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報告書&レポート

2022年1月25日 金属企画部 調査課 笹井秀起
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2021年Biden政権成立後の米国レアアース関連動向

<金属企画部調査課 笹井秀起 報告>

はじめに

2010年12月、中国のレアアース輸出関税の暫定税率引き上げが契機となって、中国産レアアースの価格が急騰した。この価格の上昇トレンドは2011年4月、「希土企業の環境保護状況検査実施に関する通知」等の規制強化による生産拠点の一部停止、そして輸出枠減少及び希土企業再編に煽られる形となって、「レアアース・ショック」として一般のマスコミなどでも取り上げられた。しかしながら、周知のように、この急激な上昇トレンドは続かなかった。これは、廉価な中国産レアアースのため操業を停止していたプロジェクトが再開を模索し供給先の多角化が期待されたことや、製品製造にレアアースを用いない技術(レアアースフリー技術)の進展により需要量が減少したこと等に起因する。中国による輸出数量制限及び輸出税の賦課について、WTOパネル審査(第1審)が2014年3月に日米欧の主張を全面的に認め、同年8月、WTO上級委員会が輸出規制について協定違反と裁定したことで中国側の敗訴が確定する。これにより、将来的な輸出制限への懸念が払しょくされレアアース価格は下落トレンドとなった。

しかし昨今では、大きなトレンドとして、電動自動車(EV)及び洋上風力発電などのグリーンテクノロジーに活用されるレアアース磁石の将来的な需要の上昇が見込まれている。特に直近では、新型コロナウイルス感染症パンデミック後の経済好調で、エアコンなどの耐久消費財用途の需要が堅調となっている。これら需要面の動きの加えて、供給面では2021年7月、中国政府が重希土の産地であるミャンマーと雲南省騰沖国境を封鎖したことによって需給ギャップが高まり、レアアース価格は俄かに上昇の兆しをみせた。

本稿では、2021年1月に誕生した米Biden政権成立後に、高まるレアアース需要に対して講じられた関連政策や動向について紹介する。米国地質調査所(USGS)によると、米国は2019年時点でレアアース化合物及び金属の輸入先として中国に約80%1を依存している。Trump政権下で署名された大統領令13817号2に基づいて、2018年に内務長官(The Secretary of the Interior)は、レアアースを含めた35の鉱物を重要鉱物(Critical Minerals)として特定した3。同年には、国防総省(Department of Defense:DOD)が、中国による価格競争相手の排斥を目的とした戦略的な市場寡占化に懸念を示すレポート4を発行している。これにより、上記の「脱炭素化」の用途のみならず、精密誘導ミサイルや高性能爆弾などの軍事機器向けの永久磁石原料であるレアアースは、国家安全保障上の課題として位置付けられることとなった。

Trump前大統領は、2020年9月に大統領令13953号5に署名しており、重要鉱物について敵対勢力へ依存している国内鉱業の状況に関して、国家緊急事態法(the National Emergencies Act)に基づいて国家緊急事態を宣言した。併せて35の重要鉱物のうち31種類について、国内消費量のうち約半分を外国からの供給に依存している状況に対する懸念が示され、米国にとって生産フローの構築が急務であることが明らかとなった。本稿では、最初に米国のレアアース鉱石生産量及びレアアースプロジェクトの概要を紹介する。

1.米国におけるレアアース鉱石生産量の推移

図1のとおり、各国のレアアース鉱石生産量は、酸化物換算で2018年190千t、2019年220千t、2020年240千tと経年的に増加傾向にある。2020年は新型コロナウイルス感染症パンデミックによる影響で、主要産出国においてはロックダウン等の行動規制があったものの、豪州を除いて生産量は増加した。1960年代半ば~1990年代初頭まで、米国は世界最大のレアアース生産国に位置付けられ、その全量はCA州Mountain Passにて生産されていた。1980年代になると中国国内のプロジェクトが本格的に操業を開始し、現在に至るまで廉価な中国産レアアースが市場を寡占している。

また、ネオジム鉄ボロン磁石に添加されるジスプロシウム、テルビウムなどの重希土に関しては、中国南部に分布するイオン吸着鉱に偏在している。2010年設立の米Molycorp社により操業を再開したMountain Passを含めて、2010年代から軽希土の供給先は多角化しているが、依然として重希土の供給先に関しては中国に依存している。

上述の中国の輸出規制へのWTO裁定に端を発したレアアース価格の下落に伴い、Molycorp社は2015年に破産した。長らく操業再開を模索していた同プロジェクトは、MP Materials社が引き継いで2017年に操業を開始しており、米国産のレアアース鉱石に関しては、2018年18千t、2019年28千t、2020年38千tと段階的に増産している。

なお、米国地質調査所の発表によると、生産量と輸入量の合計から輸出量を引いた2020年における米国のレアアース消費量(見かけ数量としての概算)は、7.8千tと前年11.7千tから大きく減少している6

図1.世界のレアアース鉱石生産量推移

図1.世界のレアアース鉱石生産量推移

※酸化物(REO)換算量
出典:米国地質調査所公表資料よりJOGMEC作成7

2.米国のレアアース生産フローの概要

2021年は、レアアース価格が例年と比べ上昇トレンドを形成していることから、各レアアースプロジェクトは動きの多い年となった。本稿では、最初に米国におけるレアアース生産フローとして、稼働中・計画中のプロジェクト概要及び最新の動向を紹介する。なお、2021年12月時点の主要プロジェクトにおける生産フロー概要は、図2のとおりである。

ネオジム鉄ボロン磁石の生産フローは、図2のとおり、鉱石からレアアース酸化物を分離・精製して溶融塩電解炉で還元することでレアアース金属が生産される。レアアース磁石の中間製品となる合金は、レアアース金属に鉄、コバルトなどを添加し真空溶解炉において溶解することで製造される。米国においては、前段の分離・精製のための処理場がないことから、国内で生産されるレアアース精鉱のほぼ全量が中国の分離・精製工場にて酸化物となる。

図2.米国のレアアース生産フロー概要

図2.米国のレアアース生産フロー概要

※グレー塗りつぶし箇所は本稿作成時点において計画段階であり実現可能性は不明
出典:各社公表資料よりJOGMEC作成8

米国のレアアース磁石生産のフローは中国に大きく依存しており、自国内での生産フローの構築が検討されている。2021年において主要なレアアース生産者であったMP Materials社は、レアアース磁石生産のためにMountain Pass内での分離・精製処理場の建設を計画しているほか、TX州でのメタル・合金の生産計画を発表している。その他、Energy Fuels社のWhite Mesa Millにおいて、天然モナズ砂から混合レアアース炭酸塩(mixed REE carbonate)の生産が開始されており、生産フローの多角化が進展しつつある。なお、図2中のNioCorp Developments社は、ニオブ、スカンジウム、チタンを生産する計画となっているが、磁石原料となるネオジム等の生産検討を発表している。以下にて、各社プロジェクトの概要を紹介する。

(1)MP Materials社

NV州Las Vegasに本社を置くMP Materials社は、西半球で最大規模のカーボナタイト鉱床のレアアース鉱山であるMountain Passを所有している。同社によると、2020年時点で、世界におけるレアアース年間消費量の約15%相当の精鉱を生産している9。完全子会社の位置付けにあり有限責任会社(Limited Liability Company:LLC)であるMP Mine Operations社が2017年にMountain Pass及び周辺処理施設を取得しており、同じく完全子会社であるSecure Natural Resources社が鉱業権及び関連する知財権を保有している。

また、同社は2020年11月17日時点で特別買収目的会社(SPAC)であるFortress Value Acquisition社との企業結合(Business Combination)を完了しており、翌18日よりNY証券取引所に上場している10

Mountain Passは、CA州の露天掘り鉱山であり、1952年よりレアアース生産を開始し1990年代には世界最大規模の生産量を誇った。停止期間を経て2017年よりオペレーションを再開し、現在は米国唯一の選鉱施設を有する鉱山として、レアアース精鉱を生産している。2020年時点の確認鉱量と推定鉱量、及び採掘対象となるバストネサイトの各元素推定量は、図3及び表1のとおりである。採掘年数(マインライフ)は24年で、カットオフ品位はTREO 3.83%となっている。

表1.Mountain Passの確認鉱量・推定鉱量
確認鉱量 推定鉱量
平均品位 8.19% 7.04%
鉱石量 296,934t 18,882,155t
酸化物換算量 24,318t 1,329,305t
図3.採掘対象バストネサイト各元素推定量

図3.採掘対象バストネサイト各元素推定量

出典:MP MATERIALS CORP. MP Materials Corporation Annual Report 2021よりJOGMEC作成11

2020年のレアアース生産量は、酸化物換算で38,503tとなり、2019年比で39%増であった。また、売上は134.31mUS$となり2019年比で83%の上昇となっている12。また同社ニュースリース13よると、直近2021年第3四半期の生産量は11,998t、売上も99.754mUS$と前年同期で143%の増加なった。これに伴い、調整済みEBITDAも68.287mUS$と前年同期比488%となり大幅に上昇した。

また、高回収率(higher recoveries)、ミルフィード率(mill feed rates)、生産時間(production hours)など、処理オペレーションの効率化が進んだことにより、生産量は2020年第3四半期と比較して18%増加している。特に生産時間の効率化は、前年同期の計画的メンテナンスに加え、今期は計画外ダウンタイムの減少が要因となっている。

同社ChairmanでありCEOのJames H. Litinsky氏は、「業績は、Mountain Passにおける継続的な業務遂行とコスト管理、及びレアアースの世界的な需要の増加を反映している。また、第3四半期は、米国におけるレアアースのサプライチェーン全体を回復させるという目標へ向けて、ステージII最適化プロジェクト(Stage II optimization)、及びステージIII下流のマグネティックスへの拡張(Stage III downstream expansion into magnetics)を含め事業を前進させた。」とコメントしており、このマグネティックス事業について、同社は2021年12月に後述の磁石製造施設建設を発表している。各四半期の生産量及び売上の推移は、図4のとおりである。

図4.MP Materials社のレアアース精鉱生産量及び売上推移

図4.MP Materials社のレアアース精鉱生産量及び売上推移

出典:MP Materials社公表資料よりJOGMEC作成14

同社が生産するレアアース精鉱のほぼ全量は、盛和資源控股股份有限公司(Shenghe Resources Holding Co. Ltd.)の系列会社であるShenghe resources (Singapore) international trading社がオフテイク契約に基づいて購入している。報道15によると、両社の近い関係性及びMP Materials社の約10%が中国資本となっていることを背景として、同社への希土類処理に関する財政支援を行っている米国エネルギー省(Department of Energy:DOE)が懸念を示した経緯がある。2021年12月時点では、MP Materials社が生産する精鉱を処理できる施設が米国内にないことから、同社は施設の最適化(Stage II optimization plan)を進めており、将来的にはMountain Pass内にてレアアース酸化物の生産を計画している。

