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2006年オーストラリア鉱業の1年-ニュース記事で振り返るオーストラリア鉱業の1年-
| 2006年のオーストラリア鉱業は、空前の資源ブームの中で、急増する中国向け鉱物資源輸出、ウラン政策見直し、技能労働者不足・技術者の訓練・教育対策、鉱石輸出のための鉄道・港湾等のインフラストラクチャへの対応などが話題として大きく取上げられた1年であった。 本稿では、新聞報道等のニュース記事をもとに2006年オーストラリア鉱業の1年を振り返る。 |
1. はじめに
本報告は、2005年1月から11月までの11か月間に、JOGMECシドニー事務所が収集・データベース化した現地ニュース記事約2,000件を「話題・分野別」、「企業別」、「鉱種別」、「国・地域別」、「州別」に分類・整理し、2006年のオーストラリア鉱業の「定量的な」解析を試みたものである。*1
*1 現地新聞、インターネットニュース配信、その他からニュース記事など約2,200件(重複あり)を収集・整理した。解析には、その内の90数%を占める3大紙、The Australian(全国一般紙)、The Australian Financial Review(全国経済紙)、The Sydney Morning Herald(シドニー・NSW地方の有力紙)の記事を用いた。
2. 話題・分野別ランキング -資源ブームを反映して「生産」、「探鉱」が上位を占める-
話題・分野別では、2006年は各社とも記録的な生産をあげていることから「生産動向」が記事件数全体の17.9%(1←2)*2を占めたほか、「輸出(8←16)」、「売上げ(18←18)」、「生産開始(23←-)」などの生産関連の話題が上位に入っている(図-1)。
*2 ( )内の数字は順位
右側が2005年(順位がない場合、又はランク外の場合は「-」とする。)
左側が2006年
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図-1 話題・分野別ランキング
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また、空前の資源ブーム「市況・資源ブーム(4←4)」を反映して株価上昇や新規上場企業などの「株式・上場(5←-)」及び「投資・ファイナンス(16←4)」や、旺盛な探鉱・開発活動に関連した「探鉱(2←6)」、「JVプロジェクト(7←13)」、「鉱床発見(17←15)」も上位を占めている。
オーストラリア国内での大規模買収・合併はなかったが、オーストラリアでも大きなシェアを有するベースメタル・石炭のXstrada社、Super Pitなど大規模金鉱山の権益を保有するBarrick Gold社やNewmont社に加え、ニッケルのInco社や鉄鉱石のCVRD社など競合関係にある北米系企業の買収劇はオーストラリア国内でも大きく取り上げられた。また、これら企業等によるNewcrest社などの国内鉱山会社買収の噂などもあり、「企業買収(3←3)」、「合併(12←-)」が上位に入っている。
「ウラン・原子力(6←8)」は、労働党の方針転換(正式には2007年の党大会後)により新鉱山容認の流れが大勢を占め、更に議論は地球温暖化対策(「環境・保安(9←10)」)も含めた原子力発電所や核燃料サイクル施設建設へと拡大している。
一方、好調な鉱物資源産業にとって深刻な問題となっている「インフラ整備と技能労働者不足の問題(13←7)」は、連邦・州政府の対策が示されるなど進展が見られた。また、連邦政府主導の「労使関係法改正(11←16)」は新法が施行されている。
話題・分野の月別の推移は、4月に中国へのウラン輸出基本合意が締結され、それに先立って3月にオーストラリア政府首脳が相次いで中国、インドを訪問し、ウラン輸出等に関する会談が行われたことが話題となった。
企業買収・合併は、オーストラリア国内での大型買収・合併はなかったが、Falconbridge社(カナダ資本)がXstrata社(スイス資本、クィーンズランド州、北部準州等に鉱山を保有)に、INCO社(カナダ)がCVRD社(ブラジル)に、Phelps Dodge社(米国)がFreeport-McMoRan Copper & Gold社(米国)によって、それぞれ買収されるなど北米系大手企業の買収が7月から11月にかけて多数報道された。
他に、技能労働者不足対策「Skills for The Future」が10月に発表されている。
また、オーストラリア企業が年度決算日としている6月末日とその後の株主総会が集中する7~8月、中間決算日としている12月末日(この日を年度決算日としている企業もある)から株主総会にかけて生産動向関連の話題が、フィールドシーズンの7~10月にかけて探査とその結果に関する話題が集中した(図-2)。
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図-2.分野・話題の月別推移
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3. 企業別ランキング -BHP Billiton社、Rio Tinto社、Xstrata社等の大手企業が話題の中心に-
BHP Billiton社(2006年1位←2005年1位)とRio Tinto社(2←3)の2大鉱山会社が、鉄鉱石、石炭・ベースメタル・ウランその他あらゆる分野で話題に上った。Fortesucue Minerals社(3←6)はPilbara地域(西オーストラリア州)での鉄鉱山開発に関わる鉄道利用がBHP Billiton社との間で問題となった。Xstrata社(4←4)は北米企業の買収のみならず、オーストラリア国内大手企業の買収でもしばしば名前があがったほか、McArthur River亜鉛・鉛鉱山(北部準州)の露天採掘計画とその環境評価でも話題となった。
