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報告書&レポート

2011年2月3日 ロンドン事務所  フレンチ 香織
2011年05号

『第8回Mines and Money 2010』カンファレンス参加報告

 2010年11月30~12月1日の2日間、毎年恒例のMining Journal主催『Mines and Money』カンファレンスがロンドンで開催された。ロンドンは、国際的な鉱山関係企業の本拠地が多く、また、世界的な資本・金融センターとして重要拠点の一つでもあることから、本カンファレンスでは鉱業分野への投資が主なテーマとなっている。
 主催者の公式発表によれば、史上最大の3,000名が登録した。カンファレンスの当日、ロンドンは雪に見舞われたが、金属価格の順調な回復と高騰、中国を中心とした資源確保の激化が注目された年という事もあり、多くの人が参加した。会場では、ジュニア探鉱企業、投資家、世銀グループIFC(国際金融公社)、銀行家、株式仲買人、鉱業アナリスト、中国投資家などが、展示ブースに集まって活発に意見交換を行っている姿が見られ、2008年末の不況真っ只中には見られなかった活気が戻っていた。以下、本会議の主なトピックスを紹介する。

1. 金属価格の動向『2011年も金属が輝く』

 2010年の金属価格を見ると、ほとんどの金属において世界金融危機後の価格下落から順調に回復し、本コンファレンスの開催された2010年12月~2011年初頭にかけて、貴金属及びベースメタルの価格は全面高の展開となっている。
 本カンファレンスでも、Standard BankのVaughan Wickins氏(Head of Mining & Metals)は、「[1]長期国債の低金利、[2]ドル安、[3]原油価格の上昇が続く限り、金属価格は上昇する」と分析し、2011年の銅価格は平均8,200 US$/t、金価格1,420 US$/ozの高水準な価格を予想していた。
 足下では、こうした予測を超えて、銅価格は2011年2月1日には9,840 US$/t(LMEセツルメント価格)、金価格は2010年12月7日に1,426 US$/oz(ロンドン市場価格)と史上最高値に到達している。これは、10年前の平均と比較して、銅、金ともに5倍以上の水準である。
 金属価格高騰の背景について、専門誌などの分析における共通の意見は、銅価格の上昇は、中国などのアジア地域の自動車生産・インフラ整備による実需の増加に加えて、投機筋が大きく介入したことに起因すると言われている。特に2010年末には、中国利上げの見送り、米国金融緩和による余剰マネーの流入、銅、錫、ニッケルの現物を裏づけとするETF(上場投資信託)取引の導入がみられ、ベースメタルへの投機筋の介入が急増した。一方、金に関しては、米国の財政悪化やアイルランドなどの欧州財政不安で、国債や通貨の下落リスクが高まり、国の信用に左右されない金の買いが急増し、価格が上昇したという分析が主流である。
 こうした背景からか、以下に述べる金属市場におけるトピックでも、金属価格が高値安定することを前提とした議論が多かった。

2. 世界の探鉱傾向

2-1. MEG『要は、銅鉱床の開発が重要』

 MEG(Metals Economics Group)のMichael Chender氏(CEO)は、銅の需給、特に供給リスクに関して以下のような分析を示した。
 先ず、銅は、(リサイクルがどれ程相殺するのか分からないが、)供給過剰となっている亜鉛や、探鉱段階で十分な資源量が発表されているニッケルに比べて、とりわけ低品位の鉱石、新鉱床発見の困難さ、地政学的リスク、高コストなどの課題が大きく、供給リスクが高い。MEG調査(企業公開データの集計)によれば、既存鉱山における世界全体の銅資源量は11億t弱であるのに対して、探鉱段階における同資源量は7億tのみである。これでは、銅生産は合計50年程度の供給しか生じない。
 この背景と今後の需要拡大への期待、そして価格の上昇が後押しして、2010年は世界全体のグリーンフィールドの銅探鉱が前年比60%と急増し、銅探鉱予算は前年比40%増の23億US$となった(※非鉄金属全体での世界探鉱予算は総額121億US$)。なお、低品位であるが、地政学的リスクの低い場所(カナダ西部、チリ、豪州など)で増加が見られた。
 ただし、探鉱が活発になっても、供給リスクは残る。大規模な銅鉱床開発50か所のうち、21か所はジュニア企業が所有しており、資金不足でFS前に断念されるケースが多い。表1の代表的なプロジェクトを見ても、新規鉱山の開発費は20~46億US$とハードルが高い。なお、Vetanda社が2010年末、同社のザンビア銅事業をスピンオフ(分社化)してロンドン証券取引所(LSE)に上場させたが、今後、スピンオフは魅力的な資金調達ではないかとコメントしていた。

