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カナダ・BC州の政権交代と鉱業政策への影響-2001年の政権交代が鉱業に与えた影響-
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カナダ・ブリティッシュ・コロンビア州(以下、BC州)では、2013年5月14日に州議会選挙が実施される。2012年11月22、23日にアンガス・リード社が行った世論調査1では、現政権であるクリスティ・クラーク首相率いるBC Liberal Party(以下、リベラル)の支持率は29%と、エイドリアン・ディックス氏率いる最大野党のBC New Democratic Party(以下、NDP)の47%に大きく差をつけられ、首位を奪われる結果となっている(その他の党の支持率はBC Conservativesが12%、BC Greensが9%)。 1990年代に与党であったNDPの政権奪回が予想される今、2001年の与野党交代時を振り返り、与野党交代前後の経済・鉱業政策を紹介し、当時鉱業にどのような変化がもたらされたかを概説する。 |
1. BC州2001年政権交代と経済背景
2001年のBC州総選挙において、ゴードン・キャンベル氏率いるリベラルは79議席中77議席を確保する歴史的な大差でNDPに圧勝した。
1990年代NDP政権時代の10年間は、BC州の経済にとっては「失われた10年」と表現される。この10年間において、カナダ全体の経済成長率と比較してBC州は、州民一人当たりのGDP成長率、実質国民所得成長率、そして事業投資成長率等でかなりの後れを記録しており、1999年時点においては、BC州民一人当たりの税引後所得額がカナダ国内平均額以下となり、以後、連邦政府から平準化交付金を支給されるに至った。BC州は「文無し」州<Have-not>と言う不名誉なステータスを与えられてしまった。
ここでNDP政権時代の1990年代とリベラル政権時代の2000年代のBC州経済状態を比較する。2

図1.BC州議会選挙議席獲得数の推移
1-1. GDP成長率
年間ベースで1人当たり平均実質GDP成長率を比較すると、1990年代のBC州の成長率はカナダ全体の成長率1.89%の約3分の1である0.65%の成長率にとどまる。
しかし、2000年代にはカナダ全体の成長率が0.82%であるのに対し、BC州は約1.5倍にあたる1.2%の成長率を記録している。

図2.カナダ全体とBC州の一人当たり平均実質GDP成長率
1-2. 実質国民所得成長率
1990年代と2000年代の年間ベース一人当たり実質国民所得成長率を比較すると、両年代ともカナダ全体平均を下回っているが、90年代は漸減傾向にあり、2000年代に入ると、カナダ全体成長率とほぼ同等となるように著しく増加を遂げている。

図3.カナダ全体とBC州の一人当たり実質国民所得成長率
1-3.事業投資成長率
次に、BC州での事業環境を検証するため、同じく1990年代と2000年代の平均事業投資成長率の比較を行う。
1990年代BC州の事業投資環境は深刻な危機にあったと言われる。特に90年代後半には、投資環境において国内で最悪の州であるという評価を受けていた。リベラル政権の2000年代を見てみると、BC州の事業投資成長率は5.33%とカナダ全体の2.78%と比較しておよそ倍にあたる成長率を記録している。

図4.カナダ全体とBC州の平均事業投資成長率
以上に見られるように、2001年の政権交代はBC州経済に歴史的な改善成果をもたらした。
2 “A decade by decade review of British Columbia’s Economic Performance” Business Council of British Columbia November 2012:表204のデータは全てこの資料を参照している。
2. NDP政権の経済政策、政権交代後の経済・鉱業政策改革
2-1. NDP政権の経済政策
1990年代のNDP政権の経済政策方針は、簡潔に以下のようにまとめられる。
・ 課税及び増税、条例をツールとした干渉主義的アプローチを導入。公金資金による企業財政援助(電気と雇用交換法(the Job for Power Act)3等)
・ 政府関連公共部門の増設奨励(Forest Renewal BC等)。大型公共プロジェクトへの政府介入、民営化イニシアティブを敬遠
・ 各組合団体組織と親密な関係を持ち、組合組織の利益や法的権力を守る事を目的とした労働法の制定(Industrial Relations Act等)