また、2021年12月9日の同社ニュースリリース16において、下流分野であるマグネティックス事業として磁石製造施設の建設を発表した。これは、General Motors(GM)社との間で締結した、十数台のGMモデルに搭載される電気モーター用に、国産レアアース材料、合金、及び完成品のネオジム鉄ボロン磁石を供給するにあたっての拘束力のある長期契約(binding, long-term agreement)に基づくもので、TX州Fort Worthに200,000ft2(平方フィート)の製造施設が建設される予定である。操業開始は2023年を目途とし、同社磁気部門であるMP Magneticsのビジネス及びエンジニアリングの本部としても機能する。製造施設の初期段階においては、Mountain Passから調達する原料を使用し、500千台のEVモーター分に相当する約1千t/年のネオジム磁石を生産するキャパシティを見込んでいる。その他、同施設から、他の磁石メーカーにネオジム合金フレーク(NdFeB alloy flake)を供給する計画も公表されている。

(2)Energy Fuels社

CO州Lakewoodに本社を置くEnergy Fuels社は、UT州White Mesa Mill、WY州Nicholas Ranch ISR Project及びTX州Alta Mesa ISR Projectに生産拠点を持つウランとバナジウムの生産大手である。同社は、2020年12月に米国の化学品会社Chemours社と天然のモナザイト(natural monazite sands)の供給契約を締結した。契約期間は3年間で、年間最低供給量は2.5千tとなっている。モナザイトはChemours社のGA州Offerman Mineral Sand Plantから陸路で輸送され、Energy Fuels社が100%の権益を持つUT州White Mesa Millでウランを取り出し、混合レアアース炭酸塩(mixed REE carbonate)となる17。なお、モナザイトからは主にネオジム・プラセオジム(NdPr)及び一部重希土が生産される見込みとなっている18。これは、2021年3月1日に発表されたEnergy Fuels社とNeo Performance Materials社による米国-欧州間の希土類生産イニシアティブ(U.S.-European Rare Earth Production Initiative)19に基づくもので、2021年9月時点でEnergy Fuels社は、300tの混合レアアース炭酸塩を生産している20

今後、同炭酸塩はNeo Performance Materials社のエストニアの分離精製施設へ輸送され、レアアース酸化物として米国及び欧州市場へ流通する見込みとなっている。同社はWhite Mesa Millにて、米国のレアアース需要の約50%を占める15千t/年のモナザイトを選鉱することを目標としている。

なお、米国エネルギー省は、同社とPA州立大学によるFSに対して、1.75mUS$の資金拠出を決定している21。このFSでは、White Mesa Millで処理している天然の石炭資源及びモナザイトなどのレアアース元素を含む鉱石から、レアアース製品を生産することを目的としている。同エネルギー省は、2020年に同社による本イニシアティブの構想デザインに対し150kUS$を拠出しており、同社は総額1.9mUS$の資金援助を受ける22

またEnergy Fuels社は、2021年12月15日公表のニュースリリース23において、米Nanoscale Powders社と共同でレアアース金属製造技術発展のための覚書(Memorandum of Understanding:MOU)の実行を公表した。Nanoscale Powders社の特許を活用して、レアアース金属の製造コスト、エネルギー消費量及び温室効果ガスの排出量の削減を目標としている。

2008年設立のNanoscale Powders社は、太陽電池用途の金属ケイ素(silicon metal)及び高融点金属粉末(refractory metal powders)を製造しており、近年はナトリウム還元(sodium reduction)によるチタン及び合金粉末の製造に注力している。同社は、ナトリウム還元によるチタン製造に活用されるKrollプロセス(Hunter Titanium Process)と同様のプロセスにより、無水塩化レアアース原料(anhydrous REE chloride materials)を溶融ナトリウム還元(molten sodium reduction)して、レアアース酸化物からレアアース金属を製造するプロセスを開発している。なお、Energy Fuels社とのMOU締結に際しては、従来の製造法と異なり大気汚染が伴わない、低エネルギー消費・低コストの製造法確立を目指すことを発表した。

(3)NioCorp Developments社

CO州Centennialに本社を置くNioCorp Developments社は、NE州にあるカーボナタイト鉱床Elk Creek mineの権益を100%有しており、同鉱床からニオブ、スカンジウム、チタンの生産を計画している。2019年4月時点のFS24によると、税引き前NPVが2.56bUS$(割引率8%)、税引き前IRRが27.3%、採掘年数は36年で、資本コスト(Total Capital Cost)が879mUS$となっており、鉱石1tあたりの平均操業費は196.41US$となっている。

同社HP公表の株主向け情報25によると、操業開始から10年間で生産される大部分の製品については、すでに先行販売が完了している。例えば、フェロニオブの全量は独ThyssenKrupp社へ供給され、NioCorp Developments社はドイツ政府より146m~179mUS$の融資保証の資格を得ることができる。また、特殊金属大手の米Traxys North America社に操業開始からの10年間で、スカンジウムの年間平均予測生産量の12%を先行販売している。Elk Creek Mineの予測鉱物資源量及び概測鉱物資源量は、NSR換算180US$/tで表2のとおり算出されている。

表2.Elk Creek mineの鉱物資源量概要
予測鉱物資源量 概測鉱物資源量
平均品位 Nb2O5 0.48% 498,864t 0.54% 981,092t
TiO2 1.81% 1,886,181t 2.15% 3,940,419t
Sc 47.38ppm 4,928t 57.65ppm 10,562t
資源量 103,992,535t 183,165,498t

出典:NioCorp Developments社公表資料よりJOGMEC作成26

また、同社は以下のとおり推定鉱量も公表している。平均カットオフ品位:Nb2O5 0.788%で、NSR換算500US$/tとなっている。

表3.Elk Creek mineの推定鉱量
推定鉱量
平均品位 Nb2O5 0.81% 293,321t
TiO2 2.86% 1,039,050t
Sc 65.7ppm 2,387t
鉱石量 36,313,000t

出典:NioCorp Developments社公表資料よりJOGMEC作成27

2021年3月2日公表の同社ニュースリリース28では、現在生産を計画しているニオブ、スカンジウム、チタンの他にレアアース製品の生産を検討していることを発表した。同社は地質・冶金試験(geological and metallurgical evaluation)の結果を踏まえて、経済可能性レビュー(review of the economic potential)を実施している。また、12月14日の同社ニュースリリース29において、Elk Creek Projectコアサンプルのレアアース分析結果が発表された。これは、NE州立大学の保全調査課(Conservation and Survey Division:CSD)と共同で取得されたサンプル結果に基づくもので、上記地質・冶金試験の結果を補完するものとなる。これら調査結果を踏まえて、同社は今後レアアース磁石原料となるネオジム等の生産を検討する。

(4)UCore Rare Metals社

加NS州に本社を置くUcore Rare Metals社は、AK州Prince of Wales島のBokan-Dotson Ridge Rare Earth Mineの権益を100%保有している。同プロジェクトは、過アルカリ岩鉱床であり生産地を中国に依存しているテルビウム及びジスプロシウムのポテンシャルが期待されている。2013年時点の予備的経済性評価書(Preliminary Economic Assessment:PEA)30によると、税引き前NPVが577mUS$(割引率10%)、税引き前IRRが43%、マインライフは11年、資本コスト(Project Capital Cost)は221mUS$で、鉱石1tあたりの平均操業費は122.78US$となっている。2014年にアラスカ産業開発輸出公社(Alaska Industrial Development and Export Authority:AIDEA)は、本プロジェクトの建設コスト等を支援する目的で約145mUS$の貸付債権を発行していたものの、2015年以降のレアアース価格低下により、一時的にプロジェクトの進捗が停滞していた。2015年5月時点で、同社は以下のとおりBokan-Dotson Ridge Rare Earth Mineの予測鉱物資源量及び概測鉱物資源量を公表している。いずれもカットオフ品位:TREO 0.4%なっている。

表4.Bokan-Dotson Ridge Rare Earth Mineの鉱物資源量概要
予測鉱物資源量 概測鉱物資源量
平均品位 軽希土酸化物品位 0.365% 0.363%
重希土酸化物品位 0.237% 0.239%
資源量 1,050,000t 4,787,900t

出典:Ucore Rare Metals社公表資料よりJOGMEC作成31

2019年10月には、同プロジェクトの独立冶金試験(independent metallurgical assessment)の結果が公表されている。カットオフ品位はTREO 0.4%であり、随伴するニオブ、ジルコニウム、ベリリウム、ハフニウム、チタン、バナジウムの各資源量は以下のとおりである。

表5.Bokan-Dotson Ridge Rare Earth Mineの冶金試験結果概要
予測鉱物資源量 概測鉱物資源量
Nb 493t 2,205t
Zn 1,992t 9,001t
Be 48t 231t
Hf 37t 178t
TiO2 4,652t 17,715t
V 118t 464t
TREO 6,979t 31,772t
TREO品位 0.603% 0.602%
資源量 1,050,000t 4,787,900t

出典:Ucore Rare Metals社公表資料よりJOGMEC作成32

Ucore Rare Earth Metals社は、2023年までにBokan-Dotson Ridge Rare Earth Mineの鉱石を2千t/年処理できるAlaska Strategic Metals Complex(SMC)の建設を計画している33。2021年は、レアアース価格の上昇で、経済性が担保される見込みからプロジェクトが再開している。同社は5月時点で、完全子会社Innovation Metals社と技術試験協定(Technology Testing Agreement)を締結し、高純度レアアース酸化物の生産計画を発表した。Innovation Metals社は、重希土と軽希土の分離・精製処理、及びリチウムイオン電池用のリチウム、ニッケル、コバルトの精錬にも対応する分離技術Rapid SXを開発し、2021年第三四半期よりこの技術を活用した実証プラントの試運転開始を発表している34。本プロジェクトはFS未了となっているが、2021年9月時点で現地マッピング作業(field mapping work)が実施され、2022年夏にはバルクサンプル採取を予定している35。また、10月には2024年から豪 Vital Metals社よりレアアース炭酸塩の供給を受けるMOU締結を発表した36

(5)USA Rare Earth社、及びTexas Mineral Resources社

USA Rare Earth社は、Texas Mineral Resources社とのJVであるTX州Hudspeth CountyのRound Top Rare Earth Element Projectの開発を進めている。本プロジェクトは、過アルカリ岩鉱床の開発を対象としており、重希土のみならずリチウムなど他の重要鉱物のポテンシャルが確認されている。2019年8月時点でのPEA37によると、税引き前NPVが1.56bUS$(割引率10%)、IRRが70%、採掘年数は20年となっており、資本コスト(Initial Capital Cost)が350mUS$、鉱石1tあたりの平均操業費は15.61US$となっている。

2020年6月11日公表の同社ニュースリリース38によると、USA Rare Earth社は、CO州Wheat Ridgeにレアアース分離処理のためのパイロットプラント稼働を開始している。同パイロットプラントにおいては、重希土~軽希土のレアアースを分離する予定となっており、パイロット運転の最終段階においては高純度のレアアース化合物の分離処理を実施する計画になっている。同プラントは、レアアース以外にも米国で重要鉱物として特定されているリチウム、ウラン、ベリリウム、ガリウム、ジルコニウム、ハフニウム、及びアルミニウムの鉱物資源回収も検討している。