表1. 銅プロジェクトの初期開発費(出典:MEG講演)

プロジェクト名

国名

初期開発費(百万単位)

資源量・埋蔵量からの銅含有量(t)

Oyu Tolgoi

Mongolia

$4,600

30,844,000

Aynak

Afghanistan

$4,390

10,998,000

Las Bambas

Peru

$4,200

8,759,000

Konkola North

Zambia

$380

7,655,000

Salobo

Brazil

$1,808

7,149,000

Esperanza

Chile

$2,500

4,567,000

Galeno

Peru

$2,500

4,297,000

Antapaccay

Peru

$1,470

4,046,000

Caserones

Chile

$2,000

3,947,000

2-2. 『Anglo、一定予算枠で銅などのベースメタル探鉱を継続するのが鍵』

 Anglo American探鉱部門のStuart McCracken氏からは、同社の戦略について以下のような説明があった。
 Anglo Americanは、プラチナ、ダイアモンド、銅、ニッケル、鉄鉱石、石炭を主に生産しているが、過去10年だけでもSkorpion亜鉛鉱山などを含む18か所の新鉱床を発見している。その際、資金的には、過去10年間、探鉱に総額約800百万US$を出費したが、亜鉛事業などの資産売却などからその多くを賄い、実際には200百万US$しかキャッシュフローを費やしていない。今後もニオブやリン酸塩の事業を撤廃予定である。
 同社が探鉱で成功してきた理由は、『先見(=優れた地質学者)』、『高度な探鉱技術(=チリで採用されたトンネルボーリングマシン(Tunnel Boring Machines,TBM)など)』などが大きな要因であるが、いくつかの重要な秘訣を紹介したい。
 先ず、『鉱種別に確保戦略を定めること』である。図1のとおり、同社は、石炭や鉄鉱石などのバルクコモディティに関しては、大規模な鉱床がある程度知られているため、買収で確保する。一方、ベースメタルに関しては、特定の鉱床タイプは発見し難く、また、投資での利益(リターン)が大きいケースが多いため、自ら探鉱を行うようにしている。特に、銅とニッケルの開発に注目しており、銅に関しては、南米地域、特にチリでの探鉱を強化する方針である。
 もう一つは、『金属価格に影響されず、安定した探鉱予算を設定すること』である。通常、企業は金属価格に応じて探鉱予算は変動されるが、同社は過去10年間60~100百万US$/年の変動域で一定させている。同社としては、2011年の探鉱予算は前年同様100百万US$を計上し、自社が探鉱権を有する12か国で、資産価値を高めていく予定である。

図1. Anglo Americanによる鉱種別の確保戦略(出典:Anglo講演)
図1. Anglo Americanによる鉱種別の確保戦略(出典:Anglo講演)

3. 鉱山・探鉱企業による資金調達の動向

3-1. 『2010年はメジャーが回復、中堅・ジュニアにも株式による資金調達が再開』

図2. 株式による資金調達流入の イメージ(出典:Ernst & Young講演)

 Ernst & Young(以下、E & Y)のLee Downham氏(Mining & Metals Partner)より、鉱山・探鉱企業に関する資金調達の状況について以下のような説明があった。同氏は、「(下図2のように、)2009年は、リスクの低いメジャー企業の’たらい(=資本)’が潤った。今後、追加株式発行も無い様子で、中堅企業はさらに資産を得て、ジュニア企業にも資産が回るであろう」と分析する。
 同社が鉱業関連企業3,000社を対象に企業の財務報告を調査したところ、2009年、メジャー企業(時価総額150億US$以上)は合計40社で、総額310億US$の株式による資金調達に成功した。また、2010年には、トップ5社(BHP、Vale、Rio、Xstrata、Anglo)のEBITDAは金属価格の回復により記録的レベルに達したことから、ギアリング率(自己資本負債比率)が66%(2008年12月)から25%(2010年6月)にまで減少した。そのため、2012年まではメジャーによる市場での大規模な資金調達は無いと予想され、中堅、ジュニアの順で、株式による資金調達への道が開かれるとの見込みである。
 今後も長期的な供給リスクにより高水準の金属価格が期待され、資源株ブームは続くと予想できる。実際には2009年、2010年は投資家に慎重な姿勢が見られ、生産を行っているメジャー及び一部の中堅企業しか、株式による資金調達に成功していない。しかしながら、多くの中堅企業は、株式市場だけでなくJVや政府による出資ファンドなどの他の資金調達方法を巧妙に混ぜ合わせ、資金調達を潤滑に行った。従って、ジュニア企業も今後は、買収合併への道よりも、資産価値を高めることに集中しながら、複数取引所上場(Duel-Listing)や新規株式公開(IPO)や、スピンアウト(企業の一部門を別会社化)を選択するとの予想を示した。


