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報告書&レポート

2009年2月26日 ロンドン事務所 及川 洋報告
2009年10号

2008年秋季国際非鉄金属研究会参加報告

1. はじめに
 2008年10月6~10日、リスボンにおいて、国際非鉄金属3研究会〔ニッケル(INSG)、銅(ICSG)、鉛・亜鉛(ILZSG)〕の秋季会合が開催されたところ、以下国際研究会による需給見通しを中心に概要を報告する。
 また、今次会合では、中日である10月8日に3研究会及び中国非鉄金属工業協会(China Non-Ferrous Metals Industry Association:CNIA)合同で中国に関するセミナー“Metals in China”が開催された。
 なお、今次会合は、折りしもLehman shockの2週間後の開催となり、各委員会での発表や議論においても今後の世界経済の動向及びこれに伴う今後の非鉄金属マーケットについての懸念・不透明感が多く表明されたが、今次会合で公表された各研究会による需給見通しには、まだ、その後生じている、想定を超える急速な実体経済の減速、非鉄金属市場の縮小は反映されていないことに留意願いたい。

2. 国際ニッケル研究会(INSG:10月6~7日)
(1)ニッケル市場についての認識
ニッケル市場に関する統計委員会における認識は概ね以下のとおりである。

  • ・2007年は特に上期において消費が堅調であったが、下期は、世界的なステンレス生産量の減少により、需要は減少傾向となった。
  • ・2008年当初、一次ニッケル需要は堅調であったが、その後の金融不安(サブプライム問題)による世界経済の減速により、中盤からはニッケル価格の下落、中国を含む各国でのステンレス需要・生産の減退の影響を大きく受けており、2008年後半においての回復は見込めない状況にある。
  • ・他方、2009年に関しては、序盤は2008年と同様の状況が継続するものの、中盤以降、一次ニッケル生産量は、ブラジル、韓国等での新規生産設備の稼動開始により増加、また、需要(消費)は、2009年後半以降、主としてアジアにおける需要回復により若干上向くと予想される。

(2)需給見通し
 今回のINSGの見通しでは、上述のような要因により2008年に関しては、4月時点での推定から生産(供給)、消費とも大幅に下方修正された。他方、2009年の一次ニッケル生産量は2008年比約7%の増、消費量は約5%の増と予想しており、需給バランスとしては約100千tの供給超過の予想となっている。

表2-1. [1]鉱山生産(千t) (2008年実績は“World Nickel Statistics,Feb,2009,INSG”による)
  2006実績 2007実績 2008推計
(Apr08)
2008推計
(Oct08)
(参考)
2008実績
2009予想
(Oct08)
2009/2008
(%)
アフリカ 75.9 69.7 90.0 72.0 75.4 85.0 18.1
北中南米 493.9 533.9 513.6 513.8 472.7 569.5 10.8
アジア 279.6 356.0 386.0 331.0 309.3 346.0 4.5
(うち中国) 68.9 72.0 80.0 65.0 68.4 70.0 7.7
欧州 337.3 346.6 361.9 346.6 326.0 361.8 4.4
オセアニア 286.6 294.2 339.8 288.0 293.6 363.7 26.3
世界計 1,473.3 1,600.4 1,691.3 1,551.4 1,476.9 1,726.0 11.3

表2-2. [2]一次ニッケル生産(千t)
  2006実績 2007実績 2008推計
(Apr08)
2008推計
(Oct08)
(参考)
2008実績
2009予想
(Oct08)
2009/2008
(%)
アフリカ 54.5 49.1 46.0 42.0 42.1 44.0 4.8
北中南米 324.2 329.2 345.6 314.8 315.0 355.0 12.8
アジア 303.6 382.9 417.3 387.9 381.9 431.3 11.2
(うち中国) 133.6 205.0 230.0 205.0 199.3 220.0 7.3
欧州 496.0 506.4 545.9 507.2 513.1 509.0 0.4
オセアニア 165.7 159.4 187.0 152.5 153.4 207.0 35.7
世界計 1,344.0 1,427.0 1,541.8 1,404.4 1,405.4 1,546.3 7.3