本プロジェクトはFS未了となっていたものの、2021年5月20日公表の同社ニュースリリース39において、Definitive Feasibility Study(DFS)に向けた資金調達を完了したと発表されている。USA Rare Earth社は、Round Top Rare Earth Element Projectの権益を80%取得するため、2019年にTexas Minerals Resources社の株主により修正及び承認されたオプション同意(2019 Amended  and Restated Option Agreement)の条項を行使した。USA Rare Earth社は、50mUS$のシリーズC資金調達(Series C Funding Round)を完了したほか、Pre-Feasibility Study(PFS)、パイロットプラント建設などを含むDFSに向けた資金調達も完了している。なお、2020年にはUSA Rare Earth社の完全子会社であるUSA Rare Earth Magnet社が、NC州のHitachi Metals America社が所有・運営していたレアアース磁石生産施設を買収しており、USA Rare Earth社のCEOであるPini Althaus氏は、2022年後半でのレアアース磁石の生産開始を発表している。

(6)American Rare Earths社

豪Sydneyに本社を置くAmerican Rare Earths社の完全子会社La Paz Rare Earth社は、AZ州La Paz Rare Earths Projectの権益を100%保有している。過アルカリ岩鉱床を開発対象とする本プロジェクトは、主に軽希土のポテンシャルが確認されており、トリウム及びウランなどの放射性物質の含有が少ない特徴がある40。2019年10月より、La Paz Rare Earth社によるマッピングサンプリング及び過年度のデータセットレビュー(review of historical datasets)などの本格的な資源調査が開始されている。

同プロジェクトは、2021年3月に最初の採掘試験(First drilling campaign)を実施しており、8月時点でJORC規程(2012年)に準じて170.6百万t、平均品位:TREE 391ppmにて資源量を公表した41。2022年には、プロジェクトのPEAのためドリルコアの冶金試験(drill core metallurgical test-work)を継続し、レアアースが含有されている褐簾石の選鉱プログラム(allanite beneficiation program)を実施する見込みとなっている42

(7)Rare Element Resources社

CO州Littletonに本社を置くRare Element Resources社は、WY州Bear Lodge Critical Rare Earth Projectの権益を100%保有している。本プロジェクトではカーボナタイト鉱床の開発を対象としており、主に軽希土のポテンシャルが確認されている。プロジェクトサイトは、同州Sundanceから北西に約12mileに位置しており、同州の近隣のUptonから南西に約40mile離れた郊外には湿式製錬所建設のためのオプション件を保有している。

本プロジェクトは、2014年にPFSを実施した後に、レアアース価格の下落したことで経済性が担保できなくなり、長期間に亘ってプロジェクトの進捗が停滞していた。2021年時点では、実証プラントのプロセスステップとスケールアップ設計の最適化、及び操業コスト・資本コストの再算定、国防総省及びその他の資金調達先の確保を目指している43

(8)Lynas Rare Earth社、及びBlue Line社

豪WA州Mt Weld mineの権益を有し、主にネオジム、プラセオジム、ランタン及びセリウムを生産する豪Lynas Rare Earth社は、2020年に米国防総省と重希土分離施設建設に関して契約を締結している44。契約締結によって、Lynas Rare Earth社とJVパートナーであるBlue Line社に対して、分離施設建設の詳細設計のため資金提供が行われた。また、Lynas Rare Earth社は、2021年2月にも軽希土分離施設建設のため、同省より30.4mUS$の資金援助を受けることが発表されている45。この重希土及び軽希土分離施設は、TX州Hondoに建設される予定となっておりMt Weld mineで生産されるレアアース鉱石の最終加工がおこなわれる計画となっている。

以上が、2021年時点での米国内における操業中及び計画段階の主要なレアアースプロジェクトの概要となる。後述のとおり、Biden政権成立後には、国内のレアアース鉱石生産のためのプロジェクトが米国政府より本格的に後押しされることとなり、今後も同国内におけるプロジェクト動向には注意を払う必要がある。

次に、米国での新政権成立後1年において実施及び計画されているレアアース関連政策を紹介する。

3.2021年の米国レアアース関連政策ハイライト

2021年1月20日に就任したJoe Biden新大統領は、就任直後の2月24日に、レアアースを含む重要な製品及び材料について米国のサプライチェーンを強化するため大統領令14017号46に署名した。これが契機となって、2021年の米国おけるレアアース関連政策は表6のとおり進められた。各政策概要については、「4.強靭なサプライチェーン構築、アメリカの製造業の活性化、広範な成長の促進」以降の各項目にて紹介する。

表6.2021年の米国レアアース関連政策ハイライト
1月20日
 
2月24日
 

6月8日
 

8月10日
 

9月24日
 

11月8日

Joe Biden新大統領就任式

Biden大統領、レアアースを含む重要な製品及び材料について米国のサプライチェーンを強化するための大統領令1407号に署名

Biden政権、大統領令14017号に基づく重要製品に関するサプライチェーン強化に向けた報告書を公表

民主党下院議員、米国製レアアース磁石製造企業に対する税額控除のための法案を提出

米国商務省産業安全保障局、1962年通商拡大法232条に基づいてネオジム鉄ボロン磁石輸入が国家安全保障へ与える影響に関する調査開始を発表

米国地質調査所、2018年に特定された重要鉱物35種の見直しのため、パブリックコメント募集のニュースリリースを公表

4.強靭なサプライチェーン構築、アメリカの製造業の活性化、広範な成長の促進

Biden政権は大統領令14017号をもって、商務長官(The Secretary of Commerce)、エネルギー長官(The Secretary of Energy)、国防長官(The Secretary of Defense)、保健福祉長官(The Secretary of Health and Human Services)宛てに、2021年2月24日発令から100日以内にて、各所掌の戦略的重要物資(Strategic and Critical Minerals)のサプライチェーンリスク特定(Risk Identification)及びリスク対処のための政策提言をまとめた報告書の提出を求めた。報告書作成にあたっては、国家安全保障問題担当大統領補佐官(The Assistant to the President for National Security Affairs:APNSA)及び経済政策担当大統領補佐官(The Assistant to the President for Economic Policy:APEP)が、各所掌の報告事項についての取りまとめ等の調整を実施した。

レアアースに関しては、国防長官が国防備蓄管理者(National Defense Stockpile Manager)として他関係機関と協議を図った上で、2020年9月の大統領令13953号に準拠した形式で報告書を作成したが、前政権発出の大統領令に準拠することから、Biden政権が前政権のレアアース関連政策の方向性を一定程度継承することが明らかとなった。また併せて各所管組織は、14017号発令から1年以内に部門別サプライチェーン評価(Sectoral Supply Chain Assessments)に基づく報告書の提出を求められている。大統領令14017号に基づく報告書(100-Day Reviews under Executive Order 14017)は、2021年6月8日付けで「強靭なサプライチェーン構築、アメリカの製造業の活性化、広範な成長の促進」(BUILDING RESILIENT SUPPLY CHAINS, REVITALIZING AMERICAN MANUFACTURING, AND FOSTERING BROAD-BASED GROWTH)と題されて公表された47。当該報告書では、米国内におけるサプライチェーン及び鉱業における概要が網羅的に紹介された後に、リスク要因の評価好機と課題提言という順序で、戦略的重要物資サプライチェーン強化のための方策が示されている。本章では、当該報告書における鉱業、特にレアアースに関連する箇所を中心に紹介する。

4.1.戦略的重要物資の定義

戦略的重要物資とは、戦略的重要物資備蓄法(Strategic and Critical Materials Stockpiling Act of 1979)に定められ、国家の緊急事態に米国の軍事、産業、民生上において供給の必要性があるものの、米国内に賦存していないか、或いはそのような必要性を満たすためには米国内での供給では不十分であるような物資と定義されている48。重要鉱物と戦略的重要物資は、その品目がオーバーラップしているが、体系的な原則において重要鉱物は、採掘、選鉱、及び関連する金属製品、化合物を示す。戦略的重要物資は、鉱業活動以外で生産されるサプライチェーンにおける下流の製品及び物資も含まれ、より広義な位置付けにて定義されている。戦略的重要物資に関しては、国家防衛備蓄制度(National Defense Stockpile:NDS)の管理者である国防長官がその役割として、国家緊急事態シナリオ、又はより緊張した動員シナリオ(more stressful mobilization scenario)を想定しており、国防総省が250種類以上の品目を監督している49

表7.戦略的重要物資と重要鉱物の区分
戦略的重要物資 重要鉱物
根拠法令 戦略的重要物資備蓄法 大統領令13817号
所管 国防長官 内務長官、米国地質調査所
種類 250以上 35
定義  国家の緊急事態に米国の軍事、産業、民生上において供給の必要性があるものの、米国内に賦存していないか、或いはそのような必要性を満たすためには米国内での供給では不十分であるような物資  脆弱なサプライチェーンを有する、米国経済あるいは安全保障上必要不可欠な非燃料鉱物または鉱物材料

出典:JOGMEC作成

4.2.リスク要因の評価(RISK ASSESSMENT)

本報告書では、戦略的重要物資の従来のサプライチェーンにおいて大きなリスク要因とみなされてきた国家間の武力衝突段階でのシナリオの設定、及び武力衝突段階以下のリスク要因(Risk Factors below the level of Armed Conflict)について、体系的な特定を行っている。

  • 供給先の集中(Concentration of Supply)
  • 単一の供給者(Single-Source Suppliers)
  • 価格ショック(Price Shocks)
  • 人的資本のギャップ(Human Capital Gaps)
  • 紛争鉱物と組織犯罪(Conflict Minerals and Organized Crime)
  • 強制労働(Forced Labor)

レアアースに関しては、特に「供給先の集中」が大きなリスク要因となっている。図5は、戦略的重要物資の生産国について、2000年、2010年、2014年と経年的に示したものであり、市場の産出量の半分を超過した国は、市場支配者(Foreign market dominator)と分類される。各年の状況から明らかなように、中国が多くの分野において市場を支配しており、特にレアアースに関しては長期間にわたって寡占状況に変化がない状況が伺える。

このことから、セリウム、エルビウム、ユウロピウム、ランタン、ネオジム、プラセオジム、ネオジム鉄ボロン磁石、サマリウムコバルト磁石、サマリウム、スカンジウム、イットリウム酸化物は、米国が市場支配者に依存している戦略的重要物資(Strategic&Critical Materials)としてリストアップされている50

図5.各物資の世界最大生産国の市場シェア

図5.各物資の世界最大生産国の市場シェア

出典:100-Day Reviews under Executive Order 14017より引用51

また、「人的資本のギャップ」に関しては、大学などの高等教育機関での鉱業関連学部閉鎖による米国内の人的リソースの減少、及び産業規模自体の縮小に関して警鐘が鳴らされている。対照的に、中国のレアアース採掘業界では4,000人、精錬業界では40,600人を雇用しているほか、事業規模として採掘業界は1.1bUS$、精錬業界は10.5bUS$の収益を生み出しており、その産業規模の大きさが紹介されている。中国の非都市圏における鉱業関連雇用者の平均年収は9,500US$であるのに対して、レアアース事業者は従業員一人当たり収益に換算すると、平均的に採掘事業者が265,000US$、精錬事業者が258,000US$の収益を生み出している52

