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国際非鉄研究会参加報告(3)2012年春季国際ニッケル研究会(INSG)参加報告-2012年も供給過剰の見込み-
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国際ニッケル研究会(INSG)は、国際非鉄3研究会の中では国際鉛亜鉛研究会(ILZSG)に次いで2番目に古い歴史を持つ研究会であり、1990年に国連の招請・勧告によって発足した国際機関である。現在、16の国・地域が加盟しており、事務局はポルトガル・リスボンに置かれている。同研究会は、ニッケル市場の需給予測分析を始め、国際的なニッケルの貿易取引に係る課題について研究するとともに、それらの課題に関して政府・産業界の利害関係者が定期的に話し合う機会を設ける機能を担っている。通常、定期会合は春季、秋季の年2回開催されている。 |
1. 2011年実績と2012年予測
1-1. ニッケル鉱石生産量
2011年の鉱石生産量は、インドネシアやフィリピンにおいて中国向けニッケル銑鉄用鉱石の輸出が増加したことを受け、対前年比15.8%増の1,827.9千tとなった。2012年は、マダガスカルでのAmbatovyプロジェクトの出荷開始、ブラジルのBarro Altoプロジェクト、Onca Pumaプロジェクトでの拡張が予定されており、これらが予定どおりに進捗するという前提の下、鉱石生産量は同7.9%増の1,971.7 tになると予想されている。
2012年の予測生産量を国別に見ると、これまでロシアが鉱石生産量の1位であったが、2012年予測では中国のニッケル銑鉄生産拡大を受ける形でインドネシアが1位となる見込みである。インドネシアの2012年生産量は300.0千t(対前年比3.4%増)と予測されている。第2位のロシアは285.0千tであり、近年、生産が横ばいとなっている。第3位のフィリピンも中国のニッケル銑鉄需要に支えられる形で、生産の拡大が見られる。フィリピンの2012年予測は240.0千t(同4.3%増)となっている。以下、4位カナダの230.0千t(同4.7%増)、5位豪州の223.2千t(同3.9%増)となっている。
また、住友商事が資本参加するAmbatovyプロジェクトが2012年に操業開始を迎え、マダガスカルの2012年のニッケル鉱石生産量は8千tと見込まれている。
1-2. ニッケル地金生産量
2011年の世界のニッケル地金生産量は、2009年から続く生産拡大傾向を引き継ぐ形で、対前年比10.5%増の1,596.9千tとなった。
2012年は中国の経済成長に翳りが見え始め、消費量も頭打ちになるとの観測から、対前年比6.1%増の1,693.9千tを予測している。
2012年の予測生産量を国別に見ると、中国が2010年以来世界第1位の座を維持してきているが、生産量は頭打ちとなってきており、予測値では400.0千t(対前年比2.4%減)となっている。2位のロシアも2009年以降生産量は横ばいとなっており、2012年の予測生産量は262.0千t(同0.4%減)となっている。以下、カナダ150.0千t(同5.3%増)、オーストラリア134.4千t(同22.0%増)が続いている。
1-3. ニッケル地金消費量
世界のニッケル地金消費量は2009年以降拡大を続けてきたが、2012年は欧州での金融不安の影響により、やや成長のスピードが減速し、対前年比4.3%増の1,640.0千tと予想している。2012年は、中国での景気減速懸念によりステンレス鋼生産がやや鈍るとの観測から、同4.3%増の1,640.0千tが予想されている。
2012年の予測生産量を国別に見ると、第1位の中国は世界全体の44%を占める725.0千t(対前年比6.6%増)となっている。第2位の日本は対前年比0.5%増の153.6千t、第3位の米国は対前年比1.6%増の126.0千tとなっている。なお上記予測は、今後の世界経済の動向如何によっては修正もありうるとINSG事務局はコメントしている。
表1. ニッケルの鉱石・地金生産及び地金消費量
(単位:千t)
| 区分 | 鉱石生産量 | 地金生産量 | 地金消費量 | |||||||||
| 2011年実績値 | 2012年予測 | 2011年実績値 | 2012年予測 | 2011年実績値 | 2012年予測 | |||||||