表2-3. [3]ニッケル消費(千t)
  2006実績 2007実績 2008推計
(Apr08)
2008推計
(Oct08)
(参考)
2008実績
2009予想
(Oct08)
2009/2008
(%)
アフリカ 42.0 33.6 38.5 30.5 27.0 34.6 13.4
北中南米 179.1 145.6 178.2 163.6 155.0 169.8 3.8
アジア 681.8 702.8 785.4 735.5 687.6 790.3 7.5
(うち中国) 255.0 345.0 400.0 375.0 360.0 410.0 9.3
欧州 494.5 422.8 460.3 441.6 402.4 441.8 0.0
オセアニア 2.9 3.0 3.0 3.0 2.9 3.0 0.0
世界計 1,400.3 1,307.8 1,465.4 1,374.2 1274.9 1,439.5 4.8

表2-4. [4]備蓄
  2006実績 2007実績 2008推計
(Apr08)
2008推計
(Oct08)
(参考)
2008実績
2009予想
(Oct08)
2009/2008
(%)
世界計 1.6 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0

表2-5. [5]バランス([2]+[4]-[3]:千t)
  2006実績 2007実績 2008推計
(Apr08)
2008推計
(Oct08)
(参考)
2008実績
2009予想
(Oct08)
2009/2008
(%)
世界計 ▲54.7 119.2 76.4 30.2 130.5 106.8 2.5

(3)その他
 環境・経済委員会においては、「Impact of Energy Issues and Climate Change Policies」をテーマに、事務局よりディスカッション・ペーパーの説明がなされ、議論が行われた。
 エネルギー多消費産業である非鉄金属産業における、現下(秋季会合時点)のエネルギー価格高騰の影響もさることながら、地球温暖化対策との関係では特に、欧州が既に導入し、ポスト京都議定書の枠組みとして支持しているETS(Emission Trading Schemes)について、非鉄金属産業には受忍限度を超える負担となる可能性があることにつき産業界から懸念が表明された。
 事務局の資料によると、EUにおけるETSについて、実効ある排出抑制効果を得るためには、CO2価格は炭素1t当り20~30€とする必要があるとの専門家による試算もあり、また、別な研究機関の試算では、仮にこうした負担(Carbon Tax)が炭素1t当り50US$とすると、非鉄金属鉱業への影響は、銅鉱業で12.5%、亜鉛鉱業で13.5%、ニッケル鉱業で8.8%の操業コストの増加をもたらす可能性があるとしている。
 こうしたコストは、現状の非鉄金属の価格決定方式の中では価格に転嫁することが出来ないことが特に欧州非鉄金属産業界にとっての問題となっていることが示された。

(http://www.ilzsg.org/generic/pages/list.aspx?table=document&mode=view&page=2&ff_aa_document_type=P&from=2&id=2で参照可能)

3. 国際銅研究会(ICSG:10月6~7日)
(1)銅市場についての認識
 統計委員会における銅市場の認識は以下のとおり。

  • ・2008年の供給に関しては、当初想定より減少傾向。これは、生産国における労働争議(スト)や天候不順、エネルギー供給支障などに起因している。
  • ・その結果、2008年上期の鉱山・製錬所の稼働率はそれぞれ81%、83%であり、2007年を下回っているのみならず、過去10年で最も低いレベルに留まっている。
  • ・2008年の消費量は、米国で約4%減少。これは自動車や建設向け需要の減退に起因し、クレジット・クランチに発する米国経済の減速によるところが大きい。
  • ・他方、日本、韓国、その他アジアの需要も弱含んでいる。こうした中で、中国、インド、ロシアなど新興国の旺盛な需要が世界需要を牽引している構図。中国に関しては、2008年上期は約11%の需要増を示したが、下期は若干減速しつつある。