さらに、他のリスク要因との相関性が高い「価格ショック」に関して、レアアースの高い価格ボラティリティについて警戒感が示されている。図6は、国家科学技術委員会重要鉱物分科委員会(Critical Minerals Subcommittee of the National Science and Technology Council:NSTC)によってまとめられた、2000~2014年の世界における各戦略的重要物資の年産量推移であるが、ほぼすべての物資が経年的に増産していることが明らかになっている。一方で、同期間における価格指標の推移に着目すると、前述の「レアアース・ショック」の影響により、レアアースは他戦略的重要物資と比べて高い価格のボラティリティを示している。

以上、レアアースに関しては、「供給先の集中」、「人的資本のギャップ」、及び「価格ショック」が武力衝突段階以下のリスク要因として特定されている。

図6.2000~2014年の世界での年間生産量

図6.2000~2014年の世界での年間生産量

図7.2000~2014年の年間価格指標

図7.2000~2014年の年間価格指標

出典:100-Day Reviews under Executive Order 14017より引用53

武力衝突段階でのリスク要因(Risk Factors at the Level of Armed Conflict)のシナリオにおいても、レアアースは高い優先度を持っていることが明らかになっている。国防総省の内局で、軍事機器のロジスティクス及び備蓄等を所管する国防兵站局(Defense Logistics Agency Strategic Materials:DLA SM)は、ベースケース(Base Case)とされる武力衝突段階において、不足することが予想される283品目のうち53品目の特定を実施した。これら品目の供給源は、米国外の84か国に及んでいる54。また、このうちレアアースに関連する品目は、表8のとおりとなっている。

国防総省は、戦略的重要物資備蓄法に準拠した国家防衛備蓄制度によってこれら品目の備蓄を実施している。2021年時点で1bUS$相当の55品目を備蓄している国家防衛備蓄制度は、回転基金(revolving fund)である国家防衛備蓄制度取引基金(NDS Transaction Fund)によって運用されている。2020年及び2021年の大統領予算教書(President’s Budget Request)によると、新たな備蓄品目の強化及び現時点の備蓄売却によって、基金は2024年または2025年時点で資金を使い果たす見込みとなっている。なお、国家防衛備蓄制度では、2020年9月30日時点で備蓄55品目のうち、レアアース関連ではジスプロシウム、ジスプロシウム鉄、酸化ユウロピウム(4N、5N)、ユウロピウム(SEG)が備蓄されており55、従前では世界のレアアース市場の約7%に相当する14千tを備蓄していた。国防総省は、同制度によるさらなるレアアース備蓄の拡大を要請しているが、議会では承認されていない56

表8.不足が見込まれるレアアース関連品目及びその用途一覧
セリウム 自動車部品、石油精製用触媒、容器用途以外のガラス及びガラス製品、雑工業製品、放送及び無線通信機器
エルビウム 光学機器及びレンズ
ユウロピウム 雑工業製品
ガドリニウム 医薬品、輸送機器、雑工業製品
ランタン 自動車部品、石油精製用触媒
ネオジム コンピューターストレージデバイス、雑工業製品、非金属製品、輸送機器、電子部品、モーター及び発電機
プラセオジム 合成染料および顔料、雑工業製品、非金属製品、コンピューターストレージデバイス、自動車部品
ネオジム鉄ボロン磁石 産業用モーター、自動車部品、MRI機器
サマリウムコバルト磁石 電動機、医療機器、家庭用電気製品
サマリウム 医療用電化製品
スカンジウム 燃料電池
イットリウム 雑工業製品、電気ランプ用電球及び部品、航空機エンジン及びエンジン部品、半導体およびその他の電子部品

出典:100-Day Reviews under Executive Order 14017よりJOGMECが作成57

4.3.好機と課題(OPPORTUNITIES & CHALLENGES)

(1)将来的な国内生産への課題(Challenges to Future Domestic Production)58

不足が見込まれる品目の将来的な国内生産に対しては、国防総省は透明性(Transparency)及び情報の非対称性(Asymmetric Information)が課題になると指摘している。

透明性に関しては、レアアースなどの重要鉱物の市場は小規模であることが多く、取引、生産、価格、在庫などの情報が不完全となっていることが上げられる。ネオジム鉄ボロン磁石の市場規模は約10bUS$となっており、生産量は160千tと推定されている。これらデータが推定値となっているのは、生産量と消費量の確定的なデータが存在しておらず、市場の公表価格で実際の取引が行われているかが不透明であることが原因となっている。また、密輸や違法な採掘・加工が横行していることから、多くの市場参加者はレアアースの原産地を追跡することができていない。

情報の非対称性に関しては、重要鉱物の市場は、他のコモディティと比較して市場規模が小さく流通量も少ないことから、市場参加者の数も非常に少ない傾向にある。市場参加者(market participants)と外部観測者(outside observers)との間で情報の非対称性が生じることで、市場の一部の参加者が有益でより多くの情報を得ることになる。このような情報の非対称性は、サプライチェーンの混乱が報告された直後に、重要鉱物に関するプレスリリースやオピニオン記事が大量に発表されることに象徴される。このような報道は、一般的にサプライチェーンの一側面に関する情報しか含まれておらず、政府や業界の利害関係者による重要な動向が含まれていないことがある。非対称な情報とは、情報がないことではなく、実際の市場活動と報道等による見かけ上の市場活動が乖離していることを意味する。この乖離により、収益性が高い有望なプロジェクトへ民間資本の投入が遅れることで、結果的に資本の非効率化が生じている。結果として、情報の非対称性によって、犯罪企業(Criminal enterprise)が投資家にレアアース在庫の購入を促す事例も摘発されている。レアアースは流動性が低く、個人にとっては基本的に価値がないことから、犯罪組織はリスクを開示しないでメディアの注目を利用して利益を得ている実態がある。

(2)弾力性のある需要と弾力性のない供給(Elastic Demand and Inelastic Supply)59

重要鉱物の市場においては、サプライチェーンにおける立場によって、ビジネスの時間軸が大きく異なる。川下のメーカー及び個人バイヤーにおいては、価格変動への対応時間は数か月から数年スパンとなるが、一方で川上の生産者においては、数年から数十年の範囲で価格変動に対応をしていかなければならない。短期的には、弾力的な需要と非弾力的な供給のギャップによって、掘削及び精錬の事業者の間では非常に保守的でリスク回避的な姿勢が確認されている。

このギャップを象徴しているのが、米国の照明業界における、タングステンフィラメント照明から小型蛍光灯、LED照明への移行である。図8に示すように、米国のタングステンメーカーは、小型蛍光灯が登場するまでは長期間に亘って安定した成長を続けてきた。家庭及びオフィスの照明が省エネタイプに変更されたことで、付加価値のある製造技術を有する米国のタングステン産業は衰退していくことになる。

イットリウムやユーロピウムを使用しているコンパクト蛍光灯は、供給不足や将来の成長を見越して価格が上昇し増産傾向にあったものの、原料価格の上昇によりレアアース使用量の少ないLEDへの移行が加速した。川下の産業が新しい技術プラットフォームへ移行した後に、増産体制が強化されたことで、照明用途のイットリウム及びユーロピウムの価格は低迷することとなった。

図8.米国における照明器具の年間販売数

図8.米国における照明器具の年間販売数

出典:100-Day Reviews under Executive Order 14017より引用60

(3)マーケットと比べ小さい防衛必需品
(Small Defense Requirements relative to Commercial Markets)61

国家的危機において、米国政府は国防生産法(Defense production act of 1950)に基づいて物資の分配及び優先付けを実施する。本類型においては、特にネオジム鉄ボロン磁石をケーススタディとして扱い、民間セクターから防衛産業用途への物資の融通が想定されている。

国防総省は、国防生産法に基づいて米国商務省(Department of Commerce:DOC)が管轄する国防優先・配分システム(Defense Priorities and Allocation System:DPAS)のレギュレーションを活用し、戦略的重要物資の優先付けをする権限を持つ。

国防総省は、同システムのレギュレーション及び委譲された権限において、国家防衛備蓄制度の備蓄品目購入に優先順位をつけることが認められているが、図9のとおり民間セクターの年間需要量と比べて、防衛必需品のための磁石需要は規模が小さいことが明らかになっている。

図9.平時における民生・防衛軍事のネオジム鉄ボロン磁石需要と必要民生不足量の比較

図9.平時における民生・防衛軍事のネオジム鉄ボロン磁石需要と必要民生不足量の比較

出典:100-Day Reviews under Executive Order 14017より引用62

(4)追加供給の必要性と環境負荷とのバランス
(Balancing the Need for Additional Supply and Environmental Impact)63

米国では、不足が見込まれるレアアースについて、石炭廃石(Coal waste)からレアアースを回収する試みが進んでいる。エネルギー省は2017年議会への報告として、この回収法に関する以下5つの環境課題を特定している。この回収法の環境負荷低減には、継続的な技術分野でのリサーチが必須となる。

  • 処理量が増加することによるエネルギー消費量の増加
  • 粉砕・破砕作業による微細な粉塵の発生
  • 大量の液体・固体廃棄物の発生
  • 抽出用試薬の苛性及び毒性
  • 処理工程で発生する放射性物質
  • レアアースを回収することで発生する新たな廃棄物処理基準の取り扱い

また、リサイクルも戦略的重要物資の供給リスクを軽減するための重要なアプローチとなっている。国防総省は、2016年から現在に至るまで、ネオジム鉄ボロン磁石のリサイクル技術開発に約30.7mUS$を投資している。本投資は、中小企業技術革新研究プログラム(Small Business Innovation Research:SBIR)を通して、国防生産法のスケールアップ資金(Scale-up capital)を活用して実施された。国防総省とプロジェクトマネージメントを担当する非軍需産業のパートナーは、以下のとおり戦略的重要物資のリサイクルに関する課題を特定している。

  • 共産品(coproduct)や副産物(byproduct)への依存と同様に、戦略的重要物資のリサイクルは、金のような本質的価値の高い別の金属の回収に依存することが多い。
  • 戦略的重要物資を含む最終製品の引き取り及び回収の仕組みは、回収方法がそもそも存在しないものから、最終製品を元の製造者に返却しなければならない完全に閉鎖されたシステムまで、非常に多種多様となっている。
  • 最終製品はリサイクルを前提に設計されていないことが多く(接着剤やその他の独自の固定装置の使用、加工のためのラベル表示及び消費者のリサイクル意識の欠如、有害物質や廃棄時に有害廃棄物となる物質の使用など)、リサイクルのコストを高めている。
  • 戦略的重要物資を含む最終製品(家電製品など)の引き取りや回収に関する規制が、州及び地域によって異なっている。
(5)戦略的重要物資の生産を再開する好機
(Opportunities to Resume Strategic and Critical Materials Production)64

国防総省は本報告書を作成するにあたり、各業界団体や大学機関などの関連事業者と議論を行っている。本議論を通して、環境、社会性及びガバナンスなど、ESG関連の対外的な報告及び戦略的重要物資の低炭素な生産は、市場において重要性を増していることが明らかになった。

