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 No.12-26  7月11日

[ 中南米 ]
チリ:銅製錬所排出基準案を発表
チリ:Teck、チリに55億US$投資計画
ブラジル:連邦政府、戦略的鉱種の鉱業権制限を検討
ブラジル:OGX社株価下落、EBXグループへの影響続く
ペルー:2012年4月鉱産物輸出額
ペルー:2012年上半期、鉱業プロジェクト開発21件のEIAを承認
ペルー:環境省による環境影響評価(EIA)の審査を提案
ペルー:Minas Conga金プロジェクト反対運動激化、5名死亡
ペルー:Shougang鉄鉱山、生産拡張の意向
ペルー:Minas Conga金プロジェクトを巡る仲介者との対話開始
ペルー:Cañariaco銅プロジェクト地域住民、探鉱活動受け入れを決定
パナマ:加Petaquilla Mineralsの2011会計年度の生産実績等
アルゼンチン:最高裁、氷河法停止措置を破棄
グアテマラ:鉱業・農林水産業協会と政府とが鉱業法改正案についての会議を設置

[ 北米 ]
米:Rockwood社のリチウム生産工場の拡張が完了
加:Pele Mountain社、Eco Ridgeレアアースプロジェクトの予備的経済性評価を発表
加:Rio Tinto、QC州Almaアルミニウム製錬所のロックアウトを終了
加:Innovation Metals社、レアアース分離プラント建設に係る環境評価プロセスを開始
加・チリ:Teck、Quebrada Blanca銅鉱山第2フェーズの社会・環境影響評価申請を一時撤回

[ 欧州・CIS ]
英:2012年の鉱業におけるビジネスリスク、資源ナショナリズムが2年連続一位

  [ アフリカ ]
ボツワナ:Boseto銅プロジェクト、銅銀精鉱の生産開始
ギニア:Forecariah鉄鉱石プロジェクト、初出荷に向け準備
モザンビーク:Vale、Moatize-Nacala港間の鉄道建設許可を取得
タンザニア:ユネスコ世界遺産:Selous猟獣保護区におけるウラン採掘を許可

[ オセアニア ]
豪:鉄鉱石と石炭の輸出量が2025年に倍増との予測
豪:Metallica Minerals社、Nornicoプロジェクトのスコーピングスタディ結果を発表
豪:鉱山会社がコスト削減を進める
豪:アトラス社(鉄鉱石鉱山会社)「鉱物資源利用税の支払いはないだろう」
豪:豪州競争・消費者委員会、GlencoreとXstrataの合併案を承認

[ アジア ]
スリランカ:中国の山東魯北総公司、チタン精鉱生産投資
インドネシア:7月3日時点での鉱石輸出許可取得企業は22社
インドネシア:Freeport Indonesia社、新たな外国資本規制等に対応するためIPOも検討
中国:工業情報化部、レアアース指令性生産計画管理暫定弁法を通知(詳報)
中国:国家発展改革委員会等関係7部署、再生非鉄金属業界参入許可基準を公表へ
中国:河南省、安徽省、2012年採掘総量指標を通知
中国:レアアース取引所誕生へ
中国:四川省のモリブデン・銅プロジェクト、住民運動で着工停止
中国:財政部、「環境税法」草案を2013年には提示
中国:希土国家備蓄、第2弾開始、企業は関心を集める


チリ:銅製錬所排出基準案を発表

 2012年7月3日、チリ政府は銅製錬所に適用される排出基準案を発表した。この法案は2012度末から施行される可能性がある。今回発表された案によると、すでにある製錬所について、亜硫酸ガス、砒素、水銀捕集率95%が、また、新たに建設される製錬所については、より高い基準(亜硫酸ガス97%以上、砒素99.9%)が義務付けられる。硫酸工場でのSO2からSO3への酸化に二段階接触式をすでに採用している製錬所は、基準施行後2年半以内に、同システムを備えていない製錬所は5年以内に基準を達成することが求められる。CODELCOのVentanas製錬所は2015年までに基準を達成するため、約1.7億US$の新規投資を予定している。

(2012. 7. 4 サンティアゴ 縫部保徳) 目次へ
チリ:Teck、チリに55億US$投資計画

 メディア報道によると、Teckはチリへの投資として今後3~4年間で55億US$を計画している。このうち、Relincho銅プロジェクトへの投資が35億US$を占める。現在実施中である同プロジェクトのFSは2013年Q1に完了し、その後建設へと進む予定である。Relinchoプロジェクトでは20万t/年の銅精鉱生産が見込まれている。

(2012. 7. 6 サンティアゴ 縫部保徳) 目次へ
ブラジル:連邦政府、戦略的鉱種の鉱業権制限を検討

 メディア報道によると、鉱業法改正の議論が進められている中で、一部の戦略的鉱床の鉱業権の接収を行う可能性について検討がされている。接収した鉱床について、石油・天然ガスの鉱業権と同様に、入札により、より高い価格でこれを解放する。「戦略的」な鉱種として、カリウム、レアアース、リン鉱石、大規模未開発の鉄鉱石等が考えられ、通常の先願による鉱業権設定と異なるリース等により鉱業権を設定することになる。また、新制度において、探鉱権は「暫定的」に与えられ、政府による接収も可能となる案も考えられている。政府は、農業分野での需要が見込まれるカリウム肥料原料の開発について、大きな不安を持っており、こうした資源事情によって規制が強化される可能性がある。政府が既存の鉱業権を取り消し接収する場合、探鉱等への投資額を補償する可能性もあるという。こうした新政策の導入を踏まえ、連邦政府鉱物資源局(DNPM)は、新たな鉱業権の設定手続きを停止しているとされる。しかし、業界関係者は、こうした政策は、補償を前提としてはいるものの、政府が既得権を接収することは違憲性があとの見方をしている。一方、石油開発分野での国営Petrobras優遇の他、農業用地取得や送電設備に対する外国人への権利制限等の動きもあり、連邦政府によるナショナリズム的な既得権益制限の動きに対する警戒感も聞かれる。

