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報告書&レポート

2008年4月17日 企画調査部  大久保 聡
2008年33号

ベースメタルの国際市場と需給動向(2008年2月号)



1. 国際市場

2月のLME(London Metal Exchange)の平均価格は、銅、ニッケル、亜鉛全てが前月から上昇した。
銅は2か月連続で上昇し、前月比11.7%増の7,888US$/t、ニッケルは2か月連続で上昇し同1.0%増の27,955US$/t、亜鉛は4か月ぶりに上昇し同4.2%増の2,438US$/tとなった。
銅はLME在庫が下落傾向に転じたため上昇した。
ニッケルは供給超過により下落が続いたが、再び若干の上昇をした。
亜鉛はLME在庫が低水準であり上昇傾向に転じた。

 

平均価格
(cash settlement,US$/t)

在庫(t)

2008年1月

2008年2月

前月比

2008.1.31

2008.2.29

増減

Cu

7,061.02

7,887.69

+11.7%

178,775

143,650

-35,125

Ni

27,689.55

27,955.48

+1.0%

47,214

47,874

+660

Zn

2,340.11

2,438.14

+4.2%

111,325

123,250

+11,925

LME月平均価格の推移
LME月平均価格の推移

2. 需給動向

2007年1~12月の需給状況(出典:国際銅・ニッケル・鉛亜鉛研究会)

 

鉱山生産

 

地金生産

 

地金消費

 

需給バランス(t)

1~12月(t)

前年同期比

1~12月(t)

前年同期比

1~12月(t)

前年同期比

Cu

15,465,000

+3.2%

18,157,000

+4.5%

18,199,000

+6.6%

-42,000

Ni

1,603,600

+9.2%

1,428,700

+5.1%

1,320,800

-5.7%

+107,900

Zn

11,431,000

+9.2%

11,394,000

+7.0%

11,409,000

+3.7%

-18,000

2.1 銅

【需要】
2007年1~12月の世界消費は前年同期比6.6%増の18,199千tであった。世界消費は9月1,503千t、10月1,528千t、11月1,531千t、12月1,427千tと推移している。国別では3位ドイツが0.4%減、4位日本が2.4%減、5位韓国が1.9%減だったものの、最大消費国の中国が35.9%と大幅増、2位米国が1.0%増となり全体として増加した。
【供給】
2007年1~12月の鉱山生産(金属純分、以下同様)は前年同期比3.2%増の15,465千tであった。鉱山生産は9月1,276千t、10月1,329千t、11月1,300千t、12月1,389千tと推移している。鉱山設備稼働率は9月87.2%、10月87.7%、11月88.4% 8月91.2%、と推移している。国別では、2位米国が1.3%減、5位豪州が微増であったが、最大生産国のチリが3.7%増、3位ペルーが13.5%増、4位中国が6.2%増となり全体として増加した。
2007年1~12月の地金生産は前年同期比4.5%増の18,157千tであった。地金生産は9月1,533千t、10月1,561千t、11月1,548千t、12月1,551千tと推移している。精錬所設備稼働率は9月84.4%、10月82.9%、11月84.7%、12月81.8%と推移している。国別では、5位ロシアが微減だったが、最大生産国の中国が18.0%増、2位チリが4.5%増、3位日本が2.9%増、4位米国が5.7%増となり全体として増加した。
【需給バランス】
2007年1~12月の銅需給バランスは42千tの供給不足であった。年前半は供給不足が続いていたが9月に30千t、10月33千t、11月に17千t、12月124千tの供給超過で推移している。季節調整後の需給バランスでは、9月に74千の供給超過、10月に1千tの供給不足、11月に13千tの供給超過、12月に31千tの供給不足で推移している。
LME在庫は12月末に197千t、1月末に179千t、2月末144千tと減少傾向で推移している。
【価格】
2月のLME銅価格は上下しつつも月を通じて上昇傾向にあった。2月1日に7,345US$/tでスタートした後は一旦2月6日に7,181US$/tまで下落した。その後は上下しつつも上昇傾向にあり、2月19日に8,000US$/t台に突入し、2月29日に8,540US$/tで終了した。

2.2 ニッケル
【需要】
ニッケルの1~12月の世界消費は前年同期比で5.7%減の1,321千tであった。第1位の中国が29.4%と大幅増となったが、第2位の日本が9.0%減、第3位米国が7.0%減、第4位ドイツが8.5%減、第5位の台湾が24.4%と大幅減となり全体として減少した。
【供給】
ニッケルの1~12月の鉱山生産は前年同期比で9.2%増の1,604千tであった。第1位のロシア0.7%増、第2位のカナダ8.4%増、第3位のインドネシアが24.2%と大幅増、第4位の豪州が11.8%増、第5位のニューカレドニアが21.6%と大幅増と世界的な増加傾向により全体として増加した。
ニッケルの1~12月の一次生産は前年同期比で5.1%増の1,429千tであった。第1位のロシアが4.9%減、第5位豪州が5.6%減となったが、第2位中国が49.6%と激増、第3位カナダが5.5%増、第4位の日本が5.8%増となり全体として増加した。
【需給バランス】
1~12月の需給バランスは、108千tの供給超過となった。
LME在庫は2月末に3.3千tまで減少したが、それ以後は回復傾向にあり、12月末に48千t、1月末に47千t、2月末に48千tと推移している。
【価格】
2月のLMEニッケル価格は月を通じて上昇傾向であった。2月1日に27,705US$/tでスタートした後は一旦2月6日に26,410US$/tまで下落したが、その後上昇を続け2月29日に31,505US$/tで終了した。

2.3 亜鉛
【需要】
2007年1~12月の世界消費は前年同期比で3.7%増の11,409千tであった。2位の米国が8.9%減、3位日本が1.0%減、5位韓国3.2%減となったが、最大消費国の中国が15.2%増、4位のドイツが2.1%増となり全体として増加した。
【供給】
2007年1~12月の鉱山生産は前年同期比で9.2%増の11,431千tであった。5位カナダが5.3%減となったが、最大生産国の中国が20.9%と大幅増、2位ペルーが20.1%と大幅増、3位豪州が4.8%増、4位の米国が8.4%増となり全体として増加した。
2007年1~12月の地金生産は前年同期比で7.0%増の11,394千tであった。2位カナダが2.9%減、4位日本が2.6%減となったが、最大生産国の中国が18.9%増、3位韓国が4.5%増、5位スペインが2.2%増となり全体として増加した。
【需給バランス】
2007年1~12月の需給バランスは、18千tの供給不足となった。
LME在庫量は回復傾向にあり、12月末に89千t、1月末に111千t、2月末に123千tと推移しているが、依然低い水準にある。

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