| 世界におけるシェア | 世界におけるシェア | 世界におけるシェア | 世界におけるシェア | 世界におけるシェア | 世界におけるシェア | |||||||
| 欧州 | 359.4 | 19.7% | 367.0 | 18.6% | 521.7 | 32.7% | 528.6 | 31.2% | 365.0 | 23.2% | 368.1 | 22.4% |
| アフリカ | 78.0 | 4.3% | 92.0 | 4.7% | 36.0 | 2.3% | 45.5 | 2.7% | 23.9 | 1.5% | 25.9 | 1.6% |
| 米州 | 437.9 | 24.0% | 489.5 | 24.8% | 285.1 | 17.9% | 329.5 | 19.5% | 157.9 | 10.0% | 161.2 | 9.8% |
| アジア | 609.8 | 33.4% | 635.0 | 32.2% | 603.4 | 37.8% | 605.9 | 35.8% | 1,022.9 | 65.0% | 1082.0 | 66.0% |
| ※(内、中国) | 89.8 | 4.9% | 90.0 | 4.6% | 410.0 | 25.7% | 400.0 | 23.6% | 680.0 | 43.2% | 725.0 | 44.2% |
| オセアニア | 342.8 | 18.8% | 388.2 | 19.7% | 150.7 | 9.4% | 184.4 | 10.9% | 2.8 | 0.2% | 2.8 | 0.2% |
| 世界計 | 1,827.9 | ![]() |
1971.7 | ![]() |
1,596.9 | ![]() |
1,693.9 | ![]() |
1,572.5 | ![]() |
1,640.0 | ![]() |
(出典:INSG会議資料から作成)
1-4. ニッケル需給バランス
2011年の需給バランスは24.4千tの供給過剰であり、2012年も53.9千tの供給過剰が見込まれている。2010年は世界経済の回復を受け、中国等でのステンレス鋼の生産増加により需要超過となったが、2011年から需要の伸び以上に供給の増加が予想され、供給超過に転じることとなった(表2参照)。
表2. 世界のニッケル需給バランス
| 区分 | 2010年実績 | (参考)2011年予測値 | 2011年実績 (今回発表) |
(参考)2012年予測値 | 2012年予測 (今回発表) |
増減 2012/11 |
| 2011年9月時点 | 2011年9月時点 | |||||
| ニッケル供給合計(①) | 1,445.1 | 1,595.8 | 1,596.9 | 1,739.8 | 1,693.9 | 6.1% |
| ニッケル需要合計(②) | 1,476.8 | 1,571.9 | 1,572.5 | 1,665.1 | 1,640.0 | 4.3% |
| 需給バランス | ▲ 31.7 | 23.9 | 24.4 | 74.7 | 53.9 |
(出典:INSG会議資料から作成)
1-5. LMEニッケル価格と在庫
2011年下期のニッケル価格は、2011年9月23日に発生した対前日比8.1%の大幅下落によって17,925 US$/tまで値を下げたが、その後10月下旬までは、18,000 US$/t台で推移した。市場における米国経済回復の期待感から、10月25日には19,825 US$/tにまで値を戻し、20,000 US$/tの大台に触れる勢いであった。しかしその後は欧州での債務危機の懸念が広まり、11月1日に19,000 US$/tを割り込んだ後は、18,000 US$/t台を弱含みで展開した。11月15日に18,000 US$/tを割り込み、市場での好材料がないまま、若干の揺り戻しはあったものの総じて下落傾向は続き、11月30日には16,935 US$/tにまで値を下げ、年初来最安値となった。過度の下落に対する警戒感から、12月には価格反発し、12月6日には18,000 US$/tにまで回復した。その後価格は、18,000 US$/tラインを攻防する動きが続き、18,280 US$/tで2011年の取引を終えた。
