チリ:Santiago上訴裁判所、Pascua Lama金銀プロジェクトに関する住民の訴えを却下
2016年8月16日付けメディア報道によると、8月12日、Sanitiago上訴裁判所は、Pascua Lama金銀プロジェクトに関するHuasco渓谷住民グループの訴えを却下する判決を下した。
住民グループの訴えは、2015年12月、Pascua Lamaプロジェクトを一時中止するための計画を認可したSERNAGEOMIN(チリ地質鉱山局)に対するもので、必要な基本的条件を欠くにもかかわらず計画を認めたことは違法であるとの主張がなされていた。住民側は、Santiago上訴裁判所の判決を不服として、最高裁判所に訴えることができる。
(2016年8月17日 サンティアゴ 山本邦仁)
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チリ:Kinross Gold社、保有鉱業資産売却によりチリから撤退の可能性
2016年8月18日付けメディア報道によると、Kinross Gold社(カナダ)は、チリに保有する鉱山および開発プロジェクト資産の売却プロセスに着手したとされる。
同社がチリに保有する2つの鉱山(Maricunga金鉱山とLa Coipa金鉱山)について、すでにカナダおよびチリの鉱山会社が取得に関心を示した模様。Maricunga鉱山は、操業が周辺湿地の乾燥化を招いたとして環境監督庁により採水施設の閉鎖命令が出され、一時操業を停止したほか、規制当局の審査によっては年内に操業を休止する可能性がある。また、La Coipa鉱山は、経済的に採掘可能な埋蔵量が枯渇したため、2013年末から操業を停止している。
同社はが保有する開発案件としては、La Coipa Fase 7金プロジェクト(初期投資額:2億US$)、Lobo Marte金プロジェクト(同:8億US$)、Cerro Casale金銅プロジェクト(同:60億US$、権益25%)がある。Cerro Casaleプロジェクトは、期待される収益性を達成することができないことから、プロジェクトは中止されている。
(2016年8月19日 サンティアゴ 山本邦仁)
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チリ:Salvador銅鉱山、労使交渉決裂によりストライキの可能性が高まる
2016年8月21日付けメディア報道によると、CODELCO Salvadorデビジョンにおける労使交渉において、CODELCOの提案(ベースアップなし、ボーナス250万ペソ)を労働組合が拒否したことから、話合いが決裂した。
組合側の要求(ボーナスのほか200万ペソの低金利貸付)は赤字転落につながるとしてこれに応じようとしないCODELCOと、ストライキをほのめかす組合側との間に緊張が続いている。一方で、Salvadorデビジョンにおける労使交渉の結果は、2017年に予定されているChuquicamataデビジョンの労働協約改定に関する労使交渉に影響を与えるとされ注目されている。
Chuquicamataデビジョンの労使交渉は、①CODELCOの提案(ベースアップなし、ボーナス250万ペソ)を提案する考えであり前回条件(ボーナス1千万ペソ)を大きく下回ること、②労働協約事項の簡素化を進めたいCODELCOに対し、特別手当等の切り捨てにつながるとして組合側は反対していること、③露天採掘から坑内採掘への移行に伴う労働者解雇が不可避であること、④大統領選挙の年にあたることから労使紛争が政治問題化するリスクが非常に高いこと、などの点から、過去最悪の争議に発展する可能性を懸念する見方がある。
(2016年8月22日 サンティアゴ 山本邦仁)
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ブラジル:Minas Gerais州裁判所、Samarco鉄鉱石鉱山の環境ライセンスを停止
2016年8月22日付けメディア報道によると、Minas Gerais州裁判所はSamarco鉄鉱石鉱山の環境ライセンスを停止した。ブラジル公共検察Minas Gerais支部からの要請にもとづく措置とされる。Samarco鉱山は今後、環境ライセンスの再取得に必要な文書の提出のほか、Minas Gerais州のCOPAM(Conselho Estadual de Política Ambiental、州政府環境政策審議会)の承認を受ける必要がある。
2015年11月の廃さいダム決壊事故に伴い停止した操業の再開をめざすSamarco鉱山は、操業ライセンスの再取得を進めており、6割操業に関するライセンスについて地元政府の承認を得たものの、連邦政府および州政府での審査は継続中のままとなっていた。2016年7月、BHP Billiton(50%権益)は、Samarco鉱山の操業再開に向けたライセンスの年内取得は困難との見通しを発表していた。
