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今後の銅市場の展開について- CRU 8th World Copper Conference参加報告 –
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2009年4月1、2日の両日、サンティアゴにおいて、CRU主催の第8回世界銅カンファレンスが開催された。 |
1. 2009年需給と価格について
現在、世界的な景気後退に伴う消費の減退及び工業生産の低下期にあるが、それらが好転し経済成長がプラスに転じて銅需要が回復する時期は、2009年後半~2010年との大方の見方がある。一方、世銀Development Prospects Group のHans Timmer氏は、経済成長がプラスに転じるにしても失業率や設備稼働率の低迷等で2011年まではGDPが伸び悩むのではないかとの見解を発表した。
また、2009年の銅需要に関して中国物資備蓄局〔SRB(State Reserve Bureau)〕の備蓄積増しに話題が集中した。豪系金融会社Macquarie Securitiesの講演では、2009年上期にSRBは300千tの銅地金備蓄計画があり、更に市況次第では600~900千tの積増しを行う可能性があると発表された。
2009年の銅需給予測は表1のとおり600~940千tの供給過剰の見込みであるが、今後の中国による銅地金備蓄の積増し次第では、需給バランスが均衡もしくはタイトになる可能性がある。
| 表1. 2009年銅需給予測 | (単位:千t) |
| CODELCO | Macquarie Securities | CRU | |
| 供給 | 18,000 | 17,656 | 2008 年比 5 ~ 6 %減 (17,548 ~ 17,363) |
| 消費 | 17,400 | 16,720 | 17,438 |
| バランス | + 600 | + 936 | 未公表 ( + 110 ~ 75) |
| (※注:消費は中国 SRB の備蓄積増しを考慮せず) |
また、2009年銅平均価格について、Macquarie Securitiesより155¢/1bという発表があった他、CRUは、銅価格を銅需要(在庫)、エネルギー価格、中国貿易収支、銅需給・在庫等のファンダメンタルな部分と、CTA(Commodity Trade Advisor:短期)、Hedge Fund(中期)、Index Fund(長期)の投機による部分に分け、各々の要因をUS$ベースに換算し、2009年の価格予測を行っている(表2)。
更にCRUはモンテカルロ・シミュレーションを用い、2009年Q2のLME価格予測も行い、3,200US$/t(145¢/1b)付近及び4,200 US$/t(190¢/1b)付近にピークがあるとの結果を発表した(図1)。
| 表 2. CRU 銅価格要因分析 |
| (US$/t) | Dec-08 | Jan-09 | Feb-09 | Mar-09 | 2008 Actual High Jul-08 |
2009 Potential High |
| Industry Factors | ||||||
| Weak USD | 200 | 240 | 230 | 180 | 660 | 250 |
| Energy Price | 35 | 60 | 60 | 50 | 780 | 100 |
| China Trade Balance | 85 | 125 | 140 | 300 | 250 | 400 |
| Supply/Demand/Inventory | 3,650 | 3,400 | 3,200 | 3,150 | 4,350 | 3,450 |
| Market Shortage Premium | 0 | 0 | 0 | 0 | 775 | 0 |
| Fundamentals | 3,970 | 3,825 | 3,630 | 3,680 | 6,815 | 4,200 |
| Speculators | ||||||
| CTAs | -350 | -125 | 0 | 50 | 440 | 150 |
| Hedge Funds | -750 | -700 | -550 | -325 | 1,200 | -125 |
| Index Funds | 200 | 225 | 225 | 200 | 475 | 250 |
| Fund Influence | -900 | -600 | -325 | -75 | 2,115 | 275 |
| Predicted Price | 3,070 | 3,225 | 3,305 | 3,605 | 8,930 | 4,475 |
| LME Cash | 3,072 | 3,221 | 3,314 | |||
| Price US$/lb | 1.39 | 1.46 | 1.50 |
| (出典: CRU 講演資料) |

図1.2009年Q2におけるLME現物価格予測
