報告書&レポート
非鉄金属市況と需給動向 2016年10月
■ベースメタル
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■貴金属
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米国経済10月の製造業PMIは53.4(前月51.5)。11/4労働省発表の10月非農業部門雇用者数は前月比+16.1万人(前月:+15.6万人)と市場予想の+17.5万人を下回った。失業率は4.9%(前月:5.0%)に低下し、低水準を維持した。 中国経済10月製造業PMIは、国家統計局発表が51.2(前月:50.4)、財新/Markit発表の速報値も51.2(前月:50.1)と市場予測を大きく上回った。 欧州経済10月製造業PMIは53.5(前月:52.6)と上昇し、2014年1月以来の高水準となった。 |
米の景気失速懸念・中国リスクで4,600US$台前半まで下げるも下旬はLME在庫減少等で回復
■LME価格
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②米の景気失速と中国リスクへの懸念:7日発表された9月の米国雇用統計が市場予想を下回り、ドル安に振れたことで10日は反発。12日まで小幅ながら続伸し、4,800US$台を一時回復するも、13日以降は中国の景気減速が意識され20日まで5営業日連続で続落。21日からはドル高も加わり、24日には4,620.5US$/tの月中安値。 ③LME在庫減少とドル軟化で反発:24日発表されたユーロ圏PMIの改善と25日からのドル軟化に支えられ、25日には4,700US$台回復(4,720US$/t)。月末にかけてLME在庫減少や好調な米国GDP等を好感し、4,800US$台に復し越月(10月31日:4,827.5US$/t)。 |
■需給動向
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2,400US$/tを下回るレンジで軟調な値動き続くも、5年ぶり高値を更新
■LME価格
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②Antamina鉱山増産による供給不足懸念緩和:10日、亜鉛生産量世界5位の規模のペルー・Antamina同亜鉛鉱山(BHPB、Glencore、Teck、三菱商事)が2017年の亜鉛生産量を倍増させる計画を発表(+18万t/y)、供給不足懸念が緩和し下落した。 ③中国の景気回復への期待:10月半ばは、中国の経済指標悪化などで値を下げたもののその後同国の追加景気刺激策に対する期待が高まり上昇基調を取り戻した。 ④LME在庫キャンセル増加:10月下旬、亜鉛在庫を最も多く抱える米国ニューオーリンズ倉庫で3万tがキャンセルワラントとなったことが支援材料となった。中国でも4月以降在庫減少傾向であり、亜鉛の供給不足が再び意識された。 |
■需給動向
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インドネシア鉱石禁輸維持と米中経済成長への期待感から10,500US$超える
■LME価格
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②中国経済成長に対する先行き懸念:9月貿易統計において銅の輸出入が予想を下回る内容であり、また19日に発表された中国9月鉱工業生産の伸び率が予想及び前月数値を下回ったことから、10月中旬は同国経済成長への不安感が高まり下落。 ③中国・米国の経済成長に対する期待の高まり:10月下旬は、中国住宅価格の上昇などを背景に、同国の経済成長に対する期待が再燃。また、28日に発表された米国・第3四半期のGDPが市場予想を上回り前期比2.9%増だったことから、米国の堅調な経済成長も意識され、世界の需要が伸びるとの見方が広がり上昇。 |
■需給動向
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米国大統領選の先行き不透明感、小幅な値動き続く
■金
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②米国大統領選に対する警戒:10月半ば以降は小康状態が続いた。10月下旬以降は米国大統領選(11/8投票)が間近に迫り、クリントン氏とトランプ氏の一騎打ちが混戦模様であることから先行き不透明感が広がったほか、米国の利上げのタイミングに対する警戒感から様子見ムードとなり、横ばい推移した。 |
■プラチナ・パラジウム
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②米国大統領選に対する期待:金と比較して産業用途割合が高いプラチナ・パラジウムは、米国の景気回復動向にも左右されやすい。クリントン氏が大統領選に勝利し、景気回復が進みプラチナ需要が高まるとの期待が高まったことが価格を下支えした。 |
| 銅 LME現物 (US$/t) |
亜鉛 LME現物 (US$/t) |
ニッケル LME現物 (US$/t) |
金 AM・PM平均 (US$/oz) |
プラチナ AM・PM平均 (US$/oz) |
パラジウム AM・PM平均 (US$/oz) |