(2016年8月23日 サンティアゴ 山本邦仁)
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アルゼンチン:Galaxy Resources社、Sal de Vidaリチウムプロジェクトの更新FS結果を発表
2016年8月22日付けGalaxy Resources社(豪州)のニュースリリースによると、Sal de Vidaリチウムプロジェクト(Catamarca州)のFS(更新)が完了し、年間生産量―炭酸リチウム:25,000t、塩化カリウム:95,000t、操業年数:40年以上、初期投資額:376百万US$の内容となっている。バッテリーグレード炭酸リチウム生産コストは、2,959US$/t(塩化カリウムクレジット考慮。考慮しない場合は3,369US$/t)。
前回FS(2013年4月)では、初期投資額:369百万US$、バッテリーグレード炭酸リチウム生産コスト:2,889US$/tとされていた。鉱量(推定および確定)は炭酸リチウム:1.14百万t、塩化カリウム:4.20百万t。
(2016年8月23日 サンティアゴ 山本邦仁)
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ペルー:Milpo社、2017年は既存鉱山における活動に集中
2016年8月11日付け地元紙によると、金属市況が低迷するなか、Milpo社は、より少ない資金でより速く投資回収できる案件に取り組む方針に基づき、2017年はCerro Lindo鉱山(Ica州)やEl Polvenir鉱山(Pasco州)、Atacocha鉱山(Pasco州)といった既存鉱山での活動に集中する計画である。
同社Gobitz代表取締役によれば、Cerro Lindo鉱山では、同鉱山における1日あたりの粗鉱処理量を18,000tから20,000tへと増加する許認可が間もなく取得される見込みのほか、さらに処理量を22,500tへと引き上げることが検討されている。また、鉱床の規模が見直しされた結果、マインライフは13年延長し2030年となる見通しを示した。
一方、Atacocha鉱山とEl Porvenir鉱山の統合作業は最終段階(第4期)に入っており、El Porvenir鉱山の深部やAtacocha鉱山のトンネル等における作業を2017年通年から2018年初頭にかけて実施する旨示した。さらに、既存鉱山における増産や統合によって得られるキャッシュフローを元手に、新規の探鉱活動に着手していくとの見通しを示した。
ペルー:Milpo社、チリ撤退
2016年8月16日付け地元紙によると、ブラジルVotorantim Metais社傘下のMilpo社(本社リマ)が、チリに所有する鉱山を売却し、20年間継続してきたチリでの鉱山業から撤退する。
報道によると、Milpo社は、チリでの子会社であるMinera Rayrock社の所有するIvan銅鉱山(第Ⅱ州)とSierra Medina銅プロジェクト(第Ⅱ州)を含む全資産を、ジュニア企業Coro Mining社(本社バンクーバー)に6.5百万US$で売却する。Coro Mining社側は、プレスリリースにおいて、特に、Coro Mining社のMarimaca銅プロジェクト(第Ⅱ州)に隣接するMilpo社Ivan銅鉱山のリーチングプラントが、Marimacaプロジェクトでの生産を加速させるだろうとし、年末までに買収を完了したいと述べている。同リーチングプラントは12,000tpdの処理能力を持っている。
Ivan銅鉱山は、精測+概測鉱物資源量18.26百万t、平均銅品位1.32%の鉱床を持っていたが、2012年に、銅価格の低迷と、労務費およびエネルギー価格の高騰により、操業を休止した。Sierra Medina銅プロジェクトは、予測鉱物資源量12.2百万t、平均銅品位1.18%だった。
ペルー:Mina Justa銅、Bofedal 2錫回収プロジェクト、2017年第2四半期完了目標にFS開始
2016年8月17日付け地元紙によると、Minsur社(本社リマ、Brecaグループ)は、Mina Justa銅プロジェクト(Ica州)のFS実施が承認されたことを明らかにした。
2016年6月に完了した本プロジェクトのプレFSでは、初期投資が1,300~1,500百万US$、キャッシュコストが1.6~1.7US$/lbとなることが発表されていた。Minsur社によれば、Mina Justaプロジェクトのマインライフは16年で、操業開始後5年間の年間生産銅量は平均150,000t、マインライフ全体における年平均生産銅量は90,000tとなる見通しである。同プロジェクトは、韓国Korea Resources社とLS-Nikko Copper社とのJVで、SNL社データによると鉱物資源量388.3百万t、平均銅品位0.77%、埋蔵銅量約3.0百万t。同社幹部によると、2017年第2四半期のFS終了を目指しているという。