(2)需給見通し
 今回のICSGの見通しでは、2009年の世界の生産に関しては、新規プロジェクトの操業開始の遅延が見込まれるものの、アフリカ、米州、オセアニアでの新規鉱山の操業開始により鉱山生産は約11%の増加と想定しており、また、地金生産については引き続き精鉱の逼迫が制約要因になると想定している。
 また、需要に関しては、中国の需要増加率が前年比約2.9%の水準まで大幅に減速すると見込まれており、今後2年間の需要の牽引役はサウジアラビア、UAEなど中東湾岸地域で急伸している銅加工産業とインドになると予想している。

表3-1. [1]鉱山生産(千t)                  (2008年実績は“WMS,Feb,2009”による)
  2006実績 2007実績 2008推計 (参考)
2008実績
2009予測
Oct08
2009/2008
(%)
アフリカ 739 842 1,010 1,065 1,285 27.2
北米 2,159 2,114 2,184 1,938 2,603 19.2
中南米 6,734 7,127 7,195 7,218 7,494 4.2
Asean10 919 898 773 696 1,022 32.2
Asean、CIS以外のアジア 1,299 1,400 1,464 1,468 1,603 9.5
(うち中国) 946 995 931 1,130 13.6
アジアのCIS 541 515 521 531 550 5.6
EU27 806 748 716 715 741 3.5
その他欧州 733 755 778 848 798 2.6
オセアニア 1,053 1,040 1,081 892 1,310 21.2
世界計 14,983 15,441 15,720 15,532 17,406 10.7

表3-2. [2]地金生産(千t)
  2006実績 2007実績 2008推計 (参考)
2008実績
2009予測
Oct08
2009/2008
(%)
アフリカ 553 637 748 743 1,015 35.7
北米 2,117 2,140 2,184 1,721 2,470 13.1
中南米 3,565 3,595 3,878 4,074 4,225 8.9
Asean10 499 522 510 426 567 11.2
Asean、CIS以外のアジア 5,979 6,620 6,962 6,937 7,290 4.7
(うち中国) 3,499 3,866 3,779 4,000 3.5
アジアのCIS 520 496 492 519 535 8.7
EU27 2,473 2,426 2,570 2,545 2,673 4.0
その他欧州 1,158 1,139 1,151 1,016 1,172 1.8
オセアニア 429 442 501 503 550 9.8
期首ギャップ     ▲481   ▲579  
供給支障調整     ▲155   ▲766  
世界計 17,292 18,016 18,359 18,484 19,153 4.3

表3-3. [3]銅消費(千t)
  2006実績 2007実績 2008推計 (参考)
2008実績
2009予測
Oct08
2009/2008
(%)
アフリカ 237 267 292 317 357 22.3
北米 2,782 2,650 2,558 2,115 2,644 3.4
中南米 548 535 566 918 581 2.7
Asean10 772 749 763 785 786 3.0
Asean、CIS以外のアジア 7,156 8,107 8,583 9,081 8,975 4.6
(うち中国) 4,557 5,004 5,134 5,150 2.9
アジアのCIS 116 121 137 120 140 2.2
EU27 4,199 4,058 4,045 3,875 4,055 0.2
その他欧州 1,068 1,087 1,157 790 1,187 2.6
オセアニア 143 148 149 154 150 0.7
世界計 17,020 17,722 18,250 18,156 18,876 3.4

表3-4. 銅バランス([2]-[3]:千t)
  2006実績 2007実績 2008推計 (参考)
2008実績
2009予測
Oct08
2009/2008
(%)
世界計 272 294 109 328 277 154.1