2012年に入り、欧州での債務危機の懸念が後退し、中国での予想を上回る景況感を受け、価格は上昇局面に入り、2月8日には21,830 US$/tにまで値を上げ、2011年9月以来の高値を付けた。しかしながらその後は、中国経済の鈍化予想から、18,000 US$/t台半ばで揉み合う形が目立ち、3月28日には2011年12月29日以来の18,000 US$/t割れをし、3月29日には17,405 US$/tにまで下げ、2012年4月下旬までの年初来最安値を付けた。
この期間の在庫は概ね90,000 t前後で推移していたが、2012年4月以降100,000 tの大台を超え、2012年4月末時点では在庫は上昇局面に入っている。
図1. ニッケル価格推移(出典LMEホームページ)
2. 各委員会における講演
2-1. 第36回産業諮問委員会(2012年4月23日14:30~17:00)
① 講演『ニッケル市場の見通し』(CRU社、Nikhil Shah氏)
ここ半年間のニッケル価格は非常に変動が激しく、2011年11月30日に年初来最安値16,935 US$/tをつけた後、2012年に入り価格は急激に反発し、2012年2月8日には年初来最高値21,830 US$/tをつけた。その後は再び反落し、2012年4月は18,000 US$/t前後で推移している。2012年に入り、主に中国のニッケル輸入量落ち込みを受け、ニッケル市場は供給過剰の状態が続いている。
ステンレスの生産は2010年以降堅調に拡大しており、中国でのステンレス生産拡大に影響される形で、2016年まではこの傾向が続くと見込まれる。2012年のステンレス生産量は対前年比2.8%の増加が見込まれている。ステンレスの主流である300系ステンレス(ニッケルを8~9%添加)は、2006年から2008年にかけて生産が減少し、ステンレス生産の中での割合が70%から60%に一時急速に低下した。近年は60%台で推移している。2012年のニッケル需要は、対前年比3.6%の上昇が見込まれている。
2016年までの世界のニッケル消費量は拡大が予測されているが、これは主に中国の消費増の負うところが大きい(図2参照)。中国を除いた世界の消費量は、横ばいか微増程度で推移すると見込まれている。
図2. 世界のニッケル消費量推移の予測(出典:講演資料)
供給面について見てみると、2012年前後のタイミングで、AmbatovyプロジェクトやRavensthorpeプロジェクトなど複数の大規模プロジェクトが生産開始を迎える予定である(図3参照)。この結果、2012年及び2013年は供給過剰が予測されるが、その後、新規の大規模プロジェクトの立ち上がりが少なくなるため、2014年以降は需給がタイトになる見込みである。
図3. 今後の生産開始予定プロジェクト(出典:講演資料)
また、生産コストについてみると近年は上昇傾向にある。硫酸やアンモニア等副原料の価格は2009年以来上昇傾向にあり、また、人件費の上昇や輸出税の増化なども価格に影響している。
以上のような要因を踏まえ今後のニッケル価格を予測すると、2012年に一旦下落するものの、2013年以降緩やかに回復し、2015年では25,000 US$/tにまで近づいていくと予想される。
② 講演『ステンレススクラップの状況』(Heinz H. Pariser社、Heinz H.Pariser氏、Gerhard C. Pariser氏)
ステンレスメーカー各社の売上高利益率を見てみると、各社平均の売上高利益率は1.8%であるが、JindalやTISCO、POSCOなどのアジア勢は平均よりも高い。例えば、Jindalの売上高利益率は13%、TISCOは8%、POSCOは7%となっている。他方、欧州のステンレスメーカーは苦戦を強いられ、ThyssenkruppやOutokumpuなど売上高利益率がマイナスの会社も多い。ステンレス生産のような大企業の方が有利に働く傾向がある。
ステンレススクラップを発生源別に分けると、内部スクラップ(Internal Scrap)と外部スクラップ(External Scrap)に大別することができる。前者は、ステンレスの生産・加工段階で発生するスクラップであり、原料として自家消費されるため、市場に出回ることはない。後者は一般的に市場に出回るスクラップであり、いわゆる混合スクラップも含まれる。
外部スクラップの市場は、これまで年8%の勢いで成長してきたが、今後、ステンレス生産の主役が欧米から中国やインドにシフトするに伴い、市場の成長率は5%に減速することが予想される。これは中国ではステンレススクラップよりニッケル銑鉄が利用されることが多く、ステンレススクラップの利用率が欧米より低いことによる。
