報告書&レポート
Mining INDABA2007参加報告

アフリカで開催される世界最大級の鉱業関係の投資会議であるMining INDABA2007が、2007年2月6日から8日の3日間ケープタウンにて開催された。 本会議は今回で12回目を迎え、特に2006年からの金属市況の高騰を背景とした、民間投資家、企業の投資意欲の高まり、その中での特にいわばフロンティアといえるアフリカへの注目・関心の高さを映じ、規模、内容ともに2006年にも増して充実したものであった。 JOGMECとしては、従来からアフリカでの主としてPGM案件の形成に向けた情報収集等の一環として同会議にビジターとして参加してきたところであるが、その取り組みをより具体化させることを目的として今回会議に際しては、初めてスポンサーとして参加し、逆瀬川理事より会議参加者に対するプレゼンテーションを行ったほか、個別に関係企業、政府関係者等とのミーティングを行うなど、わが方の関心・情報を積極的に発信していく試みを行った。 本稿では、こうした点含め今回の会議の概要等について報告する。 |
1. Mining INDABA2007概要
冒頭記したように、本会議は今回も南アフリカ共和国ケープタウンのInternational Convention Centreにて開催された。
参加者数について、主催者によれば、2005年は約1,000人、2006年は約3,200人であったのに対し、今回は、いわゆるビジター参加が初日の段階で3,000人、スポンサー参加が150社で総参加者数では4,000人以上が集まったとのことである。JOGMEC始めスポンサーとしてブース設置・展示を行った企業、機関の数も173と2006年(152)を上回っており、その中にはDRC始め11のアフリカ諸国の鉱山省ないし地質調査所、いわゆる先進国からは英国、カナダが含まれる。なお、日本企業の参加に関しては、2006年1社に対して2007年は商社、非鉄金属会社併せ4社がビジター参加した。
会議全体の流れとしては、3日間とも大きな展示会場に(一部は場外の通路も利用し)各スポンサー企業がブースを設け、個別にPRや商談等を行うとともに、講演会場においては、事前登録した開発企業、研究機関、政府等から、それぞれ20分刻みでアフリカを対象とした保有プロジェクトの紹介、ファイナンス、調査分析等についての講演が行われた。その数は3日間で65に上る。
初日冒頭には、南アフリカのソンジカ鉱物エネルギー大臣の講演が行われ、また、国家元首の参加はINDABA史上初とのことであったがタンザニアのキクエテ大統領の講演も行われた。
これと並行して各日とも、別会場にて「Ministerial Panel Discussions」というセッションが設けられ、主としてアフリカ各国政府機関(鉱山省、地質調査所など)によるプロモーションを目的とした、プレゼンテーションが行われ、大臣クラスの参加も見られた。JOGMECもこの場において計2回のプレゼンテーションを実施した。
2. 今回会議の特徴
今回の会合の特徴を総括すれば、昨今の資源ビジネスの活況とアフリカに対する注目の高まりを反映して、第一には、投資を呼び込まんとするDRC(コンゴ民主共和国)や、国家元首まで来訪したタンザニア始めとするアフリカ諸国が積極的に本会議を活用しようとしていたこと、また、アフリカとの関係が深いカナダ、オーストラリアに関しては、そのプレゼンスを一層確固たるものとすべく、特にオーストラリアについてはメジャー(BHP Billiton)とタイアップし、大掛かりなプロモーションを行うなど、政府レベルでの動きが活発であったこと、第二には、まさに同時期、中国の胡錦濤国家主席がアフリカ8か国訪問の途上、まさに南アフリカ入りしていたにもかかわらず、2006年の本会議での中国歓迎ムードとは変って、中国の対アフリカ資源外交攻勢に関して講演においても特に大きくは取り上げられることなく、また、中国企業のプレゼンスもほとんど見られなかったこと、第三に、本会議の規模が昨年と比して更に拡大していること、更には、従来はやや閑散としてきたという最終日の昼まで、多くの人が残り、商談や、講演会場での講演に聞き入る姿が見られたことからも伺えるように、企業、投資家のアフリカに対する関心の高さが如実に現れていたこと、が挙げられよう。
以下、こうした点含め会議の中で筆者が気付いたいくつかの動きを補足的に紹介する。
(1) 参加者による講演の傾向
3日間計65の講演は、非鉄メジャー、ジュニア企業だけでなく、政府・政府機関、金融、投資顧問会社等マイニングビジネスに関わる多くの主体が含まれていたが、アフリカ(特に南アフリカ)ベースの企業、機関が多い中にあって、オーストラリア(ジュニア含む)6社、カナダ(政府含む)13社が講演を行っており、展示会場でのプレゼンスとともに目を引いた。
また、アフリカの投資環境等についての発表においては、DRCでの開発活動を紹介するもののほか、DRCのポテンシャルの高さに触れたものがいくつか見られ、DRCの安定化に伴う、関係者の関心の高まりがうかがわれた。
また、南アフリカを中心とするPGM案件に関しては、数としては必ずしも多くは無いが、南ア資本のジュニア企業等からブッシュフェルド地域での探鉱活動やポテンシャルの高さを紹介する内容の講演が2~3行われ、引き続きこの地域での探査活動が活発であることが伺われた。
(2) アフリカ諸国の活動
上述のように、多くのアフリカ政府、政府機関がスポンサーとして参加した。具体的には、ナミビア、ガーナ、ウガンダ、タンザニア、マダガスカル、ボツワナ、ザンビア、モーリタニア、DRC、南アフリカ、ナイジェリアが政府としてスポンサー参加していたようである。南アフリカはじめザンビアなど国によっては閣僚を派遣して、講演の場での投資環境のPRや場外でのプロモーションを行っていた。
(3) 中国の存在感
中国の資源外交攻勢と機を一にして、2006年の本会合では中国のアフリカ投資に対する歓迎ムードが漂っていたようであるが、今回に関しては、先に述べたとおり、胡主席のアフリカ歴訪中であったにも関わらず、講演、展示とも中国企業の姿は見られず、また、第三者から中国のアフリカでの活動をポジティブに紹介するような内容の講演も見られなかった。
他方、南アフリカベースの研究者の講演など、地政学的分析を内容とする講演では、最近の中国の資源分野でのアフリカ進出の意図を冷静に分析・解説するとともに警鐘を鳴らすような内容のものがあったことが印象的であった。
3. おわりに
今回の投資会議は、冒頭記したように昨年を上回る規模の会議となり、金融部門を含む世界の鉱業関係者のトップクラスが一堂に会するイベントとして完全に定着したものであることが伺われた。JOGMECは、今回初めてスポンサー参加し、理事による講演のほか活動内容等の展示も行ったわけであるが、2006年までと比してコンタクトされる数(企業、政府機関の数)も明らかに増加し、当方から提供できる情報量、アフリカ諸国の閣僚級を含む関係者との個別会談等を通じて得られる情報量も多く、資源外交という面も含めて一言で言えば有意義な機会であったといえる。
今後、今回得られた情報、チャネルを通じて引き続きアフリカでの案件形成に取り組むとともに、この場を通じた積極的な情報発信により、JOGMEC、引いては日本のアフリカでのプレゼンス向上を図ってまいりたい。
JOGMEC逆瀬川理事による講演
JOGMECブースにて
(タンザニア・エネルギー鉱物省カフム・コミッショナー(中央)と)

