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ベースメタルの国際市場と需給動向(2008年8月号)
1. 国際市場
8月のLME(London Metal Exchange)の平均価格は、銅、亜鉛、ニッケルとも前月から下落した。
銅は2か月ぶりに下落し、前月比9.3%減の7,634US$/t、亜鉛は5か月連続で下落し同7.0%減の1,723US$/t、ニッケルは5か月連続で下落し同6.2%減の18,928US$/tとなった。
銅は在庫の積増しにより下落した。亜鉛、ニッケルはLME在庫の積増し、供給超過を受け下落が続いている。
鉱種 | LME月平均価格 (cash settlement,US$/t) |
LME月末在庫 (t) |
||||
7月 | 8月 | 前月比 | 7月 | 8月 | 増減 | |
銅 | 8,414.04 | 7,634.20 | -9.3% | 142,400 | 173,375 | +30,975 |
亜鉛 | 1,852.37 | 1,723.28 | -7.0% | 157,325 | 160,450 | +3,125 |
ニッケル | 20,160.22 | 18,927.75 | -6.2% | 44,526 | 47,022 | +2,496 |
図1. LME月平均価格変動の推移(2003年5月=1、2003年5月~2008年8月)
2. 需給動向
鉱石生産量(金属含有量) | 地金生産量※(金属含有量) | 地金消費量 | 需給 バランス(t) |
||||
1~6月(t) | 前年同期比 | 1~6月(t) | 前年同期比 | 1~6月(t) | 前年同期比 | ||
銅 | 7,498,000 | -2.2% | 9,109,000 | +2.2% | 9,239,000 | +0.7% | -130,000 |
亜鉛 | 5,935,00 | +10.1% | 5,857,000 | +3.2% | 5,785,000 | +2.1% | +72,000 |
ニッケル | 794,500 | -2.5% | 719,100 | -0.8% | 683,300 | 2.3% | +35,800 |
※ニッケルは一次生産量を示す。
2.1 銅
【需要】
2008年1~6月の世界消費は前年同期比0.7%増の9,239千tであった。世界消費は3月1,564千t、4月1,598千t、5月1,572千t、6月1,543千tと推移している。国別では2位米国が4.3%減、5位韓国が3.8%減だったものの、最大消費国の中国が3.8%増、3位ドイツが3.0%増、4位日本が0.6%増となり世界計として0.7%増加した。
【供給】
2008年1~6月の鉱石生産(金属純分、以下同様)は前年同期比2.2%減の7,498千tであった。鉱石生産は3月1,267千t、4月1,249千t、5月1,308千t、6月1,314千tと推移している。鉱山設備稼働率は3月81.9%、4月83.3%、5月85.3%、6月87.2%と推移している。国別では2位米国が9.9%増、3位ペルーが9.6%増、4位中国が10.3%増であったが、最大生産国のチリが1.8%減、5位豪州が2.1%減により世界計として2.2%減少した。
2008年1~6月の地金生産は前年同期比2.2%増の9,109千tであった。地金生産は3月1,557千t、4月1,532千t、5月1,531千t、6月1,558千tと推移している。精錬所設備稼働率は3月82.4%、4月83.5%、5月80.5%、6月84.3%と推移している。国別では、2位チリが1.7%減、3位日本が4.2%減、4位米国が4.4%減であったが、最大生産国の中国が16.8%増、5位ロシアが1.9%増により世界計として2.2%増加した。
【需給バランス】
2008年1~6月の銅需給バランスは130千tの供給不足であった。3月に7千t、4月に66千t、5月に42千t と供給不足で推移したが、6月に14千tの供給超過となった。季節調整後の需給バランスでは3月に34千t、4月に10千tの供給超過、5月に13千tの供給不足、6月に43千tの供給超過と推移している。
LME在庫は6月末に123千t、7月末に142千t、8月末に173千tと推移している。
表3. 銅:需給推移
【価格】
8月のLME銅価格は8月1日に8,096US$/tでスタートした後は、下落を続け8月12日に7,261US$/tとなった。その後は上昇傾向に転じ8月22日に7,861US$/tまで回復し、8月29日に7,510US$/tで終了した。
図2. LME銅地金価格・在庫の推移(2007年7月2日~2008年8月29日)
2.2 亜鉛
【需要】
2008年1~6月の世界消費(金属純分、以下同様)は前年同期比で2.1%増の5,785千tであった。2位の米国が0.6%減、4位のドイツが7.6%減、5位韓国が5.4%減となったが、最大消費国の中国が12.0%増、3位日本が0.3%増となり世界計として2.1%増加した。
【供給】
2008年1~6月の鉱山生産は前年同期比で10.1%増の5,935千tであった。最大生産国の中国が15.2%増、2位ペルーが7.1%増、3位豪州が7.4%増、4位の米国が10.2%増、5位カナダが3.8%増と世界的な増加傾向により世界計として10.1%増加した。
2008年1~6月の地金生産は前年同期比で3.2%増の5,857千tであった。2位カナダが1.0%減となったが、最大生産国の中国が3.2%増、3位韓国が6.1%増、4位日本が10.1%増、5位インドが29.8%増と大幅増となり世界計として3.2%増加した。
【需給バランス】
2008年1~6月の需給バランスは72千tの供給超過となった。
LME在庫量は6月末に154千t、7月末に157千t、8月末に160千tと増加傾向で推移している。
表4. 亜鉛:需給推移
【価格】
8月のLME亜鉛価格は8月1日に1,851US$/tでスタートしてからは下落を続け8月14日に1,630US$/tとなった。その後、上昇傾向となり8月22日に1,806US$/tまで回復し8月29日に1,721US$/tで終了した。
図3. LME亜鉛地金価格・在庫の推移(2007年7月2日~2008年8月29日)
2.3 ニッケル
【需要】
2008年1~6月のニッケル消費は683.3千tで、前年同期比2.3%減となった。消費量第1位の中国は13.4%増であったが、第2位日本は6.9%減、第3位米国は8.5%減、第4位ドイツは1.9%減、第5位台湾は19.2%減となり世界計として2.3%減少した。
【供給】
2008年1~6月のニッケル鉱石生産は794.5千tで、前年同期比2.5%減となった。第3位インドネシアは17.8%増、第4位豪州は20.5%増と大幅増であったが、最大生産国のロシアが2.1%減、第2位カナダは0.2%減、第5位のニューカレドニアは17.4%減となり世界計として2.5%減少した。
2008年1~6月のニッケル一次生産は719.1千tで、前年同期比0.8%減となった。第2位中国は4.2%増、第5位豪州は15.4%増であったが、最大生産国ロシアは3.6%減、第3位日本は5.9%減、第4位カナダは3.7%減で世界計として0.8%減少した。
【需給バランス】
2008年1~6月需給バランスは、35.8千tの供給超過となっている。
LME在庫は6月末に47千t、7月末に45千t、8月末に47千tと推移している。
表5. ニッケル:需給推移
【価格】
8月のLMEニッケル価格は8月1日に18,155US$/tでスタートしてから8月5日に一旦17,445US$/tまで下落した。その後は上昇傾向となり8月21日に21,105US$/tに達し8月29日に20,300US$/tで終了した。
図4. LMEニッケル価格・在庫の推移(2007年7月2日~2008年8月29日)