(もしくは慣習法に基づく団体)が限られた面積の鉱区で限れた投資を用いて鉱業事業を営むことに対して与えられる許可」 (要旨)と定義された。新鉱業法案では、住民鉱業事業許可は「鉱区周辺に居住する住民が簡素な機材を用いて鉱業事業を営むことに対する許可」(要旨)と定義されており、若干改定されたことが明らかだが、主旨はまったく同じといえる。また、第33条1項(草稿)では、「住民鉱業に関するより細かい規定は、エネルギー鉱物資源を管轄する大臣が定める基準に基づき、県知事・市長が制定する条例で定める」(要旨)と述べられている。
2.5 ゴルカル党案:鉱業事業協約(PUP:Perjanjian Usaha Pertambangan=Mining Business Agreement)
草稿からは鉱業事業の形態について大きな改定はなく、事業契約(COW)が廃止され事業許可(IU)制へ移行する可能性が濃厚になっている。
こうした可能性について、先のCTでも紹介したようにインドネシア・マイニング協会(IMA:Indonesia Mining Association)のプリヨ・スマルノ(Priyo Soemarno)専務理事は、「新鉱業法案の内容には強いナショナリズムがあるため、外国投資家の投資意欲を削ぐ可能性がある」と懸念を表明し、「1967年の一般鉱業法では政府と鉱山会社が事業契約(COW)を締結することが認められていたのに対し、これを廃止し事業許可(IU)制に移行することは、鉱区の安全性が確保されず企業側の立場を極めて弱体化させている」と意見を述べている。
今回のインタビューでも、アリフ・ムストファ議会第7委員会専門スタッフは、「事業許可(IU)の場合、いつでも政府が取り消すことができ事業契約者の立場が弱くなる。そのため、事業契約者が政府と交渉することが難しくなり、一方的に政府の条件を満たすことを強いられる。また、事業契約(COW)と異なり、事業許可(IU)の場合は、金融機関からの融資の保証(担保)の対象になりにくい」などの欠点を指摘した。また、同専門スタッフは、「事業許可(IU)の場合は、議会との協議を経ないで政府が与えることができ、事業契約者と争議が起きた場合も国際調停裁判所で裁定を受ける必要はなく、インドネシア国法に基づいて処理できる」との認識を述べている。
一方、アリ・ムバラク国会議員、ワフュディン・ムナウィル国会議員は、ゴルカル党が7月12日の作業委において、事業許可(IU)制に加え鉱業事業協約(PUP: Perjanjian Usaha Pertambangan=Mining Business Agreement)という新たな概念を提案してきたことを明らかにした。ゴルカル党は、表1の議会勢力に示す通り議席129を有す最大会派で、かつてのスハルト政権時代の与党でもあり、現政権にユスフ・カッラ副大統領を輩出する第1党である。経済界の利益に一定の理解を示し、事業許可(IU)制は外国投資企業の法的立場を弱体化し、インドネシアへの投資を阻害するとの見通しを示したことは注目される。ゴルカル党は、9月13日、憲法第14章社会福祉第33条第3項「国土及び水、そしてそこに見出された天然資源は、国家が管理し、国民の最大利益の為に利用される。」を根拠におき、鉱業事業における「権利」と「義務」に関し、許可制(Permission:License)とContract Agreementの相違について独自の見解を披露し、議会関係者の多くが抵抗を示す政府と外国資本家との「Contract」を、「Agreement」という言葉に替えて、事業契約内容の温存を図っている。
両国会議員によれば、ゴルカル党の提案は第9条(草稿)の事業形態の部分に付記(注意書き)され、今後の審議に委ねられることになっている。
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参考までに、表1は、国会定数550議席の勢力を示したものであるが、ゴルカル党に次ぐ勢力は前メガワティ大統領率いる闘争民主党(民族主義、保守的傾向が強い)で109議席と均衡しており、その勢力関係からも新鉱業法案に民族主義的な資源ナショナリズの傾向が強くなる理由が伺える。現ユドヨノ大統領は、先の大統領選の出馬に当たり新たに設立した少数会派民主党の出身で56議席を確保するに過ぎない。これに開発統一党が55議席、国民信託党が53名、民族覚醒党が50名などと続き、各会派の勢力は拮抗し新鉱業法案の審議に時間を要しているようである。
今回、入手した9月13日の作業委の覚書(非公開資料)によると、ゴルカル党は鉱業事業許可(IUP)と鉱業事業協約(PUP)の違いを[表2]のように示している。
鉱業事業協約の細かい内容についてはまだ明らかではないが、[表2]に示された比較項目からは、これが従来の事業契約にきわめて近いものと理解できる。
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2006年9月13日付け新鉱業法案作業委員会の覚書資料(非公開資料による) |
