ニュース・フラッシュ
2016年7月20日
ロンドン
竹下聡美
欧州:EU、ベースメタル等11種の原材料につきWTOに中国を提訴
2016年7月19日付メディア報道によれば、欧州委員会は11種の原材料に対する中国の輸出関税や輸出枠が不当だとしてWTOに同国を提訴した。対象は、銅、鉛、錫、アンチモン、コバルト、タンタル、グラファイト、酸化マグネシウム、滑石、インジウム、クロムの11種類でEUが指定するクリティカル原材料も含まれている。
EUが中国の鉱物資源の輸出規制をめぐりWTOに提訴するのは、2012年のボーキサイトなど9種類、2014年のレアアースに次いで、今回で3度目となる。欧州委員会によれば、中国は鉱物資源に対して輸出関税や輸出量枠等を導入し、中国企業を優遇しているとしているが、中国側は環境保護のために規制が必要だと説明している。EU側は輸出規制以外の方法で対応できると主張し、中国に輸出関税の撤廃などを求める。欧州委員会のマルムストローム委員は2016年7月19日、「欧州の生産者や消費者が不公平な貿易慣行の影響を受けているのを傍観するわけにはいかない。こうした措置は国際貿易のルールに反する」とコメントしている。
今後、WTOが定める紛争解決手続きに沿って中国と2国間協議が行われ、60日以内に問題が解決しない場合、裁判の「一審」に当たる紛争処理小委員会(パネル)の設置をWTOに求めることとなる。中国の輸出規制を巡っては、米通商代表部(USTR)が2016年7月13日、9種類の原材料についてWTOに提訴している。
