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ベースメタルの国際市場と需給動向(2007年9月号)

9月のLME(London Metal Exchange)の平均価格は、銅、ニッケルが前月から上昇し、亜鉛が下落した。銅は2か月ぶりに上昇し前月比1.9%増の7,649 US$/t、ニッケルは4か月ぶりに上昇し同6.9%増の29,538US$/t、亜鉛は5か月連続で下落し同11.3%減の2,881 US$/tとなった。
銅は2007年に入り再び供給不足が続いており引き続き高い水準である。
ニッケルは需給が緩んでいるが引き続き高い水準である。
亜鉛は需給が緩んだこともあり価格下落傾向が続いている。
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2. 需給動向
2007年1~7月の需給状況(出典:国際銅・ニッケル・鉛亜鉛研究会)
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2.1 銅
【需要】
2007年1~7月の世界消費は前年同期比7.5%増の10,790千tであった。世界消費は4月1,602千t、5月1,548千t、6月1,553千t、7月1,496千tと推移している。国別では、2位米国が3%減、3位ドイツが2%減、4位日本が1.8%減、5位イタリアが3.5%減だったものの、最大消費国の中国が37.6%と大幅増となり全体として増加した。
【供給】
2007年1~7月の鉱山生産(金属純分、以下同様)は前年同期比4.8%増の8,921千tであった。鉱山生産は4月1,262千t、5月1,310千t、6月1,278千t 、7月1,265千tと推移している。鉱山設備稼働率は4月87.5%、5月87.6%、6月88.1%、7月84%と推移している。国別では、2位米国が2.3%減であったが、最大生産国のチリが3.7%増、3位ペルーが9.5%増、4位中国が5.3%増、5位インドネシアが29.6%と大幅増となり全体として増加した。
2007年1~7月の地金生産は前年同期比4.6%増の10,472千tであった。地金生産は4月1,500千、5月1,538千t、6月1,496千t、7月1,512千tと推移している。精錬所設備稼働率は4月84.3%、5月83.2%、6月83.2%、7月81.1%と推移している。国別では、最大生産国の中国が10.6%増、2位チリが7.2%増、3位日本が3.6%増、4位米国が1.7%増、5位ロシアが4.8%増と世界的な増加傾向により全体として増加した。
【需給バランス】
2007年1~7月の銅需給バランスは318千tの供給不足であった。4月101千t、5月10千t、6月58千tと供給不足で推移していたが、7月に16千tの供給超過に転じた。季節調整後の需給バランスでは、4月に50千tの供給不足、5月に29千の供給超過、6月に15千tの供給不足、7月に12千tの供給超過と推移している。
LME在庫は7月末に102千tまで減少したが、その後8月末139千t、9月末に131千tと回復基調で推移している。
【価格】
9月のLME銅価格は上旬は乱高下し、中旬以降上昇傾向にあった。9月3日に7,451 US$/tでスタートした後は9月10日に一旦7,248 US$/tまで下落した。その後は上昇傾向にあり、9月28日に9月の最高値の8,165 US$/tと高い水準で終了した。
2.2 ニッケル
【需要】
ニッケルの1~7月の世界消費は前年同期比で1.5%増の813千tであった。第2位の日本が5.6%減、第3位米国が0.6%減、第4位ドイツが3.4%減、第5位の台湾が3.5%減となったが、最大消費国の中国が34.6%と大幅増となり全体として増加した。
【供給】
ニッケルの1~7月の鉱山生産は前年同期比で12.9%増の950千tであった。最大生産国のロシアが3.8%増、第2位カナダが9%増、第3位インドネシアが42.2%と大幅増、第4位豪州が5.1%増、第5位ニューカレドニアが13.8%増と世界的な増加傾向により全体として増加した。
ニッケルの1~7月の一次生産は前年同期比で12%増の852千tであった。最大生産国のロシアが微増であったが、第2位中国が89.6%とほぼ倍増、第3位日本が6.6%増、第4位カナダが14.9%増、第5位豪州が4.1%増と世界的な増加傾向により全体として増加した。
【需給バランス】
1~7月の需給バランスは、40千tの供給超過となった。
ニッケルのLME在庫は回復傾向にあり、8月末に約24千t、9月末に約32千tと推移している。
【価格】
9月のLMEニッケル価格は、月前半は下落傾向、その後は回復傾向に転じた。9月3日に29,405US$/tでスタートした後は、9月10日に26,330US$/tまで下落した。その後は上昇傾向に転じ、9月20日に32,975US$/tに達し、9月28日に31,050US$/tで終了した。
2.3 亜鉛
【需要】
2007年1~7月の世界消費は前年同期比で3.1%増の6,543千tであった。2位の米国が12%減、3位日本が1.5%減、4位のドイツが微減、5位韓国10%減となったが、最大消費国の中国が10.7%増となり全体として増加した。
【供給】
2007年1~7月の鉱山生産は前年同期比で8.6%増の6,525千tであった。5位カナダが2.7%減となったが、最大生産国の中国が18.7%増、2位ペルーが26.7%と大幅増、3位豪州が4.6%増、4位の米国が2.9%増となり全体として増加した。
2007年1~7月の地金生産は前年同期比で8.3%増の6,553千tであった。2位カナダが3%減、4位日本が1.7%減となったが、最大生産国の中国が22.6%と大幅増、3位韓国が3.8%増、5位スペインが2%増となり全体として増加した。
【需給バランス】
2007年1~7月の需給バランスは10千tであった。
LME在庫量は減少傾向で、8月末に65千t、9月末に61千tと依然低い水準にある。
【価格】
9月のLME亜鉛価格は9月3日に3,021 US$/tでスタートしてからは、9月10日に2,700 US$/tまで下落した。その後は上昇傾向に転じ9月27日に3,086 US$/tまで上昇した。その後、3,059 US$/tで終了した。

