What's New 更新履歴
 
 独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構の海外事務所から送られてくる、資源開発や金属産業に関する最新のニュースを集めたニュースレター です。過去の記事をキーワードで検索することもできます。 各記事の末にメールアドレスのリンクがついています。各記事に対するご意見・ご感想を各記事の執筆者まで電子メールでご遠慮なくお寄せ下さい。
 バックナンバー  キーワード記事検索
  選択した記事を印刷  印刷用ページはこちら  

 No.06-31  8月16日

[ 南 北 ア メ リ カ ]
チリ・Escondida鉱山のスト未だ解決の糸口見えず -会社側は顧客にフォースマジュールを宣言-
チリ・Anglo American、サンティアゴ北部で新たなポーフィリー銅鉱床クラスターを提唱
チリ・Escondida鉱山、2012年以降の鉱量確保のため本格的周辺探鉱
チリ・CODELCOとEscondida、2006年上半期に合計70億$の利益を計上
アルゼンチン・Alumbrera鉱山の埋蔵鉱量が増加
ボリビア・San Bartolome銀鉱山の開発工事が本格化
メキシコ・ムラートス金山を操業するアラモス社(カナダ)、2006年第2四半期の損失が縮小
コスタリカ・ニカラグアで展開するグレンカーン社(カナダ)、2006年第2四半期の純益2.1百万US$
メキシコ・ペニャスキート多金属プロジェクト、FS結果は金換算生産量38t/年
メキシコ・アルマサン鉱業会議所書記長がメキシコ鉱業投資環境の歪みを語る
カナダ・Coeur D’Alen Mines社、排出許可再検討が認められる
ブラジル・CVRD社、Inco社へのTOBを発表
Inco社、Teck Cominco社TOBに関し協議を示唆
カナダ・Northern Orion社、アルゼンチンAgua Rica金銅鉱床の開発見通し
  [ ヨ ー ロ ッ パ ]
Phelps Dodge社、ザンビアNdola銅探鉱プロジェクトへのJV参入
ボツワナ・Selkirkニッケル・銅鉱床、LionOre社が埋蔵資源量を発表

[ ア ジ ア ・ オ セ ア ニ ア ]
豪州・Oxiana社の鉱石輸送を巡って鉄道会社が競争
世界の3大金鉱山会社、オーストラリアで金探鉱強化
BHP Billiton、発展途上国での探鉱に重点
PNG・Rio Tinto社に対するブーゲンビル住民訴訟に関し、米国裁判所は訴訟復活を認める裁定
豪州・Rocklands銅プロジェクト、CuDeco社がボーリング結果追加発表、株取引も再開
豪州・Newcrest社、金のヘッジポジションを減らす計画
オーストラリア、資源ブームにより失業率低下
中国・金川集団有限公司、長期生産計画作成
中国・江西銅業集団公司、永平銅鉱山のSX-EW生産能力拡張
中国有色鉱業集団公司、モンゴル・Tumurtin-Obo亜鉛鉱山から大幅収益
中国・北京有色金属研究総院、西部鉱業有限責任公司と共同研究契約締結

[ J O G M E C 本 部 ]
Falconbridge、Incoを巡る、新たな買収の展開

チリ・Escondida鉱山のスト未だ解決の糸口見えず -会社側は顧客にフォースマジュールを宣言-
 地元各紙の報道によると、Escondida鉱山のストライキは突入後1週間を経た現在も未だ解決の糸口が見えず、会社側が大幅な譲歩をしない限り長期化する状況である。
 労組側は8月7日午前8時にストライキに突入し業務を停止した。その後、約1,000名の労組員がAntofagasta市内Escondida本社の横にある同社の総合体育館を占拠。鉱山で勤務していた約1,000人も下山し、総合体育館に合流した。全員でプラカードを掲げ市内を行進、一部の組合員は道路上でタイヤを燃やして道路を封鎖した。
 会社側は、ストによる減産を最小限に喰い止めるため、新規に雇用した従業員229名と非組合員60名を動員し、予備の貯鉱を使って3系列ある選鉱場の内1系列の運転を継続中である。
 8月8日午後、労使双方はスト突入後初めて話し合いの席に着いたが、合意には至らず、会談後、労組幹部は「会社は前回と同じ提案を繰り返すばかりで、何一つ進展はなかった。」と語った。会社側は、当面解決の見通しが立たないため、顧客にはフォースマジュールを宣言したと発表した。
 8月11日、労使が話し合いを再開。会社側は新規提案こそ行わなかったが、労組の提出した要求を1項目ずつ個別に検討することを約束し、組合側もこれを了承した。組合の要求書は80項目からなっており、全ての項目を討議分析し、合意に至る迄にはかなりの日数が必要と見られている。
hirai-koji@jogmec.go.jp (2006. 8. 15 サンティアゴ 平井浩二) 目次へ
チリ・Anglo American、サンティアゴ北部で新たなポーフィリー銅鉱床クラスターを提唱