一方で、限られた場合を除いて、市場では「持続可能な方法で生産された戦略的重要物資」にプレミアムが付いていないということも明らかになった。

生産及びリサイクルを支援する価値提案としてのサステナビリティ(Sustainability)は、戦略的重要物資の市場にも変化をもたらす潜在性を有している。

従来、市場の事業者は、輸入コストを増加させる関税及び生産コストの削減に注力してきた。各事業団体及び非政府組織は、戦略的重要物資を確実に調達するために、それぞれ異なった基準を有した強固な事業基盤を形成している。

一方で、持続可能な方法で生産された戦略的重要物資の市場は未開拓なため、米国政府は「善い行い(good behavior)をする事業者」を優遇し、「悪質な事業者(bad actors)」には改善を促すこともできることから、それぞれの市場の課題に合わせたアプローチを採用することが求められる。

4.4.提言(RECOMMENDATIONS)

(1)戦略的重要物資のための新たなサステナビリティ基準の創設65

米国政府は、民間企業やその他の利害関係者と協力して、特定の戦略的重要物資について、デューデリジェンス及び適正評価を実施して、持続不可能な生産源の排除及び持続可能な物資の購入を促進する。

法的規制及び貿易相手国との協調に基づいたサステナビリティ基準は、民間セクターに持続可能な資源への投資を促して、サプライチェーンのレジリエンスを高めることにつながる。

サステナビリティ基準は、特に自動車・航空宇宙関連製品、燃料生産、発電・配電、電気・電子機器に適用されるもので、サステナビリティの定義自体は、行政とステークホルダーとの間で調整を要する。

また、サステナビリティの範囲(Scope)としては、マイニングライフサイクル、汚職の防止、労働者の健康と安全、地元自治の強化、部族・先住民族のコミュニティ、強制労働・年季奉公(雇用者との契約の下に一定期間働く雇用制度の一形態)・児童労働の排除を通して、強力な環境基準が定められるべきである。その他の関連事項として、以下のとおり提言が紹介されている。

  • 消費者が選択する上で必須となる、統一された分かりやすい製品表示のラベリング基準の制定
  • 戦略的重要物資のサステナビリティ基準普及のための、同盟国及び国際的な基準設定機関(international standard setting bodies)などのパートナーとの協力関係構築
  • 政府による調達の要件としてサステナビリティな要件の制定
  • 連邦調達規制評議会(Federal Acquisition Regulatory Council)の主導による、持続可能な方法で生産された製品選定のための優先度及び要件を設定するパブリックコメントの募集
(2)リサイクルなどを含めた持続可能な国内の生産及び処理能力の拡大

米国内での生産及び処理能力を向上させるためには、戦略的重要物資のリサイクルを加速度的に普及させることが必要となってくる。本報告書におけるリサイクルに関する政府への提言案は以下のとおりである66

  • 米国環境保護庁(Environmental Protection Agency:EPA)の主導による、州及び地方行政での統一的な戦略的重要物資を含むEOL67製品回収手続きの設定
  • リサイクルを念頭においたデザインに関する産業基準の制定
  • 製品分離技術への開発支援の継続
  • 産業界と連携した戦略的重要物資及び関連部品の再利用ための再認定基準の制定
  • 政府主導による大規模なリサイクルプログラムの実施68

また、鉱業廃棄物の再利用に関しては、米国地質調査所によるリサーチアセスメントプログラムである「The U.S. Geological Survey’s Energy, Minerals, Environmental Health及びNational Land Imaging programs」にて、以下のとおり提言が紹介されている69

  • 米国地質調査所、内務省(Department of the Interior:DOI)、農務省(Department of Agriculture:USDA)、環境保護庁による鉱業廃棄物在庫の拡充。この拡充のための用地の選定、データ収集、また大学及び州への助成金の配賦。
  • 鉱業廃棄物の再処理(reprocess)、再生(reclaim)、修復(remediate)、復元(restore)のための実証プロジェクトの支援
  • 連邦政府、州、部族、民間部門の関係者による連邦諮問委員会(Federal Advisory Committee:FAC)の設置、及び省庁間連携機関(Federal interagency body)の設立。省庁間連携機関は、連邦諮問委員会と共同で鉱業廃棄物の環境及びコミュニティへの影響を判断する。また、再処理・経済発展の機会、及び元鉱山労働者や現地コミュニティの雇用の機会を含めた効果的な再生のための戦略を策定する。
  • 内務省による米国地質調査所など地質調査機関の予算拡充及び人員の増強
  • 米国内で各戦略的重要物物資を持続的に生産できる拠点を特定するための、内務省及び農務省による新たな省庁間タスクフォースの設置
(3)国防生産法の第3編(Title III)に基づく助成金の活用

国防総省、商務省、内務省は、下流の製造業を含めたサプライチェーン構築のため、国防生産法の第三編及び既存の制度を活用した助成金の活用を推奨している。温室効果ガス排出削減など、持続可能な方法による製造及び処理のオペレーションに対する助成金の活用に関連して、以下のとおり提言がまとめられている70

  • 現在及び過去のオペレーションにおいて、環境コンプライアンスを遵守した申請者、又は過去のオペレーション事例に対して、環境関連のベストプラクティスをもたらすことが期待される申請者への条件付き経済的インセンティブの付与
  • 鉱区の完全な埋め立て、及び閉鎖のための事前の財政保証(up-front financial assurance)を示す事業者へのインセンティブの付与
  • 厳格な環境規制を執行及び遵守する米国内の鉱山に対するインセンティブの付与

また、助成金などの経済的なインセンティブの受益者は、以下のとおり厳格な要件を満たすことが求められる。

  • 連邦政府による許可及び承認事項を遵守しているかを検証するための、インセンティブの受益者によるパフォーマンスに対する定期的な環境査定(environmental inspection)の実施
  • 労働賃金相場の要件(prevailing wage requirement)を満たし、労働協定、建設プロジェクトでの地元コミュニティからの雇用、労働組合の中立方針(union neutrality policies for employers)、強制的な仲裁合意を禁止など、事業の範囲において労働者を保護すること。
  • 米国内で商材及び製品を製造し、米国の乗組員による米国籍船舶で輸送を行うこと。
(4)戦略的重要物資の生産量拡大を目的としたステークホルダーの招集

国防生産法の第7編等の関係法令を活用し、産業界と共同でワーキンググループを設置することで、米国内における戦略的重要物資の生産拡大の機会を特定、及びコンソーシアムまたは官民パートナーシップを設立する71

(5)持続可能な生産及び熟練した労働力を支援するための省庁間R&Dの促進

従前、戦略的重要物資のサプライチェーンリスク関するリサーチついては、初期段階の研究及び採掘以降の発展研究に限られていた。公法(Public Law 116-260)の包括予算割当法(Consolidated Appropriations Act,2021)に組み込まれたエネルギー法(Energy Act of 2020)によって、国防総省は、重要鉱物に関するR&D(Research and Development)の実証及び商用化まで拡大する権限を有している。

関連するプログラムに対して、議会は予算及びリソースを割くことが推奨される。省庁間R&Dは、持続可能な生産の新興技術に関して、“実験室から市場へ(laboratory-to-market)”の移行を重視することが推奨されている。国防総省及びエネルギー省は、初期段階の研究と国防生産法の第3編などの経済的なインセンティブを積極的に紐付けることで、商用化への道筋を示すことが求められている。

教育省(Department of Education)、労働省(Department of Labor:DOL)、国防総省、退役軍人省(Department of Veterans Affairs)、及び国立科学財団(National Science Foundation)等の教育的機能を有する組織は、熟練した労働者の育成のための投資が推奨される。これは、採掘段階のエンジニアリングから、エコロジーで持続可能な生産様式までの幅広い分野に及ぶ。

国防総省及び教育省は、関係機関と共同で連邦政府出資のR&D拠点(federally-funded R&D center)にてジョイントスタディを実施することが推奨される。ジョイントスタディでは会計法に照らし、教育とR&D拠点の一体的な発展及び運用を評価することを目的とする。これにより、米国全体のニーズに対応した形で、省庁間R&D、教育、及び労働者訓練のための資金の効率的な移転・実行・連携が可能となる。

(6)備蓄制度の強化

米国議会は、2018年に約3.3bUS$及び国家防衛備蓄制度の収益である1bUS$を、他の防衛・非防衛関連プログラムへ流用することを決定した。国家防衛備蓄制度への十分な予算の充当が見込めないことから、現在の備蓄状況では戦時中想定される不足物資のうち、10%以下しか解消できないことが推定されている。

本報告書においては、大統領令による合衆国法典第50編(50 U.S.C. 98f)72を準用する国家防衛備蓄制度の備蓄物資活用、売却、その他の処分に関わる備蓄放出の権限について、国防総省へ委任することが推奨されている。公法112-239(Public Law 112 – 239)で議会承認はしているものの、現時点では大統領から国防総省に対して放出権限は委任されていない。その他備蓄制度強化にかかる提言案は、以下のとおりである73

  • 国家防衛備蓄制度の運用を維持のための、次期将来防衛計画(Future Years Defense Program:FYDP)における総額1bUS$以上の新規予算の獲得
  • 国家緊急事態下での戦略的重要物資サプライチェーンに関する2年ごとのモデリング及びシミュレーション報告義務の復活
  • 国家防衛備蓄制度で現在不足しているレアアースなどの戦略的重要物資の購入権限の付与
  • 平時のサプライチェーンリスクを低減させるための、連邦政府の備蓄在庫から民間企業、国防総省、その他の連邦機関に物資を貸与(loan)する権限にかかる国家防衛備蓄制度への付与
  • 議会の承認を経なることなく50mUS$以下の戦略的重要物資を購入する権限にかかる国家防衛備蓄制度への付与
  • 国家緊急事態へ対応する人材獲得のための、国家防衛備蓄制度及び国防生産法における適切な直接雇用権限、その他の採用・人材確保及び優秀な人材へのインセンティブ報酬権限の付与
(7)同盟国及びパートナーとの協力及び世界的サプライチェーンの透明化

強固なサプライチェーン確立のためには、米国内での戦略的重要物資の生産量を増加させるだけでなく、同盟国及びその他パートナーと協力することでサプライチェーンのレジリエンスを強化することも重要になる74

本報告書では、安定的な調達先の確保及びガバナンス改善のため、貿易相手国及び新興市場への関与として、特に国務省(Department of State:DOS)による政府間フォーラム、エネルギー資源統治イニシアティブ(Energy Resources Governance Initiative:ERGI)、採取産業透明性イニシアティブ(Extractive Industries Transparency Initiative:EITI)等の協業ネットワークの活用が推奨されている。エネルギー省主導による米国、日本、及びEUによる三国間協定、国務省主導によるカナダ、豪州の二国間協定などが、戦略的重要物資をめぐる政府協調の好例として示されている。