図3. 鉱業・金属企業の株式による資金調達総額(出典:Ernst & Young講演)
図3. 鉱業・金属企業の株式による資金調達総額(出典:Ernst & Young講演)

3-2. 『中堅・ジュニア企業が活発化、IPOはトロント証券取引所(TSX)に集中』

 鉱業部門の中堅・ジュニア企業を多く有するトロント証券取引所(TSX)のGreg Ferron氏(Senior Manager/Global Mining)は、トロントの証券市場が活況を呈している様子を、「Game is back on !」と表現した。2010年は、2009年におけるメジャー企業の鉱業株ブームが牽引となり、TSX/TSX-V(ベンチャー向けのTSX)では、鉱業関連企業の新規株式公開(IPO)が140件を記録した。これは、トロント証券取引所には、世界全体で上場している鉱山関係企業の60%が集中していること、カナダは、あらゆる探鉱・鉱物生産ステージでの資金を調達するのに最適な場所であり、2010年は金を始め、レアアースなどの多様なコモディティを取り扱う企業が上場してきたためであると分析した。

表2. 証券所別、鉱業関連企業の新規上場数及び資金調達総額(出典:TSX講演)
表2. 証券所別、鉱業関連企業の新規上場数及び資金調達総額(出典:TSX講演)

3-3. 『資源株ブームにより、各株式市場も変革』

 Simmons & SimmonsのChris Horton氏(Partner)は、各株式市場の現状や特長を以下のとおりに紹介した。通常、上場先は、プロジェクト/会社の地理、適性、査定方法、業界、分析範囲、資本コストによって選択されるが、2010年も資源株ブームによって、各株式市場では上場企業を惹きつけるための変革が見られた。

・  ロンドン証券取引所(LSE)—メジャー鉱山企業が上場。ディスクロージャーの高いプレミア上場や、EU指令の上場最低基準を採用したスタンダード上場などの幅広いオプション有り。

・  NYSE Euronext—AngloGold Ashantiが複数証券所として利用。既存のアムステルダム、ブラッセル、リスボン、パリの取引に加え、ロンドン展開も予定。

・  香港交易所(HKEx)—中国、モンゴル企業が中心。2010年、Rusal(露)が上場。Valeも香港預託証券(Hong Kong Depositary Receipts)の形式で、複数証券所としての利用を発表。2010年6月、鉱業関連企業の上場に関する適格基準を明確にするためにも新規制を導入した。

・  シンガポール証券取引所(SGX)—2010年10月、豪州証券取引所(ASX)との合併を提案。2011年Q2に合併手続きが完了する予定。資金が豊富なシンガポールと鉱山関連企業600社を有する豪州の合併は、鉱業部門に魅力的と考えられる。

4. レアアース資源の動向『ハイテク技術に不可欠なレアアースの確保に急ぐ』

 英国地質調査所(BGS)のPaul Lusty氏(Economic Geologist)からは、最近注目されているレアアースの動向について概括的な説明があった。
 今日、世界レアアース生産の95%は中国に依存しているが、輸出制限の動きがみられる。中国商務省の情報によれば、2010年における中国の酸化レアアース輸出量は30.3千tの前年比40%減、2011年H1も14.4千tと、前年同期比35%減とされている。この理由については、『資源枯渇の防止、及びレアアース製錬・加工工場からの排出基準の厳格化によるもの』と発表されている。
 これを受けて、表3のとおり、米国、日本、欧州、韓国などでレアアース資源の政策・プログラムが策定されている。また、近年、レアアース価格の高騰に伴い、2010年12月現在、世界全体で合計165社が、251か所のレアアース鉱床開発プロジェクトに参画している。
 一方、最近では、欧州企業にも、中国国内でのレアアース加工事業のJV機会が広がっている。また、逆に中国企業のArafura Resources社(豪)への投資のように、中国が海外でのレアアース鉱床へ投資する動きが見られるなど、レアアースに関する中国関係の動きが盛んである。
 ただし、世界において、中国南部のように、重希土類(HREE)の高品位地域を発見するのは困難であること、レアアースの分離技術や、付随の放射性物質の取り扱いは高コストであることから、当分の間、中国への依存は脱却できないと予測された。