 8月10日Antofagasta市で開催された第11回チリ地質学会において、Anglo Americanは、サンティアゴ市北部で新たなポーフィリー銅鉱床クラスターの存在を提唱し、参加者の注目を集めた。Anglo Americanの発表によると、Los Pelambres鉱床/El Pachon鉱床(銅量27百万t)クラスターとLos Bronces鉱床/Andina鉱床(銅量57百万t)クラスターの間にWest Wall/Pimenton/Novicio/Morro Coloradoの4鉱床からなるポーフィリー銅鉱床クラスター存在の可能性があると発表した。ポーフィリー銅鉱床クラスターは、特定の狭い範囲に複数の類似鉱床が存在するもので、Escondida鉱床発見の端緒となったコンセプトも、Chuquicamata鉱床クラスターとEl Salvador鉱床の間に類似の大規模ポーフィリー銅鉱床クラスターが存在する可能性があるというものであった。ちなみにWest Wallは現在Anglo AmericanとFalconbridgeが共同探鉱を行っており、資源量6億t、銅品位0.8%と言われている。Pimenton鉱床は、ポーフィリー銅・金鉱床で、South American Gold and Copperが金の生産を行っており、その周辺ではSouth American Gold and CopperとRio Tintoが共同探鉱を行っている(鉱床規模は未公表)、そのほか、Novicio、Morro Coloradoもポーフィリー銅鉱床に伴う変質帯として知られており、今後の探査結果が注目される。
nakayama-ken@entelchile.net (2006. 8. 15 サンティアゴ 中山 健) 目次へ
チリ・Escondida鉱山、2012年以降の鉱量確保のため本格的周辺探鉱
 8月8日Antofagasta市で開催された第11回チリ地質学会において、Escondida鉱山は、2012年以降Escondida鉱床およびEscondida Norte鉱床からの生産量が年産140万tを切ることになるため、2006年から2010年までの5ヶ年計画で、同鉱山の周辺探査を集中的に実施することを明らかにした。それによると、Escondida鉱床の北北西約15kmに位置するChimborazo クラスター(面積約150km2)およびEscondidaクラスター(Escondida鉱床の北西および南東に隣接する面積約100km2)の探査を本格的に行うもので、地質調査、物理探査(地上磁気探査、AMT法電磁探査)、ボーリングを実施する。2006年には、Escondidaクラスターで約40,000mのボーリングを計画している。現在の生産が続けば、リーチャブル鉱を対象とした従来のSX-EWカソード生産は、2014年で生産終了する。同鉱山では、2006年7月から低品位硫化鉱を対象としたバイオリーチングプラントが稼動を開始した。年産180,000tのSX-EWカソード生産が2023年まで計画されている。なお現在のEscondida鉱山のJORCコードに基づく鉱石埋蔵量は、硫化鉱3,637百万t、銅品位0.91%および酸化鉱259百万t、銅品位0.72%である。
(注)リーチャブル鉱:リーチングによる金属採取ができる鉱石
nakayama-ken@entelchile.net (2006. 8. 15 サンティアゴ 中山 健) 目次へ
チリ・CODELCOとEscondida、2006年上半期に合計70億$の利益を計上
 8月11日付地元紙等は、近日中に2006年上半期の各社営業報告が公表される予定であるが、銅価格の高騰でCODELCOとEscondidaの利益が合計で70億$を計上する見込みであると報道している。
 両社の労働者もこうした会社の高利益に着目しており、Escondidaでは労組が一人当たり16,000,000ペソの特別手当てと13%のベースアップを求めて会社と交渉したが、交渉は決裂し、現在ストライキ中である。CODELCOでもAndina事業所とCODELCO Norte事業所で2006年第4四半期に労働協約の改定交渉が行われる予定であり、利益の分配を求める労働者との交渉は避けられない状況である。銅価格の高値は一時的な現象で長期間継続するものではないという会社側の主張も、歴史的な利益を計上している状況から、説得力を持たないというのが実情である。
hirai-koji@jogmec.go.jp (2006. 8. 15 サンティアゴ 平井浩二) 目次へ
アルゼンチン・Alumbrera鉱山の埋蔵鉱量が増加
 アルゼンチン・Alumbrera鉱山の50%の権益を有するXstrata社は、埋蔵鉱量の増加により同鉱山のマインライフが2016年まで延長されたと発表した。同社CEO、Davis氏は「Xstrata社の銅担当部門は毎年、Alumbrera鉱山の埋蔵鉱量を増加しているが、今回も探鉱により相当量の銅を確保し、株主に利益を与えることが可能となった」と語った。
 継続中のボーリング調査により、40百万tの追加鉱量を獲得したが、これは銅量120,000t、金量400,000ozに当たる。これにより現在の埋蔵鉱量(確定+推定鉱量)は4億t(銅0.45%、金0.49g/t)、資源量4.2億t(銅0.45%、金0.48g/t)となった。
hirai-koji@jogmec.go.jp (2006. 8. 15 サンティアゴ 平井浩二) 目次へ
ボリビア・San Bartolome銀鉱山の開発工事が本格化