(3)その他
 環境・経済委員会においては、インドIndian Copper Development Centre、中国Antike及びロシアInfomine社より、それぞれインド、中国、ロシアにおける銅スクラップマーケットの状況につきプレゼンテーションがなされたほか、事務局よりICSGとして取り組んでいるCopper Scrap Projectにつき中間レポートの説明があった。
 また、Atlantic Copper社からは、銅にかかるREACHのPre-Registration等手続の現状、銅のREACHコンソーシアムの活動状況につきプレゼンテーションがなされた。
 上記のインド、中国、ロシアの銅スクラップの状況、REACHに関するプレゼンテーション資料は以下のICSGのホームページにて参照可能である。

http://www.icsg.org/index.php?option=com_docman&Itemid=62

4. 国際鉛・亜鉛研究会(ILZSG:10月9~10日)
(1)鉛・亜鉛市場についての認識
 統計委員会における鉛・亜鉛市場の認識は以下のとおり。
[1]鉛

  • ・過去1年間で鉛価格(LME)は約4,000US$/tから、1,600US$/tへと下落。在庫水準も上昇し、これにより多くの新規プロジェクトがキャンセルや延期された。しかしながら現下の価格水準は3年前と比べれば以前高い 水準にはある。
  • ・2008年の需要は、前年比約5.7%の増と推定。これは主として中国の自動車及びeバイク(電動自転車)向けの大幅な需要増(19.1%)による。また、中国からの鉛地金輸出は、内需の増加により、ここ2年減少傾向にあり、この傾向は今後も続くと見られる。
  • ・他方、2008年の米国での需要は微増、欧州は微減で1994年以降の最低水準にある。
  • ・今後の需要については、中国以外では、インド、インドネシア、韓国が牽引役となり、他方、アジア域内では台湾、日本はほぼ横ばいと見ている。特にインドでは、中国と同様eバイクの需要が伸びており、eバイク用バッテリー需要が、鉛需要に大きな影響を与えると予想している。
  • ・供給に関して、鉱山生産は、今後、ボリビア、中国、ロシア、メキシコでの生産拡大が見込まれ、豪州、ポーランドでの減産を埋め合わせる構図となる

[2]亜鉛

  • ・鉛と同様、在庫は増加しつつあり、価格も2007年後半以降大きく低下しているが、以前1990年代から2000年代初頭に比べれば高い水準。
  • ・需要に関しては、中国での需要増が大きく寄与している。中国の需要増は2008年については、2007年と比して若干減速するものの13%台となる見込み。現状、中国のマーケットはややタイトになっている。
  • ・他方、欧米では自動車向け需要の減速に伴い消費は、2007年を下回る水準になっている。
  • ・供給に関して、2008年の鉱石生産は、ボリビアのSan Cristobal鉱山の拡張、メキシコのPenasquito鉱山の操業開始等により、2007より3.9%程度増加の見込み。アジアでも中国、インド、カザフスタンでの増産が始まっている。
  • ・地金生産に関しては、2008年は、2007年比5%程度の増加となる見通し。

(2)需給見通し
[1]鉛
 2009年の需給については、上述のように、需要に関してアジアでのやや楽観的見通しがあること、供給に関してはカザフスタン、韓国等アジアでの能力増強が織り込まれていることから、需要・供給とも拡大基調の予想となっており、2008年の推計値についても下方修正の幅は総じて小さい。
 また、需給バランスに関しても、2009年は、2008年と比して供給過剰分は縮小すると予想している。

表4-1-1. (a)鉛鉱山生産(千t)(2008年実績は“LEAD AND ZINC STATISTICS,Feb,2009,ILZSG”による)
  2007実績 2008上期
実績
2008推計
(Apr08)
2008推計
(Oct08)
(参考)
2008実績
2009予想
(Oct08)
2009/2008
(%)
欧州 278 143 307 298 309 291 ▲2.3
アフリカ 90 50 108 100 99 100 0.0
北中南米 1,036 551 1,152 1,122 1,113 1,197 6.7
アジア 1,611 860 1,743 1,777 1,771 1,892 6.5
(うち中国) 1,402 744 1,500 1,540 1,543 1,620 5.2
オセアニア 589 316 602 576 594 480 ▲16.7
世界計 3,604 1,920 3,912 3,873 3,886 3,960 2.2