表3. 各国のレアアース確保戦略・プログラム(出典:BGS講演)

米国

政府監査院「Rare Earth Materials in the Defense Supply Chain」(2010年4月)、
米国議会調査局「Rare Earth Elements: The Global Supply Chain」(2010年3月)
※その他、レアアース関連の複数の法律(「Rare Earths and Critical Materials Revitalization Act(2010年9月)」)など制定された。

日本

経済産業省「資源確保指針」(2008年3月)、経済産業省「レアメタル確保戦略」(2009年7月)、経済産業省、「レアアース総合対策」(2010年10月)
※2010年、モンゴルとのレアアースプロジェクト開発の合意、米国との円卓会議など

韓国

中国レアアース依存の軽減のためにも、政策を改定中。

英国

(英国交通省からのレポート委託)Oakdene Hollins調査会社「Lanthanide Resources and Alternatives」(2009)、英国下院科学技術委員会「Inquiry strategically important metals」(2010年11月)

EU

原材料イニシアティブ(2008年11月)

5. 鉱業部門における中国の動向『海外&国内ともに拡大、アフリカでは能力が問われる』

 中国鉱業協会のLiu Yikang氏(Vice President)からは、鉱業分野における政府支援などの中国の動向が紹介された。
 2009年以降、中国政府の支援が中国企業の資源開発において功を奏しており、中国地質センターなどの政府機関により、ジンバブエ、エチオピア、ガイアナ、マダガスカルなどで、地化学探査(規模:1:250,000)が実施されている。こうした調査は重要であり、中国政府によるアフリカでの技術委託など、資源の確保には政府の援助が重要である。
 中国企業のプロジェクト参画方法は多様化し、戦略も定まってきている。海外での探鉱案件サンプル178件を分析すると、中国企業による海外での探鉱は、中国周辺のアジアが過半数を占めており、次にアフリカが全体の1/4を占めている。また、主なターゲット鉱種は金、銅、ウラン、鉛亜鉛、ニッケル、鉄、マンガンなどである。
 こうした中国の動きについて、Raw Materials GroupのMagnus Ericsson氏(Senior Partner)は、中国による資源確保の動向が海外だけでなく国内でも拡大していることを、以下のように指摘した。
 2009年、鉄鉱石を中心に中国国内における鉱業生産は世界全体の約13%を占めているが、2009年における中国国内探鉱費は30億US$にまで増加した。最近、(欧州委員会のある)ブラッセルでは『価格高騰や資源不足とピーク期の金属』(レアアースなど)が話題となっているが、一番恐るべきことは、中国が需給の両面で銅・鉄鉱石の市場を占めていることである。
 さらに、本会議のパネルディスカッションでは、中国の加速する資源確保が中心の話題となった。特に、アフリカで増加する中国の資源確保とどのように欧米企業が競争すべきかが議題に上った。パネリスト達も回答に窮する様子が伺えたが、『中国による資源開発や経済支援により、アフリカ開発で最も重視される国家の価値創造の課題を解決できるのか』、また、『中国が、未開のアフリカで世界クラスの資源探査ができるほどの能力があるかどうか疑問である』との意見などが披露されていた。

