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報告書&レポート

2024年6月18日 金属企画部 調査課 岩﨑玲衣子
24-10

ベースメタル(銅・亜鉛・ニッケル)市況動向

2024年5月

<金属企画部調査課 岩﨑玲衣子 報告>

1.銅

2024年5月の豪BHPによる英Anglo Americanの買収提案の報道などにより、前月の銅価格は9,500.0US$/tを上回る高値圏まで達し、期初価格は9,791.0US$/tでスタートした。初旬は中国労働節によって薄商いとなり、ほぼ横ばいに推移した。さらに5月米連邦公開市場委員会(FOMC)を経ても、米連邦準備制度理事会(FRB)による金利引き下げ予測時期が不透明であることも重しとなった。

7日、労働節が終わり市場が再開すると、FastmarketsのTC Indexはわずかに上昇したものの依然3週間連続でマイナスと過去最低水準を示しており、銅精鉱供給の逼迫が示唆された。さらに、失業率や非農業部門雇用者数などが示唆する米国労働市場の悪化を受けて利下げの見通しが強まったことや、中国において精鉱輸入量が前年同月比8%増加するなど旺盛な産業活動が見込まれたことで、13日には10,000.0US$/tを超えた。14日、中国政府がインフラ投資の特別債権を一部売却するなど、不動産市場への景気刺激策を発表した。17日、中国国家統計局は4月鉱工業生産指数が前年同月比6.7%増と前月・市場予測をともに上回ったことを発表し、中国需要増加期待が価格を押し上げた。ファンダメンタルズの要因に加えて投機筋の動向も価格の上昇に拍車をかけた。消費者物価指数(CPI)などを始めとする米経済統計の悪化を受けて早期利下げ観測およびドル安が進行した。Chicago Mercantile Exchange(CME)ではショートスクイーズが発生するなどして価格が急騰し、LMEでも投機筋がショートカバーを迫られ、20日に10,857.0US$/tと2022年3月以来の史上最高値を更新した。

21日以降、前週の急激な価格高騰による利益確定売りが増加し、価格は反落した。また、BHPによるAnglo American買収が頓挫したことなどで銅の資産的魅力が低下しているという見方が強まったほか、最終用途セクターでは銅からアルミニウムへの代替が加速し実需が低下するという懸念も高まったことも価格を押し下げた。期末は、年初よりは上昇しているものの、9,985.0US$/tと10,000.0US$/tを割り込んだ。

図1.銅LME現物価格

図1.銅LME現物価格

2.亜鉛

亜鉛も銅価格に追随する値動きとなったが、供給懸念の緩和が価格の上昇を抑制した。期初価格は当月最安値2.835.0US$/tでスタートし、好調な中国経済動向などにより上旬は上昇した。一方、3日にBoliden社がアイルランドTara鉱山の操業再開計画を、13日にNyrstar社が蘭Budel製錬所を生産能力は縮小しつつも操業を再開することを発表し、需給懸念が緩んだことで上昇幅は抑えられたものの、21日には当年最高値3,093.0US$/tと2023年3月以来の3,000.0US$/t超えとなった。その後下落傾向となったが、期末は2,994.5US$/tと期を通して狭いレンジでの推移となった。

図2.亜鉛LME現物価格

図2.亜鉛LME現物価格

3.ニッケル

豪州でのニッケル事業の操業停止や、米国・英国の新たな制裁をきっかけとする露産品規制措置により、当年はやや上昇傾向が強く、期初は18,620.0US$/tでスタートした。中旬、ニューカレドニアで先住民の抗議活動を発端とする暴動が発生したことで供給懸念が高まり価格は急騰、21日に当年最高値21,275.0US$/tをつけ、8か月ぶりの高値となった。その後、この暴動の影響は限定的という見方が広まり下落し、期末は19,830.0US$/tで越月した。

図3.ニッケルLME現物価格

図3.ニッケルLME現物価格

表1.銅、亜鉛、ニッケルの月および年における始値、終値、最高値、最安値
亜鉛 ニッケル
LME現物(US$/t) LME現物(US$/t) LME現物(US$/t)
本報告期 期 初 9,791.00 2,835.00 18,620.00
期 末 9,985.00 2,994.50 19,830.00
最高値 10,857.00 3,093.00 21,275.00
5月20日 5月21日 5月21日
最安値 9,660.00 2,835.00 18,405.00
5月2日 5月1日 5月2日
平  均 10,129.07 2,955.69 19,520.00
先物(5月31日) 3か月 10,110.00 3,041.50 20,125.00
2024年(当年) 期初 8,430.00 2,607.00 16,600.00
期 末 9,985.00 2,994.50 19,830.00
最高値 10,857.00 3,093.00 21,275.00
5月20日 5月21日 5月21日
最安値 8,085.50 2,285.50 15,620.00
2月12日 2月14日 2月6日
平 均 8,985.28 2,607.47 17,492.33

おことわり:本レポートの内容は、必ずしも独立行政法人エネルギー・金属鉱物資源機構としての見解を示すものではありません。正確な情報をお届けするよう最大限の努力を行ってはおりますが、本レポートの内容に誤りのある可能性もあります。本レポートに基づきとられた行動の帰結につき、独立行政法人エネルギー・金属鉱物資源機構及びレポート執筆者は何らの責めを負いかねます。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、独立行政法人エネルギー・金属鉱物資源機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。

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