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インドネシア鉱業事業活動に関する政令について
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インドネシア政府は、2010年2月1日付けで鉱業事業活動に関する政令2010年第23号を発出、2010年2月18日にエネルギー鉱物資源省HP上で公表した。この政令は2009年1月に公布された新鉱業法を施行するための政令の1つである。なお、政令の詳細は、文末の日本語仮訳を参照下さい。 |
1. 経緯
我が国は多くの鉱物資源をインドネシアから輸入している(表1参照)。2009年1月12日に公布された鉱物・石炭鉱業法(2009年法律第4号、以下「新鉱業法」)は、鉱物資源開発によりインドネシア国民、国家が最大限の利益を享受することを目的としており、国内での生産物高付加価値化、外国投資株式のインドネシア側への委譲義務等を課している。そして、その細目は新鉱業法施行から1年以内に政令等で定めることとしていた。これを受け、主管省であるエネルギー鉱物資源省(以下「エネ鉱省」)は、以下の4政令に取纏めて準備してきたが、関係者間の調整に時間を要し、期限を過ぎた2月1日に、内2件の政令を公布したものである。
(1)今回公布された2件
a. 鉱業事業活動に関する政令(今回、紹介する政令)
b. 鉱業区域に関する政令
(2)未公布の2件(国家官房において最終審査中)
c. 鉱業後処理に関する政令
d. 管理、指導監督に関する政令
| 表1.我が国のインドネシアからの鉱物資源輸入状況 |
| 鉱種 | 2007年 | 2008年 | 2009年 | 対前年比 増減率 |
2009年 日本輸入総計 |
構成比 | 世界ランク |
| 銅精鉱(千t) | 714.0 | 740.9 | 983.8 | 32.8% | 4,775.7 | 20.6% | 2 |
| 銅カソード(t) | 16,829.6 | 1,484.7 | 1,246.3 | -16.1% | 41,484.3 | 3.0% | 3 |
| ニッケル鉱石(千t) | 2,076.7 | 2,269.5 | 2,140.0 | -5.7% | 3,586.4 | 59.7% | 1 |
| ニッケルマット(t) | 95,123.7 | 96,405.7 | 85,646.5 | -11.2% | 91,289.2 | 93.8% | 1 |
| フェロニッケル(t) | 1,951.4 | 852.7 | 0.0 | -100.0% | 27,151.8 | 0.0% | – |
| ボーキサイト(千t) | 579.0 | 756.5 | 216.8 | -71.3% | 1,175.3 | 18.4% | 2 |
| アルミニウム(千t) | 153.3 | 150.7 | 148.6 | -1.4% | 1,336.0 | 11.1% | 4 |
| 錫地金(t) | 16,095.1 | 11,864.5 | 13,483.7 | 13.6% | 22,019.5 | 61.2% | 1 |
| 注:全てマテリアル量 |
| (出典:財務省貿易統計(2009.12、2008.12、2007.12)) |
2. 概要
本政令は15章115条からなるが、その多くの条文は、新たに導入された入札による鉱業権設定等、鉱業権付与関係に費やされている。また、新鉱業法では一切言及が無かった旧鉱業権(KP)の取扱いについて、本政令で定められている。以下、概要を紹介する。
(1)生産物国内高付加価値化義務
新鉱業法では、生産鉱業事業許可及び生産特別鉱業事業許可(以下「生産IUP・IUPK」)保有者は、自身で又は他の生産IUP・IUPK保有者に依頼して高付加価値化を実施することが義務付けられているが、詳細は政令で定めるとしている。
本政令では、以下のように規定された。
[1]金属鉱物の付加価値向上は「加工」と「精錬」の2分類で、詳細は大臣令で定める(第95条、第96条)。なお、エネ鉱省鉱物石炭地熱総局長は、各鉱種どこまで付加価値を向上させるかについての大臣令は間もなく公布される見込みとしている。
[2]旧鉱業権はそのままIUPに更新されて有効となり、新鉱業法施行から5年以内に国内加工・精錬を行う(第112条第4項)。(注)鉱業事業契約(COW)は、既に新鉱業法で同義務を課されている。
[3]加工・精錬専門事業者は、特別生産IUPを取得する(第36条)。輸入原料を使用する加工・精錬専門業者も同じ(第37条第3項)。
(2)資本移譲義務
外国資本インドネシア法人による開発の場合は、生産開始後5年までにその資本の一部を政府、地方政府、国営企業、地方公営企業又はインドネシア資本企業に移譲する義務があるが、その最低割合は20%と規定され(第97条)、増資が行われる場合もインドネシア資本が最低割合を下回ってはならないとされた(第98条)。移譲価格決定方法の詳細は大臣令で定める(第99条)。
(3)探鉱鉱区面積削減義務