一方、San Rafael錫鉱山の廃滓処理Bofedal 2プロジェクト(Puno州)に関しては、初期投資160~180百万US$、錫地金1tあたりの処理コスト5,200~5,400US$で、年間生産量は4,500~5,000t、マインライフは9年間となる見通しとなっており、同社幹部によると、Bofedal 2プロジェクトも2017年第2四半期のFS終了を目指しているという。
ペルー:政府、違法鉱業取締り・鉱業合法化プロセス委員会を内閣からエネルギー鉱山省に移行
2016年8月18日付け地元紙によると、政府は、8月16日付け最高政令において、現在内閣に設置されている違法鉱業取締り・鉱業合法化プロセス委員会及び本委員会に係る予算、人材、関係書類を、今後60日以内にエネルギー鉱山省へと移行する旨発表した。
政令公布後5日以内に権限移行委員会を設置することが定められている。内閣の違法鉱業取締り・鉱業合法化プロセス委員会は、今回の権限移行について、最高政令が公布されるまで関知していなかった模様。一方、環境法の専門家は、権限の移行に他セクターとの連携作業を伴うことが重要だとしたほか、政府の方針を明確にするべきだと意見した。
なお本最高政令は、違法鉱業だけでなく違法森林伐採や麻薬問題等、多岐の分野において、内閣とその他行政機関の権限重複の解消を目的として公布された模様である。他方、今後60日の権限移行期間は、違法鉱業に対する取締りが行われず、違法鉱業がより活発化する恐れがあるとの指摘もある。
エクアドル:Río Blanco金プロジェクト建設開始
2016年8月12日付け地元紙によると、8月11日、Jorge Glas副大統領は、Río Blanco金プロジェクト(Azuay県)現場の坑口予定地において、最初のボーリングに立ち会い、同プロジェクトの建設開始を宣言した。
同プロジェクトは、政府が指定する5つの戦略的鉱山開発プロジェクトのひとつで、中国企業Junefield社によって進められている。同プロジェクトのターゲットは、金0.6百万oz(約19t)と銀4.3百万oz(約134t)で、粗鉱処理量は800tpdと見込まれている。マインライフ11年間の国庫収入の推定額は合計191.49百万US$(内訳は、ロイヤルティ24.59百万US$、利益配当金67.64百万US$、法人所得税84.32百万US$、送金税14.95百万US$)。現在の直接雇用150名に加え、鉱山建設期間は約400名が、生産期間は約220名が直接雇用される見込み。
一方、Junefield社の調査結果をもとに、水源の汚染はないとして、同プロジェクトのEIAを承認した政府環境省の決定に対し、8月15日、Cuenca市長及び市議会議員15名の内の9議員は、開発側の一方的評価で、汚染を起こさない証明にはならないとして、同市がCuenca大学に依頼している半年後の地質調査の結果が出るまで、同プロジェクト中止を政府に申し入れた。
コロンビア:Red Eagle Mining社、開発中のSan Ramón金鉱山の探査報告
2016年8月16日、Red Eagle Mining社(本社バンクーバー)が、開発に向けて試験採掘中のSanta Rosa金プロジェクトのSan Ramón金鉱山(Antioquia県)の探査結果を報告した。
同社プレスリリースによると、以前に発表されたSRD-0001~0005までのボーリング調査に追加されたSRD-0006~0023号孔の計18孔のうち、11.48m間でAu 7.25g/t(SRD-0010孔)、5.10m間でAu 12.27g/t(SRD-0017孔)、1.35m間でAu 50.11g/t(SRD-0018孔)などが特筆される。
SNL社によると、同プロジェクトの2014年10月時点の鉱石鉱物資源量は約5.7百万t、平均金品位約3.4g/t(金量約19t)。
コロンビア:2016年第2四半期鉱産物生産量
2016年8月17日、国家鉱山庁(ANM)が2016年第2四半期における同国の鉱産物生産量を発表した。
石炭は前年同期比3%増の23.1百万tで、2016年上半期生産量は44.6百万tとなり、90百万tと見込まれる通年生産目標のとおりとなりそうである。2015年の石炭生産量は85.5百万tだった。金の2016年第2四半期生産量は前年同期比1.2%増の525,619oz(約16.3t)。エメラルドの2016年第2四半期生産量は前年同期の265,739カラットから589,619カラットに急増。ニッケルの2016年第2四半期生産量は前年同期比11.5%増の21.1百万lb(約9.6千t)。2015年通年の生産量は、金1.90百万oz(約59.1t)、エメラルドは2.17百万カラット、ニッケルは80.8百万lb(約36.7千t)だった。
Germán Arce鉱山エネルギー相は、鉱業部門における生産と価格の回復について、楽観的見通しを持っていると語った。