表4-1-2. (b)鉛地金生産(千t)
  2007実績 2008上期
実績
2008推計
(Apr08)
2008推計
(Oct08)
(参考)
2008実績
2009予想
(Oct08)
2009/2008
(%)
欧州 1,774 912 1,806 1,805 1,809 1,835 1.7
アフリカ 115 57 124 116 116 116 0.0
北中南米 2,059 1,081 2,105 2,167 2,103 2,178 0.5
アジア 3,925 2,067 4,324 4,318 4,426 4,616 6.9
(うち中国) 2,788 1,449 3,050 3,100 3,206 3,360 8.4
オセアニア 249 132 238 272 272 259 ▲4.8
世界計 8,122 4,249 8,597 8,678 8,725 9,004 3.8

表4-1-3. (c)鉛地金消費(千t)
  2007実績 2008上期
実績
2008推計
(Apr08)
2008推計
(Oct08)
(参考)
2008実績
2009予想
(Oct08)
2009/2008
(%)
欧州 1,936 953 1,918 1,895 1,813 1,869 ▲1.4
アフリカ 103 55 115 109 114 109 0.0
北中南米 2,025 1,057 2,014 2,067 2,069 2,086 0.9
アジア 4,087 2,139 4,497 4,550 4,685 4,901 7.7
(うち中国) 2,574 1,425 2,860 3,065 3,211 3,355 9.5
オセアニア 27 14 27 27 25 27 0.0
世界計 8,178 4,218 8,571 8,648 8,706 8,992 4.0

表4-1-4. (d)鉛バランス((b)-(C):千t)
  2007実績 2008上期
実績
2008推計
(Apr08)
2008推計
(Oct08)
(参考)
2008実績
2009予想
(Oct08)
2009/2008
(%)
世界計 ▲56 31 26 30 19 12 ▲60.0

[2]亜鉛
 2009年については、中国での需要増、南米での鉱山生産能力の拡大、アジア地域での製錬能力の増加が織り込まれ、需要・供給とも2008年と比して増加率は減速するものの、拡大基調の見通しとなっている。ただし鉛と比して製錬能力の増加が需要増を上回るため、バランスとしては、供給過剰が拡大する見通しとなっている。

表4-2-1. (a)亜鉛鉱山生産(千t) (2008年実績は“LEAD AND ZINC STATISTICS,Feb,2009,ILZSG”による)
  2007実績 2008上期
実績
2008推計
(Apr08)
2008推計
(Oct08)
(参考)
2008実績
2009予想
(Oct08)
2009/2008
(%)
欧州 1,024 528 1,121 1,062 1,043 1,129 6.3
アフリカ 286 140 307 287 278 296 3.1
北中南米 3,835 2,071 4,363 4,199 4,261 4,445 5.9
アジア 4,489 2,298 4,841 4,635 4,694 4,963 7.1
(うち中国) 3,048 1,550 3,250 3,120 3,186 3,240 3.8
オセアニア 1,498 734 1,449 1,383 1,479 1,333 ▲3.6
世界計 11,132 5,771 12,081 11,566 11,755 12,166 5.2

表4-2-2. (b)亜鉛地金生産(千t)
  2007実績 2008上期
実績
2008推計
(Apr08)
2008推計
(Oct08)
(参考)
2008実績
2009予想
(Oct08)
2009/2008
(%)
欧州 2,515 1,250 2,603 2,530 2,472 2,610 3.2
アフリカ 279 132 266 270 266 275 1.9
北中南米 1,867 961 1,988 1,930 1,860 2,036 5.5
アジア 6,187 3,272 6,709 6,691 6,585 7,073 5.7
(うち中国) 3,743 1,912 3,990 3,980 3,913 4,280 7.5
オセアニア 502 251 492 512 499 510 ▲0.4
世界計 11,350 5,866 12,058 11,933 11,683 12,504 4.8