オーストラリア国内企業では、亜鉛・鉛大手のZinifex社(5←16)の生産情況と同社Rosebery多金属鉱山やCentury亜鉛・鉛鉱山周辺その他地域での探鉱JV形成が、国内企業最大の産金企業であるNewcrest社(6←11)は新規開発のTelfer金鉱山や金ヘッジポジションを含めた財務状況、北米系企業による買収の噂が2006年も話題となった。他方、中堅から準大手に発展しつつあるOxiana社(8←8)は操業中のSepon金・銅鉱山(ラオス)とGolden Grove多金属鉱山(西オーストラリア州)の生産状況に加え、開発・探鉱中のProminent Hill銅・金鉱山(南オーストラリア州)の動向が話題となった。その他、Allstate Exploration社(11←-)とBeaconsfield Gold社(52←-)はBeaconsfield金鉱山(タスマニア州)で4月末に発生した落盤事故・作業員救出とその後の鉱山再建が話題となったものである。
また、北米系企業の買収・合併の動きも大きく取上げられ、CVRD社(7←9)、INCO社(12←23)、Newmont社(14←15)、Falconbridge社(22←-)、Phelps Dodge社(22←-)、Teck Comnico社(26←-)、Barrick Gold社(32←-)が上位50社に入っている。
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表-1.話題となった企業上位50社
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※その他457社 956件 |
4. 鉱種ランキング -上位に大きな変化なし、鉄鉱、石炭、ウラン等が話題の中心に-
鉱種別では、価格高騰と探鉱投資の話題を中心に金がトップ(2006年1位←2005年2位)、日本・中国などとの鉱石価格交渉、生産・輸出拡大と製鉄企業の合併などの鉄鉱石/鉄鋼(2←1)、価格動向とクィーンズランド州での高品位銅鉱床発見とその信憑性が問題となった銅(3←5)、労働党の新ウラン鉱山開発容認の動き、中国との輸出合意、インドとの輸出交渉、原子力発電所建設の議論などのウラン(4←3)、石炭(5←4)、McArthur River鉱山露天採掘計画などの亜鉛・鉛(6←8)、ニッケル(7←6)、アルミニウム関係(8←7)など上位は2005年とほぼ同様の傾向であった。
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図-3.鉱種別ランキング
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5. 国・地域別ランキング -需要拡大の中国・インドと買収・合併の北米が上位に-
経済成長と需要の拡大を続け、ウラン交渉の相手国でもある中国(2006年2位←2005年2位)とインド(6←8)、次いで、北米系大鉱山会社の買収・合併が続いた米国(3←8)、カナダ(4←10)、FTAなどの貿易交渉も話題となった日本(5←5)が上位を占めた。
近隣諸国では、PNG(7←3)、インドネシア(13←4)、フィジー(20←15)、ラオス(16←5)、タイ(24←15)、フィリピン(14←5)など探鉱・開発等情況に大きな変化はなかったが目立った話題に欠け、相対的に順位を下げている。
その他、資源保有国でそれぞれ鉄鉱石生産・輸出・価格交渉と銅生産・輸出で競合するブラジル(9←10)、チリ(8←15)なども2005年と同様、話題となった。
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図-4.国・地域別ランキング
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6. 州別ランキング -鉄鉱石・金・ニッケルの西オーストラリア州が話題の約半数を占める-
州別では、2005年と同様に鉄鉱石・ニッケル・金の国内最大の産出地である西オーストラリア州が他州を大きく引き離してトップとなっている(2006年48%←2005年15%)。次いで、石炭・アルミナ/アルミニウム・銅が話題となったクィーンズランド州(13%←17%)、近年、石炭に加え、金の生産が伸びオーストラリア国内第2位となったニューサウスウェルズ州(10%←10%)、ウラン探鉱・開発などで鉱区申請が急増している南オーストラリア州(9%←13%)、McArthur River亜鉛・鉛鉱山露天採掘計画の環境影響調査で当初開発を認めないとの判断を示した*3北部準州(13%←17%)などが続く。
ニッケル鉱山の開発が進んでいるほか、4月のBeaconsfield金鉱山事故で4月~5月はニュースに登場することが多かったタスマニア州(6%←2%)とミネラルサンドと金探査活動が再び活発化しそうなビクトリア州(9%←5%)が州別の割合を増やしている。
*3 露天採掘計画は北部準州環境当局による開発を認めないとする判断に対して、同州鉱山エネルギー当局は計画の見直しを要求、最終的には見直し計画案が承認され、露天採掘計画が実施されることとなった。
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図-5.州別の割合 |
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* 括弧( )内は、2005年の割合 |
7. おわりに
オーストラリア鉱業の2006年は、2005年のBHP Billiton社によるWMC Resources社買収に匹敵する大きな話題には欠けたが、世界的な資源ブームに対応して記録的な生産と輸出、中国・インドへの関心、労働党の方針転換からウランは増産(新鉱山開発)の方向性を明確にし、さらに原子力発電所建設の議論が大きく取上げられた。また、インフラストラクチャの整備や西オーストラリア州を中心に既存の鉄道・港湾施設へのアクセスを巡る問題や技能労働者不足や鉱業に関する職業訓練・高等技術教育対策も2005年と同様に多く取上げられた。
2007年は、資源ブームを背景に増産を続ける各社・各鉱山の生産動向、企業買収などが引続き大きく報じられるであろう。また、ウランに関して新規鉱山開発、中国による具体的な投資が注目されよう。
参考文献
以下各紙の1月3日から11月28日までの掲載記事
The Australian(全国一般紙)
The Australian Financial Review(全国経済紙)
The Sydney Morning Herald(シドニー・NSW地方の有力紙)