また、同盟国及び米国のパートナーによる持続可能な生産を加速させるため、合衆国政府関連機関に対しては以下のとおり提言がまとめられている75

  • 合衆国輸出入銀行(Export-Import Bank of the United States:EXIM)による、採掘機器及び鉱業関連技術サービス輸出事業への融資(loan)や融資保証(loan guarantees)の実施
  • 債券、株式、政治リスクの保険商品提供を通して、新興市場の戦略的重要物資のバンカブルプロジェクト(Bankable project)へ投資している米国国際開発金融公社(U.S. International Development Finance Corporation:DFC)の事業拡大
  • 潜在的プロジェクトの持続可能性及びサプライチェーンレジリエンスに与える便益を正確に評価するための、米国政府のマテリアルエキスパート(Material Experts)による合衆国輸出入銀行と米国国際開発金融公社への技術的指導の実施

責任あるマテリアルサプライチェーンに関しては、方法(Methods)と供給元(Origins)、及び追跡可能性(traceable)が担保されていなければならない。また、労働者の権利、人権の尊重、環境及びその他の基準を順守することも求められる。本報告書では、これに関連して以下のとおり提言がなされている76

  • 国務省は、採取産業透明性イニシアティブへの参加を再表明すべきである。米国は同イニシアティブへ対して財政的な支援を継続しているものの、参加の再表明は戦略的重要物資の生産国へ重要な影響力を及ぼすだろう。
  • 米国証券取引委員会(U.S. Security and Exchange Commission:SEC)は、Dodd-frank法1502条及びそれに基づいて公布された規則の遵守状況を確認すべきである。また、国務省は、サプライチェーンの透明性及びガバナンスイニシアティブへ十分な財政的資源を投入する目的で、支出計画を策定するべきである。DRコンゴ及びアフリカ大湖地域産出の鉱物と武装グループのつながりを断ち切るため、Dodd-frank法1502条は、紛争鉱物のサプライチェーンマッピングにより、鉱物サプライチェーンの透明性確保の世界的トレンドをもたらした。
  • 国務省は、Dodd-frank法1502条をアフリカ大湖地域だけでなく、その他紛争地域及び高リスク地域にも拡大するため、新たな権限を議会に求めるべきである。この適用地域の拡大は、EUで検討されているように世界的なコンプライアンスのトレンドを反映したものになる。
  • 財務省(Department of Treasury:DOT)、国家安全保障省(Department of Homeland Security:DHS)、国務省は他連邦政府機関と協力して、ステークホルダー、金融機関、実務者と協力体制を構築することが求められる。この協力体制において、人権侵害及び汚職のリスクが高い鉱物掘削段階から最終製品の発送までを網羅したサプライチェーンの透明性確保のため、革新的なソリューションを検討する。
  • 国務省、司法省(Department of Justice:DOJ)、国家安全保障省、財務省は、(1)戦略的重要物資サプライチェーンを追跡し、マネーロンダリング、汚職、組織犯罪とのつながり、人権侵害の調査のための充分な予算及び人員を確保すること。また(2)民事、刑事、行政を適切に組み合わせた法執行のための支出計画を策定すること。
  • 戦略的重要物資のサプライチェーンにおける強制労働、組織犯罪、及びその他の人権侵害の影響を軽減するため、大統領は、司法長官、国務長官、財務長官、国土安全保障長官、労働長官に対して、新たな法制度を含めたデューデリジェンス、産業ベストプラクティス及び提言に関して、国家安全保障会議(National Security Council:NSC)及び国家経済会議(National Economic Council:NEC)において定期的な最新情報の提供を求めるべきである。

以上が、大統領令14017号に基づく報告書「強靭なサプライチェーン構築、アメリカの製造業の活性化、広範な成長の促進」のレアアース関連箇所の概要となる。上述とおり、商務長官、エネルギー長官、国防長官、保健福祉長官が、それぞれ半導体・先端技術パッケージ(Semiconductor Manufacturing And Advanced Packaging)、大容量バッテリー(Large Capacity Batteries)、重要鉱物及び物資(Critical Minerals And Materials)、及び医療品・医療有効成分(Pharmaceuticals And Active Pharmaceutical Ingredients)に関するリスク特定及び政策提言を実施しており、今後の米国におけるサプライチェーン強化の方向性が示された。Biden政権は、本報告書における政策提言部分を包括的に整理してファクトシート(Fact Sheet)を公表している77

続いて、大統領令14017号に基づく報告書公表以降に実施及び計画されている米国レアアース関連政策の概要を紹介する。

5.民主党下院議員、米国製レアアース磁石製造企業に対する税額控除に関する法案を提出

2021年8月10日、米国下院議員により、米国内にて生産されるレアアース磁石について税額控除を適用する法案(H.R.5033)が提出された78。本法案は、CA州選出の民主党議員Eric Swalwell氏により提出され、共同提出者としてPA州選出の共和党議員Guy Reschenthaler氏が名を連ねている。本法案「レアアース磁石製造税額控除法(The Rare Earth Magnet Manufacturing Production Tax Credit Act)」においては、米国内で製造されたネオジム鉄ボロン磁石に対して20US$/kgの控除額を設定し、米国の鉱山から調達したレアアースを使った磁石に対しては控除額を30US$/kgに拡大する。なお適用要件としては、製造される磁石に中国、イラン、北朝鮮、ロシアなど非同盟国において生産された原料を含まないことが求められる79。本法案が議会を通過・成立した場合は、今後国内で磁石製造を計画する企業にとって経済的なインセンティブを与えることになる。

法案提出者であるEric Swalwell氏及びGuy Reschenthaler氏の両議員は、レアアースを含む重要鉱物供給に関して、外国依存状態の打開及び国内の供給体制確立のため、2020年7月24日に政策的議論行う超党派議会重要鉱物会合(Congressional Critical Materials Caucus)を立ち上げている80。両名が共同議長を務める本会合での議論をもとにして、本法案は2021年12月時点で下院通過へ向けた議論が続いている。報道81によると、米国レアアース業界団体としてNioCorp Developments社が米国下院議員に対し本法案へ賛同するようロビー活動をしていることを明かしており、今後の審議の行方が注目される。

6.ネオジム鉄ボロン磁石輸入の影響に関して1962年通商拡大法232条に基づく調査を実施

2021年9月24日、米国商務省産業安全保障局(Bureau of Industry and Security:BIS)は、ネオジム鉄ボロン磁石の輸入が国家安全保障に与える影響について、1962年通商拡大法232条(Section 232 of the Trade Expansion Act of 1962)に基づく調査を開始したことを発表した82。同局は、利害関係者(Interested parties)に対して2021年11月12日までに意見書、データ、分析情報等などの提出を求めていた。同法232条に基づく本調査の実施は、Gina M, Raimondo商務長官のもとでは初めてとなる。商務長官は、ネオジム鉄ボロン磁石が国家安全保障を損なう可能性のある量又は状況で輸入されていることを発見した場合、調査結果をまとめた報告書に基づいて大統領に提言しなければならない。同法の定めにより、同長官は調査開始から2022年6月18日までの270日間で、調査結果と提言を大統領に提示することになる。本調査結果によっては、米国へ輸入されるネオジム鉄ボロン磁石へ追加関税などが課されることも視野に入る。

1962年通商拡大法232条に基づく調査は、前述の大統領令14017号に基づく報告書の序文の要旨(Executive summary)において、横断的なテーマ及び提言(several cross-cutting themes and recommendations)として実施が推奨されていた83。本調査に関するフローは図10のとおりであり84、該当する製品の輸入が国家安全保障を損なう脅威であると提言された際に、大統領は報告を受けてから90日間で(1)調査結果に同意する、(2)同意した場合、処置の内容・期間を確定する。大統領は、期限の制限なく追加関税、関税割り当てを課すかどうか、または他の処置を講じるかを決定する。決定に際しては、特定の製品及び対象国を除外することもできる。決定後、15日以内に処置を実行し、議会に対して30日以内に処置の実行または不実行に関する文書を提出する。また大統領は、決定について連邦官報(Federal Register)に公表しなければならない。

図10.1962年通商拡大法232条に基づく調査フロー

図10.1962年通商拡大法232条に基づく調査フロー

出典:Congressional Research Service, Section 232 of the Trade Expansion Act of 1962よりJOGMEC作成85

1962年通商拡大法232条において、特定の製品輸入が米国に及ぼす影響を確認するため、すべての省庁の長、または利害関係者(Interested Party)は、商務省に対して調査を要請することができる。また、商務省自らが調査することもできる旨、定められている。

Trump前大統領政権下において、本調査は8度実施されている。2017年4月、鉄鋼(steel)とアルミ(aluminum)の調査が実施された。この調査結果及び提言は大統領により同意され、2018年3月には、鉄鋼(steel)とアルミ(aluminum)の一部輸入製品に対して、ほぼすべての国から輸入されるものを対象にそれぞれ25%と10%の関税を課している。ネオジム鉄ボロン磁石は、モーター用途のみならず防衛・民生上において重要な役割を担っているにもかかわらず、供給先を他国に依存している。2022年6月18日に確定する調査結果及び大領領の判断によっては、今後米国向けのレアアース磁石について、追加関税などの処置が実行される可能性がある。

7.米国地質調査所、重要鉱物35種の見直しを検討

2021年11月8日、米国地質調査所は、ニュースリリースにおいて重要鉱物の見直しに関するパブリックコメントを募集することを発表した86。パブリックコメントの期限は2022年1月10日までを予定している。重要鉱物は、「脆弱なサプライチェーンを有する、米国経済あるいは安全保障上必要不可欠な非燃料鉱物または鉱物材料」と定義されており、2018年に前述のとおり大統領令13817号において、内務長官が35の鉱物を特定している。2020年エネルギー法(Energy Act of 2020)において、少なくとも3年毎に重要鉱物のリスト、及び潜在的重要鉱物(Potential Critical Minerals)特定のための方法論(Methodology)を更新することが求められている。

更新に際しては、省庁間フィードバック及び連邦官報を通じたパブリックコメントを経たのちに、政府機関全体の重要鉱物リストとなる最終版が確定する。表9に示した重要鉱物一覧のとおり、新たな重要鉱物案においては、一部鉱種の入れ替えはあるものの、現行の重要鉱物のレアアース(Rare earth elements group)、及び白金族(Platinum group metals)について個別元素がそれぞれ特定される形となった。

表9.現行の重要鉱物と新案の比較
現行の重要鉱物 新たな重要鉱物案
アルミニウム、アンチモン、ヒ素、重晶石、ベリリウム、ビスマス、セシウム、クロム、コバルト、蛍石、ガリウム、ゲルマニウム、グラファイト、ハフニウム、ヘリウム、インジウム、リチウム、マグネシウム、マンガン、ニオブ、白金族炭酸カリウムレアアースレニウム、ルビジウム、スカンジウム、ストロンチウム、タンタル、テルル、錫、チタン、タングステン、ウラン、バナジウム、ジルコニウム アルミニウム、アンチモン、ヒ素、重晶石、ベリリウム、ビスマス、セリウム、セシウム、クロム、コバルト、ジスプロシウムエルビウムユウロピウム、蛍石、ガドリニウム、ガリウム、ゲルマニウム、グラファイト、ハフ二ウム、ホルミウム、インジウム、イリジウムランタン、リチウム、ルテニウム、マグネシウム、マンガン、ネオジムニッケル、ニオブ、パラジウムプラチナプラセオジムロジウム、ルビジウム、ルテチウムサマリウム、スカンジウム、タンタル、テルル、テルビウムツリウム、錫、チタン、タングステン、バナジウム、イッテルビウムイットリウム亜鉛、ジルコニウム