(2012. 6. 27 サンティアゴ 神谷夏実) 目次へ
ブラジル:OGX社株価下落、EBXグループへの影響続く

 OGX社(EBXグループ)の石油埋蔵量発表による株価下落は、同グループ各社の格付け引き下げもあり、7月に入っても続いている。時価総額は、270億レアル(135億US$)から197億レアル(98億US$)に下がったとされる。今回の株価下落はTubarao Azul油田の二つの試掘井の生産量が、これまでに同社が発表していた20千バレル/日よりはるかに少ない5千バレル/日であったことに端を発している。今後、3番目の試掘井の結果が発表される2012年末に、プロジェクト全体が再評価される見込みである。また投資関係者には、これまで多額の投資を行ってきたEBXグループの経営手法そのものに対する不安も高まっているとみられる。一方、中国では、Wuhan Iron & Steel社は、2009年にEBXグループのLLX社と、Rio de Janeiro州Acu港で輸出用鋼板プラント建設で合意していたが、このほどこれを断念したと報じられている。この計画は年産5百万tの鋼板プラントを50億US$で建設するもので、中国としてはブラジルに於ける最大で、かつ、中国が国外で行う最大の鉄鋼プロジェクトでもあった。中国側の判断とOGX社との関係は不明であるが、中国側は、ブラジルでの新規プラントの建設は、ロジスチック、石炭及びコークスの輸送、供給に問題があると同時に生産コストも高いという。Wuhan Iron & Steel社はLLX社と製鉄所建設でも合意しているが、これも難航しているとされている。なお一連の報道で、EBX各社の株価は大きく下落したが、反面、MMX社(金属資源開発)の株は5.95%上がったとされる。

(2012. 7. 9 サンティアゴ 神谷夏実) 目次へ
ペルー:2012年4月鉱産物輸出額

 国税庁によると、2012年4月の鉱産物輸出額は前年比で25.4%減少し、15.94億US$であった。
 4月の鉱産物輸出額は、3月に引き続き、2か月連続して前年比で減少となった。
 内訳は、銅23.2%減(5.81億US$)、金26.4%減(5.54億US$)、亜鉛40%減(9千7百万US$)等と軒並み減少した。一方、銀は10.3%(1千9百万US$)、鉛は5.7%(2.49億US$)と増加を見せた。

(単位:百万$)

鉱種 4月 1~4月
2011年 2012年 伸び率 2011年 2012年 伸び率
757 581 -23.2% 3,456 3,318 -4.0%
753 554 -26.4% 2,829 3,294 16.4%
亜鉛 163 97 -40.0% 573 446 -22.1%
17 19 10.3% 69 77 12.2%
235 249 5.7% 652 815 25.1%
鉄鉱石 103 42 -59.0% 343 284 -17.1%
57 1 -98.9% 292 4 -98.8%
その他 51 50 -1.5% 208 179 -14.0%
鉱産物合計 2,136.0 1,594.0 -25.4% 8,421.0 8,418.0 0.0%
輸出額総計 3,405.0 3,004.0 -11.8% 13,493.0 14,601.0 8.2%
(2012. 7. 9 リマ 岨中真洋) 目次へ
ペルー:2012年上半期、鉱業プロジェクト開発21件のEIAを承認

 2012年7月3日付け地元紙等によると、エネルギー鉱山省は、2012年上半期に鉱山企業19社に対して合計21件の鉱業プロジェクト開発に関する環境影響評価(EIA)を承認した。これら21件の開発プロジェクトの投資予定総額は100.23億US$を上回るものとなっている。このうち、特に規模の大きなものがMinas Conga金プロジェクト(50億US$)、Cerro Verde銅鉱山拡張プロジェクト(36億US$)等となっている。なお、前年(2011年)同期には15社に対して合計19件のプロジェクト開発に関するEIAが承認された。
 一方、探鉱の実施許可に関しては、2012年上半期には44社に対して合計58件のプロジェクトに関する環境影響申告書(DIA)が承認された。DIAの承認範囲では、ボーリング調査を20本まで実施することが可能である。一方、より多くのボーリング調査を含む段階の進んだ探鉱活動を行うには環境影響概要評価(EIASd)が必要だが、2012年上半期、政府は23件の探鉱プロジェクトに関するEIASdの審査を行った。

(2012. 7. 9 リマ 岨中真洋) 目次へ
ペルー:環境省による環境影響評価(EIA)の審査を提案

 2012年7月4日付け地元紙等によると、環境省のQuijandria天然資源戦略的開発担当次官は、約1週間前に設立された資源採掘活動監査強化委員会に対し、大規模プロジェクトの環境影響評価(EIA)の審査を環境省が行うべきとする提案を行う考えを示した。
 同次官は、現在環境省はあらゆる種類のEIAに対して、直接的な意見表明を行っていないが、同省が環境問題を統括する最高機関である以上、このような状況が続くべきではないと述べた。さらに、これまでのように各産業を推進する省が個別にEIAを審査するのではなく、環境省が全てのEIAの審査及び承認を行う唯一の機関となるべきであるとし、本提案を資源採掘活動監査強化委員会における優先的な議題として検討するとした。
 また、環境省によるEIA審査は、国民にとってより信頼性が高いものとなるはずであり、従って環境問題を巡る新たな社会争議の防止にもつながるとの考えを示した。

