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世界経済減退期における日中間のベースメタル補完関係【銅】
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2006~2008年間の金属価格の高騰、2008年9月15日のリーマンショック以降から年末にかけての下落、2009年年明け以降の回復といった金属市場激動の時期にあっても中国の見掛需要は底堅く、世界市場を牽引してきた。 |
1. 世界経済減退期にも伸張した中国の銅消費量
主要国・地域の銅消費量の2008年1月以降の推移を図1に示す。統計上の消費量は見掛消費量(国内生産量+輸入量-輸出量+在庫+備蓄)ながら、2008年9月15日のリーマンショック以降の世界的経済減退期にあって消費が伸びた国は中国以外に見当たらない。
| 図1.主要消費国の銅消費量推移 | (原データ:Copper Bulletin, ICSG) |
図2は、2008年1月を基準とした各月の消費量の推移を示すが、中国の消費量の伸びの状況がより鮮明となる。

図2.主要消費国の銅消費量回復度の推移 〔2008年1月=1〕

図3.主要消費国の銅月間消費量割合の推移
2. 中国の銅生産量と輸入量
図4には中国の世界的経済減退期に伸張していた中国の銅消費量の推移を精製銅の生産量と輸入量で示したものである。

図4.中国の精製銅生産量・輸入量
(※消費量、鉱石生産量、日本からの輸入量を折線グラフで示す。)
精製銅の生産量と輸入量の合計は、精製銅消費量(赤色折線、プロット:菱形・白抜き)とほぼ合致することは、統計上の消費量は見掛消費量であることを示している。
中国の実需による実際の消費量は、公表値が無いため、その把握は課題としてあるものの、実需を裏付ける経済データ(自動車生産台数、発電量、鉄鋼生産量等 ※巻末の参考図参照)に現れている。
輸入量の増大の原因は次と報じられている:
- (1)銅価格の低迷期に国内鉱石生産量及び、精製銅生産量が減少したこと。
- (2)中国国内のインフラ投資、汽車下郷(小型車の販売促進優遇策)により底堅い実需見通しがあったこと。
- (3)SHFE(上海期貨交易所)価格がLME価格より高いこと(図5参照)を利用したアービトラージ(裁定取引)により精製銅の輸入量が増大したこと。
- (4)銅価の下落(2008年12月が底値)により、スクラップ不足が予想され、中国国内の銅価格の上昇、投機的な輸入増の要因となったこと。

図5.LME、COMEX、SHFEの銅価及び、LMEとSHFEの差額推移
3. 日本の銅消費量と輸出量の推移
日本は、リーマンショック以降の世界経済減退の影響を強く受けた国の一つである。図6には日本の銅の内需と精製銅輸出量の推移を示す。本図は次の事項を示している。
- (1)内需は、2008年10月以降から2009年2月の間に急減したが、同年3月以降の回復基調にある。
- (2)2009年2、3月は内需が輸出量を下回る事態となった。
- (3)内需が減少した分は、輸出に回っており、中国向けの比率が高い。
(図7参照 ※2009年1月には80.2%に達した。)
| 図6.日本の銅の内需と精製銅輸出量の推移 | (出典:鉱山(日本鉱業協会)) |

図7.中国の輸入に占める日本からの割合・日本の輸出に占める中国向け割合の推移
4. まとめ
- (1)2008年9月15日に発生したリーマンショック以降の世界経済減退期において、主要な銅消費国・地域の消費量が減小したが、中国の銅見掛消費量は逆に増大し続けた。
- (2)日本の銅製錬業界も日本の内需の急減分を中国主体に輸出に回し対処できた。
- (3)鉱産国では鉱石や地金の減産が相次いだが、中国においても同様で2008年後半は、銅価格の下落により中国国内の銅鉱石生産量及び精製銅生産量が減小した分は輸入により補完された。
- (4)中国の同時期における輸入増は、SHFE(上海期貨交易所)における銅価がLME銅価を上回っている価格差を利用したアービトラージ(裁定取引)が一つの要因として挙げられる。
- (5)中国経済の急成長過程における銅はじめベースメタルの消費量の増加基調は、当面、世界の金属市場に与える最大要因であることは間違いない。
JOGMECとしては、公表されている中国の見掛消費量のほかに実需に伴う消費量の把握を課題として情報収集に努める所存である。
【参考図】
| 参考図1.中国及び主要国の自動車生産台数の推移 | (原データ:日本自動車工業会) |
| 参考図2.中国の発電量の推移 | (原データ:中国国家統計局) |
| 参考図3.中国の鉄鋼生産量の推移 | (原データ:中国国家統計局) |