ベネズエラ:4,500百万US$超の鉱業投資協定締結と発表
2016年8月16日、Nicolas Maduro大統領が、「我々は、国内南部において、4,500百万US$超の鉱業投資協定を締結した」と発表した。
内容についての詳細を明らかにする報道は把握できていないが、一部報道によると、同大統領は国が55%の権益を持ち、収益を折半するJVによる投資スキームを考えているらしい。このスキームに参加を表明するロシア、カナダ、英国、南ア、米国、中国、豪州等の複数の企業がある模様。同国は、同大統領によって命名された「Arco Minero del Orinoco」(オリノコ鉱物弧状帯)があり、金、ダイヤモンド、コルタンなどの埋蔵鉱石が開発を待っているとされる(推定鉱量金200百万US$相当、同ダイヤモンド3,000百万US$相当、同コルタン100百万US$相当)。同大統領は、この領域で得られる収入の60%が、地元住民の17年間の生活向上のための社会プログラムに向けられると述べた。
同大統領はさらに、国内の石油資源胚胎地域が、20,000百万US$の開発プロジェクトの契約を、近日中にするだろうと述べた。
ベネズエラ:仲裁裁判所、政府にRusoro社へ約10億US$の損害賠償金の支払いを命令
ベネズエラ・ボリバル共和国(以下、ベネズエラ)政府の2011年の国有化政策により同国での投資が不法に収用されたとして、加Rusoro Mining Ltd.(以下、Rusoro社)がカナダとの二国間投資協定違反を仲裁裁判所に訴えていた問題で、Rusoro社は2016年8月23日、前日に仲裁裁判所がベネズエラ政府に対し、Rusoro社へ967.77百万US$の損害賠償金の支払いを命ずる判決を下したことを明らかにした。
Rusoro社はベネズエラで金鉱山を操業していたが、2011年9月に公布された金産業を国有化する法律により操業継続が困難となり、2012年5月にはベネズエラ政府がRusoro社の資産・操業を国有企業であるMinerven社に引き継がせたことから、同年7月にベネズエラ政府を相手取って国連の国際投資紛争解決センター(ICSID)に提訴していた。
(2016年8月24日 バンクーバー 山路法宏)
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グアテマラ:北部のニッケル鉱山で死亡事故発生
2016年8月14日付け地元紙等によると、14日、グアテマラ北東部のニッケル鉱山において、ボイラーの爆発事故により、少なくとも5人が死亡、4人が負傷するり災事故が発生した。現在、事故発生原因等の現場検証が行われている。露Solway Investment Group社が権益参画しているCompañía Guatemalteca de Níquel(CGN-PRONICO)社の鉱山であると見られる。
グアテマラでの鉱山開発は環境保護団体等の抗議活動が続いている中で進められており、農民、先住民は、我々の鉱物の搾取、天然資源への脅威としてメガプロジェクトに反対している。
(2016年8月18日 メキシコ 森元英樹)
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メキシコ:Timmins Gold社、Ana Paula金鉱山のFS調査開始
2016年8月12日付け業界紙等によると、加Timmins Gold社は、Ana Paula金鉱山(Guerrero州)のFS調査を開始する。2017年第3四半期までにFS調査を実施し、FS調査の結果を踏まえ2018年第1四半期から開発が開始される予定である。
予算の内訳は、FS調査費用が3.4百万US$、環境調査・建設許可に係る費用が3.6百万US$、掘削調査費用が2.2百万US$等となっている。昨年、同社はEl Sauzal金鉱山に処理能力6,000t/日の設備を導入しており、同レベルの設備がAna Paula鉱山にも導入する見込みである。なお、Timmins社の2016年第2四半期の包括利益合計額は、金価格上昇と金販売量が増加した結果、対前年同期60万US$から6.4百万US$に大幅に増加していた。
(2016年8月18日 メキシコ 森元英樹)
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メキシコ:加Argonaut Gold社、San Agustín金銀プロジェクトの土地取得手続終了見込み
2016年8月12日付け業界紙等によると、El Castillo金鉱山(Durango州)、La Colorada金・銀鉱山(Sonora州)を保有する加Argonaut Gold社は、San Agustin金銀プロジェクト(Durango州)の土地取得に関する手続が2016年第3四半期中に終了する見込みであることから、近く設備建設の開始を決定する。