・ 90年代に一貫して実業界や多くの経済学者が減税と州税制改革の必要性を提唱するにも拘らず、BC州はAB州やON州等の他州が導入した減税を行わず、支出削減の為に連邦政府が行った公共部門の縮小案に追随する事に抵抗
・ 個人所有または政府所有の土地・資源開発をする際の厳しい法規制の導入。州定公園地域の増加
2-2. リベラル政権の経済・鉱業政策改革
2001年からリベラル政権が行った経済改革が、鉱業にどのような影響を与えたのか、1990年代のNDP政権時に鉱業関係者がBC州で事業を行う上での阻害要因として問題視していた事項を検証し、その後のリベラル政権が行った変革に焦点を当てる事にする。
カナダの公共政策シンクタンクのフレーザー・インスティチュートは、1997年度からカナダで鉱業を展開している企業を対象に毎年調査を実施し、その結果を発表している。調査の焦点は、探鉱投資を行う際にその投資地域の鉱物ポテンシャル及び管轄政府の政策、税金制度そして規制等を阻害要因の大小にてランキング付けを行い、投資環境を総合的に業界の目から判断する事にある。
ここでは1998年の調査結果を紹介し、その阻害要因に対して、BC州政府がどのような措置及び規制緩和を行ったのか検証する。
表1.カナダ各州及び準州で探鉱投資を行う際の阻害要因の強度1998年/1999年
| BC | AB | MB | NB | NL | NS | NWT | ON | QC | SK | YT | PE | |
| 税制 | 67% | 2% | 2% | 0% | 16% | 4% | 6% | 3% | 11% | 7% | 9% | 0% |
| 環境規制 | 76% | 0% | 2% | 0% | 16% | 10% | 19% | 5% | 4% | 2% | 15% | 27% |
| 二重規制と矛盾点 | 62% | 0% | 0% | 0% | 17% | 8% | 24% | 0% | 7% | 3% | 24% | 0% |
| 先住民土地の 所有権不明確度 |
84% | 10% | 14% | 24% | 48% | 12% | 33% | 15% | 13% | 11% | 35% | 21% |
| 環境保護区域の 不明確度 |
85% | 7% | 11% | 10% | 10% | 17% | 28% | 22% | 9% | 10% | 27% | 20% |
| 鉱物ポテンシャル | 64% | 58% | 87% | 67% | 73% | 43% | 94% | 96% | 93% | 72% | 87% | 8% |
| 労働法 | 46% | 0% | 2% | 0% | 4% | 3% | 9% | 0% | 9% | 0% | 6% | 0% |
| 交通インフラ整備 | 13% | 3% | 3% | 0% | 15% | 2% | 42% | 0% | 2% | 2% | 28% | 6% |
| 政策総合評価 (100点満点中) |
5 | 82 | 71 | 83 | 32 | 58 | 27 | 75 | 59 | 77 | 29 | 56 |
表1が示すように、BC州は1998年当時、税制、環境規制、土地利用そして労働法について他の州及び準州と比較すると、探鉱投資を行うにあたり阻害要因が著しく高く、鉱業政策面では非常に乏しい地域であるという調査結果が出ている。
ここでは、探鉱投資及び鉱業に影響を与えた、リベラル政権が押し進めた改革を上記の阻害要因別に「(1) 税制、(2) 環境・土地利用政策、(3) 先住民問題、(4) 規制改革と緩和・事務手続きの簡素化、(5) 労働法」に分けて記述する。
(1) 税制
NDP政権下にあった1991年から1998年の間、個人、事業、鉱業等を対象に様々な増税が実施された。BC州においては、1960年から現在までの間で1992年から2001年の間の法人税率が最高となっている。リベラル政権の税政策は、選挙公約である「大型」減税を実現するために積極的に取り組まれた。リベラル政権の大局的な経済政策の核心部であり、NDP時代に低迷してしまった鉱業の復興を目指すべく世界的に競争力のある税制改革を行っている。ここにその税政策を紹介する。
・ 90年代初期にNDP政権によって導入された非金融企業に対する法人資本税を2002年9月に廃止
・ BC州法人所得税率の引下げ(16.5%から13.5%へ、現在は10%)
・ 探鉱開発促進のため、新規税額控除(BCMFTS, BCMETC)を導入
・ 設備投資負担を軽減するため、鉱山用の重機器、機械に対する地方税7%を免除
2003年時の優遇措置のもとでは、BC州はQC州に続き2番目に優遇措置の多い州となっている。4
(2) 環境・土地利用政策