 業界紙等によると、Coeur D’Alene Mines社(米国)は、2006年の下半期に6,000万US$を投じて同社が100%の権益を保有しているSan Bartolome銀鉱山建設を本格化していくことを明らかにした。本鉱山はポトシ県にあり、2007年末の生産開始を目指しており、銀の生産量は年間6~8百万oz。キャッシュコストは3.5US$/ozと言われている。工事の本格化の背景には、ボリビア政府から、本プロジェクトのステータスを法的に確保する旨の保証が得られたからとしている。
ommjlima@chavin.rcp.net.pe (2006. 8. 14 リマ 西川信康) 目次へ
メキシコ・ムラートス金山を操業するアラモス社(カナダ)、2006年第2四半期の損失が縮小
 カナダ・トロントに本社を置くアラモス(Alamos Gold)社HP(8月9日付)等によると、同社は、メキシコ・ムラートス金山の2006年4月1日からの商業生産開始により、2006年第2四半期の損失が、前年同期損失2.47百万US$から今期損失0.287百万US$へと大幅に縮小・改善したと発表した。
 ムラートス金山は、メキシコ・ソノラ州に位置し、2006年第2四半期は、生産量がドーレ棒690kg(生産コスト261US$/oz)、売上高14.7百万US$(金売却量674kg、平均価格618US$/oz)であった。
 同社John Van de Beuken COOは、2006年2月に投入したクラッシャーの問題解決により、生産コストを第4四半期までに210~225US$/ozに削減するとし、また、鉱石処理能力を現行10千t/日から2006年8月~12月には15千t/日に拡大し、2006年産金量を3.1~3.4t/年見込む。
 また、同社の同鉱山域の資源量拡大計画による、San Carlos地区に集中した第1段階の試錐探査結果(地表ボーリング33孔で総延長6,303m、更にコアボーリング4孔で総延長353m)によると、35m間で金3.0g/t、48.8m間で金4.5g/tを捕捉しており、今後の採掘対象地域と期待している。
(注)ドーレ(Dore):精錬前の金銀塊
jogmec@prodigy.net.mx (2006. 8. 13 メキシコ 権藤 浩) 目次へ
コスタリカ・ニカラグアで展開するグレンカーン社(カナダ)、2006年第2四半期の純益2.1百万US$
 カナダ・トロントに本社を置くグレンカーン(Glencairn Gold)社HP(8月10日付)等によると、同社は、2006年第2四半期の純益が2.1百万US$(前年同期1.4百万US$損失)を記録したと発表した。
 同社は、コスタリカBellavista金山、ニカラグアLimon金山で操業する。
 今期純益には、鉱山操業分野の収益3.8百万US$(前年同期0.2百万US$)が大きく貢献した。産金量は21,127oz(599kg)(前年同期9,669oz(274kg))であった。
 コスタリカBellavista金山は、2005年末から商業生産を開始し、今期は、産金量11,178oz(317kg)、売上高6.6百万US$(金売却量10,700oz(303kg)、平均価格616US$/oz)、生産コスト252US$/ozであった。また、ニカラグアLimon金山は、金品位低下とストライキが影響し、今期は、産金量が前年同期比9%減の9,949oz(282kg)に減少したものの、売上高は同41%増の5.9百万US$を確保した。
 2006年の両金山は、Bellavista金山が産金量48,000oz(1.4t)、下半期キャッシュコスト312US$/oz、Limon金山が産金量38,000oz(1.1t)、下半期キャッシュコスト405US$/ozを見込んでいる。
 なお、同社は、第2四半期末にニカラグアLa Libertad金鉱山の権益を、また、パナマCerro Quema鉱床の権益60%を取得している。
jogmec@prodigy.net.mx (2006. 8. 13 メキシコ 権藤 浩) 目次へ
メキシコ・ペニャスキート多金属プロジェクト、FS結果は金換算生産量38t/年
 業界情報(7月31日付)等によると、米国ネバダ州のグラミス(Glamis Gold)社Juan Depatie部長は、同社のペニャスキート(Penasquito)多金属プロジェクトのFS結果で、金換算生産量38t/年と算出した。
 同プロジェクトは、メキシコ・サカテカス州コンセプシオン・デ・オロ市西方のMazapil村から12kmに位置する。同社は、2006年5月にバンクーバーのWestern Silver社から12億C$(10.3億US$)で同プロジェクトを買収した。
 FS結果によると、マインライフ17年で、年間生産量は、金11.0t、銀646.4t、亜鉛137.4千t、鉛71.1千tであり、金換算した生産量は38.0t/年となる。同社は、2008年末に酸化鉱のヒープリーチによる生産開始を予定しており、投資額は、初期投資額882百万US$、開発後の維持管理費327百万US$を見込み、現在はファイナンスの協議中である。
 同社の2006年第2四半期は、純益が30.3百万US$(前年同期8.2百万US$)、産金量3.9t(同3.1t)、生産コスト209US$/oz(同190US$/oz)であった。また、第3四半期は、640US$/oz(同430US$/oz)の価格で金売却量4.1t(同3.2t)を見込む。なお、第2四半期の鉱山別生産量は、グアテマラ・マーリン(Marin)金銀鉱山で金818kg、銀7.7t、メキシコ・エル・サウサル(El Sauzal)金山で金2.1t(2006年17.6t見込)、ホンジュラス・サン・マルティン(San Martin)金山で金491kg(2006年1.8t見込)であった。