※取り消し線が引かれた鉱物が除かれたもの、太文字の鉱物が追加されたもの
出典:米国地質調査所公表資料よりJOGMEC作成87

おわりに

以上が2021年に実施及び計画されたレアアース関連政策の動向となる。2021年12月時点で本格的に稼働している米国内のレアアース鉱石生産の拠点はMountain Passのみとなっているが、Energy Fuels社による新たな供給網の確立は、同国における供給源多角化の大きな一歩となった。さらに、MP Materials社によるレアアース磁石の生産計画発表は、同国内における鉱石からの一気通貫のサプライチェーン確立の足掛かりとなりうることから、今後同プロジェクトの成否は注目を集めることになる。

Biden政権成立後は、本格的に政府主導によるレアアース関連事業への支援策が実施されている。前述のとおり、1962年通商拡大法232条に基づく調査が実施されたことは、自国内サプライチェーンを強化する「後押し」になりうる。過去に実施された調査では、最終的に輸入品目に対する追加関税等の措置が取られたことから、国内製造の磁石製品は、輸入品よりも市場の価格競争において優位性を得る可能性がある。

また、大統領令14017号に基づく報告書に示されとおり、新たなサステナビリティ基準によって、適正な事業者から戦略的重要物資を調達することが「推奨」される方向性が示された。この基準のイニシアティブを米国が握った場合には、米国のみならずその同盟国の事業者についても、今後はよりサステナビリティを意識した調達が求められる。「責任ある調達」と同様に、鉱業事業者は自国産業のみならず、調達先地域のSDGs、CSR等への配慮が必要となる。新たに創設される見込みのサステナビリティ基準に照らして、サプライチェーンを寡占する中国の事業者が、適正な調達先として適正な価格でレアアースを供給しているかの判断が下される可能性もある。

2021年12月には、中国のレアアース業界再編が行われ「中国稀土集団」が設立するなど、レアアースを巡る世界的な情勢は予断を許さない。対中国を意識した米国のレアアース関連動向は、今後も注目を集めることになるだろう。


  1. USGS, Mineral Commodity Summaries 2021 Rare Earth
    https://pubs.usgs.gov/periodicals/mcs2021/mcs2021-rare-earths.pdf
  2. National Archives Federal Register, Federal Strategy To Ensure Secure and Reliable Supplies of Critical Minerals
    https://www.federalregister.gov/documents/2017/12/26/2017-27899/a-federal-strategy-to-ensure-secure-and-reliable-supplies-of-critical-minerals
  3. National Archives Federal Register, Final List of Critical Minerals 2018
    https://www.federalregister.gov/documents/2018/05/18/2018-10667/final-list-of-critical-minerals-2018
  4. the Department of Defense, Assessing and Strengthening the Manufacturing and Defense Industrial Base and Supply Chain Resiliency of the United States
    https://media.defense.gov/2018/Oct/05/2002048904/-1/-1/1/ASSESSING-AND-STRENGTHENING-THE-MANUFACTURING-AND%20DEFENSE-INDUSTRIAL-BASE-AND-SUPPLY-CHAIN-RESILIENCY.PDF
  5. National Archives Federal Register, Addressing the Threat to the Domestic Supply Chain From Reliance on Critical Minerals From Foreign Adversaries and Supporting the Domestic Mining and Processing Industries
    https://www.federalregister.gov/documents/2020/10/05/2020-22064/addressing-the-threat-to-the-domestic-supply-chain-from-reliance-on-critical-minerals-from-foreign
  6. USGS, Mineral Commodity Summaries Rare Earths 2020
    https://pubs.usgs.gov/periodicals/mcs2020/mcs2020-rare-earths.pdf
  7. USGS, Mineral Commodity Summaries Rare Earths 2020
    https://pubs.usgs.gov/periodicals/mcs2020/mcs2020-rare-earths.pdf
    及び、USGS, Mineral Commodity Summaries Rare Earths 2021
    https://pubs.usgs.gov/periodicals/mcs2021/mcs2021-rare-earths.pdf
    図中の各国レアアース生産量について、2018年については「USGS, Mineral Commodity Summaries Rare Earths 2020」より、2019年及び2020年については「USGS, Mineral Commodity Summaries Rare Earths 2021」よりそれぞれ引用している。
  8. 各社公表資料を基にJOGMECにて作成。なお作成にあたっては以下の記事を参考にした。地域住民からの反対運動等の理由でプロジェクトが停止しているLehmi Pass、及びその他のプロジェクトについては2021年時点で大きな進捗がないことから本稿においては説明を割愛している。
    REUTERS, Factbox: Rare earths projects under development in U.S.
    https://jp.reuters.com/article/us-usa-rareearths-projects-factbox/factbox-rare-earths-projects-under-development-in-u-s-idINKCN2241L6
    なお図中のアメリカ合衆国の地図については、以下より引用しプロジェクト位置図として編集している。
    https://www.freemap.jp/itemFreeDlPage.php?b=north_america&s=usa#google_vignette
  9. MP MATERIALS CORP. MP Materials Corporation Annual Report 2021 P8
    https://annualreport.stocklight.com/NYSE/MP/21760120.pdf
  10. MP MATERIALS CORP. MP Materials Completes Business Combination and Will Begin Trading on the NYSE under “MP”
    https://mpmaterials.com/MP%20Materials%20Closing%20Release-FINAL.pdf?_cchid=d998fc74eaf489088eafebed55ead1f8
  11. MP MATERIALS CORP. MP Materials Corporation Annual Report 2021 P18及びP20
    https://annualreport.stocklight.com/NYSE/MP/21760120.pdf
    同社アニュアルレポート上の確認鉱量・推定鉱量は以下のとおりショートトン(Short Tons)となっているため、本稿では他数値との平仄を合わせるため1ショートトン=0.907185メトリックトンへ換算し小数点以下は切り下げている。