環境・土地利用問題はBC州の政治課題の中でも常に関心の高い分野であり、鉱業においても大きな問題となっている。NDP政権はいくつかの環境法を導入し、環境規制や取締りを強化した。さらに州全域に保護指定地や州指定公園を増やし、環境に関しては保護運動的なアプローチを進めた。
リベラル政権も環境・土地利用問題のほとんどに対して、慎重な取り組みを見せている。以下に挙げるのが、リベラル政権が行った環境・土地利用に関する新規導入・改善政策である。
① 環境・土地利用問題を担当する州政府機構の再編、二つの新省庁の設置
・ 水質・土地・大気保全省(Ministry of Water Land and Air Protection)
・ 持続可能性資源管理省(Ministry of Sustainable Resource Management)
② 探鉱と鉱山開発活動を活性化させ、鉱山開発投資を増加させるための2ゾーンシステム土地利用法規5の可決
・ 鉱業活動が可能な土地と不可能な保護地域を法律的に明確化
・ 土地へのアクセス権を明確化
・ 2002年時点ではBC州の総面積の85%以上で探鉱活動が許されている
③ Bill 54により、鉱物保有法(Mineral Tenure Act) Section 14に追加条項(5)を付加6
・ (5) 鉱床が下記の場所に存在しない限り、土地利用指定や土地利用方針が鉱山活動の登録所持者、許可所持者、または許可の承認保持者の鉱業の実施を妨げる事はできない。
(a) 環境及び土地利用法により鉱山活動が禁止されている地域
(b) 公園法、または公園地域法に基づいて指定された公園地域
(c) BC州保護地域法に基づいて定められた公園または保護地域
(d) 環境保護法に基づいて定められた環境保護地域
(e) 歴史的保護地域
また、リベラル政権は環境・土地利用政策そして先住民問題に関して、2005年1月に発表された「鉱山再生プラン」の4本柱の1つの重要政策課題として取り組んでいる。
① 2005年1月、エネルギー鉱山省鉱山部は「鉱山再生プラン」(Mining Plan)7を導入。鉱山再生プランの4本柱は以下のとおり。
・ 地域社会及び先住民との調和と支援体制の強化
・ 鉱山技術者と労働者、自然環境の保護の推進
・ 世界的な競争力の確保
・ 土地利用の促進
(3) 先住民問題
BC州の先住民問題は他州と比較して異なった特徴を持っている。BC州の先住民部族の大半がカナダ連邦政府とも、また1866年以降の英国政府とも条約を結んだ事がないと言う事である。BC州の先住民のほとんどは伝統的な土地や資源の権利を条約上手放した事がない。カナダの先住民権と先住民の条約上の権利は、1982年憲法制定法第35条により、「承認され、かつ、確認される」と宣言されている。この憲法上の条文により、政府は正当な理由無しには先住民権や先住民の条約上の権利を侵害してはならない。また、先住民グループの伝統的な土地の一部またはその可能性がある土地での経済開発は、事前に当事者先住民社会と協議を行い先住民の利益を考慮するよう政府に命じている。
1990年代の初頭、BC州政府及びカナダ連邦政府、そしてファースト・ネーション・サミットの傘下にある先住民の多くが、条約の近代化交渉を進める事に同意した。2000年代に入り、リベラル政権は一部の先住民部族との交渉を加速させており、鉱業開発においては、鉱山再生プランの4本柱の一つとして、重要課題と捉え、企業と共に交渉に臨んでいる。リベラル時代の交渉成功例としては次が挙げられる。
・ 2005年2月Tahltan Central CouncilとNovaGold社によるGalore Creek鉱山開発の合意書発表
(4) 規制改革と緩和・事務手続きの簡素化
リベラル政権は2001年の選挙公約において、第1任期中に各種規制の3分の1は撤廃すると約束した。当時のキャンベル首相は、規制緩和タスクフォース8を発足させ、2003年8月時点で、森林・エネルギー・鉱山省を中心としたBC州の経済の基本となる省庁を中心に57,000件の規制条項数を撤廃したとしている。
政府が規制緩和に対して明確な政治姿勢を示したことにより、森林・エネルギー・鉱山省や水質・土地・大気保全省において投資や経済発展を阻害する諸要因に対処する機運が高まった。さらに2003年4月には企業番号法が導入され、カナダ連邦政府との連携のもとで「統一企業番号」を設定し、複数の政府機関や複数レベルの政府に一元的に書類手続きを行うことができる環境を整えた。
探鉱・鉱業投資においては、2003年5月に「探鉱投資再生プラン」9を発表し、21億C$を探鉱投資復興政策に充て、その復興政策の1つとして、6月に鉱業タスクフォース10を設置した。鉱業タスクフォースの設置により、鉱物資源開発に関する各種法制度、政策及び事務手続きの見直し、BC州の鉱業復興につながる政策の検討を行った。
鉱業に関する主な法令の改定及び手続きの簡素化には、次の例が挙げられる。