③ 講演『中国のニッケル銑鉄市場について』(INSG Chief Statistician 、Sven Tollin氏)
欧州での債務問題や日本での震災等により、2011年の世界経済は低成長を余儀なくされたが、中国は依然として高成長を記録している。中国の第12次五カ年計画(2010~2015)では、持続可能な成長に向けたインフレ抑制努力に中国政府が取り組むことが明記され、GDPの目標成長率は近年の9%前後からやや減速させ、7.5%に設定された。
2010年の中国における非鉄金属の生産量は対2009年比で19.8%増の高成長を遂げたが、2011年は世界経済の低迷を受け、8.8%の増加率にとどまった。インフラや住宅建設、環境保護、省エネ等、政府による経済政策の効果が2012年に徐々に現れ、非鉄金属の生産量も回復の兆しが見られる。
2011年のニッケル市場は、それまでの供給不足から一転し、供給過剰となったが、その原因としては、欧州でのユーロ危機の影響でステンレスメーカーが生産を減らしたこと、中国でのニッケル銑鉄の生産が2010年の204.9千tから37.8%増加し、282.4千tにまで拡大したこと、長期化したVoisey’s Bay鉱山(カナダ)でのストライキが終結し、生産が再開されたこと、などが挙げられる。
ニッケル市場の特徴としては寡占化が挙げられ、5大サプライヤー(Norilsk、Vale、BHP Billiton、Xstrata Nickel、金川集団)が2008年には7割近くのシェアを占めていた。中国でのニッケル銑鉄生産は2008年の80千t前後から2011年には280千tへ拡大し、この結果、5大サプライヤーのシェアは2011年では54%にまで下がり、寡占状況の緩和に寄与した。
ステンレスの生産について見ると、世界のステンレス生産量は2010年以降、過去最高を記録しているが、成長のスピードは鈍化している。2011年の世界のステンレス生産量は32,100千tであったが、対前年比の伸び率は4.5%となり、2010年の対前年比伸び率24.9%と比べると大幅に減速していることがわかる。うち中国の生産量は39.3%のシェアを占めている。
中国のニッケル銑鉄市場の特徴としては以下の点が挙げられる。まず、2010年H2にニッケル銑鉄の大規模プラントが中国国内で完成したことを受け、2011年の中国でのニッケル銑鉄生産量は282.4千tとなり、中国におけるニッケル原料ソースの半分以上を占めるまでに至った。また、インドネシアやフィリピンでの鉱石輸出の制限措置に対処するため、ニッケル銑鉄プラントを現地に建設する中国企業も見られる。最近のニッケル価格低迷により、ニッケル銑鉄プラントの拡張計画を凍結する企業も現れている。大手のステンレスメーカーの中には今後、コスト削減のため、自社でニッケル銑鉄製造ラインを設置する企業も現れると見込まれる。
ニッケル銑鉄とニッケル地金を比較した場合、まず、原料コストはニッケル銑鉄が優れている。また、製造コストも新技術の開発により、ニッケル銑鉄が優位といえる。しかしながら今後、政府の環境規制強化によって、環境負荷の大きいニッケル銑鉄の優位性は若干低下することも予想される。
中国のステンレスメーカーにおけるニッケル銑鉄の使用は2009年より見られ、2010年には一般的に普及した模様である。しかしながら2011年H2のニッケル価格下落により、ニッケル銑鉄の価格メリットが減じたことから、ニッケル銑鉄の利用率は最近低下傾向が見られる。
2-2. 第44回統計委員会(2012年4月24日9:00~12:00)
① 講演『ニッケル市場におけるファンドとファンダメンタルズの影響力』(Caxton、Austin Brown氏)
ニッケル市場におけるいわゆる「投機筋」には以下の3者が挙げられる。まず第1はヘッジファンドであり、市場が下降局面であっても収益を追求する「絶対収益」型であることが特徴である。ヘッジファンドは、需給の動きを分析し、実際の市場の動きを先読みして取引を行う。株式ロング・ショート戦略の投資手法により運用を行い、運用期間は通常1か月~2年、運用資産額は最大で2.2兆$と見積もられている。
次に挙げられるのが、コモディティ・トレーディング・アドバイザー(CTAs)であり、主にコンピュータープログラムによる定量分析を用いて市場を分析するため、投資判断に当たってファンダメンタルズは考慮しない場合が多い。
