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報告書&レポート

2024年7月26日 金属企画部 調査課 岩﨑玲衣子
24-15

ベースメタル(銅・亜鉛・ニッケル)市況動向2024年6月

<金属企画部調査課 岩﨑玲衣子 報告>

1.銅

Chicago Mercantile Exchange(CME)のショートスクイーズと軟調な米ドルにより前月に史上最高値を付け、当月の価格も9,985.5US$/tと10,000US$/tに近い高水準でスタートした。一方当月に入って、投機的な動きが落ち着き始め市場の注目が弱気なファンダメンタルズに戻ったことで期初価格が当月最高値となり、期を通して下落基調が見られた。米国の利下げ予想時期が延期されたことでドル高に振れたほか、中国における在庫余剰実態が重しとなった。

中国では、5月工業生産の伸び率が前年同月5.6%増と前月から鈍化するなど、不動産・インフラ・再生可能エネルギー部門を始めあらゆる部門で需要不振が続いている。5月製造業購買担当者景気指数(PMI)が49.5と予想を下回り、電線など下流メーカーの生産が伸び悩んでいるにも関わらず、製錬所の生産は好調であり、また長期契約によって5月地金輸入量は前月比13.5%増となった。その結果、SHFE在庫は前年同期比で4倍以上となり、LME在庫も前月比で1.5倍近くなっている。

一方、長期的な供給懸念が下落を抑制した。チリの4月地金生産量は2か月連続で減産し、年間ベースでも依然振るわない見込みとなった。ペルーでもQuellaveco銅鉱山拡張により増産しているものの、Antamina、Antapaccay、Marcona銅鉱山などの既存鉱山は前年比で8.6%減産した。さらにブラジルではSossego銅鉱山が操業許可の問題を巡って停止するなどしており、既存プロジェクトの減産や新規プロジェクトの遅滞により将来的な供給が需要増加に追い付かないと見込まれている。

期末は9,476.5US$/tと下落はしたものの、下落幅は500.0US$/t程度に抑えられた。

図1.銅LME現物価格

図1.銅LME現物価格

2.亜鉛

期初価格は2,929.0US$/tと当月最高値でスタートし、銅と同様に弱気なファンダメンタルズにより上昇が抑制されたことでほぼ横ばいの推移となった。堅調な欧州自動車市場によりEUの5月製造業PMIは47.3と前月より改善したものの、未だ50を下回っており依然として縮小傾向にある。また独Nordenham製錬所および蘭Budel製錬所が操業再開したほか、ノルウェーOdda製錬所の拡張も行われ、需給バランスの緩和が見込まれた。11日に当月最安値2,727.0US$/tまで下落したものの、期末は2,919.5US$/tと2,800.0US$/t付近に張り付いている。

図2.亜鉛LME現物価格

図2.亜鉛LME現物価格

3.ニッケル

前月は、ニューカレドニアにおける政治的抗議の影響による供給懸念や、エネルギー転換による需要増大への楽観的な期待により9か月ぶりの高値となる21,000.0US$/tを超え、期初も当月最高値19,325.0US$/tでスタートした。その後、中国景気の低迷や米国金利高止まりが見込まれたことで、月初めの2週間で10%以上下落した。

欧州中央銀行(ECB)が約5年ぶりに利下げを発表したことや、ニューカレドニアの生産が停止したままであること、インドネシアがフェロニッケルおよびNPI生産工場の許可を一部取り消すなど、上昇支援材料の報道があったにも関わらず、この下落傾向は起こった。背景として、LME在庫が週間ベースで4年ぶりの高水準に達するなど市場に供給過剰感がある中で、投機筋の楽観的な見方が続かず、買いポジションを清算したためという見方が強く、銅・亜鉛と比べて最大の価格変化があった。

27日に当月最安値16,835.0US$/t、期末は16,960.0US$/tと再び20,000.0US$/tを下回る水準で越月した。

図3.ニッケルLME現物価格

図3.ニッケルLME現物価格

表1.銅、亜鉛、ニッケルの月および年における始値、終値、最高値、最安値
亜鉛 ニッケル
LME現物(US$/t) LME現物(US$/t) LME現物(US$/t)
本報告期 期 初 9,985.50 2,929.00 19,325.00
期 末 9,476.50 2,919.50 16,960.00
最高値 9,985.50 2,929.00 19,325.00
6月3日 6月3日 6月3日
最安値 9,420.00 2,727.00 16,835.00
6月26日 6月11日 6月27日
平 均 9,641.60 2,812.85 17,508.25
先物(6月28日) 3か月 9,625.00 2,976.00 17,270.00
2024年 期 初 8,430.00 2,607.00 16,600.00
(当年) 期 末 9,476.50 2,919.50 16,960.00
最高値 10,857.00 3,093.00 21,275.00
5月20日 5月21日 5月21日
最安値 8,085.50 2,285.50 15,620.00
2月12日 2月14日 2月6日
平 均 9,090.29 2,640.33 17,494.88

おことわり:本レポートの内容は、必ずしも独立行政法人エネルギー・金属鉱物資源機構としての見解を示すものではありません。正確な情報をお届けするよう最大限の努力を行ってはおりますが、本レポートの内容に誤りのある可能性もあります。本レポートに基づきとられた行動の帰結につき、独立行政法人エネルギー・金属鉱物資源機構及びレポート執筆者は何らの責めを負いかねます。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、独立行政法人エネルギー・金属鉱物資源機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。

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