閉じる

ニュース・フラッシュ

2006年6月6日 バンクーバー 宮武修一

カナダ・連邦下院、スイスXstrata社の対Falconbridge社TOBの承認を遅延する動き

 Inco社によるFalconbridge社への友好的TOBに対し、スイスXstrata社から敵対的な対抗ビッドが提示されている中、6月1日、カナダ連邦下院、産業部会はXstrata社によるカナダ企業への投資の承認を、少なくとも欧州独禁当局がInco社とFalconbridge社の合併を承認した後にするよう、カナダ産業大臣Maxime Bernier氏に対して要請することを全会一致で採択した。カナダ政界と同鉱業界の中には、欧州独禁当局がInco社の合併申請以後約8か月を経ても判断に至らないのは、Xstrata社にTOB合戦をより有利に進めさせようとする欧州の狙いがあるという見方が存在している。同日、Bernier産業大臣は記者団に本件につきノーコメントとしたが、「カナダ国内に本社が存在することにより法務、会計関係の雇用が期待され、経済の活力に繋がる」と述べるなど、本社の重要性につき言及した。
 欧州独禁法当局の最終回答は7月12日までになされると期待されている模様。これに対し、カナダ投資法が定めるところ、カナダ企業への投資の承認は45日以内になされねばならないが、大臣が認める場合、更に30日間の延長が可能になる。Xstrata社の対抗ビッドの発表は5月17日。
 Inco社CEO、Hand氏は、こうした下院産業部会の動きを歓迎しながらも、「(カナダにとって)外資による投資を妨げるような動きとみられてはいけないし、投資を締め出す印象をもたれてはならない」と述べた。また、こうした同じ土俵で競わせようとするカナダ側の動きに対し、Xstrata社CEO、Davis氏は先月より、「問題としていない」との姿勢を崩していない。

ページトップへ