同社幹部は、設備建設に関する決定が2016年12月までに行われれば2017年第3四半期には金、銀生産の開始が可能となる旨述べた。同社の2016年第1四半期の生産量は29,237oz(0.9t)であったものの、El Castillo鉱山設備の改修等を行ったところ、同年第2四半期には36.529oz(1.1t)に増産された。他方、全維持コスト(AISC)は909US$/ozから947US$/ozへ上昇していた。
(2016年8月18日 メキシコ 森元英樹)
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メキシコ:各社、金鉱山への投資拡大
2016年8月16日付け地元紙によると、メキシコ鉱業会議所(CAMIMEX)は、2021年までに14の金生産プロジェクトに対し1,900百万US$の投資が見込まれており、具体的には、Fresnillo社・San Julián鉱山(Chihuahua州)515百万US$、Fortuna Silver社・San José鉱山(Oaxaca州)62百万US$、Gogold Resources社・Santa Gertrudis鉱山(Sonora州)48百万US$等である。また、2016年には425百万US$超のプロジェクトが開始されていることを明らかにした。さらに2018~2021年の間に105百万US$に上る金採掘に係る投資がZacatecas州、Sonora州、Durango州、Chihuahua州において実施予定である。
2015年に操業を開始したSan Julián金銀鉱山は、2016年第2四半期から商業生産を開始しており、2016年末には、第2フェーズへ移行し、2017年にフル稼働に達した際の年間生産量は、銀が10.3百万oz(約320t)、金が44千oz(約1.4t)と推計されている。
Pan American Silver社は、2017年には112百万US$を投じDolores鉱山(Chihuahua州)を拡張させ、また、La Colorada鉱山(Zacatecas州)に140百万US$を投じ品位の向上を図る予定である。
(2016年8月18日 メキシコ 森元英樹)
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加:第73回全国エネルギー鉱山大臣会合で経済成長と環境政策の両立に向けた協働を表明
2016日8月22~23日にかけて、MB州Winnipegにおいて連邦政府及び各州・準州のエネルギー・鉱業担当大臣による第73回エネルギー鉱山大臣年次会合が開催された。雇用や地域経済開発機会の創出、低炭素経済への転換のためには天然資源の持続的開発に対する国民の信頼が不可欠であることから、今回は「カナダの天然資源分野における国民の信頼の醸成」を会合のテーマとして議論が行われた。
会合で公表された過去10年間にわたるカナダ鉱業の経済上、社会上、環境上の実績に関する報告書「Mining Sector Performance Report 2006-2015」は、その実績が向上又は改善しており今後もカナダの社会経済の活力に大きく貢献する産業であるとしつつ、競争圧力や環境上の懸念、社会的な期待が国内外に広く広まっていること、生産性やイノベーションの向上が重要となること、それらの課題の評価が鉱業界の実績を理解する上で重要となること等を指摘した。また会合に先立ち、カナダ鉱業協会やカナダ探鉱・開発者協会等が名を連ねるカナダ鉱物産業連盟(Canadian Mineral Industry Federation)は7つの政策優先事項を提言した。
初期探鉱段階への資金支援:鉱業税制の更新・維持
規制環境:国民の信頼を確保し産業の競争力を強化する環境評価プロセスの見直し
先住民関係:先住民族の鉱業への関与の促進支援と先住民族との協議義務の遂行
リモートエリアの操業コスト問題への取り組み:北方インフラ基金の設立
気候変動・クリーンテクノロジー・イノベーション:カナダ鉱業イノベーション協議会(Canada Mining Innovation Council)に対する5年間で50百万C$の投資
土地の回収(land withdrawals):土地回収プロセスにおける鉱物ポテンシャルの考慮
エネルギー鉱山大臣会合の強化
こうした状況や課題等を踏まえて議論が行われ、各大臣は経済成長と環境政策の両立に向けて協働して取り組み、現在進められている環境評価プロセスの見直しについても各州・準州の視点を盛り込むために協力していくことを確認した。
(2016年8月24日 バンクーバー 山路法宏)
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ドイツ:Metalprodex社、実需家向けの金属現物取引プラットフォームを設立へ
2016年7月25日付けメディア報道によれば、新設間もない独Metalprodex社は2016年9月にベースメタル現物取引を行うための電子プラットフォームを設立すると発表した。