2. チリ銅鉱業の現状と今後の銅生産見込み
現在のチリ銅鉱業は、これまでCODELCO及び民間企業により総額約400億US$がプロジェクトに投資された結果として成り立っており、操業年数と生産量をグラフ化してみると、50年以上操業している鉱山でチリ銅生産量の35%を占め、20年以上の操業鉱山では全体の70%を占めるなど、操業年数が経過している鉱山が多いのが特徴(図2)。
現実問題としては、粗鉱品位の低下(図3)、鉱床深部化、一次硫化鉱処理主体の操業形態への移行、また、水・エネルギー問題対応等がある。
これらを勘案すると、生産規模維持のためには、設備投資及び効率的な操業が必要である。しかし、チリ銅鉱業は産業として確立し且つ法体系も良く整備されていること等を考慮するとの競争力は健在であるとBHP Billitonベースメタル部門Hernandez社長より発表があった。
| (出典:BHP Billitonベースメタル部門講演資料) |
図2.チリ銅鉱山の操業年数と生産量
品位 Cu(%)
| 品位 Cu(%) |
(年)
| (出典:CODELCO講演資料) |
| 図3.CODELCO粗鉱品位の推移 |
また、今後の生産見込みについて、COCHILCOのAna調査企画部長より銅価下落の影響から鉱山開発計画が延期、もしくは後ろ倒しになっているケース等を踏まえると、2013年までの探鉱投資額は300億US$になる見込み。
これら投資の結果、2015年の銅生産量は6,300千tとなり、2008年の5,300千tから18.8%拡大する予定であると発表があった(図4)。
| (出典:COCHILCO講演資料) |
| 図4.今後の銅生産見込み |
3. アフリカカッパーベルトの再興
カッパーベルト(ザンビア、DRCコンゴ)での銅生産は、1900年代初頭から開始され、1973年には年間1200千tの生産ピークを迎えたが、その後の政情不安等により生産は減少していたが、2000年以降、DRCコンゴ及びザンビアの銅生産量は着実に増加傾向にある(2008年ザンビア620千t、DRCコンゴ250千t)(図5)。
| (出典:SNC-Lavalin講演資料) |
| 図5.アフリカカッパーベルトにおける銅生産量推移 |
最近では表3に示すとおり、Kansanshi(ザンビア:2005年生産開始)、Tenke Fungurume(DRCコンゴ:2009年生産開始)の様に大規模鉱山プロジェクト開発が進められており、カッパーベルト再興の兆しが見え始めているとSNC-Lavalin銅部門のSmith副社長より発表があった。
| 表3.最近のカッパーベルト鉱山開発事例 |
| 鉱山名 | 権益 | 埋蔵量+資源量 | 生産量 | ||||
| Kansanshi | First Quantum 80% ZCCM 20 % |
167,134 千 t 品位 Cu 1.51% 品位 Au 0.2g/t |
Cu : 215 千 t Au : 54 千 oz(1.7 t ) ( 2008 年) |
||||
| Tenke Fungurume | FCX 57.75% Lundin Goup 24.75 % GECAMINES 17.5 % |
489,981 千 t 品位 Cu 2.54% 品位 Co 0.26% |
(※共に計画量) |
| (出典: MEG )
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4. チリにおける鉱山技術者育成の必要性について
日本、カナダ及び豪州でも資源技術者育成の必要性が議論され、産学官の取り組みが進行中であるが、CODELCOのArellano総裁の講演の中で、チリの大学において資源開発を専攻する学生が減少してきているとの発表があった。
同総裁は、銅鉱業はチリの基幹産業であり、今後のチリ鉱業を考える際には極めて重要な課題であり、何らかの対応が必要である旨を強調していた。
| 図6.チリの大学学部別学生数比較(2007年) |
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| 年 | 2002 | 2003 | 2004 | 2005 | 2006 | 2007 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 地質 | 72 | 66 | 90 | 64 | 49 | 62 |
| 鉱山工学 | 115 | 93 | 84 | 71 | 74 | 53 |
| 治金工学 | 51 | 47 | 60 | 50 | 76 | 56 |
| 小計(鉱業関係)[1] | 238 | 206 | 234 | 185 | 199 | 171 |
| チリ国内(他分野含む)合計[2] | 39,112 | 38,383 | 36,256 | 52,491 | 55,065 | NA |
| 割合([3]=[1]÷[2]) | 0.61% | 0.54% | 0.65% | 0.35% | 0.36% | – |
| (出典:CODELCO講演資料) |


