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ニュース・フラッシュ

鉱種:
ニッケル
2021年3月23日 ジャカルタ 川村伸弥

インドネシア:ニッケル鉱石の輸出禁止を維持

 地元メディアが2021年3月18日に伝えたところによると、欧州連合(EU)による世界貿易機関(WTO)への異議申し立てにもかかわらず、インドネシア政府はニッケル鉱石の輸出禁止政策を維持する。エネルギー鉱物資源省のRidwan Djamaluddin鉱物石炭局長は、「政府はいかなる外国の圧力にも屈しない。」と述べ、国内の川下産業の発展を義務付ける法第3/2020号を実施することとしている。同局長は、「それがEUであろうと他であろうと、彼らが我々に反している場合、我々はNoと言わなければならない。」と述べている。
 インドネシア政府は、国内でのニッケル製錬所と電気自動車(EV)用のバッテリー産業の開発を推進するため、2020年初頭からニッケル鉱石の輸出を禁止している。EUは2019年11月、WTOにインドネシアのニッケル鉱石輸出禁止政策への異議を申し立て、紛争処理パネル設置を要請し、WTO加盟国はパネル設置要請に同意した。EUは、インドネシアのニッケル鉱石輸出禁止と、ニッケル鉱石及び鉄鉱石の国内処理は、EUの鉄鋼生産者にとり違法かつ不公正であると主張している。
 現在、インドネシアでは13のニッケル製錬所が稼働しており、今年はさらに4つのニッケル製錬所が稼働開始予定で、2024年までに30のニッケル製錬所に増加すると予測されている。韓国のLG Energy Solution社や中国のCATL社などの大手企業は、世界最大のニッケル埋蔵量とリチウムイオン電池(LIB)生産用の多くの原材料を有するインドネシアにEV電池工場を設立する計画を発表している。

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