表4-2-3. (c)亜鉛地金消費(千t)
  2007実績 2008上期
実績
2008推計
(Apr08)
2008推計
(Oct08)
(参考)
2008実績
2009予想
(Oct08)
2009/2008
(%)
欧州 2,856 1,340 2,882 2,792 2,618 2,783 ▲0.3
アフリカ 211 105 208 210 199 211 0.5
北中南米 1,924 963 1,937 1,904 1,861 1,928 1.3
アジア 6,141 3,267 6,610 6,664 6,603 7,041 5.7
(うち中国) 3,595 1,948 3,960 4,070 4,014 4,380 7.6
オセアニア 214 104 214 212 207 212 0.0
世界計 11,346 5,779 11,851 11,782 11,488 12,175 3.3

表4-2-4. (d)亜鉛バランス((b)-(C):千t)
  2007実績 2008上期
実績
2008推計
(Apr08)
2008推計
(Oct08)
(参考)
2008実績
2009予想
(Oct08)
2009/2008
(%)
世界計 11 87 215 151 195 329 117.9

(3)その他
 経済・環境委員会においては、他の研究会と同様、事務局より「Impact of Energy Issues and Climate Change Policies on the Non-Ferrous Metals Industry」について説明がなされた。また、環境問題に関してはREACHの動向についてIZA(International Zinc Association)から説明がなされたほか、CHR Metals社より中国の鉛亜鉛産業に係る環境問題、政府による規制の状況等につきプレゼンテーションがなされた。
 これらプレゼンテーション資料は、下記のILZSGのホームページで参照可能である。

http://www.ilzsg.org/generic/pages/list.aspx?table=document&mode=view&page=2&ff_aa_document_type=P&from=2&id=2

5. “Metals in China”セミナー(10月8日)
 一連の3国際研究会の中日に、3研究会と中国非鉄金属工業協会(China Non Ferrous Metals Industry Association:CNIA)合同で、中国の非鉄金属産業をテーマとするセミナーが開催された。
 銅、ニッケル、鉛・亜鉛産業それぞれについてCNIA事務局によるプレゼンテーションのほかAntikeや中国のニッケル企業等からのプレゼンテーションがなされた。
 全体的な基調としては、銅、ニッケル、鉛・亜鉛いずれも2007年は記録的な生産量の伸びを示したが、2008年以降はその伸びは世界経済の減速とともに鈍化するであろうこと、現下のエネルギーコスト増大により、大きく影響を受けていることなどが示された。
 なお、中国の専門家(Simon Hunt氏等)からは、中国の非鉄産業の問題点として、現状輸出依存が強過ぎることが指摘され、他方で政策的には内需拡大を図ろうとしていること、原料の輸入依存も高い中、リサイクル率向上を図ろうとしていることなども紹介された。プレゼンテーション資料の多くは、下記のホームページで参照可能である。

銅関係:
http://www.icsg.org/index.php?option=com_docman&task=cat_view&gid=27&Itemid=62
ニッケル関係:
http://www.insg.org/presents_2008.aspx
鉛・亜鉛関係:
http://www.ilzsg.org/generic/pages/list.aspx?table=document&page=1&mode=view&ff_aa_document_type=P&from=4&id=4

 特にKeynote PresentationとなったCNIA Shan Fushan副総裁(Vice President)のプレゼンテーション資料は、中国の産業政策(輸出入規制含む)、外資規制政策も概括しており、一読に値する。

6. おわりに
 冒頭述べたように、今次会合は、Lehman shock直後であり、それ以前からのクレジット・クランチの影響は一部織り込まれていたものの、その後の実体経済の変化、これに伴う非鉄金属産業、マーケットへのインパクトについては、参加者の誰も読み切れてはいない状況であった。エネルギーコストの問題についてもそのファンダメンタルズはその後大きく変化している。
 4月に開催される次回会合においては、こうした昨秋以降生じた実体経済、ファンダメンタルズの変化を踏まえ、各見通しが修正されるものと思われ、今後の非鉄金属産業、マーケットを占う上での重要な情報が提供されるものと見られる。
 次回会合は2009年4月20~24日(ICSG:20~21日、ILZSG:22日、INSG:23~24日)の間開催され、また、合わせて3研究会合同で温暖化問題に関するセミナーが開催される予定である。

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