jogmec@prodigy.net.mx (2006. 8. 13 メキシコ 権藤 浩) 目次へ
メキシコ・アルマサン鉱業会議所書記長がメキシコ鉱業投資環境の歪みを語る
 地元経済紙(8月7日付)等によると、メキシコ鉱業会議所(Camimex)セルヒオ・アルマサン(Sergio Almazan Esqueda)書記長は、2006年2月19日未明に発生したパスタ・デ・コンチョス(Pasta de Conchos)炭鉱の炭鉱夫65名死亡事故が鉱山での安全性確保、また、メキシコ全国鉱夫冶金労組(STMMRM)の内紛が企業内での労組間信頼性を著しく失墜させた。この結果、メキシコにおいて、これまで順調に拡大し、今後とも国の発展に繋がる、鉱業分野への国内外からの投資環境は歪められたと語った。
 最近のメキシコ鉱業事情は、2005年鉱業生産額は49億US$となり、前年の30億US$から大幅に増加した。社会保険(IMSS)の登録雇用者数も、2000年28.6万人には及ばないが、2004年25.7万人から2005年26.4万人に増加した。
 鉱業分野への投資額も、近年最低だった2002年257百万US$から2005年912百万US$まで3倍以上も上昇した。さらに、現在、メキシコでは、銅、金、銀を対象にした8つの鉱山開発プロジェクト(ソノラ州4件、残りはチワワ州、ゲレロ州、サンルイスポトシ州)が、2007年からの操業開始に向けて建設中であり、国内及びカナダ資本を合せた投資額は約13億US$である。しかし、2006年に入り、グルーポ・メヒコ社やビジャセロ(Villacero)社が所有する鉱山で発生した違法ストライキの影響により既に750百万US$の経済的損失を被った。
 また、鉱山災害状況は、米国が年間約50件の災害が発生している中、メキシコは年間約20件と災害の少ない国の1つである。企業は保安規定を遵守し、2005年は衛生・保安対策、教育費として250百万US$を費やしたものの、2006年に入り今回の炭鉱災害は発生した。
 このため、2006年はメキシコ鉱業分野への投資環境は厳しさを増したが、投資額としては、2006年は2005年並みを期待しているとする。
jogmec@prodigy.net.mx (2006. 8. 14 メキシコ 権藤 浩) 目次へ
カナダ・Coeur D’Alen Mines社、排出許可再検討が認められる
 アイダホを拠点とするCoeur D’Alen社が保有するアラスカ州のKensington金鉱山開発工事に伴うアラスカ南東部のLower Slate湖へのスラリー排出許可について、シエラクラブ(環境保全組織)や他の環境保護団体の訴訟により、2005年11月から許可が保留されていたが、アラスカ地方裁判所による再検討の結果、8月3日付けで許可されることとなった。同社は、2004年12月に米国農務省林野部への環境影響調査結果を提出、2005年6月には環境庁から汚染物質除去システムに係る許可を受け、陸軍工兵隊による許可も得ていたところであったが、上記環境団体からの訴訟により手続きが止まっていたもの。Coeur D’Alen Mining社は米国屈指の銀生産会社で、金生産にも力を入れており、米国ネバダをはじめ、チリ、アルゼンチン、ボリビア、豪州において、銀、金の生産を行っている。今回の許可により、同社はKensington鉱山の開発を再開。2006年の同鉱山への投資額は1億US$(総額1.9億US$)になると見られ、アラスカ南東部の地域経済への寄与が期待される。
taketomi@jogmec.ca (2006. 8. 16 バンクーバー 武富義和) 目次へ
ブラジル・CVRD社、Inco社へのTOBを発表
 鉄鉱石生産最大手のブラジルCVRD社は8月11日、Inco社株式の公開買い付けを行うことを発表した。全て現金による買い付けで、一株当たり86C$を支払う。買収総額は167億C$。8月14日の新聞紙上で正式に広報したのち45日間の応募期間を設ける。オファーの成立条件は、Inco社株式の3分の2の獲得、関係許認可の取得である。買収提案はInco社に対する事前の相談を欠く一方的なもの。
 現在、CVRD社は時価総額で世界第4位、Inco社は11位であるが、Inco社の獲得が成功すれば世界第2位の鉱山会社が成立することになる。CVRD社は両社の統合効果を5億2,000万US$と見込む。この多くはCVRD社が開発を進めるブラジルOnca-Pumaニッケルプロジェクトから由来し、Inco社が有する2.75%のロイヤルティの消滅だけで、年間1億5,000万US$のコスト削減が見込まれるという。
 Inco社の正式なコメントは現在のところ報じられていない。しかし過去においてInco社CEO Hand氏は、鉄鉱石ビジネスに対し強い関心を持っていたという。鉄鉱石は、銅・ニッケルと同様、中国にとって必要不可欠であるものの、同国内に乏しい資源であること、他方銅・ニッケルとは異なり、長期契約主体でスポットの市況に左右されにくいコモディティであることがその理由という。
