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ベースメタルの国際市場と需給動向(2008年6月号)

1. 国際市場
6月のLMEの平均価格は、銅、亜鉛、ニッケル全てが前月(5月)から下落した。
銅は2か月連続で低下し前月比1.5%減の8,261US$/t、亜鉛は3か月連続で下落し同13.2%減の1,894US$/t、ニッケルも3か月連続で下落し同12.4%減の22,549US$/tとなった。
銅はドル高の影響を受け、下がり気味となった。
亜鉛はLME在庫の積増し、供給超過を受け下落が続いている。
ニッケルは供給超過を受け下落が続いている。
鉱種 | LME月平均価格 (cash settlement,US$/t) |
LME月末在庫 (t) |
||||
5月 | 6月 | 前月比 | 5月 | 6月 | 増減 | |
銅 | 8,382.75 | 8,260.60 | -1.5% | 126,400 | 122,600 | -3,800 |
亜鉛 | 2,182.10 | 1,894.48 | -13.2% | 143,500 | 153,625 | +10,125 |
ニッケル | 25,735.00 | 22,549.05 | -12.4% | 48,522 | 46,536 | -1,984 |
図1. LME月平均価格変動の推移(2003年5月=1、2003年5月~2008年6月)
2. 需給動向
鉱石生産量(金属含有量) | 地金生産量(金属含有量) | 地金消費量 | 需給バランス (t) |
||||
1~4月(t) | 前年同期比 | 1~4月(t) | 前年同期比 | 1~4月(t) | 前年同期比 | ||
銅 | 4,908,000 | -3.4% | 6,028,000 | +1.7% | 6,136,000 | -0.6% | -108,000 |
亜鉛 | 3,795,000 | +9.2% | 3,822,000 | +1.5% | 3,744,000 | +0.6% | +78,000 |
ニッケル | 521,500 | -3.5% | 485,600 | +0.9% | +0.9% | -3.7% | +29,200 |
2.1 銅
【需要】
2008年1~4月間の世界消費量は前年同期比0.6%減の6,136千tであった。これまで1月1,515千t、2月1,467千t、3月1,574千t、4月1,581千tと推移している。国別では4位日本が3.1%増、5位韓国が2.5%増だったものの、最大消費国の中国が1.0%減、2位米国が0.9%減、3位ドイツが2.1%減となり世界計として微減状態となっている。
【供給】
2008年1~4月間の鉱石生産量(金属純分、以下同様)は前年同期比3.4%減の4,908千tであった。これまで1月1,205千t、2月1,160千t、3月1,273千t、4月1,270千tと推移している。鉱山設備稼働率は1月78.2%、2月83.2%、3月82.3%、4月84.7%と推移している。国別では2位米国が7.8%増、3位ペルーが9.7%増、4位中国が6.4%増であったが、最大生産国のチリが3.3%減、5位豪州が5.7%減となり世界計として3.4%減少した。
2008年1~4月間の地金生産量は前年同期比1.7%増の6,028千tであった。地金生産は1月1,504千t、2月1,432千t、3月1,555千t、4月1,538千tと推移している。精錬所設備稼働率は1月80.2%、2月84.2%、3月82.3%、4月83.9%と推移している。国別では、2位チリが4.7%減、3位日本が1.8%減、4位米国が1.8%減、5位ロシアが2.5%減であったが、最大生産国の中国が13.2%増により世界計として1.7%増加した。
【需給バランス】
2008年1~4月間の銅需給バランスは108千tの供給不足であった。2007年末まで供給超過で推移していたが、1月に11千t、2月に35千t、3月に20千t、4月に43千tと供給不足で推移している。
季節調整後の需給バランスでは、1月に2千tの供給超過、2月に3千tの供給不足、3月に25千t、4月に10千tと供給超過で推移している。
LME在庫は4月末に111千t、5月末に126千t、6月末に123千tと推移している。
表3. 銅:需給推移
【価格】
6月のLME銅価格は月を通じて上昇傾向であった。6月2日に7,980US$/tでスタートした後は、6月5日に一旦7,921US$/tまで下落したが、上昇に転じ、6月30日に8,776US$/tで終了した。
図2. LME銅地金価格・在庫の推移(2007年5月1日~2008年6月30日)
2.2 亜鉛
【需要】
2008年1~4月間の世界消費量は前年同期比で0.6%増の3,744千tであった。2位の米国が前年並み、3位日本が5.6%減、4位のドイツが12.4%減となったが、最大消費国の中国が8.1%増、5位インドが5.3%増となり世界計として0.6%増加した。
【供給】
2008年1~4月間の鉱石生産量は前年同期比で9.2%増の3,795千tであった。最大生産国の中国が11.6%増、2位ペルーが9.1 %増、3位豪州が10.2%増、4位の米国が13.5%増、5位カナダが2.9%増と世界的な増加傾向により世界計として9.2%増加した。
2008年1~4月間の地金生産量は前年同期比で1.5%増の3,822千tであった。最大生産国の中国が2.7%減となったが、2位カナダが1.1%増、3位韓国が6.1%増、4位日本が14.7%、5位インドが26.7%と大幅増となり世界計として1.5%増加した。
【需給バランス】
2008年1~4月間の需給バランスは78千tの供給超過となった。2007年12月からの供給超過状態が続いている。
LME在庫量は4月末に126千t、5月末に144千t、6月末に154千tと積増し傾向で推移している。
表4. 亜鉛:需給推移
【価格】
6月のLME亜鉛価格は6月2日に1,935US$/tでスタートしてから6月9日に一旦1,950US$/tまで持ち直した後、再度下落傾向となり、6月12日に1,812US$/t迄下落し、6月30日に1,875US$/tで終了した。
図3. LME亜鉛地金価格・在庫の推移(2007年5月1日~2008年6月30日)
2.3 ニッケル
【需要】
2008年1~4月間のニッケル消費量は456.4千tで、前年同期比3.7%減となった。消費量第1位の中国は18.4%増であったが、第2位日本は16.8%減、第3位米国は8.6%減、第4位ドイツは1.4%減、第5位台湾は29.2%減と大幅減となり世界計として3.7%減少した。
【供給】
2008年1~4月間のニッケル鉱石生産量は521.5千tで、前年同期比3.5%減となった。第3位インドネシアは25.3%増と大幅増、第4位豪州は16.4%増であったが、最大生産国のロシアが前年並み、第2位カナダは0.6%減、第5位のフィリピンは5.3%減となり世界計として3.5%減少した。
2008年1~4月間のニッケル一次地金生産量は485.6千tで、前年同期比0.9%となった。最大生産国ロシアは3.3%減、第3位カナダは1.1%減、第4位日本は9.7%減であったが、第2位中国は9.8%増、第5位豪州は19.4%増で世界計として0.9%増加した。
【需給バランス】
2008年1~4月間の需給バランスは、29.2千tの供給超過となっている。
LME在庫は積増し状態にあり4月末に51千t、5月末に49千t、6月末に47千tと推移している。
表5. ニッケル:需給推移
【価格】
6月のLMEニッケル価格は6月2日に21,605US$/tでスタートした後、6月13日に24,550US$/tまで上昇した。その後、下落傾向に転じ6月25日に21,530US$/tとなり、6月30日21,675US$/tで終了した。
図4. LMEニッケル価格・在庫の推移(2007年5月1日~2008年6月30日)