対象コモディティは、アルミニウム、銅、鉛、亜鉛で1ロット25tを予定しており、主な受け渡し場所はロッテルダム、ハンブルグ、シチェチン、バルセロナ、ジェノバ、イスタンブールで、ユーロ通貨での決済となる。同社Managing DirectorのJanko Linhart氏は、「ユーザーが必要とするタイミングでのスポット取引を可能にする透明性の高い現物取引のプラットフォームを新設し、LMEのような取引所で利用できない追加的サービスを提供したい」とコメントしており、投資目的の金属取引は対象としていないとした。
なお、業界関係者によれば、当該設立が既存の金属取引所に及ぼす影響は小さいとコメントしている。
(2016年8月22日 ロンドン 竹下聡美)
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その他:Moody’s、ベースメタル見通しをネガティブから安定に上方修正へ
格付け会社Moody’sは2016年8月18日付でレポート「Global Base Metals Industry」を発表し、世界のベースメタル産業の見通しを‘ネガティブ’から‘安定’に上方修正した。これは、アルミニウム、銅、ニッケル及び亜鉛が中期的にさらに悪化しないという見方を反映したもので、当該レポート筆者でSenior Vice PresidentのCarol Cowan氏は、「ベースメタル価格は2015年後半の急落から底をついたと予測し、Moody’sの価格感度予測を見直した。ただし産業界が需要に沿った供給レベルに調整されるまでの少なくとも2018年にかけては厳しい状況は続くだろう」とコメントしている。
同氏によれば、引き続き中国がベースメタルの投資センチメントを主導するとして、同国の金融緩和、インフラ投資等を含む中国政府の経済政策が同国のGDP減少の相殺を助けるとの見方を示している。
(2016年8月22日 ロンドン 竹下聡美)
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豪:Mineral Resources社、WA州Mt Marionリチウム鉱山の権益を売却予定
2016年8月19日、地元各紙はWA州のMineral Resources社(MR社)が、WA州Mount Marionリチウム鉱山に関して所有する43.1%の権益を中国最大のリチウム生産企業Ganfeng Lithium社(Ganfeng社)に売却する可能性について報じた。同鉱山の権益は、現在Neometals社13.8%、MR社43.1%、Ganfeng社43.1%となっている。Ganfeng社は、同鉱山から3年間にわたり、100%の生産物を買い取る契約を締結している。
MR社は6月にNeometals社から権益購入のオプション権を行使し、Neometals社の13.1%の権益を1,965万US$で取得したばかりであったが、今後は同鉱山の建設及びマインライフ期間中の鉱山操業を契約により実施する予定である。各紙はMR社の権益は3~7億A$になると予想している。また、他の買い手候補としてWA州Greenbushesリチウム鉱山の49%の権益を保有するリチウム企業Albemarle社の名前も挙げられている。
(2016年8月22日 シドニー 矢島太郎)
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豪:MMG社、2016年上期は9,300万US$の損失、WA州Golden Grove銅鉱山売却の可能性
2016年8月16日、MMG Limited社(MMG社)は2016年上期の業績報告で9,300万US$の税引き後損失となったことを発表した。前年同期は4,800万US$の損失であり、三半期連続の損失となった。コモディティ価格の下落、QLD州Century亜鉛鉱山の閉山に伴う収益減少及びラオスの銅鉱山の生産量が低迷したことなどが原因とされている。
同社は負債削減に取り組んでおり、WA州のGolden Grove銅鉱山の売却を検討している。地元各紙は同鉱山の購入に10社以上が関心を示していると報じている。同社はQLD州でマインライフ28年とされるDugald River亜鉛鉱山の開発を2018年上期の操業開始を目指して推進中である。
(2016年8月22日 シドニー 矢島太郎)
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豪:Aus Tin社、TAS州Granvilleプロジェクトで錫精鉱の生産を開始
2016年8月17日、Aus Tin社は、TAS州Granvilleプロジェクトからの錫精鉱の生産を開始したことを発表した。同社は豪州株式市場に上場している企業としてMetals X社に次いで2社目の錫生産企業となる。