 Inco社の獲得を巡っては、友好的な合併買収の相手方であるPhelps Dodge社と、敵対的なTOBを仕掛けるTeck Cominco社が競合関係にあるが、ここにCVRD社が割って入り、新たな様相を呈することになった。8月11日の終値に基づけば、現在の三社の買収提案は以下のようにまとめられる。先のFalconbridge社の獲得合戦を巡っては、現金部分に関心の高いヘッジファンドがFalconbridge社の帰趨に大きな役割を果たしたが、Inco社の株主構成もFalconbridge社と同様で、ヘッジファンドが35~40%程度を握る構造であるという。

Inco社買収提案企業 株式買い受け条件(Inco社1株) 締め切り
CVRD社 86C$   8/14より45日間有効
Teck Cominco社 40C$ + 0.5821 Teck株 (86.04C$) 8/16締め切り
Phelps Dodge社 20.25C$ + 0.672 PD株 (88.52C$) 9/7までの応募を期待
miyatake@jogmec.ca (2006. 8. 15 バンクーバー 宮武修一) 目次へ
Inco社、Teck Cominco社TOBに関し協議を示唆
 Inco社は、Teck Comincoが8月5日に提示した敵対的TOBの新条件を巡り対応の検討を行っていたが、Inco社役員会は全会一致でPhelps Dodge社の条件が優り、株主に対して引き続きPhelps Dodge社への応募を促すよう結論づけた。その一方でInco社役員会は、Teck Cominco社の提案も変更を加えることによりPhelps Dodge社提案を上回る可能性もあるとし、Teck Cominco社に対して協議の用意があると並記した。これに対しTeck Cominco社側は、Teck Comincoの買収条件は明らかにPhelps Dodge社提案を上回っており、Inco社経営サイドとの協議に参加する考えはないと、協議の可能性を一蹴した。
miyatake@jogmec.ca (2006. 8. 15 バンクーバー 宮武修一) 目次へ
カナダ・Northern Orion社、アルゼンチンAgua Rica金銅鉱床の開発見通し
 カナダ・Northern Orion社は8月9日に発表した第2四半期報告の中で、同社が100%の権益を有するアルゼンチン北西部のAgua Rica金銅プロジェクトの最終FSが完成に近いと報告した。現在、詳細な環境影響評価調査を取りまとめており、2006年第4四半期には説明会を行う見通しであるという。また国際的なプロジェクトファイナンスを取り扱う金融機関とも協議を行っているという。同社によれば、Agua Rica鉱床開発に係る初期投資は約19億US$で、23年のマインライフを見込む。ポンドあたりの産銅コストは、金(435US$/ozを想定)およびモリブデン(7US$/lb)のクレジットが大きく、僅か9¢となるという。同社の1999年のFSによれば、Agua Rica鉱床の鉱量は7億5,000万t、平均品位、銅0.4%、金0.23g/t、モリブデン0.037%である(カットオフ品位:銅0.4%)。
 Northern Orion社はAgua Ricaプロジェクトから約30kmの距離で操業中のBajo de la Alumbrera鉱山の権益を12%保有するが、市況高騰に伴い第2四半期利益は2005年同期から約4倍増し3,280万US$と過去最大となった。Bajo de la Alumbrera鉱山からは、向こう8~10年にわたり安定した収益が得られるとしており、Agua Rica開発に向けての同社の主要原資となる。
miyatake@jogmec.ca (2006. 8. 15 バンクーバー 宮武修一) 目次へ
Phelps Dodge社、ザンビアNdola銅探鉱プロジェクトへのJV参入
 African Eagle Resources社(英、以下AER社)は、同社が所有するザンビアNdola銅探鉱プロジェクトにPhelps Dodge Mining(Zambia)社(Phelps Dodge社の子会社。以下PDMZ社)がJV参加すると発表した。発表によれば、両者間でJV契約が締結され、その内容は、PDMZ社がAER社の株式取得予約金として273万US$を拠出し、AER社はその拠出額の75%をNdolaプロジェクトの探鉱資金とし、両社で合意された15か月間の探査を実施するが、探査終了時点で、PDMZ社は排他的なプロジェクトへの参入権を得る。また、拠出金の残りについてはAER社がその他の目的で使用することができる。その後、PDMZ社は以後の探鉱費について3百万US$支出することにより、同プロジェクトの権益51%を、さらに、バンカブルFSを実施することにより権益19%をそれぞれ取得し、最終的にプロジェクト権益70%を持つことができる、といった内容のものである。
 Ndolaプロジェクトは、ザンビア、コンゴ間のカッパーベルト内、First Quantum社が操業するBuwana/Lonshi鉱山の近傍に位置し、2005年7月にAER社がライセンスを取得した。過去、1960年代までの調査で、埋蔵資源量40百万t、銅品位0.75%の鉱床が存在しているとされている。
takahashi@jogmec.org.uk (2006. 8. 9 ロンドン 高橋健一) 目次へ