    埋蔵量 平均品位
    (Average Ore Grade)
    鉱石
    (単位:Short tons)
    レアアース酸化物換算量
    (単位:Short tons)
    確認鉱量
    Proven Reserves
    8.19% 327,314 26,807
    推定鉱量
    Probable Reserves
    7.04% 20,814,014 1,465,308
  12. MP MATERIAS CORP. MP Materials Reports Fourth Quarter and Full Year 2020 Results
    https://investors.mpmaterials.com/investor-news/news-details/2021/MP-Materials-Reports-Fourth-Quarter-and-Full-Year-2020-Results/default.aspx
  13. MP MATERIALS CORP. MP Materials Reports Third Quarter 2021 Results
    https://investors.mpmaterials.com/investor-news/news-details/2021/MP-Materials-Reports-Third-Quarter-2021-Results/default.aspx
  14. 以下のとおりMP Materials社ニュースリリースよりJOGMEC作成。
    MP MATERIALS CORP. MP Materials Reports Third Quarter 2021 Results
    https://investors.mpmaterials.com/investor-news/news-details/2021/MP-Materials-Reports-Third-Quarter-2021-Results/default.aspx
    MP MATERIALS CORP. MP Materials Reports Second Quarter 2021 Results
    https://investors.mpmaterials.com/investor-news/news-details/2021/MP-Materials-Reports-Second-Quarter-2021-Results/default.aspx
    MP MATERIALS CORP. MP Materials Reports First Quarter 2021 Results
    https://investors.mpmaterials.com/investor-news/news-details/2021/MP-Materials-Reports-First-Quarter-2021-Results/default.aspx
    MP MATERIALS CORP. MP Materials Reports Fourth Quarter and Full Year 2020 Results
    https://investors.mpmaterials.com/investor-news/news-details/2021/MP-Materials-Reports-Fourth-Quarter-and-Full-Year-2020-Results/default.aspx
    MP MATERIALS CORP. MP Materials Announces Financial Results for the Third Quarter and Year-To-Date Ended September 30, 2020
    https://investors.mpmaterials.com/investor-news/news-details/2020/MP-Materials-Announces-Financial-Results-for-the-Third-Quarter-and-Year-To-Date-Ended-September-30-2020/default.aspx
  15. REUTERS, American quandary: How to secure weapons-grade minerals without China
    https://www.reuters.com/article/us-usa-rareearths-insight/american-quandary-how-to-secure-weapons-grade-minerals-without-china-idUSKCN2241KF
  16. MP MATERIALS CORP. MP Materials to Build U.S. Magnet Factory, Enters Long-Term Supply Agreement with General Motors
    https://investors.mpmaterials.com/investor-news/news-details/2021/MP-Materials-to-Build-U.S.-Magnet-Factory-Enters-Long-Term-Supply-Agreement-with-General-Motors/default.aspx
  17. Energy Fuels Inc. Energy Fuels Set to Enter Commercial Rare Earth Business in Q1-2021, Producing Materials That Make Many Clean Energy and Advanced Technologies Possible; Webcast on Dec. 15
    https://www.energyfuels.com/2020-12-14-Energy-Fuels-Set-to-Enter-Commercial-Rare-Earth-Business-in-Q1-2021-Producing-Materials-That-Make-Many-Clean-Energy-and-Advanced-Technologies-Possible-Webcast-on-Dec-15
  18. Energy Fuels Inc. Neo Performance Materials and Energy Fuels Announce Joint Launch of U.S.-European Rare Earth Production Initiative
    https://www.energyfuels.com/2021-03-01-Neo-Performance-Materials-and-Energy-Fuels-Announce-Joint-Launch-of-U-S-European-Rare-Earth-Production-Initiative
  19. Neo Performance Materials And Energy Fuels Announce Joint Launch Of U.S.-European Rare Earth Production Initiative
    https://www.neomaterials.com/neo-performance-materials-and-energy-fuels-announce-joint-launch-of-u-s-european-rare-earth-production-initiative/
  20. Energy Fuels Inc. Energy Fuels Hosts Mining, Environmental and Political Heavyweights to Showcase Uranium Activities and Introduce Production of Rare Earths at its Blanding, Utah Facility
    https://www.energyfuels.com/2021-09-16-Energy-Fuels-Hosts-Mining,-Environmental-and-Political-Heavyweights-to-Showcase-Uranium-Activities-and-Introduce-Production-of-Rare-Earths-at-its-Blanding,-Utah-Facility
  21. Energy Fuels Inc. Energy Fuels and Team from Penn State University Awarded Additional $1.75 Million by U.S. Department of Energy for Rare Earth Feasibility Study
    https://www.energyfuels.com/2021-04-23-Energy-Fuels-and-Team-from-Penn-State-University-Awarded-Additional-1-75-Million-by-U-S-Department-of-Energy-for-Rare-Earth-Feasibility-Study
  22. MINING.COM, Energy Fuels wins $1.75m award from US Department of Energy
    https://www.mining.com/energy-fuels-wins-1-75m-award-from-department-of-energy/
  23. Energy Fuels Inc. Energy Fuels Announces Strategic Venture with Nanoscale Powders to Develop Innovative Rare Earth Metal-Making Technology
    https://www.energyfuels.com/2021-12-15-Energy-Fuels-Announces-Strategic-Venture-with-Nanoscale-Powders-to-Develop-Innovative-Rare-Earth-Metal-Making-Technology
  24. NioCorp Developments Ltd. NI 43-101 TECHNICAL REPORT FEASIBILITY STUDY, ELK CREEK SUPERALLOY MATERIALS PROJECT, NEBRASKA
    https://secureservercdn.net/198.71.233.33/gx0.d43.myftpupload.com/wp-content/uploads/180001_FINAL_43-101_FS_NioCorp_AS_FILED.pdf
    税引き前NPV2.56bUS$(割引率8%)、税引き前IRR27.3%は上記資料P52、採掘年数36年はP496、資本コスト(Total Capital Cost)879mUS$はP49、鉱石1tあたりの平均操業費196.41US$はP50よりそれぞれ引用。
  25. NioCorp Developments Ltd. Investment Highlights
    https://www.niocorp.com/investor-center/investment-highlights/
  26. NioCorp Developments Ltd. NI 43-101 TECHNICAL REPORT FEASIBILITY STUDY, ELK CREEK SUPERALLOY MATERIALS PROJECT, NEBRASKA P37
    https://secureservercdn.net/198.71.233.33/gx0.d43.myftpupload.com/wp-content/uploads/180001_FINAL_43-101_FS_NioCorp_AS_FILED.pdf
  27. 同上 P39
  28. NioCorp Developments Ltd. NioCorp To Review Potential of Adding Rare Earths to Its Currently Planned Critical Minerals Product Offering
    https://www.niocorp.com/niocorp-to-review-potential-of-adding-rare-earths-to-its-currently-planned-critical-minerals-product-offering/
  29. NioCorp Developments Ltd. NioCorp Reports Rare Earth Assay Results
    https://www.niocorp.com/niocorp-announces-drill-core-assays/
  30. Ucore Rare Metals Inc. Preliminary Economic Assessment P17 1-2
    https://ucore.com/docs/PEA.pdf
  31. GlobeNewswire, Ucore Increases Resource at Bokan Dotson-Ridge
    https://www.globenewswire.com/news-release/2015/05/11/1119329/0/en/Ucore-Increases-Resource-at-Bokan-Dotson-Ridge.html
  32. Newsfile, Ucore Increases Bokan Mineral Resource with Critical Co-Products
    https://www.newsfilecorp.com/release/48774/Ucore-Increases-Bokan-Mineral-Resource-with-Critical-CoProducts
  33. Ucore Rare Metals Inc. ALASKA2023
    https://ucore.com/alaska2023/
  34. Ucore Rare Metals Inc. Ucore Subsidiary, Innovation Metals Corp., Commences RapidSX Separation Testing with Rare-Earth Producer
    https://ucore.com/ucore-subsidiary-innovation-metals-corp-commences-rapidsx-separation-testing-with-rare-earth-producer/
  35. Ucore Rare Metals Inc. USFS Issues Authorization for Ucore’s Bokan-Dotson Ridge Sampling Program
    https://ucore.com/usfs-issues-authorization-for-ucores-bokan-dotson-ridge-sampling-program/
  36. Ucore Rare Metals Inc. Ucore and Vital Metals Execute Feedstock Supply MOU for the Alaska SMC
    https://ucore.com/ucore-and-vital-metals-execute-feedstock-supply-mou-for-the-alaska-smc/
  37. NI 43-101 PRELIMINARY ECONOMIC ASSESSMENT
    ROUND TOP PROJECT Sierra Blanca, Texas PREPARED FOR USA RARE EARTH LLC AND TEXAS MINERAL RESOURCES CORP
    https://d6a4ffdb-d374-4a3d-82e4-30f9d1b50010.filesusr.com/ugd/f489e2_1c3ab59563f647bfac3d059c8e384932.pdf
    税引き前NPV1.56bUS$(割引率10%)、IRR70%、資本コスト(Initial Capital Cost)350.4mUS$、鉱石1tあたりの平均操業費15.61US$は上記資料P11から引用。なお、採掘年数20年はP13より引用しているが、採掘年数はベースケースとして定められており、今後のFSの結果によってはより長い採掘年数が示される可能性もある。
  38. USA Rare Earth, LLC, Pilot Processing Plant Opens
    https://www.usare.com/post/manage-your-blog-from-your-live-site
  39. USA Rare Earth, LLC, USA Rare Earth Completes $50 Million Series C Funding Round
    https://www.usare.com/post/usa-rare-earth-completes-50-million-series-c-funding-round
  40. American Rare Earths Ltd. La Paz Rare Earth Project
    https://americanrareearths.com.au/la-paz-rare-earth-project/
  41. American Rare Earths Ltd. ANNUAL REPORT FOR THE YEAR ENDED 30 JUNE 2021 P4
    https://americanrareearths.com.au/wp-content/uploads/2021/09/ARR-annual-report-2021.pdf
  42. 同上 P5
  43. Rare Element Resources Ltd. Annual Report for Fiscal Year ending December 31, 2020 P1~2
    https://www.rareelementresources.com/docs/default-source/financial-reports/2020-annual-report.pdf?sfvrsn=2
  44. REUTERS, Australia’s Lynas wins funding for U.S. heavy rare earths facility
    https://www.reuters.com/article/us-usa-rareearths-lynas-corp-idUSKCN2240UL
  45. REUTERS, Pentagon awards $30 million in rare earths funding to Australia’s Lynas
    https://www.reuters.com/article/us-usa-rareearths-idUSKBN2A135Y
  46. The White House, Executive Order on America’s Supply Chains
    https://www.whitehouse.gov/briefing-room/presidential-actions/2021/02/24/executive-order-on-americas-supply-chains/#:~:text=(b)%20%E2%80%9CCritical%20goods%20and,materials%2C%20technologies%2C%20or%20infrastructure.
  47. The White House, BUILDING RESILIENT SUPPLY CHAINS, REVITALIZING AMERICAN MANUFACTURING, AND FOSTERING BROAD-BASED GROWTH 100-Day Reviews under Executive Order 14017
    https://www.whitehouse.gov/wp-content/uploads/2021/06/100-day-supply-chain-review-report.pdf?utm_source=sfmc%E2%80%8B&utm_medium=email%E2%80%8B&utm_campaign=20210610_Global_Manufacturing_Economic_Update_June_Members
  48. 同上 P154
  49. 同上 P154
  50. 同上 P177
  51. 同上 P176
  52. 同上 P180
  53. 同上 P182~183
  54. 同上 P184
  55. 同上 P188
  56. 同上 P189
  57. 同上 P187
  58. 同上 P190
  59. 同上 P190
  60. 同上 P190
  61. 同上 P192
  62. 同上 P192
  63. 同上 P192
  64. 同上 P194
  65. 同上 P195
  66. 同上 P195
  67. EOLはEnd Of Lifeの略であり、販売及びサポートが終了しており、新規に生産が行われなくなった製品を意味する。
  68. 政府の財政的支援による研究開発を通して、米国政府の運営する4,000のデータセンターに設置されたハードディスクドライブからレアアース磁石を分離しリサイクルするという大規模なリサイクルプログラムが推奨されている。
  69. 同上 P197
  70. 同上 P199
  71. 同上 P200
  72. Legal Information Institute, 50 U.S. Code § 98f.Special Presidential disposal authority
    https://www.law.cornell.edu/uscode/text/50/98f
  73. The White House, BUILDING RESILIENT SUPPLY CHAINS, REVITALIZING AMERICAN MANUFACTURING, AND FOSTERING BROAD-BASED GROWTH 100-Day Reviews under Executive Order 14017, P201
  74. 同上 P202
  75. 同上 P202
  76. 同上 P202~203
  77. FACT SHEET: Biden-⁠Harris Administration Announces Supply Chain Disruptions Task Force to Address Short-Term Supply Chain Discontinuities
    https://www.whitehouse.gov/briefing-room/statements-releases/2021/06/08/fact-sheet-biden-harris-administration-announces-supply-chain-disruptions-task-force-to-address-short-term-supply-chain-discontinuities/
  78. REUTERS, U.S. House bill would give tax credit for rare earth magnets
    https://www.reuters.com/business/us-house-bill-would-give-tax-credit-rare-earth-magnets-2021-08-10/
  79. SWALWELL AND RESCHENTHALER INTRODUCE BILL TO INCENTIVIZE AMERICAN-MADE RARE EARTH MAGNETS CRITICAL FOR A MODERN, CLEAN ENERGY ECONOMY
    https://swalwell.house.gov/media-center/press-releases/swalwell-and-reschenthaler-introduce-bill-incentivize-american-made-rare
  80. CONGRESSMAN ERIC SWALWELL, SWALWELL & RESCHENTHALER LAUNCH NEW BIPARTISAN CONGRESSIONAL CRITICAL MATERIALS CAUCUS
    https://swalwell.house.gov/media-center/press-releases/swalwell-reschenthaler-launch-new-bipartisan-congressional-critical
  81. MINING.COM, Coalition urges US Congress to incentivize permanent rare earth magnet making
    https://www.mining.com/coalition-urges-us-congress-to-incentivize-permanent-rare-earth-magnet-making/
  82. U.S. Department of Commerce, U.S. Department of Commerce Announces Section 232 Investigation into the Effect of Imports of Neodymium Magnets on U.S. National Security
    https://www.commerce.gov/news/press-releases/2021/09/us-department-commerce-announces-section-232-investigation-effect
  83. The White House, BUILDING RESILIENT SUPPLY CHAINS, REVITALIZING AMERICAN MANUFACTURING, AND FOSTERING BROAD-BASED GROWTH 100-Day Reviews under Executive Order 14017 P16
    https://www.whitehouse.gov/wp-content/uploads/2021/06/100-day-supply-chain-review-report.pdf?utm_source=sfmc%E2%80%8B&utm_medium=email%E2%80%8B&utm_campaign=20210610_Global_Manufacturing_Economic_Update_June_Members
  84. Congressional Research Service, Section 232 of the Trade Expansion Act of 1962 P1
    https://sgp.fas.org/crs/misc/IF10667.pdf
  85. 同上
  86. USGS, USGS Seeks Public Comment on Draft List of 50 Minerals Deemed Critical to US National Security and the Economy
    https://www.usgs.gov/news/national-news-release/usgs-seeks-public-comment-draft-list-50-minerals-deemed-critical-us-0
  87. USGS, Interior Releases 2018’s Final List of Critical Minerals
    https://www.usgs.gov/news/national-news-release/usgs-seeks-public-comment-draft-list-50-minerals-deemed-critical-us-0
    及びFEDERAL REGISTER, 2021 Draft List of Critical Minerals
    https://www.federalregister.gov/documents/2021/11/09/2021-24488/2021-draft-list-of-critical-minerals

おことわり:本レポートの内容は、必ずしも独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構としての見解を示すものではありません。正確な情報をお届けするよう最大限の努力を行ってはおりますが、本レポートの内容に誤りのある可能性もあります。本レポートに基づきとられた行動の帰結につき、独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構及びレポート執筆者は何らの責めを負いかねます。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。

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