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|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 本報告期 | 期初 | 4,807.0 | 2,369.5 | 10,190.0 | 1,316.0 | 1,016.5 | 708.0 |
| 直近 | 4,827.5 | 2,418.5 | 10,550.0 | 1,273.1 | 977.5 | 613.5 | |
| 最高値 | 4,827.5 | 2,418.5 | 10,575.0 | 1,316.0 | 1,016.5 | 708.0 | |
| 10月31日 | 10月31日 | 10月12日 | 10月3日 | 10月3日 | 10月4日 | ||
| 最安値 | 4,620.5 | 2,230.0 | 9,970.0 | 1,253.7 | 926.5 | 613.5 | |
| 10月24日 | 10月13日 | 10月5日 | 10月17日 | 10月21日 | 10月31日 | ||
| 平均 | 4,732.1 | 2,314.1 | 10,266.4 | 1,267.8 | 959.6 | 649.5 | |
| 先物 (10月31日) |
3か月 | 4,842.0 | 2,414.0 | 10,600.0 | - | - | - |
| 12か月 | 4,880.0 | 2,420.0 | 10,770.0 | - | - | - | |
| 24か月 | 4,910.0 | 2,380.0 | 10,895.0 | - | - | - | |
| 2016年 (当年) |
期初 | 4,645.0 | 1,600.0 | 8,515.0 | 1,077.5 | 885.5 | 550 |
| 直近 | 4,827.5 | 2,418.5 | 10,550.0 | 1,273.1 | 977.5 | 613.5 | |
| 最高値 | 5,103.0 | 2,418.5 | 10,900.0 | 1,361.7 | 1,179.5 | 730.5 | |
| 3月18日 | 10月31日 | 8月10日 | 8月3日 | 8月10日 | 8月10日 | ||
| 最安値 | 4,310.5 | 1,453.5 | 7,710.0 | 1,077.5 | 815.5 | 467.5 | |
| 1月15日 | 1月12日 | 2月11日 | 1月4日 | 1月21日 | 1月12日 | ||
| 平均 | 4,726.2 | 1,965.2 | 9,234.3 | 1,260.2 | 1,002.4 | 592.8 | |
| 2015年 (前年) |
期初 | 6,309.00 | 2,183.50 | 14,880.00 | 1,193.60 | 1,108.00 | 775 |
| 期末 | 4,702.0 | 1,600.0 | 8,665.0 | 1,062.3 | 872 | 547 | |
| 最高値 | 6,448.0 | 2,405.0 | 15,455.0 | 1,294.1 | 1,283.0 | 829 | |
| 5月12日 | 5月6日 | 1月7日 | 1月23日 | 1月21日 | 3月5日 | ||
| 最安値 | 4,515.5 | 1,487.0 | 8,160.0 | 1,053 | 830 | 528 | |
| 11月23日 | 11月19日 | 11月23日 | 12月3日 | 11月30日 | 12月3日 | ||
| 平均 | 5,493.6 | 1,927.9 | 11,806.4 | 1,159.2 | 1,052.1 | 690.1 | |



当該期間、銅は4,807US$/tでスタートし、米国や中国の経済動向に下押しされ下落傾向、24日には4,620.5US$/tまで値を下げたところ、その後LME在庫が減少したこと等を下支えに上昇傾向へ転じ4,827.5US$/tで越月した。亜鉛は月初に2,400US$/tを超える5年ぶりの高値を付けた後は軟調な値動きが続いたが、下旬に入ると再び上昇基調を取り戻し、2,418.5US$/tの高値で10月の取引を終えた。ニッケルは、5日に9,970US $/tの安値を付けたが、インドネシア鉱業法改正の動向を支援材料に上昇傾向を辿った。その後中国経済の成長鈍化懸念により軟調に推移したが、下旬は価格を回復させ月末終値は10,550US$/tとなった。
金価格は中国市場の休場やドル高傾向等により下落傾向が続いた。9月は1,300US$/ozを上回る高値で推移していたところ10月4日には1,300US$/ozを割り込んだ。10月後半は横ばい推移し、1,273.1US$/ozで越月した。プラチナは、軟調な金の値動きにつられたことに加え、南アの労使交渉妥結で供給懸念緩和し下落基調を辿った。21日には926.5US$/ozの安値をつけたが、その後供給懸念と需要拡大の期待から上昇に転じた。パラジウムは当該期間708US$/ozでスタート、価格下落が続き、31日には613.5US$/ozと3ヵ月半ぶりの安値をつけた。
①
国際銅研究会(秋季)の予測では2016年はほぼバランス(供給<需要、8千t)。2017年は供給>需要、163千t。
①
国際鉛亜鉛研究会(秋季)の予測では2016年は34.9万tの供給不足、2017年は24.8万tの供給不足。
①
国際ニッケル研究会(秋季)の予測では2016年は6.7万tの供給不足、2017年は6.6万tの供給不足。
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