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ニュース・フラッシュ

2016年6月6日 メキシコ 縄田俊之

メキシコ:カナダ系鉱業企業各社、凍結したメキシコでの鉱業活動を再開の兆し

2016年5月31日付け業界紙等によると、近年メキシコで活動する鉱業企業は、世界経済の成長鈍化に伴い鉱業活動の縮小を余儀なくされ、特に2013年以降国際金属市況の下落・低迷に加え、米ドルに対するペソ安の影響により、メキシコ鉱業生産額は約14%も縮小した。

メキシコ大手銀行BBVA Bancomer社の子会社であるBBVA Research社によると、本年におけるメキシコ鉱業の成長は、過去3年間と比べ下落幅は低いものの、依然としてマイナス成長である1.1%の下落となる見通しである。一方、メキシコ鉱業協会(CAMIMEX)によると、2015年におけるメキシコの探鉱投資額が対前年比30.8%の大幅減となる552百万US$であった。

メキシコ鉱業における生産額の32%を占めるカナダ系鉱業企業は、多くの鉱業プロジェクトを停止や休止としており、これによりメキシコ鉱業投資が約8%減少した。

また、在墨カナダ商工会議所(CANCHAM)のMichael Harvey鉱業投資委員長によると、カナダ系鉱業企業によるメキシコでの鉱業投資の減少は、国際金属市況の下落・低迷とともに、鉱業各社の探鉱に対する資金不足による。また、メキシコ国内において地権者との間で問題が発生した際の法的対応の不確実さや、操業コストに関し約2%の追加費用が発生する等競争力を損なう財政状況が挙げられる。

こうした中、カナダ系鉱業企業に関しては、本年に入り金や銀を中心に国際金属市況の回復を背景に、メキシコで凍結していた鉱業活動を再開する動きが見え始めた。加Torex Gold Resources社(本社:トロント)はGuerrero州に保有するEl Limón-Guajes金鉱山に関し本年4月に正式に操業を開始したほか、加Goldcorp社(本社:バンクーバー)はZacatecas州に保有するPeñasquito多金属鉱山に関し鉱山寿命の延長を目指したパイライトリーチの整備と、同州に保有するCamino Rojo金・銀プロジェクトの再開について検討を始めた。

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