ボツワナ・Selkirkニッケル・銅鉱床、LionOre社が埋蔵資源量を発表
 LionOre Mining International社(加。以下LionOre社)は、8月8日、2002年に生産活動を終了していたボツワナSelkirk鉱山において、新たに調査が進められていたニッケル・銅硫化物鉱床の埋蔵鉱物資源量を発表した。これによれば、概測量で165百万t、ニッケルのカットオフ品位を0.15%とした場合、ニッケル含有量469千t、銅含有量402千t(ニッケル品位0.284%、銅品位0.243%)と算定された。この結果に基づくプレFSは2006年末までに完了する予定で実施されるとしており、採掘対象となる鉱石量がどの程度となるかが今後の焦点となる。また、今回の鉱床は、LionOre社が85%の権益を持つTati Nickel Mining社(他15%はボツワナ政府所有)が所有し、同じくTati Nickel Mining社が操業するPheonix銅・ニッケル鉱山から15kmに位置するものであるが、現在Pheonix鉱山では硫化物鉱石の湿式製錬プラント(Activox方式)の導入プロジェクトが進められていることもあり、Pheonix鉱山を含めたTati Nickel Mining社全体における生産プロセスの最適化も、今回の鉱床の開発の鍵となるとしている。
takahashi@jogmec.org.uk (2006. 8. 9 ロンドン 高橋健一) 目次へ
豪州・Oxiana社の鉱石輸送を巡って鉄道会社が競争
 オーストラリアのFreightLink社、Genesee & Wyoming Australia社、Pacific National社等の鉄道会社は、Oxiana社(本社メルボルン)が提案している南オーストラリア州のProminent Hill鉱山からの銅金精鉱の輸送契約を巡って競っている。Oxiana社は、鉱山からアデレード~ダーウィン鉄道のあるWirridaまで120kmの道路を建設する計画である。Oxiana社のOwen Hegarty社長は、銅金精鉱はトラックでWirridaまで、鉄道でAdelaide港まで運ばれ海外の製錬所に輸送されるという計画を述べた。これに対してFreightLink社は、銅金精鉱をダーウィンまで貨車輸送して中国に輸出する可能性を含んだ提案をしている。Genesee & Wyoming Australia社もまたOxiana社と貨車輸送の提案を行っている。
  Oxiana社は、最初のProminent Hill鉱山からの生産を2008年の下半期に開始することとしており、生産量は銅100,000t/年及び金120,000oz/年の予定。一方、BHP Billitonとは、Olympic Dam鉱山からProminent Hill鉱山へ130kmの送電線を建設する計画の協議が続いており、これによりOxiana社のインフラ建設費用を安く抑えることができる。
masahiro-nagai@jogmec.net (2006. 8. 7 シドニー 永井正博) 目次へ
世界の3大金鉱山会社、オーストラリアで金探鉱強化
 地元紙等によると、世界の3大金鉱山会社であるカナダのBarrick Gold社、アメリカのNewmont社、南アフリカのAngloGold社がオーストラリアでの金探鉱・鉱山開発を強化している。
 Barrick社は、既にオーストラリア最大の金鉱山会社で2,300,000oz/年の金を生産している。Newmont社は、第2位で1,600,000oz/年生産している。AngloGold社のTropicanaプロジェクトでは、ボーリングで、コア長34mで金4g/t、コア長29mで金4.37g/t等の鉱化帯を捕捉しており、オーストラリア随一の新規プロジェクトとなる可能性がある。また、AngloGold社とNewmont社は、西オーストラリア州の18億A$のBoddingtonプロジェクトJVのパートナーであり、2009年前半に生産を開始し、当初5年間は850,000oz/年の生産、最終的に百万oz/年の生産に持っていく計画である。
masahiro-nagai@jogmec.net (2006. 8. 8 シドニー 永井正博) 目次へ
BHP Billiton、発展途上国での探鉱に重点
 地元紙等によると、BHP Billitonの探査担当副社長のIan Maxwell氏は、鉱物資源探鉱は最初に行動したものに利益があるという考えに基づき、今後はオーストラリアのような伝統的鉱産国よりも発展途上国で探鉱を展開すると述べた。
 BHP Billitonは、現在、ロシア、アンゴラ、コンゴ民主共和国で探査を実施している。コンゴ民主共和国は、以前は政治的不安定地域でインフラストラクチャに限界があり、リスクの高い国と考えられていた。BHP Billitonは、2005年度、探鉱にオーストラリアの探鉱支出の20%に当たる200百万US$を支出している。
masahiro-nagai@jogmec.net (2006. 8. 9 シドニー 永井正博) 目次へ
PNG・Rio Tinto社に対するブーゲンビル住民訴訟に関し、米国裁判所は訴訟復活を認める裁定