鉱区面積については新鉱業法で上限が定められたが、探鉱期間中に上限面積を削減する規定が設けられた(第75条)。詳細は表2のとおり。
| 表2.探鉱、生産時における鉱区面積、保有可能期間 |
| 対象物 | 探鉱IUP・IUPK | 生産IUP・IUPK | |||||||
| 最大 面積 |
第1回 削減時期 |
左記 削減後 最大面積 |
第2回 削減時期 |
左記 削減後 最大面積 |
保有可能 期間 |
最大面積 | 保有可能 期間 |
更新可能 期間、回数 |
|
| 金属 鉱物 |
10万ha | 4年目 開始前 |
5万ha | 8年目 開始前 |
2.5万ha | 8年間 | 2.5万ha | 20年間 | 10年間、2回 |
| 非金属 鉱物 |
2.5万ha | 2年目 開始前 |
1.25万ha | 3年目 開始前 (*7年目 開始前) |
0.5万ha | 3年間 (*7年間) |
0.5万ha | 10年間 (*20年間) |
5年間、2回 (*10年間、2回) |
| 岩石 | 0.5万ha | 2年目 開始前 |
0.25万ha | 3年目 開始前 |
0.1万ha | 3年間 | 0.1万ha | 5年間 | 5年間、2回 |
| 石炭 | 5万ha | 4年目 開始前 |
2.5万ha | 7年目 開始前 |
1.5万ha | 7年間 | 1.5万ha | 20年間 | 10年間、2回 |
| *特定非金属鉱物(具体的対象は不明)の場合 |
(4)生産IUP・IUPK期間の終了
2回に亘る生産IUP・IUPKの更新期間が終了した場合は、これを返還しなければならず(第45条、第72条)、当該地域にポテンシャルがあると判断されるときには、競争入札又はオファー(IUPKの場合に限る)をすることができ、当該競争入札においては、以前の生産IUP・IUPK保有者は他者と同等の権利を与えられる(第46条、第73条)。
(5)国内需給優先義務
生産IUP・IUPK保有者は、国内需要を優先させなければならない(第84条)。これは、2009年12月に制定された同義務履行のための大臣令の根拠となる条文であり、同義務については2010年2月25日付けカレントトピックス「インドネシア鉱物・石炭国内需給優先義務大臣令について」(CT No. 10-08)で報告済みであるので、本稿では説明を省略する。
(6)販売指標価格義務
生産物を輸出する場合は、大臣が定める(金属鉱物及び石炭の場合)指標価格に従わなければならない(第85条第1項、第2項)。同価格は市場メカニズム、国際市場価格に基づき定められる(同条第3項)が、詳細は大臣令で定める(同条第4項)。この条項の背景としては、主として石炭輸出において、市場価格高騰時においても長期契約等を理由とした低価格輸出が行われ、国家収入の棄損につながったとの不満がインドネシア政府にあることが挙げられる。すなわち、「輸出」はできるだけ高価格で行わせることを目的とした条項である。
(7)既存鉱業事業契約(COW)の扱い
既存COWについては、その有効期間まで存続するが、更新時には入札によらず引き続きIUPの更新として、その事業者が保有できる(第112条第1号、第2号)。また、国内利益を最優先とする義務を負う(同条第3号)。
(8)鉱区入札3か月前の公示、競争入札委員会の設置
大臣、州知事、県知事/市長は、鉱区の入札を行うに際し、3か月前までに公示するとともに(第10条、54条)、競争入札委員会を設置し、その事務を行わせなければならない(第11条、第12条、第54条、第55条)。
3. 鉱業界の反応
本政令には、不明確な部分が多いとされている新鉱業法の運用を明確にし、停滞している大型鉱業投資を促進することが期待されていたが、詳細を大臣令に委任している部分が多く、その期待を裏切る形となった。新規鉱業権付与は、その前提となる鉱業区域の設定が関係者間の調整で遅れており、設定されてもその先にさらに入札等手続きが控えているため、当面難しい状況である。生産物高付加価値化義務についても、国営鉱山企業であるANTAMは政策に従いニッケル製錬所新設、拡充を検討しているものの、まだ計画の具体化には至っていない。
インドネシア鉱業協会専務理事Priyo Pribadi氏は、地元鉱業誌Indonesian Mining Worldへの寄稿で、既存COW、CCOW(石炭鉱業事業契約)の契約改訂交渉や林業省からの森林地域使用許可取得に時間がかかっていること等もあり、2010年も鉱業投資は停滞を続けることが予想されるとしており、新鉱業法の国会審議に時間がかかって2007年~2008年のマイニングブームに乗り損ねた教訓を生かし、早期の関係法令公布、問題解決を訴えている。
| 本資料は、JOGMECが仮訳したものです。正確な翻訳に努めましたが、内容の正確性、安全性については保証いたしかねます。正確な理解のため、原文(下記URL)を参照することをお勧めいたします。また、JOGMECは、本資料に起因して生ずるいかなる業務上の責めを負うものではありません。
鉱業事業活動に関する政令2010年第23号(インドネシア語) |