(2012. 7. 9 リマ 岨中真洋) 目次へ
ペルー:Minas Conga金プロジェクト反対運動激化、5名死亡

 2012年7月4~6日付け地元紙等によると、7月3日、Cajamarca県Celendin郡でMinas Conga金プロジェクト反対のデモ隊が、同郡役場を襲撃しようとしたことから警察との衝突が起こり、デモ隊から未成年者を含む3名が死亡した。これに関して、プロジェクト反対運動の指導者の一人は、同郡役場を襲撃の対象としたのは、同郡知事が、Minas Conga金プロジェクトを支持する旨の発言を行ったからだと説明した。
 この事態を受けて、政府はCajamarca県Cajamarca郡、Celendin郡、Hualgayoc郡に60日間の非常事態宣言を行った。
 さらに、7月4日にはHualgayoc郡Bambamarca村の中心部で反鉱山運動グループと警察が再度衝突し、銃弾を胸に受けたデモ参加者の1名が死亡、翌6日にも重傷だったデモ参加者1名が死亡し、1週間で計5名が死亡する事態となった。
 これら一連の争議激化の背景として、Yanacocha社がMinas Conga金プロジェクトの建設に先立ち、貯水池建設工事を開始したことが挙げられる。Cajamarca県のSantos知事は、この貯水池建設に反対を唱え「反鉱山勢力は建設作業を阻止するだろう」との発言を行ったことから、Humala大統領は7月2日、同知事をはじめとする反プロジェクト勢力をけん制する発言を行っていた。
 7月4日には、非常事態宣言下であるにもかかわらず、Bambamarca村では再びデモ行進が行われた。

(2012. 7. 9 リマ 岨中真洋) 目次へ
ペルー:Shougang鉄鉱山、生産拡張の意向

 2012年7月6日付け地元紙等によると、Shougang Hierro Peru社(本社:中国、首鋼集団)のVera代表取締役は、同社が鉄鉱山の操業を行うIca県Marconaの鉱区には15億tの鉄鉱石が埋蔵されており、マインライフは今後40年にわたることを明らかにした。また、同社は生産拡張に向けた様々な投資を行っているとし、現在年間950万tの生産量を、将来的に1,800~1,900万tとしたい考えを示した。

(2012. 7. 9 リマ 岨中真洋) 目次へ
ペルー:Minas Conga金プロジェクトを巡る仲介者との対話開始

 2012年7月9日付け地元各紙によると、Minas Conga金プロジェクトに関する争議の仲介者かつ中央政府の代理人として任命を受けたCabrejos司教は、7月9日にCajamarca県入りし、対話協議を開始する。一方Cajamarca県政府は、同県政府の代理人としてGaratea神父を任命した。
 第1回目の対話は7月9日、Cajamarca県庁舎で開始され、Cabrejo司教、Garatea神父のほかに、Cajamarca県のSantos知事その他県内の自治体や反鉱山組織の代表者らが出席する予定である。

(2012. 7. 9 リマ 岨中真洋) 目次へ
ペルー:Cañariaco銅プロジェクト地域住民、探鉱活動受け入れを決定

 2012年7月9日付け地元紙等によると、San Juan de Cañaris農民コミュニティ(Lambayeque県)では、裁判所の指示に基づく住民総会が実施された結果、Candente Copper社のCañariaco銅プロジェクトにおける今後3年間の探鉱活動を受け入れることが決定された。総会には住民4,000名のうち400名のみが参加したが、裁判所は本決定を有効なものとし、尊重しなければならないと表明した。
 総会では市民オンブズマンや、Lambayeque県エネルギー鉱山局の代表者、またCandente Copper社の代表取締役等が出席し、同プロジェクトにおける探鉱活動、社会的活動に関する説明が行われた。
 一方、同プロジェクトに関して無関心或いは反対の立場を取る住民は、総会に参加しなかった。プロジェクト反対派は、8月に別途住民投票を行う旨表明している。

(2012. 7. 9 リマ 岨中真洋) 目次へ
パナマ:加Petaquilla Mineralsの2011会計年度の生産実績等

 Petaquilla Minerals Ltd.(本社:バンクーバー)は、同社2011会計年度(2011年6月~2012年5月)の生産実績等を下表のとおり2012年7月3日付け同社HPに発表した。同社は、パナマにおいて、Molejón金鉱山を操業している。


  2011会計年度 2010会計年度 前年同期比(%)
生産量 - - -
金 (t) 2.11 1.73 +22
銀 (t) 2.3 非公表 -
金販売量 (t) 1.91 1.68 +14
売上(百万US$) 93.1 71.7 +30
(2012. 7. 9 メキシコ 高木博康) 目次へ
アルゼンチン:最高裁、氷河法停止措置を破棄

 アルゼンチン最高裁判所は、San Juan州連邦判事が措置した氷河法の停止措置を撤回した。停止措置は、San Juan州でPascua Lama金・銀プロジェクト建設を進めているBarrick Goldにより申請されたもの。この判決に対しBarrick GoldのRodrigo Gimenez副社長は、「我々は氷河地帯で活動を行っておらず、またSan Juan州の氷河法を遵守して環境影響評価書の認可も受けていることから、我が社の事業には影響しない」と述べた。
 メディア報道では、Sun Juan州のPascua Lamaプロジェクトが、3つの氷河に近接しており水を汚染する懸念があるとして現地NGO団体の反対にあっているとされる。

(2012. 7. 4 サンティアゴ 縫部保徳) 目次へ
グアテマラ:鉱業・農林水産業協会と政府とが鉱業法改正案についての会議を設置

 2012年7月4日付け業界紙等によると、グアテマラ鉱業・農林水産業協会(GIEG)は、同協会とエネルギー鉱山省(MEM)との間で鉱業法改正案について協議するための会議を設置した旨発表した。
 MEMは、2012年6月、関係者間で2012年2月に合意したロイヤルティのボランタリーでの引上げの法制化、鉱業公社の創設、鉱業開発における地元との合意形成のための鉱業委員会の創設、閉山時の環境への対策に関する補償制度の創設等からなる鉱業法改正案を2012年7月に国会に提出する旨公表した。
 これに対し、GIEGは、鉱業公社の創設は、産業の活性化につながらないとして慎重な検討が必要である旨主張している。
 なお、加Tahoe Resourecs社がMEM高官から確認したところでは、鉱業公社の創設の目的は、鉱山を国営化することでは無く、公社と新規投資企業とがJVを組むことで、現在環境NGOの抗議行動等により困難な状況にある鉱山開発を促進することにあるとのことである。

