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オーストラリア鉱業、資源ブームの影響-「長者番付」に見るオーストラリアにおける資源ブーム-
| 資源ブームは、オーストラリアにおいて新たな「百万長者(Millionaires)」を、更には「億万長者(Billionaires)」を生み出している。オーストラリア資源関係雑誌「RESOURCESTOCKS」(2008年1月号)は、同国の資源長者番付(「Resourcestocks’ Australian Rich List 2007」)を発表している。 本稿は、同番付をもとにオーストラリアにおける資源ブームについて考察する。 |
1. はじめに
今回発表された資源長者番付(「Resourcestocks’ Australian Rich List 2007」)は、資源分野の資産家100名を実名と資産額、主な投資先など関連企業、投資対象鉱種とともにランキングしている。
その特徴として、番付の上位を鉄鉱石関係者と石炭関係者が占めたことに加え、ウラン関係企業が多数ランキング入りしていること、中堅企業からジュニア探査会社の経営者やこれら鉱山会社・探査会社の創業者やその一族が名を連ねていることがあげられる。
2. 資源分野における長者番付 -概況-
2007年度の資源長者番付での上位10位以内には、鉄鉱石関係者が5人、石炭が2人、エンジニアリングが2人、ニッケルが1人と鉄鉱石と石炭関係者が上位を独占している。
また、鉱山経営者が上位を占める中で、3位と5位には、エンジニアリング会社から2人がランキング入りしている。これに続く上位11位から30位は、石炭8人、ウラン3人、銅・金・ニッケル3人と石炭関係者が多数を占め、上位31位から50位では、銅・金・ニッケル等ベースメタル10人、鉄鉱石4人、ウラン及び石炭がそれぞれ2人と非鉄金属鉱山会社の関係者が多数を占めている。
3. 上位を占めた「鉄鉱石」、「石炭」長者
番付1位は、資産額5,500百万A$と評価されたGina Rinehart氏であった。同氏は、Rio TintoとHope Downs 鉄鉱石プロジェクトでJV(50%、西オーストラリア州Pilbara地区)を形成したHancock Prospecting社社主であり、西オーストラリア州における鉄鉱資源開発のパイオニアと言われるLang Hancock氏の実娘で、Hope Downsプロジェクトの権益は父親から相続したものである。
2位は、西オーストラリア州Pilbara地域においてオーストラリア国内最大の鉄鉱石鉱区を保有し、中国の宝鋼集団と共同で鉄鉱山を開発計画を進め、Rio TintoやBHP Billitonに次ぐ鉄鉱企業を目指しているFortescue Metals Group社のAndrew Forrest社長であった。同氏の資産額は5,400百万A$と評価されたが、同氏が経営するFortescue Metals Group社の株価上昇によって、実際には1位のGina Rinehart氏の資産価値を上回っていると言われている。同氏は、鉄鉱石ビジネスのほかにニッケル・プロジェクトなどにも権益を保有している。
また、7位のAngela Bennett氏と8位のMichael Wright氏は、Hancock氏のビジネス・パートナーであったPeter Wright氏の子供で、同氏より鉄鉱山のロイヤルティなどの資産を相続していた。
その他にも鉄鉱石関係者は、100位以内に19人、その内10位以内に5人が名を連ね、上位を独占している。
非鉄金属関係者は、銅、金、ニッケル、ウラン等を合計すると38人、プラントからボーリング業者までエンジニアリング関係企業関係は18名と多くの資産家が100位以内に入っているが、単独の鉱種では石炭関係者(炭層ガスも含む)が17名と鉄鉱石に次いで多くなっている。
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表1.資源長者の100人 -上位10人と非鉄金属関係者-
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| 出典)Resourcestocks , January 2008, p24 より抜粋・加筆 |
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4. 「非鉄金属」長者
非鉄金属関係では、38人が100位以内にランキングされている。ウラン、金がそれぞれ10人、ニッケルと銅が7人、錫が2人、亜鉛、タングステンが1人などとなっている。資産合計でも金、ウラン、ニッケルがほぼ1,000百万A$、これに銅が続いている。