① 鉱山所有権法改定(Mineral Tenure Amendment Act)
・ 2002年6月改定:探鉱許可の規制303項目の内6項目の規制緩和
② 鉱山法
・ 2003年3月改定:探鉱や開発作業開始に必要となる3種類の手続きを1つに統括・合理化
また、事務手続きをより簡素化し、迅速に進めるための改善点の例を次に挙げる。
① 情報公開11
・ MapPlace(Mapplace.ca)の開発(各種探鉱プロジェクト及び鉱山開発プロジェクトの情報を地図に織り込み、対話的にエネルギーと鉱山資源の評価に関する情報を検索する事が可能)
・ MINFILEの導入(BC州の非鉄金属、石炭、建設用の砂や砂利等を含むデータベース)
・ ARIS (Assessment Report Indexing System)の導入(1947年以降の鉱山活動を記録した鉱業界のレポートの一覧(地質・地形・地球科学・ボーリング等の情報を含む鉱床評価レポート)、MapPlaceを通じて無料でダウンロード可能)
② 鉱業権取得手続き
・ BCeIDの導入(鉱区申請時に必要なID番号)
・ Mineral Title Onlineの開設(鉱区申請をオンラインにて完了可能とするシステム。開設以前は申請対象の鉱区に実際に杭を打って証明)
・ FAST TRACK申請方法(エネルギー鉱山省の一括窓口化、手続の迅速化)
なお、鉱山開発プロセスの一番の難関と言われる環境アセスメントプロセスについては、過去NDP時代に多額の費用を投じた後に環境アセスメントが承認されず操業不可能となったプロジェクト(Windey Craggyプロジェクト12等)があった経験を踏まえ、環境保護とプロセスの合理化の2つの課題のバランスをとりながら達成する決意を鉱山再生プランにて述べている。
(5) 労働法
リベラル政権の掲げた雇用政策の改革の柱は、NDP政権時代の雇用主と被雇用者の非均衡な力関係を均衡化させる事であった。リベラル政権発足後2年間の大幅な改正の例を以下に挙げる。
・ 2001年7月改正:1990年代にNDP政権が導入した「組合員斡旋条項(Hiring Hall Requirement)」を廃止。労働組合と密接に関連していたNDP政権は、公共部門の調達や契約の規則を活用して、非組合企業が政府事業に参入する機会を制限し、労働組合の市場支配力の強化奨励を行っていた。その政策を否定する改革
・ 2001年5月の新政権発足前にNDP政権が通過させた「同一賃金」に関する法案を2002年初めに廃止
・ 2002年:経済界と密接な関わりを持つ者を労使委員会の新委員長として選出
・ 2002年5月改正:労働基準法を就業体制の柔軟化と雇用者のコスト削減を基本目的とし改正。一例としては、週40時間の労働時間基準数を最高4週間を通した週平均労働時間とするなど規定の柔軟化を実施
リベラル政権の行った雇用政策は、労働組合執行部と組合連合関連の政治団体からは強い反発を受けたが、鉱業界を含む全ての経済界に歓迎された。
以上が、1998年時に鉱業関係者から問題視されていた 探鉱投資を行う上での阻害要因に対するリベラル政権が行った主な改革である。
以下にリベラル政権発足から5年後となる2006年について、同じくフレーザー・インスティチュートが行った調査結果を記載する。
表2. カナダ各州及び準州で探鉱投資を行う際の阻害要因の強度2006年/2007年
| BC | AB | MB | NB | NL | NS | NV | NWT | ON | QC | SK | YT | |
| 税制 | 9% | 5% | 12% | 15% | 13% | 16% | 15% | 16% | 11% | 15% | 14% | 8% |
| 環境規制 | 18% | 8% | 12% | 15% | 10% | 6% | 22% | 32% | 10% | 9% | 14% | 14% |
| 二重規制と矛盾点 | 10% | 7% | 4% | 6% | 15% | 18% | 26% | 25% | 12% | 5% | 6% | 9% |
| 先住民土地の 所有権不明確度 |
40% | 6% | 10% | 12% | 19% | 16% | 31% | 37% | 20% | 7% | 13% | 15% |
| 環境保護区域の 不明確度 |
33% | 8% | 7% | 15% | 15% | 16% | 33% | 38% | 21% | 15% | 16% | 12% |
| 鉱物ポテンシャル | 63% | 80% | 77% | 60% | 72% | 49% | 64% | 64% | 86% | 93% | 70% | 76% |