(2012. 7. 9 メキシコ 高木博康) 目次へ
米:Rockwood社のリチウム生産工場の拡張が完了

 米国エネルギー省Steven Chu長官は、2012年6月29日、Rockwood社のノースカロライナ州Kings Mountainにあるリチウム生産工場の拡張が完了したことを受けて開所式に参列し、「エネルギー省の支援により、本プロジェクトは米国に新技術における競争力を与え、次世代のクリーンエネルギー産業や先進的な自動車技術の製造において米国を再び先導的な国に導くことを確約するものである。」と述べた。
 Rockwood社はKings Mountainのリチウム生産工場及びネバダ州のSilver Peakリチウム鉱山の拡張にあたり、2009年の米国再生・再投資法(American Recovery and Reinvestment Act)からの資金2,840万US$を利用し、100名の新規雇用と共に、電気自動車の電池等の成長産業に欠かせないリチウムの米国における生産能力の拡大をもたらすものとされる。

(2012. 7. 9 バンクーバー 片山弘行) 目次へ
加:Pele Mountain社、Eco Ridgeレアアースプロジェクトの予備的経済性評価を発表

 Pele Mountain Resources Inc.(以下、Pele Mountain社)は、2012年7月4日、同社がオンタリオ州に保有するEco Ridgeレアアース・ウランプロジェクトの予備的経済性評価(Preliminary Economic Assessment, PEA)を発表した。
 本PEAは、2011年7月に発表されたものを更新したものであり、モナザイトを主とするレアアース鉱物からの回収率を軽希土で10倍、重希土で2倍以上、U3O8でおよそ30%以上向上させることを可能としている。PEAでは、9,000 t/日の処理量としてマインライフ11年、全レアアース酸化物生産量9,720万lb(約44,100 t)、U3O8生産量2,750万lb(約12,500 t)とし、そのうちネオジム酸化物の生産量は1,420万lb(約6,440 t)、ジスプロシム酸化物の生産量は882,000 lb(約400 t)としている。NPVは10億2,000万US$(割引率10%)、初期投資額は5億6,300万US$である。

(2012. 7. 9 バンクーバー 片山弘行) 目次へ
加:Rio Tinto、QC州Almaアルミニウム製錬所のロックアウトを終了

 鉄鋼労働者組合は2012年7月6日、労働協約の更新に端を発し2011年12月末から6カ月にも及んだRio TintoのQC州Almaアルミニウム製錬所のロックアウトは、Rio Tintoが組合の要求を受け入れ終了したと公表した。
 新しい労働協約の期間は2015年12月31日までとなっており、締め出されていた780名の労働者は今後数週間内に復職することとなる。労働者は、Rio Tintoが退職する労働者に代わり、非組合労働者を組合労働者の半額の賃金及び福祉手当無しで雇用しようとしたことに対して反対したため、ロックアウトされていた。
 鉄鋼労働者組合は「Almaの小さな労働者組合が世界中の鉄鋼労働者組合のサポートを得て、グローバル企業のRio Tintoに勝利を納めたことは、他の労働者や将来の労働者の権利保護につながる」と述べている。

(2012. 7. 9 バンクーバー 大北博紀) 目次へ
加:Innovation Metals社、レアアース分離プラント建設に係る環境評価プロセスを開始

 Innovation Metals Corp.(以下、Innovation Metals社)は、2012年7月6日、ケベック州Becancourに建設予定のレアアース分離施設に関する環境影響評価プロセスを開始したことを発表した。
 環境評価プロセス開始にあたり、同社はプロジェクト通知書をケベック州持続的開発・環境・公園省に提出し、実施すべき環境評価の項目等を同省が決定する予定である。
 Becancour湾岸工業地帯はセントローレンス川の南岸のケベックシティとモントリオールの中間に位置し、高速道路、安価な電力、大水深港湾に近く、またレアアース分離プロセスに欠かせない塩酸や苛性ソーダの主要生産工場も位置している。

(2012. 7. 9 バンクーバー 片山弘行) 目次へ
加・チリ:Teck、Quebrada Blanca銅鉱山第2フェーズの社会・環境影響評価申請を一時撤回

 Teckは2012年7月9日、同社が76.5%の所有権を有するチリQuebrada Blanca銅鉱山第2フェーズに係る社会・環境影響評価申請を一時撤回したと公表した。Teckは規制当局による審査コメントを検討後、再度申請を行うとしている。
 サンチャゴから約1,500 Km離れたチリ北部標高4,400 mに位置する同鉱山の2011年銅生産量は63,400 t、第2フェーズ完了により生産量が倍増し、マインライフも30年以上増加すると見込まれている。

(2012. 7. 9 バンクーバー 大北博紀) 目次へ
英:2012年の鉱業におけるビジネスリスク、資源ナショナリズムが2年連続一位

 監査法人Ernst & Young(以下E & Y、本社:ロンドン)は2012年7月8日、鉱業が直面しているビジネスリスクを分析した「Business risks facing mining and metals 2012-2013」を発表した。同報告書によると、2012年の鉱業ビジネスリスクランキングのトップ10は、1位から10位まで昇順に、①資源ナショナリズム、②技能不足、③インフラへのアクセス、④コスト・インフレ、⑤設備投資計画の実行、⑥社会的営業免許、⑦価格と通貨のボラティリティ、⑧コスト管理とアクセス、⑨利益の共有、⑩不正・腐敗という結果であった。資源ナショナリズムが、2011年と同じくリスクランキングの一位であることに変わりはないが、E & YのMichael Elliot氏によると、資源ナショナリズムのリスクは2011年より深刻化している。また、今回のランキングには、利益の共有が初めて9位にランク入りした。

