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2012年JOGMECリモートセンシング・競技会/セミナー/ワークショップ
JOGMECボツワナ・地質リモートセンシングセンターにおいて、「2012年JOGMECリモートセンシング・競技会/セミナー/ワークショップ (JOGMEC Remote Sensing Competition, Seminar and Workshop 2012)」が、2012年11月19日から30日までの2週間、南部アフリカ開発共同体(SADC:Southern Africa Development Committee)加盟国から9カ国、延べ約100名が参加して開催された。 本稿は、その概要を報告するものである。 |
はじめに
「2012年JOGMECリモートセンシング・競技会/セミナー/ワークショップ (JOGMEC Remote Sensing Competition, Seminar and Workshop 2012)」は、今年で4回目の開催となり、2011年からは、セミナー、ワークショップに競技会を加えた三部構成となっている。
競技会は、基礎研修を修了した国の技術者がその解析技術を競うことで相互に刺激し合い技術力を高めることを、セミナーはSADC加盟国間のリモートセンシングへの取組に関する情報交換の場を提供することを、ワークショップはリモートセンシング初心者を対象にSADC加盟国による鉱物資源探査へリモートセンシング技術の導入促進することを目的としている。
1.リモートセンシング・競技会
競技会は、2012年11月19日から26日までの8日間、JOGMECボツワナ地質リモートセンシングセンター(以下、リモセンセンター)解析室において、SADC加盟国から、ボツワナ、マラウイ、モザンビーク、ナミビア、スワジランド、タンザニアの6カ国の地質調査所から18名(2011年は4カ国12名)が参加して開催された。
今年のコンペティションは、①衛星画像解析の基礎技術の習熟度を競う共通課題と、②参加各国が解析対象地域や解析方法を独自に決めて総合的な解析技術を競う自由課題とによって競われた。
リモートセンシング・セミナーで行われた解析結果発表では質問など活発な議論が交わされ、リモートセンシング技術が各国技術者に浸透していることを示していた。
競技会の結果は、最優秀賞は昨年に続いてマラウイ、優秀賞は今年初参加のナミビア、技能賞はモザンビークであった。
![]() 最優秀賞:マラウイ |
![]() 衛星画像解析結果発表 |
![]() 優秀賞:ナミビア |
![]() 技能賞:モザンビーク |
写真1.リモートセンシング・競技会
2.リモートセンシング・セミナー
セミナーは、2012年11月26日、ボツワナ地質調査所大講堂において、SADC加盟国から、ボツワナ、マラウイ、モザンビーク、ナミビア、南アフリカ、スワジランド、タンザニア、ジンバブエの8カ国の地質調査所及び鉱山公社から32名が、また、小林在ボツワナ日本大使、在ボツワナ・モザンビーク大使、経済産業省、SADC事務局、JETRO南アフリカ事務所ほか在ヨハネスブルク日系商社など併せて60名以上が参加して開催された。
冒頭、小澤純夫 JOGMEC金属企画調査部長による開会の辞に続いて、日本側から小林弘裕 在ボツワナ日本国大使、安永裕幸 経済産業省資源エネルギー庁資源燃料部鉱物資源課長が、ボツワナ側からはBoikobo K.Paya鉱物エネルギー水資源省次官が挨拶を行った。
講演では、久保田博志 ボツワナ・地質リモートセンシングセンター所長による同センター事業の戦略及び2012年度までの5年間の事業成果報告に続き、参加8カ国の地質調査所の代表から各国のリモートセンシングへの取組み、特に、JOGMECとの現地調査を含む共同衛星画像解析事業、各国地質調査所が重点的に取り組んでいるテーマ、リモートセンシングやGIS技術の導入状況が報告された。各講演の後では技術的な内容を中心とした活発な意見交換が行われ、最後に、Tiyapo H.Ngwisanyiボツワナ地質調査所長が閉会の辞を述べて散会となった。
![]() セミナー参加者(ボツワナ地質調査所大講堂にて) |
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![]() セミナー会場 |
![]() セミナー質疑応答 |
写真2.リモートセンシング・セミナー
![]() Boikobo K. Paya 鉱物エネルギー水資源省次官 |
![]() 小林弘裕 在ボツワナ日本国大使 |
![]() 安永裕幸 経済産業省資源エネルギー庁鉱物資源課長 |
![]() Tiyapo H. Ngwisanyi ボツワナ地質調査所長 |
![]() 小澤純夫 JOGMEC金属企画調査部長 |
![]() 久保田博志 ボツワナ・地質リモートセンシングセンター所長 |
写真3.セミナー講演者
![]() ボツワナ |
![]() マラウイ |
![]() モザンビーク |
![]() ナミビア |
![]() 南アフリカ |
![]() スワジランド |
![]() タンザニア |
![]() ジンバブエ |
写真4.SADC各国のセミナー講演者
3.リモートセンシング・ワークショップ
ワークショップは、2012年11月27日から30日の4日間、ボツワナ大学構内において、独立行政法人 産業技術総合研究所 古宇田亮一博士を講師として、SADC加盟国から、ボツワナ、レソト、マラウイ、モザンビーク、ナミビア、南アフリカ、スワジランド、タンザニア、ジンバブエの9か国、17名が参加して開催された。
今回のワークショップでは、二つの新たな取組みが行われた。一つ目は、ワークショップの講師に、本プロジェクトの第一期研修員のBrisco L.Lesole氏(ボツワナ地質調査所;Department of Geology, Botswana)が加わったこと(既研修員が講師となることは、持続可能な人材育成、持続可能な発展を実現するための第一歩である)、二つ目は、研修環境を向上する(ハードウェアと解析ソフトウェアを一人一台とする)ためにボツワナ大学理学部環境学科及び地質学科(University of Botswana, Faculty of Science, Department of Environment, Department of Geology)の協力により同大学の施設を利用したことである。
![]() ワークショップ参加者(ボツワナ大学構内) |
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![]() ワークショップ講義・実習の様子 |
![]() 既研修員(ボツワナ)による指導 |
写真5.リモートセンシング・ワークショップ
4.ボツワナ・地質リモートセンシングセンター同窓会
リモセンセンター事業が2008年の開所以来、5年目の節目を迎え、その間に長期研修及び共同解析には8カ国、短期研修であるワークショップには12カ国、参加者は延べ200名を超えたことから、参加者間の技術と経験の交換の場として同窓会を開催した。
同窓会では、冒頭、各国参加者からリモセンセンター事業に対する感想・意見、今後の事業への期待等についてのスピーチが行われ、「リモセンセンターでの研修や共同解析、現地調査は貴重な経験であった」、「今後も共同解析を実施していきたい」、「研修を継続してもらいたい」等との意見が出された。また、事務局からは、同窓生の記念品として、同窓会員リストと参加者の写真をデザインした2013年カレンダーが配布された。
![]() 同窓会員リスト |
![]() ボツワナ |
![]() マラウイ |
![]() モザンビーク |
![]() ナミビア |
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![]() 2013年カレンダー |
![]() 南アフリカ |
![]() スワジランド |
![]() タンザニア |
![]() ジンバブエ |
写真6.同窓会
おわりに
2012年で4回目となった「JOGMECリモートセンシング・競技会/セミナー/ワークショップ」では、研修員による指導、ボツワナ大学との協同開催、同窓会の開催など新たな取組みを実施することとなったが、それ以上に、競技会における解析技術の高さ、セミナーにける活発な意見交換、ワークショップにおける積極的な取組など、南部アフリカ地域におけるリモセンセンター事業の定着とその成果を昨年以上に感じるものとなった。