非鉄金属会社では、唯一Jubilee Mines N.L.社(本社パース)の創設者で主要株主、会長職をつとめるMr Kerry Harmanis氏が資産500百万A$で10位にランキング入りしている。同社は、2007年末にスイス資本Xstrataの子会社によって友好的な買収提案に合意している。
10位以下では、ラオスでのSepon銅・金鉱山開発に成功し、オーストラリア国内でもGolden Grove銅・亜鉛・鉛鉱山(西オーストラリア州)、Prominent Hill銅・金鉱山(南オーストラリア州)での鉱山開発を進める準大手のOxiana Limmited(本社メルボルン)に関連して、Peter Meurs氏が11位、Peter Lester氏が28位、Jeff Sells氏が32位、同社最高経営責任者のOwen Hegarty氏が37位と50位以内に名を連ねている。
その他、Western Areas NL社のTerrence Streeter氏が23位、Kagara Ltd.のKim Robinson氏が34位、Fox Resources LimitedのGiovanni Santalucia氏が42位、Sino Gold Mining LimitedのNicholas Curtis氏が70位など中堅鉱山会社や、更にはBolnisi Gold NL社(31位と36位)、Heron Resources Limited(71位)、Albidon Limited(94位)、CuDecoo Limited(98位)、Equinox Minerals Limited(100位)などのジュニア探査会社への投資関係者が100位以内に入っている。
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図5.Oxiana Limitedの株価と株式売買高の推移
5. 「ウラン」長者
今回の「資源長者番付」で最も注目されるのは、ウランに関係して10人が100位以内に入っていることであろう。これは「伝統的」な投資先である金、ニッケルを凌ぐ数であり、資産合計でもそれらとほぼ同程度となっている。
中でも、Paladin Energy Ltd.(本社パース)は、資産額417百万A$でウラン関係者としては最高順位である12位のRobert Healy氏をはじめ、27位のJohn Borshoff社長(Managing Director)、39位(同社秘書役(Company Secretary))、49位(同社会長)、56位(同社役員)と5人を長者番付に送り送り込んでいる。同社は、2004年当時は2c/株であった株価が、ナミビアでのLanger Heinrichウラン鉱山開発に成功した結果、現在では6.59A$/株にまで高騰し、多くの百万長者を誕生させる結果となっている。
ウラン価格の高騰からウラン関連企業への人気が高まり、ウランを生産している会社以上に開発・探鉱企業の株価が急上昇したことにより、ウラン関連企業への投資家が長者番付に名を連ねるといったことが起こっている。

図6.Paladin Energy Ltd.の株価と株式売買高の推移
6. おわりに
オーストラリアの有力経済雑誌BRWが発表する2007年オーストラリア長者番付「BRW Rich 200」(BRW May 31-July 4)において、資源長者番付1位のGina Rinehart氏は4位、同2位のAndrew Forrest氏は5位、同3位のJohn Gill氏は31位、同4位のClive Palmer氏は32位、同5位のBill Paterson氏は68位などと、「資源長者」は、オーストラリア全体の長者番付でも上位に位置している。
このような長者番付における資源関係者の順位にも、オーストラリアにおける資源ブームの一端を垣間見ることが出来る。
参考文献
RESOURCESTOCKS, 2008年1月号, “Resourcestocks’ Australian Rich List 2007”
BRW, May 31-July 4, “BRW Rich 200”
The Australian Financial Review, 12-13 January, 2008, “The widely rich men of the Wild West Boom”
The Australian, 10 January , 2008, “Iron awe: red dirt accounts for a big chunk of Australia’s resources rich list”
Oxiana Limited Webサイト http://www.oxiana.com.au/SharePrice.asp