 地元紙等によれば、Rio Tinto社に対するPNG・ブーゲンビル住民訴訟が2006年8月8日、サンフランシスコの法廷で再度、取り上げられた。これは、1988~1998年のブーゲンビルの紛争の際、住民から訴えられたもの。
 訴訟は、Rio Tinto社がPanguna銅金鉱山での大気及び水質を汚染していること、PNG政府が殺人等の残虐行為を行っているにも関わらずRio Tinto社がこれを資金的に援助していることを訴えている。
 ブーゲンビルの紛争では、10年間にわたる独立運動の結果として病気や飢餓で15,000人が死亡している。この内乱ではPanguna鉱山も被害を受けた。
 訴訟は、2002年に、平和交渉の障害となるとして取り下げられたが、2006年8月8日、サンフランシスコの第9回巡回裁判(US Circuit Court of Appeals)で、下級裁判所は間違った法解釈をしており、最終決定権は国会か最高裁判所にあるとされた。
 アメリカのAlien Tort Claims Act(外国不法行為損害賠償法)では、残虐行為の被害者はその被害をアメリカの裁判所に訴えることを保証している。
masahiro-nagai@jogmec.net (2006. 8. 9 シドニー 永井正博) 目次へ
豪州・Rocklands銅プロジェクト、CuDeco社がボーリング結果追加発表、株取引も再開
 地元紙等によると、CuDeco社(本社クイーンズランド州サウスポート)は、クイーンズランド州のRocklands銅プロジェクトのLas Mineral鉱床のボーリング結果を追加公表し、850mにわたる鉱化帯があることが確実になったと発表した。取引が停止されていた同社の株取引も再開された。
 同鉱床の新しい資源量は25百万t(銅品位2%)である。
 CuDeco社は、2006年7月にオーストラリア証券取引所(ASX)に新規上場後、Rocklandsプロジェクトの資源量が59百万tであると発表して株価が3日間で1.78A$/株から最高10A$/株まで上昇した。その後ASXの調査に答える形で資源量を25百万tであると訂正したが、ASXが、新しい資源量とボーリング結果に合意するまで、9日間にわたり株取引が停止されていた。8月9日に株取引が再開され、3c高の3.18A$/株で終了した。
masahiro-nagai@jogmec.net (2006. 8. 10 シドニー 永井正博) 目次へ
豪州・Newcrest社、金のヘッジポジションを減らす計画
 Newcrest社(本社メルボルン)の社長Ian Smith氏は、同社の金のヘッジポジションを今後12か月にわたって生産量の50%に減らすと述べた。
 Newcrest社の金のヘッジは、現在の金価格より250A$/oz低い600A$/ozの契約を含んでいる。2006年度の金生産量153万ozの80%は、ヘッジで売られた。最近のスポット価格の850A$/ozを基準にすると、ヘッジを生産量の50%に減らすことにより、Newcrest社は190百万A$の増益となる。
 また、Smith氏は、Telfer鉱山の問題は近く克服されて、業績は12か月以内に改善されること及び財政的に更なる拡大ができる資金的ポジションになると期待している。これまで、Newcrest社は内外のジュニア企業と金・銅の資源探査について協議しており、Telferの問題が片付いたら大きな探鉱チャンスが訪れるだろうと述べている。
masahiro-nagai@jogmec.net (2006. 8. 10 シドニー 永井正博) 目次へ
オーストラリア、資源ブームにより失業率低下
 オーストラリアのほとんどの州で失業率が低下している。7月の失業率は、4.8%で、1976年5月以来の最低水準を記録した。フルタイム雇用者は27,100人増加して730万人、パートタイム雇用者は23,600人増加して294万人となった。
 特に、西オーストラリア州とクイーンズランド州は雇用機会の増加が著しく、7月に過去最低の失業率を記録した。西オーストラリア州では、フルタイムの新規雇用が20,100人増え、女性の雇用が11,800人と著しく増加した。失業率は3.1%である。クイーンズランド州の失業率は4.5%で2004年6月以来最低を記録した。
 西オーストラリア州首相のAlan Carpenterは、“目を見張るべき、失業率の低下は、州経済が中国の経済成長による資源ブームを真ん中に据えた州経済政策の成功である”と述べている。
masahiro-nagai@jogmec.net (2006. 8. 11 シドニー 永井正博) 目次へ
中国・金川集団有限公司、長期生産計画作成
 安泰科によれば、金川集団有限公司は、最近、長期生産計画を作成したと発表した。その内容は、2010年の年間生産量で非鉄金属60万t、化学工業製品280万t、非鉄金属圧延加工材料15万tを達成し、その後、2015年から2020年において、非鉄金属、化学工業製品の年間生産量をそれぞれ、100万t、350万tにあげるという計画である。その結果として、年間売上高800億元、税込み利益80~100億元を見込んでいる。
 金川集団有限公司は、2006年から2010年の間約320億元を投じ、2010年の生産計画達成に向け、生産能力の拡張及び技術や設備の近代化を図る計画である。
tsuchiya@jogmec.cn (2006. 8. 15 北京 土屋春明) 目次へ