同社は4か月前に同プロジェクトを買収し、尾鉱から錫精鉱を生産している。精鉱はTraxys Europe社が全量を購入する予定である。Peter Williams社長は「錫の価格が上昇しているので、2015年のボーリング調査で確認した高品位部を露天掘りで採掘したい」とコメントしている。また、同社は本プロジェクトから得られる収益によってNSW州のTaronga錫鉱床の探査を進める予定である。
(2016年8月22日 シドニー 矢島太郎)
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豪:Rox Resources社、NT準州Reward亜鉛JVの権益の売却先をMarindi Metals社に
2016年8月17日、ジュニア企業Rox Resources社(Rox社)はNT準州でTeck Resources社(Teck社)と実施しているReward亜鉛JVの自社権益の売却に関し、7月19日に医療系企業IM Medical社(IMM社)の子会社に1,480万A$で売却する方針を発表していたが、IMM社のDue Diligence調査実施期間中の8月5日にMarindi Metals社(Marindi社)から2,100万A$の提案を受けたため、売却先をMarindi社にすると発表した。Marindi社はWA州やNT準州で亜鉛やリチウムの探査を行っているジュニア企業である。
Marindi社は現金800万A$、自社株400万A$分、3年内に自社株525万A$分と交換可能な引き換え券、バンカブルFS完了時に375万A$をRox社に支払う予定である。ワールドクラスのTeena亜鉛鉱床が発見されているReward亜鉛JVは、Teck社が探鉱費を支出することで70%の権益を取得する予定であるため、Marindi社の最終的な権益は30%になる予定である。
(2016年8月22日 シドニー 矢島太郎)
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豪:産金企業のNorthern Star社、事業の選択と集中のためにPlutonic鉱山売却
2016年8月15日、産金企業のNorthern Star社は、豪州企業のBillabong Gold社との間で、Northern Star社が保有するWA州のPlutonic金鉱山をBillabong社に売却する合意文書に署名したことを発表した。Billabong社は、New Gold社の設立者でトロントに拠点を持つChris Bradbrook氏が保有する企業である。売却額は4,620万A$の現金及び仮証券及び2,000万A$の条件付対価の計6,620万A$である。
Northern Star社によれば、今回のPlutonic鉱山の売却は、同社の事業をKalgoorlie、Jundee, Central Tanami 及びPaulsensの4か所の金鉱山に集中させる戦略の一環であると共に、生産量の数字ではなくリターンを最大化するために資産を運営管理していくことが大きな目標であるとしている。
(2016年8月23日 シドニー 山下宜範)
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豪:BHP Billiton、過去最大の損失計上、Samarco鉱山事故や北米シェール事業の減損が影響
2016年8月16日、BHP Billitonは2015/16年度の決算を発表した。
当期の基礎的利益は12億1,500万US$であり、前年度比で81%減となった。これは過去16年間で最少である。また、Valeとの合弁によるブラジルのSamarco鉱山において2015年11月に発生した尾鉱ダム決壊事故に関し、約22億US$の支払義務を引当金として計上したこと、また、米国シェール事業における約49億US$の減損の計上により、当期は63億8,500万US$の純損失を計上し、前年度の黒字から赤字に転落した。これは同社にとって過去最大の赤字額となった。また株主への配当は通年では1株当たり30US¢となり、前年度比76%減となった。
(2016年8月23日 シドニー 山下宜範)
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豪:Evolution Mining社、QLD州の金鉱山及び探鉱鉱区を中国企業に売却
2016年8月16日、豪州の産金第2位の企業であるEvolution Mining社は、中国のMinjar Gold社との間で、QLD州北部に位置するEvolution社保有のPajingo金鉱山及び周辺の探鉱鉱区をMinjar Gold社に売却することで合意したと発表した。
この合意によれば売却額は5,200万A$を上限とする金額である。このうち4,200万A$が前払金であり、そして金の生産量が13万oz(4.04t)を上回った場合にMinjar Gold社が1%分のNSR(net smelter return)ロイヤルティを1,000万A$を上限としてEvolution社に支払うことになる。