6. 資源ナショナリズムの動向と投資環境

『資源ナショナリズムが強まるが、資産の多様化で投資リスクを回避すべき』
 最近強まりつつある資源ナショナリズムの動向と投資環境について、複数の有識者から発言が相次いだ。
 前述のEricsson氏からは、「金属価格が上昇し、その結果、外資系民間企業が莫大な収益を上げていれば、資源国がその収益をあてにするのは自然の流れである」とのコメントがなされた。
 また、JP MorganのIan Henderson氏(Natural Resources Fund Manager)からは、以下のように、資源ナショナリズムの動きについて紹介があり、その上でも投資を進めるべきとの提言がなされた。
 2010年、ブラジル、チリ、ロシア、DRCコンゴ、カザフスタン、モンゴルで鉱業税制の改定があり、注目を浴びた豪州は鉱物資源利用税(MRRT)を2012年7月に導入する方針を示しており、さらにはザンビアでも超過利潤税が再導入される可能性が消えていない。また、国有化及び権益没収に関するリスクは、ベネズエラ、DRCコンゴ、エクアドール、タンザニアに見られた。
 しかし、投資家は、良い資産が見つかれば、地政学的リスクのある国でも投資を進めるべきである。なぜなら、世界級の鉱床、例えば、ベネズエラのLas Cristnas金鉱山などはいつか必ず開発されることになり、初期投資は有効である。もし、こうした投資リスクを軽減したいのであれば、資産を多様化すべきである。
 また、Henderson氏は、投資家リスクは、規制当局によって軽減されているとの分析を示した。具体的には、米国では2010年7月にDodd-Frank Actを制定し、DRCコンゴ及びその周辺の鉱物紛争解決を促しており、英国では2010年英国贈収賄法が2011年4月に施行される予定である。また、JORCやNI43-101規程などで資源量の計測が標準化し、市場に出ている探鉱企業などの報告書の信頼性が高まっている。こうした欧米政府や証券市場が投資環境を整備する動きについては、一時的に、資源国に投資する中国との競争力を低下させるかもしれないが、最終的には投資リスクは縮小すると考えられ、賞賛に値する。

7.おわりに. 本カンファレンスの感想 『Keep calm and carry on』

 『Keep calm and carry on(冷静に継続)。』これは、英国政府の戦時中のスローガンであるが、2010年英国で人気を呼んだ。前述のMEGのChender氏が講演の冒頭でも上げていたが、経済が回復基調である反面、中国や新興国における物価高騰、米国の財政悪化、ユーロ圏の財政不安、輸出制限などの貿易摩擦、そして、北朝鮮と韓国の紛争やテロなどの治安懸念など、近い将来への不安要素が残存する。しかしながら、2010年も前年と同様、足元の将来ではなく、遠い未来の新興国を中心とした実需の成長を冷静に見据えて、慎重に鉱山開発が継続された。
 2011年が2010年と異なるのは、金属価格が高水準に推移しており、鉱山企業の多くは債務を急減させ企業体力を回復し、投資余力を増しつつある点である。近年の中国による資源買いに競争するためにも、2011年の鉱業投資は、2010年にも増して活発化し、鉱山開発が加速する一年になるとの印象を受ける会議であった。

※付録:探鉱プロジェクトの講演(金、ダイアモンド、石炭の案件、鉱山設備の提供会社は除く)

企業名(本社)

探鉱プロジェクト場所 (ターゲット鉱種)

Ma’aden(サウジアラビア)

ベースメタル、金

Nautilus Minerals(豪、TSX&AIM上場)

パプワニューギニア沖のビスマーク海 (銅、金、銀、亜鉛 等)

Baja Mining Corp(加、TSX上場)

メキシコ(銅、コバルト、亜鉛、マンガン)

Robust Resources(豪、ASX上場)

インドネシア(銅、金)

Hillgrove Resources(豪、ASX上場)

豪州南部及びインドネシア(銅、金)

EMED Mining(キプロス、AIM上場)

スペイン(銅)、スロバキア(金)、キプロス(銅、亜鉛)

Kefi Minerals(トルコ、AIM上場)

トルコ(金、銅)、サウジアラビア(銅)

Equatorial Resources(豪、ASX上場)

DRCコンゴ(鉄鉱石)

Polar Star Mining(加、TSX-V上場)

チリ(銅、金、モリブデン)

Metals X(豪、ASX上場)

豪タスマニア(錫)、豪州南部(ニッケル)

Mariana Resources(豪、AIM上場)

チリ(銅、金)

Belvedere Resources(加、TSX上場)

フィンランド(ニッケル)

Sandspring Resources(加、TSX-V上場)

ガイアナ(金、銅)

NKWe Platinum(南アBEE企業、ASX上場)

南ア(PGE)

Antares Minerals(加、TSX-V&AIM上場)

ペルー(銅、モリブデン、金)

Encounter Resources(豪、ASX上場)

豪州(ウラン、ベースメタル、マンガン)

Territory Resources(豪、ASX上場)

豪州(鉄鉱石、銅、コバルト、ウラン)

Frontier Mining(英、AIM上場)

カザフスタン(金銀、銅、モリブデン、鉛)

Metminco(豪、ASX上場)

チリ、ペルー(銅、金、モリブデン、亜鉛)

Westgold Resources(豪、ASX上場)

豪州(金、ベースメタル)

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