3つめはインデックス・ファンドと呼ばれるものであり、いくつかのコモディティを組み合わせて運用を行う。S&P500等の特定のインデックスと連動するため、運用成果はインデックスの動きで決まる。上記2者と比べると、市場に対しては受け身のスタンスといえる。一般的に長期の運用期間を想定している。
コモディティ市場での投機資金の流入はここ10年で急増している。2011年の見込みでは、約6,000億US$が投機資金としてコモディティ市場に流入する見込みである。投機筋は常に同じ取引をしている(例:全てのファンドがある市場では一斉に売りを展開している)訳ではなく、ファンドによっては逆の取引をしているケースも多い。LMEのブローカーの推測では、金属取引の50~75%は投資家間で行われており、市場の取引量増大に繋がっている。
ヘッジファンドが市場で運用する場合、需要家と同じようにファンダメンタルズに基づいて市場をウォッチしているが、これ以外にも、市場の構成や相対価値、出口戦略、ボラティリティ、投資家心理等に基づいて判断している。
ファンダメンタルズにおいて最も重要な指標は在庫水準であり、価格動向と在庫水準の関係を四半期毎に見た場合、55%の相関関係が得られる。ニッケル市場は世界のステンレス生産に大きく影響されるが、ニッケル価格とステンレス生産の関係は、最近、相関関係が弱くなってきている。これは中国でのニッケル銑鉄生産が影響している。
コモディティ市場での投機筋、特にヘッジファンドは、市場での価格是正効果を有する裁定取引を通じて潤沢な資金を市場に供給し、市場サイクルの短縮化、取引量の過不足を緩和することで、コモディティ市場で重要な役割を果たしている。コモディティ市場における投機筋の影響力は限定的であり、またLMEでの取引においても支配力を有している訳ではないので、現在のニッケル価格はファンダメンタルズを適切に反映していると言える。
2-3. 第29回環境経済委員会(2012年4月24日14:00~16:00)
① 講演『ニッケル業界における欧州化学物質規制(REACH)の影響』(Nickel Institute、France Capon氏)
EUのREACH委員会はREACH付属書XVⅡに基づくニッケル含有物に対する新たな規制を2012年3月1日より開始し、138種類のニッケル含有化合物が規制されることとなったが、実際にはこれらのうち23種が「中間物」あるいは「特定の需要家がいない物質」としてREACHに登録された。このことは今後、ニッケル含有化合物のEU需要家への販売は規制されるおそれがあることを示している。
Nickel InstituteとしてはREACHにおいてニッケル含有化合物の取引が過度に規制されないよう、ニッケルの安全性を周知するとともにREACH委員会に対し各種の働きかけをしており、このため現在のところ高懸念物質(SVHC)の候補リストにはニッケル含有化合物は掲載されていない。
3. INSG各委員会のプロジェクト進捗報告
産業アナリストからの講演発表の後、各委員会に関する活動内容報告、作業プログラムの動向と進行状況についての報告がなされた。特記事項のみ以下に報告する。
3-1. 統計委員会
① 現在進行中のプロジェクト
・ 2012年に「World Directory of Nickel Producing Facilities」を発行予定
・ ステンレスの情報をシェアするためISSF(国際ステンレスフォーラム)とのパートナーシップ強化
② 新規プロジェクト
・ 中国でのニッケル需要動向に係る情報収集(Chief Statisticianが中国を訪問予定)
・ 中国におけるニッケル銑鉄の生産状況に係る調査
3-2. 産業諮問委員会
特になし。
3-3. 経済環境委員会
① 現在進行中のプロジェクト
・ 副産物に係る調査を外部コンサルへ委託して実施(ILZSG、ICSGとの共同プロジェクト)。
・ リサイクルに関する調査
② 新規プロジェクト
・ ニッケルを使用したスーパーアロイについての調査
4. INSG総会(第22回)
本委員会では、常任委員会の役職者が以下のとおり選出された。
議長:Mr. Bard Dagestad(ノルウェー)
第一副議長:Mr. Francisco Chantes Guerra(キューバ)
第二副議長:Mr. John Kontos(ギリシャ)
5. 2012年秋季会合の日程
次回の国際ニッケル研究会は、2012年10月8日より10日までポルトガル・リスボンにて開催予定である。