(2012. 7. 9 ロンドン 北野由佳) 目次へ
ボツワナ:Boseto銅プロジェクト、銅銀精鉱の生産開始

 メディア報道によれば、Discovery Metals(本社:ブリスベン)のBoseto銅プロジェクトは、銅銀精鉱の生産を2012年6月14日より開始し、2012年6月末時点で500 tの精鉱が生産された模様である。精鉱の平均品位は銅32%、銀は560 g/tとなっているが、浮遊選鉱設備の見直しにより銅精鉱品位は40%にまで引き上げられる予定である。
 本プロジェクトの鉱石処理量は3百万t/年(露天と坑内で各1.5百万t)、生産能力は銅36,000 t/年、銀34 t/年となっているが、銅の生産能力は将来的には50,000 t/年にまで引き上げられる計画である。出荷開始は7月初旬頃を目途としている。

(2012. 7. 9 ロンドン 小嶋吉広) 目次へ
ギニア:Forecariah鉄鉱石プロジェクト、初出荷に向け準備

 Bellzone Mining(本社:パース)の2012年7月4日付け発表によれば、同社と中国国際基金有限公司(CIF)が50:50で権益を有するForecariah鉄鉱石プロジェクトは、出荷開始に向け、バージ船への積み込みを開始した。バージ船に積み込まれた鉱石は、15 km沖合に停泊するパナマックス級の鉱石運搬船に積み替えられ、2012年Q3目途で初出荷される予定である。なお鉱石引取権は権益見合いの50:50となっている。
 本プロジェクトは2012年3月に採掘が開始されたが、ギニア政府からの採掘ライセンス発行が遅延したため、出荷が見合わされていた。2012年5月21日付けで採掘ラインセスが発行されたことから、現在、出荷に向け急ピッチで準備が進められているところである。

(2012. 7. 9 ロンドン 小嶋吉広) 目次へ
モザンビーク:Vale、Moatize-Nacala港間の鉄道建設許可を取得

 各社の報道によると、モザンビーク政府は2012年7月3日、Valeが率いるコンソーシアムSociedade Corredor Logístico Integrado do Norte(CLIN)に対して、Moatize市からNacala港を結ぶ鉄道の建設及び運営に関する許可を与えた。同プロジェクトの費用は約15億US$と見積もられており、2012年後半には建設作業が開始され、3年以内には鉄道が完成する予定である。鉄道が完成すれば、年間4,000万tの石炭の運搬が可能となると考えられている。なお、Valeは同社が有するMoatize石炭プロジェクトの石炭生産能力を、2014年後半には1,100万t/年から2,200万t/年に倍増する計画である。

(2012. 7. 9 ロンドン 北野由佳) 目次へ
タンザニア:ユネスコ世界遺産:Selous猟獣保護区におけるウラン採掘を許可

 各社の報道によると、タンザニア政府は2012年7月5日、ユネスコの世界遺産に登録されているSelous猟獣保護区内で豪Mantra Resources社がウラン鉱山を建設するための許可を国際連合から取得したことを明らかにした。Selous猟獣保護区でのウラン鉱山建設に関しては、同保護区の繊細な生態系に悪影響を与えるとして環境保護団体らから反対の声が上がっていたが、タンザニア政府の担当当局は、同保護区の約0.8%のみをウラン鉱山用に区分けし、保護区の減少を最小限に抑え、将来の鉱山活動が野生動物に悪影響を与えないようにすると主張してきた。同国のHamisi Kagasheki天然資源及び観光大臣は「ユネスコ世界遺産委員会は、Selous猟獣保護区の領域を変更し、同国においてウラン採掘に向けた道を開きたいというタンザニア政府の要請を受け入れた。」とコメントした。

(2012. 7. 9 ロンドン 北野由佳) 目次へ
豪:鉄鉱石と石炭の輸出量が2025年に倍増との予測

 2012年7月2日、連邦政府・資源エネルギー経済局(BREE:Bureau of Resources and Energy Economics)は2025年までの鉄鉱石、石炭、LNGの輸出量予測等を報告書として発表した。報告書によればこれら輸出産品の世界の貿易量に占める豪州のシェアは過去10年間の平均値で鉄鉱石34%、一般炭18%、原料炭58%であり、2025年の鉄鉱石のシェアは45%~55%(最少予測値~最大予測値:以下同様)に拡大し、輸出量は2011年の4.4億tから8.85億t~10.82億tに倍増する見通しである。2025年の一般炭のシェアは23%~33%となり、輸出量は2011年の1.5億tから2.67億t~3.83億tになる見通しである。原料炭の2025年のシェアは56%~66%となり、輸出量は2011年の1.3億tから2.6億t~3.06億tに倍増する見通しである。LNGの輸出量は2016年頃にカタールに次いで世界第2位となり、2025年のシェアは10%~15%、輸出量は2011年の1,900万tから8,600万t~1.3億tに急増する見通しである。