2.6 鉱業事業許可(IUP)の種類
鉱業事業許可(IUP)は、新鉱業法案と同様に第10条第1項(草稿)において、(a) 探査許可(IU Eksplorasi)と(b) 生産活動許可(IUP Operasi Produksi)の2種類に分類されている。
(a) 探査許可とは、フィジビリティー・スタディを含む一般調査および探査活動に関する許可を意味する。 (b) 生産活動許可とは、採掘設備の建設から、採掘、加工、精製、運搬、販売を含む一連の活動に対する許可を意味する。 |
同2項(草稿)には、探査許可および生産活動許可の保有者は、「規定の活動のすべてもしくは一部を実施することができる」(要旨)と述べられている。
2.7 許可の有効期間
許可の有効期間についても、変化は見られなかった。第14条(草稿)によると、探査許可は最長8年間と定められている。一方、第17条第2項(草稿)によると、生産活動許可の有効期間は23年で、1回の更新で10年間の延長が可能となっている。
しかし、許可の有効期間については9月までの協議で、さまざまな意見が出ていることにも留意する必要がある。闘争民主党[PDIP]は、探査許可の期間として、金属鉱物の場合は6年、非金属鉱物と石炭の場合は3年というように、鉱物の種類で有効期間を差別化し探鉱活動を促進させることを提案。
生産活動許可の有効期間としては、民主党[PD]と民族覚醒党[PKB]が「最初の期間を20年間とし、10年ごと2回の延長を可能にすべき」と提案。今回の調査のインタビューに協力したムバラク議員も「23年プラス10年、合計33年では短すぎる」とし、「20+10+10、合計40年で初めて採算が取れる可能性が出てくるだろう」と述べた。
2.8 許可の発行機関
鉱業事業許可発行主体についても、新鉱業法案と変わりはない。第20条1項(草稿)には、「探査許可と生産活動許可は、大臣、州知事、もしくは県知事・市長が発行する」(要旨)と述べられている。次に、第20条2項~3項(草稿)に、「探査活動の延長としての生産活動許可は、環境に対する影響が全国レベルになると予想される場合は、州・県知事および市長の勧告をもとに所轄大臣が発行し、同影響が特定地域に限られる場合は、県知事・市長からの勧告をもとに州知事が発行する」(要旨)と述べられている。
第18条2項(草稿)では、「採掘および精製現場が2つ以上の州もしくは県・市にまたがって存在する場合、生産活動許可はそれぞれの権限に従い大臣もしくは州知事が発行する」(要旨)と述べられている。
この規定は、採掘および精製現場が2つ以上の州にまたがる場合は生産活動許可は大臣が発行し、同現場が一つの州に位置しながらも2つ以上の県・市にまたがる場合は、州知事が発行するということで、これらの規定は、鉱業事業許可の発行における地方政府の権限を著しく強めたことには変わりはない。
3. まとめ:今後の見通し
草稿の内容からは鉱業事業の形態については事業契約(Kontrak Karya)が廃止され、事業許可(Izin Usaha)制への移行は決定的となったが、ゴルカル党が鉱業事業協約(PUP)を提案してきたことは明るい材料と言える。しかし、鉱業法の審議が非公開で行われている現状において外国鉱業企業が鉱業事業協約(PUP)という新たな概念に賛同を示すかが焦点となるが、本概念は未だ公開されていない。
鉱物石炭鉱業法案の審議は、作業委での審議が終わった後、法文作成チーム(Tim Perumus)が最終的な法文化作業を行い、その成果が他の法律と矛盾していないかどうかを整合化チーム(Tim Sinkronisasi)がチェックすることになっている。その後、特別委の全体会議の承認を得た後、議会本会議に上程され、法令化される。
法案成立の時期について、インタビュー協力者全員が、「2007年1月には新鉱業法が成立するだろう」(要旨)との見通しを示している。
しかし、10月初旬、アジア産業基盤強化事業等現地調査団に同行し、エネルギー鉱物資源省鉱物石炭地熱総局長他政府関係者に対し同様の質問を行ったところ、「2007年3月まで、遅くとも半ば」と答えているのに対し、鉱山会社の関係者は「1年5か月を経ても成案に至らない現状を見る限り予測は難しい」と答えるなど、楽観論と悲観論が交錯する状況と言える。
新鉱業法案の審議は、議会関係者のコメントから今後加速していくことは間違いないが、内容的には事業契約(COW)が廃止され鉱業事業許可(IU)に移行する可能性が濃厚になっているため、鉱業部門における民間、特に外資の参入については難題が残ったままといえる。
外国鉱山投資企業にとって唯一の希望は、ゴルカル党が提案した鉱業事業協約(PUP)が鉱物石炭鉱業法に盛り込まれるかどうかが成否を握る。ゴルカル党は議会内の最大派閥であり、ユスフ・カラ(Jusuf Kalla)副大統領が党首を務める政権与党であるため、同党案が鉱物石炭鉱業法に盛り込まれる可能性も否定できない。しかし、この点については、外資系および国内の鉱山会社からの陳情やプレッシャーが以前にもまして必要となるであろう。