(2016年8月23日 シドニー 山下宜範)
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豪:Newcrest社、Cadia金鉱山の生産拡大を計画、豪州最大の金鉱山に
2016年8月16日付けの地元紙によれば、豪州最大の産金企業であるNewcrest Mining社はNSW州のCadia金鉱山の生産拡大を計画している。2015/16年度におけるCadia鉱山の鉱石の生産量は2,200万tであるが、同社は既にNSW州政府から生産量の上限を現行の2,700万t/年から3,200万t/年にまで引き上げる認可を得ている。そして同社は更なる生産拡大に向けて2016年11月までの間に調査検討を行うこととしている。
豪州最大の金鉱山は米国のNewmont社が保有しWA州に位置するBoddington鉱山である。同鉱山の金の生産量は年間725,000~775,000oz(22.55~24.11t)であるのに対し、Cadia鉱山の金の生産量は2015/16年度においては670,000oz(20.84t)であるが、2016/17年度は730,000~820,000oz(22.71~25.50t)となり、更なる生産の拡大によって生産量は年間で約100万oz(31.10t)となってBoddington鉱山の生産量を優に上回る見込みである。
(2016年8月23日 シドニー 山下宜範)
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フィリピン:2016年第1半期の鉱業生産額は12%低下
2016年8月17日付フィリピン鉱山地球科学局(MGB)の発表によると、同国の2016年第1四半期の鉱物生産額は前年同期より12%減少し、22.09bPHPとなった。MGBは、この減少を世界市場の金属価格下落が続いているためとしている。
金の生産額は10.68bPHPで全体の48.34%を占め、2012年以来生産額トップであったニッケル鉱石輸出及びニッケル―コバルト化合物の金額を追い抜いた。Filminera Mining CorporationのMasbate Goldプロジェクトが1,640㎏、Oceana Gold Philippines Inc.のDidipio Goldプロジェクトが1,456㎏の金を生産した。一方、ニッケル鉱石輸出及びニッケル―コバルト化合物の生産額は6.88bPHPで全体の31.12%となり、銅は4.34bPHPで19.66%の割合となっている。
第1四半期におけるニッケル生産額割合の低下は、DinagatおよびSurigao地方の天候不順によるものである。これら2地方には17のニッケル鉱山があるが、2016年第1四半期は12の鉱山の生産がゼロであった。ニッケル鉱石の生産はRio Tubaニッケル鉱山が789,483t、Taganito鉱山が723,493t(いずれも乾燥メトリックトン)。
(2016年8月19日 ジャカルタ 山本耕次)
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中国:中国有色鉱業集団、コンゴ民主共和国で最もポテンシャルのある銅鉱を開発
現地報道によれば、コンゴ民主共和国の国有鉱業企業Gecamines社は、同国で最もポテンシャルのある銅鉱山開発のために、中国有色鉱業集団が20億US$を投資する予定であることを明らかにした。
同社によると、中国有色鉱業集団は当初銅生産量8万t/年の工場建設への資金援助と引き替えに51%の株式を獲得する。51%の株式権益を取得するまでは、一定期間内の販売特権に関する協議を通じて補償を得る。この「一定期間」については合意に達していない。
Gecamines社はコンゴ民主共和国最大の鉱業企業で、政府が100%の権益を保有しており、長い間、国の経済的な柱となっている。1980年には、国家予算収入額の66%が当該企業から提供された。1990年、当該企業の銅生産量は46.5万tに達したが、次第に減少し、2009年にはわずか2万tになっていた。
中国:江西銅業集団・永銅モリブデン鉱山、新規確定鉱量9,950万t
安泰科によれば、永銅十字頭銅・モリブデン資源の詳細探査報告が終わり、江西銅業集団の承認を受けた。報告書によると、当該鉱区のモリブデン確定鉱量は9,950万t、金属量は76,571.46tである。
永銅は30年間開発してきた旧鉱山で、主に銅精鉱及び硫黄精鉱を産出している。モリブデンは最近新たに発見した鉱床である。鉱山のマインライフを延長するため、2006年より、当該鉱山は銅・モリブデン資源に対する探査事業を行っていた。
今後、銅・モリブデン資源開発における企業可能性調査を中国恩菲に委託し、採掘の実行可能性等重要問題について調査する。銅・モリブデン資源の開発分野で新の進展を遂げ、鉱山の持続可能な発展を実現させる。