(2012. 7. 10 シドニー 伊藤浩) 目次へ
豪:Metallica Minerals社、Nornicoプロジェクトのスコーピングスタディ結果を発表

 2012年7月4日、ジュニア探鉱会社のMetallica Minerals社(以下、Metallica、本社:QLD州ブリスベン)は、QLD州北部で開発を進めるNornicoニッケル-コバルト-スカンジウムプロジェクトについて、スコーピングスタディ結果を発表した。ニッケル及びコバルト資源量50百万t(ニッケル品位0.81%、コバルト品位0.09%)、スカンジウム資源量16.8百万t(スカンジウム品位130 g/t)が計上され、年間生産量はニッケル5,250 t、コバルト500 t、スカンジウム酸化物68,000 tで、資本コストは5億9,700万A$、操業コストは184 A$/tと見込まれている。
 Metallica社のAndrew Gillies社長は、Nornicoプロジェクトの強みのひとつとして、スカンジウム酸化物は100,000 tまで増産できる等、金属価格によって生産量をフレキシブルに対応できることをあげている。

(2012. 7. 10 シドニー 栗原政臣) 目次へ
豪:鉱山会社がコスト削減を進める

 2012年7月4日付け地元紙等は、豪州の鉱山会社が操業コストの増加や生産品価格低下の影響により支出の削減や将来のプロジェクトの見直しを行っていることを伝えている。リオ・ティントは従業員への様々なサービス・支援支出を10%削減しており、BHPビリトンはオリンピック・ダム・プロジェクトを含む3つの100億US$以上のプロジェクトを延期する予定である。Mirabelaニッケル社は掘削作業会社の2/3との契約を解除するとともに自社のブラジルの鉱山において100人の従業員を解雇しており、ウラン鉱山会社Paladinエナジー社は探査予算を500万US$削減している。

(2012. 7. 9 シドニー 伊藤浩) 目次へ
豪:アトラス社(鉄鉱石鉱山会社)「鉱物資源利用税の支払いはないだろう」

 2012年7月5日付け地元紙等は、鉄鉱鉱山会社アトラス社のBrinsdenマネージング・ダイレクターが今後鉄鉱石の価格に大きな変化がない限り、当社は鉱物資源利用税(MRRT)を払うことはないだろうと語ったことを伝えている。同氏はまた2011年鉄鉱石の価格が中国の需要が落ちたことにより168 US$/tから約20%下落し約135 US$/tとなり、鉄鉱石鉱山会社のほとんどがMRRTを支払う必要がなくなっている旨発言し(注:MMRT納税は年間利益7,500万A$以上が対象)、さらにアトラス社は既にMRRTへの対応のために約100万$を費やしていると付け加えている。

(2012. 7. 10 シドニー 伊藤浩) 目次へ
豪:豪州競争・消費者委員会、GlencoreとXstrataの合併案を承認

 2012年7月5日付け地元紙等によると、日本の公正取引委員会に当たる役割を持つオーストラリア競争・消費者委員会(Australian Competition and Consumer Commission, ACCC)は、GlencoreとXstrataの680億A$にのぼる合併案に対して反対しない、とした。これは、合併によって銅、ニッケル、コバルト、亜鉛、鉛さらに一般炭、原料炭等の豪州市場での競争力低下は認められない、とACCIが判断したため。

(2012. 7. 10 シドニー 栗原政臣) 目次へ
スリランカ:中国の山東魯北総公司、チタン精鉱生産投資

 現地報道によると、中国の山東魯北集団総公司の呂天宝総経理ら一行は、スリランカ、ミャンマーを歴訪、ミャンマーでは農薬・肥料関係の企業訪問とともに調査を行ったに留まったが、スリランカではチタン精鉱生産への投資に関する協議を同国資源企業発展省や阿里榪(原文表記のママ)社会長らと行った。これは、2012年4月にスリランカ国資省の大臣が訪中し、合作協議へ署名したことに関して行われたもの。今回の協議では、山東魯北と中国電科がスリランカとの合作で年産20万tのチタン精鉱生産設備の建設投資を実施することなどが決まった。スリランカは生産されたチタン精鉱を魯北に販売することで投資分とし、併せて魯北に最優先供給する。

(2012. 7. 3 金属企画調査部 渡邉美和) 目次へ
インドネシア:7月3日時点での鉱石輸出許可取得企業は22社

 2012年7月3日付け地元紙等報道によれば、7月3日までにインドネシア商業省が鉱山企業などに発行した鉱石輸出許可数は22社となった。同省Deddy Saleh国際貿易総局長が明らかにしたもの。前回6月22日時点の発表では13社であった。22社の内訳は、ニッケル企業が15社、鉄鉱石企業が3社、銅企業が2社、ボーキサイト企業が2社となっているが、前回同様、許可を取得した22社の具体名は明らかにされていない。

(2012. 7. 9 ジャカルタ 高橋健一) 目次へ
インドネシア:Freeport Indonesia社、新たな外国資本規制等に対応するためIPOも検討

 2012年7月4日付け地元紙等報道によれば、米非鉄大手Freeport McMoranのインドネシア現地法人であり、Grasberg銅・金鉱山の操業会社であるFreeport Indonesia社は、新たな外国資本規制に対応するなどのため、いくつかの選択肢の一つとしてIPO(新規株式公開)を検討していることを明らかにした。同社Rozik Soetjipto社長が示したもので、IPOにより、企業統治の更なる改善と透明性の確保も図ることができ、同社にとっては望ましいことであるとも加えた。IPOのスケジュール及び規模は言及しなかったが、2013年までに方向性を結論付けたいとしている。
 なお、新たな外国資本規制では、2012年2月に制定された政令により、最終的に鉱山生産開始から10年後までに最低51%の資本を国内資本化する義務が定められた。ただし、これは新鉱業法下によるIUP(鉱業事業ライセンス)保有者に対するもので、Freeport Indonesia社はCOW(鉱業事業契約)保有者のため、直接の影響は受けないものではない。今回の報道ではこの点に関しては明らかにされていない。一方で、現在進めているインドネシア政府とのCOW再交渉についての対応策という見方もでき、今後の動きが注目される。
 Freeport McMoranは、Freeport Indonesia社の株式90.64%を保有し、残りはインドネシア政府が保有する。また、Freeport Indonesia社のCOWは2021年が契約期限となっている。

