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報告書&レポート

2008年1月17日 企画調査部 大久保 聡 Tel:044-520-8590 e-mail:okubo-satoru@jogmec.go.jp
2008年05号

ベースメタルの国際市場と需給動向(2007年11月号)


1. 国際市場
 11月のLME (London Metal Exchange)の平均価格は、銅、ニッケル、亜鉛の全てが前月から下落した。銅は3か月ぶりに下落し前月比13.0%減の6,967US$/t、ニッケルは3か月ぶりに下落し同1.4%減の30,610US$/t、亜鉛は2か月ぶりに下落し同14.6%減の2,541US$/tとなった。
 銅は供給不足が続いているがLME在庫が回復傾向にあり下落傾向に転じた。
 ニッケルは需給が緩和されLME在庫が回復傾向にあるが引き続き高い水準である。
 亜鉛はLME在庫が回復傾向にあり下落傾向に転じた。

  平均価格
(cash settlement,US$/t)
在庫
(t)
2007年10月 2007年11月 前月比 2007.10.31 2007.11.30 増減
Cu 8,008.43 6,966.70 -13.0% 166,975 189,200 +22,225
Ni 31,055.43 30,610.23 -1.4% 37,608 44,025 +6,417
Zn 2,975.33 2,541.32 -14.6% 71,725 80,025 +8,300

 

LME月平均価格の推移
LME月平均価格の推移

2. 需給動向

2007年1~9月の需給状況(出典:国際銅・ニッケル・鉛亜鉛研究会)
  鉱山生産 地金生産 地金消費 需給バランス
(t)
1~9月
(t)
前年同期比 1~9月
(t)
前年同期比 1~9月
(t)
前年同期比
Cu 11,450,000 +4.9% 13,531,000 +4.9% 13,797,000 +7.1% -265,000
Ni 1,214,800 +12.4% 1,081,900 +8.3% 1,002,100 -3.7% +79,800
Zn 8,404,000 +7.8% 8,443,000 +7.6% 8,489,000 +3.3% -46,000

 
2.1 銅
【需要】
 2007年1~9月の世界消費は前年同期比7.1%増の13,797千tであった。世界消費は6月1,548千t、7月1,518千t、8月1,453千t、9月1,515千tと推移している。国別では、2位米国が2.5%減、3位ドイツが3.5%減、4位日本が2.7%減、5位韓国が4.4%減だったものの、最大消費国の中国が37.9%と大幅増となり全体として増加した。
【供給】
 2007年1~9月の鉱山生産(金属純分、以下同様)は前年同期比4.9%増の11,450千tであった。鉱山生産は6月1,276千t 、7月1,267千t、8月1,238千t、9月1,279千tと推移している。鉱山設備稼働率は6月87.9%、7月84.3%、8月82.2%、9月87.4%と推移している。国別では、2位米国が1.6%減であったが、最大生産国のチリが5.5%増、3位ペルーが13.0%増、4位中国が4.1%増、5位インドネシアが20.2%と大幅増となり全体として増加した。
 2007年1~9月の地金生産は前年同期比4.9%増の13,531千tであった。地金生産は6月1,491千t、7月1,498千t、8月1,505千t、9月1,540千tと推移している。精錬所設備稼働率は6月82.9%、7月80.3%、8月80.5%、9月84.8%と推移している。国別では、最大生産国の中国が14.8%増、2位チリが6.2%増、3位日本が4.2%増、4位米国が3.6%増、5位ロシアが5.6%増と世界的な増加傾向により全体として増加した。
【需給バランス】
 2007年1~9月の銅需給バランスは265千tの供給不足であった。6月56千t、7月20千tと供給不足で推移していたが、8月62千t、9月に26千tの供給超過に転じた。季節調整後の需給バランスでは、6月に18千t、7月に18千t、8月に13千tの供給不足、9月には73千の供給超過と推移し、1~9月では75千tの供給不足となっている。
 LME在庫は9月末に131千t、10月末に167千t、11月末189千tと回復傾向で推移している。
【価格】
 11月のLME銅価格は月中旬まで下落傾向、その後回復傾向に転じた。11月1日に7,661US$/tでスタートした後は乱高下しつつも下落傾向となり、11月22日に6,492US$/tまで下落した。その後、回復傾向になり11月30日に6,956US$/tで終了した。
 
2.2 ニッケル
【需要】
 ニッケルの1~9月の世界消費は前年同期比で3.7%減の1,002千tであった。第1位の中国が31.7%と大幅増となったが、第2位の日本が9.1%減、第3位米国が5.7%減、第4位ドイツが6.4%減、第5位の台湾が21.0%と大幅減となり全体として減少した。
【供給】
 ニッケルの1~9月の鉱山生産は前年同期比で12.4%増の1,215千tであった。第1位のロシア0.7%増、第2位のカナダ14.2%増、第3位のインドネシアが34.6%と大幅増、第4位の豪州が15.5%増、第5位のニューカレドニアが15.5%増と世界的な増加傾向により全体として増加した。
 ニッケルの1~9月の一次生産は前年同期比で8.3%増の1,082千tであった。第1位のロシアが3.5%減となったが、第2位中国が72.2%と激増、第3位の日本が9.5%増、第4位カナダが6.5%増、第5位豪州が2.0%増となり全体として増加した。
【需給バランス】
 1~9月の需給バランスは、80千tの供給超過となった。
 ニッケルのLME在庫は回復傾向にあり、10月末に約38千t、11月末に約45千tと推移している。
【価格】
 11月のLMEニッケル価格は、11月1日に31,650US$/tでスタートした後は、11月12日に33,655US$/tまで上昇した。その後は下落傾向に転じ、11月30日に26,410US$/tで終了した。
 
2.3 亜鉛
【需要】
 2007年1~9月の世界消費は前年同期比で3.3%増の8,489千tであった。2位の米国が7.9%減、5位韓国3.9%減となったが、最大消費国の中国が10.2%増、3位日本が0.7%増、4位のドイツが2.4%増となり全体として増加した。
【供給】
 2007年1~9月の鉱山生産は前年同期比で7.8%増の8,404千tであった。5位カナダが3.6%減となったが、最大生産国の中国が16.1%増、2位ペルーが25.1%と大幅増、3位豪州が5.2%増、4位の米国が6.3%増となり全体として増加した。
 2007年1~9月の地金生産は前年同期比で7.6%増の8,443千tであった。2位カナダが1.5%減、4位日本が2.0%減となったが、最大生産国の中国が19.7%増、3位韓国が4.4%増、5位スペインが2.4%増となり全体として増加した。
【需給バランス】
 2007年1~9月の需給バランスは、46千tの供給不足となった。
 LME在庫量は10月より回復傾向にあるが、10月末に72千t、11月末に80千tと推移し、依然低い水準にある。
【価格】
 11月のLME亜鉛価格は11月1日に2,732US$/tでスタートしてからは、11月7日に一旦2,795US$/tまで上昇した。その後は下落傾向に転じ11月22日に2,214US$/tまで下落した。その後、11月30日に2,531US$/tで終了した。

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