| 労働法 | 8% | 0% | 0% | 0% | 6% | 4% | 11% | 7% | 3% | 0% | 3% | 0% |
| 交通インフラ整備 | 8% | 2% | 2% | 3% | 7% | 6% | 41% | 30% | 2% | 4% | 4% | 18% |
| 政策総合評価 (100点満点中) |
61 | 92 | 93 | 86 | 68 | 73 | 47 | 45 | 72 | 84 | 77 | 77 |
注:基本的に数値が高い=阻害要因が高い。鉱物ポテンシャルは、数値が高い=ポテンシャルが高い。最低ランキングは赤字で表示
表2に示されるようにリベラル政権発足後5年間で、BC州の探鉱投資の阻害要因にかなりの改善を見る事ができる。1997年にアンケート調査を始めてからBC州は、最初の2~3年の間、総合的な鉱業政策評価点にて最下位、もしくは最下位から2番目にランキングされていた。2003年を機に鉱業政策に改善が見られるようになり、ゆっくりではあるが鉱業界にも政府の政策改善に対する信頼が見られ、実際の政策改善の効果が現れている。2006年からは大幅な改善は見られなくなり、BC州の鉱業政策は安定化したと言えよう。
3 これは州内に投資するか雇用を維持するという約束と引き換えに、個々の企業に課す電気料金を低減するというものであり、明らかに特定の企業に補助金が支給される仕組みであった。
4 Restoring the British Columbia Mining Industry 2003
http://www.ralphsultanmla.ca/wp/wpcontent/uploads/2010/07/MTF9dec03_lor.pdf
5 http://www.empr.gov.bc.ca/Mining/Exploration/Documents/Two_Zone_Brochure.pdf
6 http://www.empr.gov.bc.ca/Mining/Exploration/Documents/Two_Zone_Brochure.pdf Legislation
7 http://www.pdac.ca/pdac/publications/na/pdf/050128-bc-mining-plan.pdf
8 http://www2.news.gov.bc.ca/archive/2001-2005/2002CSE0032-000460.htm
9 http://www.rockstorichesbc.com/R2R/docs/FieldWorkReport%202003.pdf
10 http://www.ralphsultanmla.ca/wp/wp-content/uploads/2010/07/MTF9dec03_lowres.pdf
11 MapPlace, Minfile ARISの開発は1990年代後半のNDP党政権終盤に行われていた
12 探鉱に際する初期開発及び5年を費やす環境アセスメントを実施したのち、BC州政府が環境アセスメント打ち切りを発表。後に開発会社に対して167百万C$の損害賠償金が支払われた。
3. BC州の鉱業分野における1997年からのデータ
最後にBC州の鉱業(石油及び天然ガスを含む)分野における2001年与野党交代前後の各種データ13を紹介する。

図5. BC州鉱業分野のGDP額推移)

図6. BC州鉱業分野への資本支出額推移

図7. BC州鉱業分野の総生産額推移
13 Statistics Canada North American Industry Classification System (NAICS)の21番 Mining and oil and gas extraction [21]にて調査
まとめ
以上のデータからもわかるように、2001年の与野党交代は、BC州の鉱業に大きな変化と繁栄をもたらしている。リベラル政権は2000年代に産業界と一体となり、州の鉱業界に世界的な競争力をつけ、鉱業界を活性化するため多大な努力を行ってきた。また、与野党交代同時期からの鉱業の好景気、中国の急激な経済成長という外部要因も繁栄要因に大きく貢献しているであろう。
総選挙を間近に控え、NDPも鉱業がBC州経済にとって非常に重要であると認識しており、多大な資本投資を必要とする鉱業に対し、安定したNDP政権であれば支援が可能であると述べるなど、鉱業関係者の支持を得ようとする動きが表面化している。
2013年の総選挙の動向が注目される中、NDPが政権を奪回したとしても上述の内容からも90年代のような経済・鉱業そして雇用政策を取る事はないであろう。ただし、環境政策については、NDPが従来よりリベラルに比べ厳しい政策を訴えていることもあり注意が必要であろう。今後、両党の公約やプラットフォームが注目されるところである。


