報告書&レポート
セミナー報告『JOGMECリモートセンシングセミナー/ワークショップ 2009』その2-ワークショップ編-

2009年7月27~31日の5日間、Lobatse (ボツワナ共和国ロバッツェ市)にあるJOGMEC地質リモートセンシングセンターにおいて、同センター主催の『JOGMECリモートセンシングセミナー/ワークショップ 2009』が、南部アフリカ開発共同体(SADC)諸国)からの10か国約80名強が参加して開催された。 |
1. はじめに
7月28~31日、4日間は、SADC諸国の技術者20余名を対象に実習を中心としたリモセン及びGIS技術のワークショップが行われた。このワークショップでは、各国技術者への技術移転のほかに、各国の技術レベルを把握すること等により、今後のJOGMEC地質リモセンセンターでの共同解析を加速することを目的としている。
なお、ワークショップに先駆けて2009年7月27日に開催したセミナーについては、『09-40号(8月13日付)その1-セミナー編-』にて報告済みである。
2. ワークショップの概要
ワークショップでは、各国の解析用機材やソフトウェアの整備状況の違いを考慮して、どこでも無償で入手できるフリーソフトウェアを使用するとともに、リモセン及びGISの基礎理論、実際の業務で役立つ解析手法に絞って表1に示すワークショップ・プログラムのとおり講義・実習を行った。
表1.ワークショップ・プログラム 〔講師: 古宇田 亮一(産業技術総合研究所)、 野村 勝弘(JOGMEC) 〕 |
日時 | 内 容 |
第1日〔28日〕 10:00~12:00 12:00~14:00 14:00~16:00 |
リモセンとGISの紹介 ・リモセンの基礎と資源分野での利用例の紹介 (昼食) ・リモセン演習(非演算、変質帯の抽出) |
第2日〔29日〕 10:00~12:00 12:00~14:00 14:00~16:00 |
リモセン理論 ・リモセン演習(植生識別、岩相区分) (昼食) ・リモセン演習(DEM解析、モザイク画像) |
第3日〔30日〕 10:00~12:00 12:00~14:00 14:00~16:00 |
地質、地質構造、DEM 分析 ・GISの基礎と資源分野での利用例の紹介 (昼食) ・GIS演習(座標系、Shape作成、属性テーブル) |
第4日〔31日〕 10:00~12:00 12:00~14:00 14:00~16:00 |
ポテンシャルマップ作成 ・GIS演習(データ転送、画像データ貼付) (昼食) ・GIS演習(空間解析、ポテンシャル図の作成) |
3. 参加者の反応 -アンケート結果-
ワークショップには、レソト、マラウィ、モザンビーク、ナミビア、南アフリカ、タンザニア、ザンビア、ジンバブエ、アンゴラから23名が参加した。リモセンやGISソフトウェアを実際に使ったことのない参加者も多かったが、演習に熱心に取組んでいた。
最終日に次の設問についてアンケートを実施した。その集計結果は、次のとおりである。
・問1:全体の感想は?

・問2:期待していた内容か?

・問3:時間はあなたが理解するのに十分であったか?

・問4:講義内容と演習内容はどうか?

・問5:使用したフリーソフト“Grass”はどうだったか?

・問6:使用したデータは実習に合っていたか?

・問7:内容は自分のレベルに合っていたか?

・問8:講師の説明は明快だったか?理解するに十分なものだったか?

・問9:使用したコンピュータは演習に十分なものであったか?

・問10:行われたトレーニングルームの設備は十分なものか?

以上のとおりアンケートの結果は、企画、ワークショップの講義・演習内容、設備・機材、ソフトウェアについては満足との回答が多かった。
一方で、自国のデータに関する要望や、ワークショップの期間が短かったなどワークショップのより一層の充実を求める回答もあった。
4. おわりに
SADC各国では、近年、リモセンやGIS技術の導入が進められているが、国によってその進捗状況・利用状況には差があり、また、その技術には各国内でも一部の技術者が関わっているに過ぎない国が多い。今回のワークショップでは、誰でも無償で入手できるフリーソフトウェアを用いたことで、ワークショップで得た解析技術を自国に戻ってからも繰返し使用することが出来るだけでなく、参加者が各国機関において先導的な役割を果たして、リモセンやGISを利用できる技術者の裾野を広げることに役立つものと確信している。

写真1. 講義 〔講師: 古宇田 亮一(産業技術総合研究所)〕
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写真2. 講義風景(1) |
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