中国・江西銅業集団公司、永平銅鉱山のSX-EW生産能力拡張
 安泰科によれば、江西銅業集団公司は1,600万元を投じ、永平銅鉱山のSX-EW生産能力を年間銅カソード生産量600tに拡張すると発表した。
 1995年に江西銅業集団公司は、永平銅鉱山の酸化鉱を対象にSX-EWの研究を開始した。5年間の実験期間を通して、同公司はSX-EWの技術を習得した。永平銅鉱山にプラントを建設し、2000~2005年の間にLME基準に適合した品質の銅カソード962tを生産した。又、同公司は、現在年産2,000tの生産能力を有する徳興銅鉱山のSX-EWプラントの拡張工事も行う計画である。
tsuchiya@jogmec.cn (2006. 8. 15 北京 土屋春明) 目次へ
中国有色鉱業集団公司、モンゴル・Tumurtin-Obo亜鉛鉱山から大幅収益
 安泰科によれば、中国有色鉱業集団公司は2006年上期においてモンゴルTumurtin-Obo亜鉛鉱山から約2,400万US$の税引き前利益を得たと発表した。Tumurtin-Obo亜鉛鉱山は、2006年上期において亜鉛精鉱20,300t(金属量)を生産した。同鉱山は、2005年8月28日より操業を開始し、2006年6月30日までに亜鉛精鉱31,000t(金属量)を生産した。その結果、操業以来、約2,700万US$の税引き後利益を得ている。生産された亜鉛精鉱は全量中国に販売されている。同鉱山の建設と生産により、モンゴルのGDPは2%増となった。
 Tumurtin-Obo亜鉛鉱山は、中国有色鉱業集団公司傘下の中国有色鉱業有限公司とモンゴル政府との合資企業により開発された鉱山である。可採埋蔵鉱量は103万t(亜鉛金属量)で、亜鉛の平均品は12-13%である。同鉱山の生産計画は、採掘量30万t/年、亜鉛生産量3.6万t/年である。
tsuchiya@jogmec.cn (2006. 8. 15 北京 土屋春明) 目次へ
中国・北京有色金属研究総院、西部鉱業有限責任公司と共同研究契約締結
 安泰科によれば、北京有色金属研究総院は、最近、青海省において西部鉱業有限責任公司と共同研究契約を締結したと発表した。両者が協力するプロジェクトの内容は、以下のとおりである。
1. 北京有色金属研究総院のバクテリアを用いた冶金技術をベースに、玉龍銅鉱山で利用可能な高効率な生産技術を共同で開発する。具体的には、パイロットプラントを建設し、低温かつ酸素濃度の低い条件下で銅精鉱を対象とした生産技術を実証する。
2. 西部鉱業有限責任公司の所有する錫鉄鉛亜鉛鉱山の操業改善に取り組むため、協力して選鉱技術の開発を行う。
3. 北京有色金属研究総院のバイオリーチング研究室をベースに、チベット自治区及び青海省の鉱物資源総合利用研究室を立ち上げる。
 これらのプロジェクトは北京有色金属研究総院の技術的優位性や技術スタッフを十分活用するものであり、また、西部地域開発に貢献するものである。
tsuchiya@jogmec.cn (2006. 8. 15 北京 土屋春明) 目次へ
Falconbridge、Incoを巡る、新たな買収の展開
 8月15日、Xstrataは、Falconbridgeに対する買収提案に対し、既に取得済みの株式20%を含みFalconbridge株式の92%を取得したと発表した。これにより、XstrataはFalconbridgeの買収にほぼ成功したことになる。また、同日、ブラジルCVRDが、Incoに対する買収を発表し、今後は、Incoを巡って、Phelps Dodge、Teck Cominco、CVRDが買収合戦を展開する見通しとなった。
 XstrataによるFalconbridgeの買収によって、新生Xstrataは、グローバルな鉱山企業となる見込み。Xstrataの株式の15%をGlencore(スイス)が所有しているが、Xstrataが生産する金属のマーケティングをGlencoreが行っており、今後Glencoreによる市場影響力が高まる可能性が出てきた。Glencoreは、既にXstrataのバナジウム、フェロクロムならびに2003年に買収したMIM(豪)のベースメタル販売権を有しており、今後、XstrataとGlencoreによる採掘事業とマーケティングの動向に注視する必要がある。
 一方Incoは、Phelps Dodgeによる買収オファーが優先するとしながら、CVRDとの協議も行う姿勢を見せている。また、Teck ComincoのCEOは、豪州Kalgoorieでの会議で、Incoの買収にこれ以上深入りせず、他の買収オプションを選択する可能性を示唆している。
mric@jogmec.go.jp (2006. 8. 16 金属企画グループ 神谷夏実) 目次へ
おことわり:本レポートの内容は、必ずしも独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構としての見解を示すものではありません。正確な情報をお届けするよう最大限の努力を行ってはおりますが、本レポートの内容に誤りのある可能性もあります。本レポートに基づきとられた行動の帰結につき、独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構及びレポート執筆者は何らの責めを負いかねます。

ページトップへ ページトップへ