(2012. 7. 9 ジャカルタ 高橋健一) 目次へ
中国:工業情報化部、レアアース指令性生産計画管理暫定弁法を通知(詳報)

 2012年6月29日、工業情報化部は「レアアース指令性生産計画管理暫定弁法」を、6月13日付けで通知、施行した。2011年5月に国務院が公表した「レアアース業界の持続的かつ健全な発展に関する若干の意見」に基づき、同部は資源の保護及び合理的利用及び生態・環境保護のため基準作成を検討していたもの。
 工業情報化部は、国土資源部、環境保護部、工商行政管理局、税務局、安全生産監督管理局など関係部局と「国内外の需要動向及び当年度計画の進捗状況」に基づき、次年度の採掘・生産・輸出計画を検討・作成し、国務院へ提出、認可を受ける必要がある。
 暫定弁法によると、地方企業は毎年9月10日までに、各省・自治区主管部門へ、次年度計画申請書を提出せねばならない。申請受理後、主管部門は関連部署と共同で当該企業の一次審査を行い、審査意見を添付のうえ、関連資料を10月10日までに工業情報化部へ提出する。包鋼稀土、中国アルミなどの中央企業は、10月10日までに工業情報化部へ、次年度計画申請書を提出すると共に、所在地の各省・自治区主管部門へ申請書副本を送付せねばならない。国務院に認可された計画に基づき、工業情報化部は申請を審査、計画を決定し関連部局の意見聴収後、当該年12月10日以前及び翌年6月10日以前の2回に分け各省・自治区及び中央企業へ通知する。通知後20日間以内に、各省・自治区主管部門及び中央企業は計画に基づく指標を各企業へ配分し、その配分状況を工業情報化部に報告し、登録せねばならない。
 管理対象は、精鉱、製錬分離製品、精錬分離後の濃縮物を含むその他化合物などのほか、海外から輸入した鉱産品及び廃棄物からの抽出品である。
 また、企業が計画申請を行うには以下の条件が必要となる。
 1. 鉱産品生産企業の場合
  1) 業界参入許可条件に合致
  2) 採掘許可証の取得
  3) 環境影響評価の許可の取得
  4) 非炭鉱企業の安全生産許可証の取得
 2. 製錬・分離企業の場合
  1) 業界参入許可条件に合致
  2) 環境影響評価の許可の取得
  3) 安全生産許可証の取得
 なお、各省・自治区主管部門は、違法企業の閉鎖、法律に基づく処罰を行うと共に、指標を超える採掘を行う企業に対しては生産中止及び翌年度の指標削減を行う。

(2012. 7. 9 北京 土居正典) 目次へ
中国:国家発展改革委員会等関係7部署、再生非鉄金属業界参入許可基準を公表へ

 安泰科によれば、2012年6月29日に上海で開催された再生金属フォーラムで、中国有色金属工業協会再生非鉄金属部会李士龍副会長は、「中国の再生金属産業は、集積度が低く、技術的にも遅れている上、環境汚染もひどい状況にある。国家発展改革委員会、工業情報化部、科学技術部、財政部など関係7部署は、大手中央企業や上場企業の業界参入による統合を積極的に進める方針である」と話した。
 2011年の中国再生非鉄金属生産量は、銅260万t(対前年比8.3%増)、アルミ440万t(同10%増)、鉛135万t(前年とほぼ同量)である。
 中国のスクラップ金属市場の規模は大きいが、産業集積度が低く、また各企業の生産規模は小さく、業界を主導する企業が少ないのが現状である。生産規模が20万t/年を超える企業はごく僅かで、殆どの企業は数万t/年である。不確かな統計であるが、300社近くある再生鉛産業では、2009年の各企業平均生産能力は4,100 t/年で、10万t/年を超える企業は僅か2社であった。
 このため、関係7部署は協同で「国家廃棄物資源化技術プロジェクト第12次5カ年特別計画」を発表し、旧生産設備の淘汰及び業界参入許可企業数削減などにより統合再編を奨励し、リーダー企業を養成する。また、上位10企業への集積度を50%以上に引き上げ、生産能力が占める割合を80%に引き上げる。また、2015年までに主要再生金属生産量を1,200万tとする計画である。
 中国五鉱、江西銅業、雲南銅業、西部鉱業などの企業は、現在、再生非鉄金属の生産能力の増強に力を入れている。例えば、五鉱は、米国及びヨーロッパに倉庫を設置し、調達した銅スクラップを貯蔵し、中国に輸入している。その購入及び運送コストは、国内調達の銅スクラップ価格と変わりがない。2012年上半期は、米国からだけでも2万tを輸入し、2012年末までに計6万~7万tに達すると予想される。2013年は約10万tに増加する見込みである。

(2012. 7. 9 北京 土居正典) 目次へ
中国:河南省、安徽省、2012年採掘総量指標を通知

 安泰科によれば、河南省及び安徽省の国土資源庁は、2012年タングステン・アンチモン採掘総量規制指標をそれぞれ通知した。
・ 河南省
 タングステン精鉱(WO3 65%)
  洛陽栾川モリブデン業集団株式有限公司5,200 t
  栾川県赤土店長青モリブデン・タングステン選鉱場800 t
 アンチモン(金属量)
  中国黄金集団中原鉱業有限公司赤合院アンチモン鉱山400 t
  中国黄金集団中原鉱業有限公司慶家溝アンチモン鉱山300 t
  中国黄金集団中原鉱業有限公司五里川アンチモン鉱山800 t

・ 安徽省
 タングステン精鉱(WO3 65%)
  安徽省績渓タングステン業有限公司200 t
  青陽県鼎勝鉱業発展有限公司に900 t
  100 t保留(企業の生産状況により別途通知)
 アンチモン(金属量)
 400 t保留(現在、休寧県里広山鉱山など4鉱山が技術改善プロジェクト実施中のため、現時点で配分せず、状況に応じ別途配分)

