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- アルミニウム/ボーキサイト
中国:2021年上半期、電解アルミのコストは増加傾向
2021年7月16日付け現地紙によると、2021年上半期、中国の電解アルミのコストは、石炭価格の高騰により産業全体のコスト平均値が13,582元/t、業界内の平均利益が3,820元/tと徐々に増加している。アルミナ価格は上下振れ後高値傾向を示しているが、その上げ幅は限定的である。陽極材料の価格は、陽極のコスト増により値上がりし、電解アルミのコストも増加した。
電解アルミのコストは、電気価格に大きく左右される。電力市場化改革以後、多くの地域の電解アルミ企業が電力を直接購入し始め、電力費用を抑えていた。同時に自家発電比率も拡大し、業界全体の電力費用は下落していた。しかし2021年、石炭価格の高騰で自家発電能力が低下し、自家発電気料金が上がったことで電気料金全体が上昇した。特に四川、内モンゴル、青海、山西省等多くの地域で電気卸売価格を引き上げたため、電気料金が上がった。しかし、電気卸売の全体料金は、依然自家発電料金よりは低い。
月別 | 加重平均コスト | 現物アルミ平均価格 | 月別損益 |
---|---|---|---|
1月 | 12,948 | 15,082 | 2,134 |
2月 | 13,764 | 16,122 | 2,358 |
3月 | 13,471 | 17,338 | 3,867 |
4月 | 13,400 | 18,023 | 4,623 |
5月 | 13,766 | 19,206 | 5,440 |
6月 | 14,146 | 18,644 | 4,498 |
データソース:安泰科
この数年間で、アルミナ業界の生産過剰傾向が益々顕著になっている。アルミ価格は高騰しているが、アルミナ価格は大きく値上がりしておらず、2,300~2,500元/tの範囲で振れている。輸入分を含めず、電解アルミの生産能力を最大4,500万t/年と設定しており、今後アルミナの需要ピーク値は9,000万t程度と想定される。2021年6月末時点のアルミナ生産能力が9,015万t/年に達している中、一定規模のプロジェクトは建設中または建設予定のため、特段の事情や刺激策がなければ今後アルミナの価格は大きく伸びないと考えられる。
利益については、電解アルミの原価は上昇しているが、原価伸び率はアルミ価格の上昇率を大きく下回っており、アルミ利益は、価格の上昇に伴い2021年5月に過去最高の5,440元/tとなった。2020年下半期から、業界全体では100%黒字で、長年業界を苦しめてきた高い負債比率を取り戻すことができた。中国有色金属工業協会のデータによると、2021年1~5月、アルミ製錬における総利益額は前年同期比1,407.26%増の440億元である。