(2012. 7. 9 北京 土居正典) 目次へ
中国:レアアース取引所誕生へ

 安泰科によれば、包鋼希土を中心に設立計画が進行中の「レアアース取引所」は、内モンゴル自治区包頭市に2012年8月8日、正式に設立される予定である。なお設立当日は、第4回中国包頭希土産業(国際)フォーラムが開催される予定になっている。
 関係者によると、取引所は包鋼希土及び広晟有色などが共同で設置し、「包頭希土製品取引所有限公司」と称する。なお、具体的な運営方式についてはまだ明らかにされていない。
 工業情報化部蘇波副大臣は、「取引所設立については、関係企業と何度も協議を行い、事前準備作業を行っている。取引所設立が加速できるよう支援していくほか、中国稀土業界協会もそれに参画させ、レアアースの生産者及び需要者の調整を行い、市場の秩序改善に共に努力していくようにサポートしていく」、また「この取引所により、レアアース価格は完全に市場競争の中で形成されるようになり、市場価格体系が標準化されていくだろう」と話す。
 なお、包鋼稀土は2011年5月、内モンゴル自治区人民政府から「内モンゴル自治区人民政府の包頭レアアース製品取引所設立関連事項に関する回答」を受け取り、包頭市が「包頭レアアース製品取引所有限公司」を設立、業務には「大口商品の先物取引、大口商品の先物取引市場管理、倉荷証券取引」を盛り込まないこと、包頭市が早急に包鋼稀土と内モンゴル高新控股有限公司を主体とする企業法人を設け、レアアース製品取引関連業務を展開していくことが同意されていた。
 また、包頭レアアース製品取引所の市場に対する支配力と影響力を高めるために、他の省・自治区のレアアース製品生産企業からも株式を募集することが記されていた。
 証券関係者は、「2011年のレアアース価格の変動は、レアアース業界の統合・調整を難しくした。取引所設立により、国の厳密な監督管理が可能となり、レアアース価格の安定維持にも役立つ」と評価している。

(2012. 7. 9 北京 土居正典) 目次へ
中国:四川省のモリブデン・銅プロジェクト、住民運動で着工停止

 現地報道によると、2012年6月29日に着工式典のあった四川省什邡(シーファン)市の宏達モリブデン銅多金属資源総合利用プロジェクトが、7月1日~2日にかけての住民によるプロジェクト停止要求の抗議行動を受けて、什邡市委員会と市政府は以下の3点を明示。事態は収拾された。
 ① 人民住民の合法的権益の保護を堅持する。一部群衆に支持されず理解されていないプロジェクトの着工を停止する。
 ② 社会の安定を堅持する。
 ③ 住民に対して理性ある行動を求める。
 なお、このプロジェクトは、2008年四川大地震の復興プロジェクトの一つで、四川什邡宏達集団が104億元を投資し、モリブデン4万t、銅カソード40万t、硫酸180万t、随伴の金回収10 t、銀500 t(いずれも年産)を生産する計画で、1期工事は2012年内に完成させ、生産開始を予定していたもの。2015~16年に2期工事の完成を目指していた。

(2012. 7. 2 金属企画調査部 渡邉美和) 目次へ
中国:財政部、「環境税法」草案を2013年には提示

 現地報道によると、2012年6月29日、国家財政部税政司流転税処の高晟処長は「2012年鋼鉄省エネ廃棄物削減フォーラム」の席上、全人代の要請に従い、2013年には「環境税法」草案を提示し、立法審議に入ると表明した。順調に進めば、最も早い時点では、2014年下半期には実施となるとのこと。
 これは財政部が全人代と連合して検討を進めたもので、具体的な課税方法については、排出量に応じた定額課税方式となる見込み。鉄鋼産業にとってみれば、好ましい情報ではない。廃鋼協会や鉱業情報化部など鉄鋼産業の関連部門は既に財政部税政司と意見交換し、経営状況の厳しい鉄鋼産業について、鋼スクラップ、鉄鉱石等の原料に関して一定の優遇制度を希望している。

(2012. 7. 2 金属企画調査部 渡邉美和) 目次へ
中国:希土国家備蓄、第2弾開始、企業は関心を集める

 現地報道によると、一部では、希土の国家備蓄は2011年内にその第一回目がひそかに実施されていた由。この意味で最近実施されていると報じられた2012年の国家戦略備蓄の始動は第2弾ということになる。
 国家発展改革委員会に属する国家物資備蓄局が備蓄の責任担当部門であり、関係者によると、備蓄局は2011年6月前後に第一回の備蓄を実施したとのことで、備蓄対象は軽希土であったとのこと。ただし、非常にひそかに実施され量も多くなく、試行的性格であったとのこと。
 第一回の備蓄完了後、備蓄部門は第二回備蓄を進めていて、多くの情報から今回の対象は重希土であるらしい。ただし、備蓄量は明確にされていない。だが、貿易関係者は備蓄情報に対して冷淡である。関係者は「市場の在庫量の多さに対して備蓄量は少なく、価格に対する影響はない」と言う。
 現在の市場価格の反応も冷淡なままだが、企業の備蓄への期待は大きい。備蓄はいい機会となっているという意見もあり、一部では国家備蓄の進展に非常な関心が持たれている。

(2012. 7. 6 金属企画調査部 渡邉美和) 目次へ
おことわり:本レポートの内容は、必ずしも独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構としての見解を示すものではありません。正確な情報をお届けするよう最大限の努力を行ってはおりますが、本レポートの内容に誤りのある可能性もあります。本レポートに基づきとられた行動の帰結につき、独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構及びレポート執筆者は何らの責めを負いかねます。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。

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