閉じる

ニュース・フラッシュ

鉱種:
ジスプロシウム テルビウム レアアース/希土類 セリウム ネオジム プラセオジム ユウロピウム ランタン イットリウム
2021年9月21日 北京 塚田裕之

中国:2021年上半期のレアアース・磁石材料の輸出、原料の輸出から製品の輸出に変化

 2021年9月2日付け報道によると、2021年上半期、中国は118の国と地域向けにレアアースや磁石材料を輸出し、その輸出量や輸出額は共に2020年同期と比べ大きく拡大した。現在、レアアース及び磁石材料の成長が見込まれ、川下産業の需要が増加している中、これらの輸出に影響を与える要因は依然新型コロナウイルス(以下、コロナ)感染状況の変動にある。

・レアアース

中国:2021年上半期のレアアース・磁石材料の輸出、原料の輸出から製品の輸出に変化図1.2021年上半期における各月のレアアース輸出状況

図1.2021年上半期における各月のレアアース輸出状況

図2.2021年上半期における輸出先

図2.2021年上半期における輸出先

 2021年上半期、レアアース輸出量は前年同期とほぼ横ばいの2.08万t、輸出額は対前年同期比45.6%増の19.07億元であった。
 2021年上半期のレアアースの主な輸出先は日本、米国、EU、韓国、インドで、これらの国々の輸出量合計は総輸出量の75%以上を占める。

図3.2021年上半期における中国レアアース輸出量国別推移表

図3.2021年上半期における中国レアアース輸出量国別推移表

 2021年上半期のレアアース輸出量の変動は、特に2~3月、主に輸出比率が最大の日本に依るところが大きい。2021年2月、中国は春節の影響で輸出量がやや縮小した一方、日本はコロナ感染状況が深刻化し、数多くのメーカーが生産停止した結果、日本へのレアアース輸出量は大きく減少した。2021年3月は景気が後退したため、日本政府は経済の立て直しに力を入れ、国内のコロナ感染状況は一時的に減少、一部のメーカーは操業再開し、日本のレアアース輸入量は反転して増加した。

図4.2021年上半期における製品別レアアース輸出状況

図4.2021年上半期における製品別レアアース輸出状況

 レアアース鉱石、混合レアアース、レアアース金属及び希土類金属の需要量はさほど大きくなく、変動率も比較的少ない。レアアースの品目のうち希土類酸化物の比率は最も大きいが、需要は落ち着いており、全体の輸出に対する影響はさほど大きくない。一方で他のレアアース化合物の需要変動率は大きく、輸出に対する影響も大きい。
 レアアース酸化物とレアアースの他の化合物の中で、ランタン、セリウム、ネオジム、イットリウムが多く輸出され、プラセオジム、ジスプロシウム、テルビウムやユウロピウムの輸出は少なく、その合計は全体の1%に満たない。このことから、海外においてレアアース材料で使用量が比較的大きい分野が、レアアースベースの触媒、磁石材料、ガラスセラミック添加剤、研磨材料、金属材料添加剤等分野と推定される。

・磁石材料
 2021年上半期、磁石材料の輸出量は対前年同期比36.8%増の2.6万t、輸出額は対前年同期比31.8%増の86.85億元であった。
 磁石材料の輸入先の国数はレアアースより多く、EU、日本、米国、韓国、ベトナムで輸出量合計の75%以上を占める。中国の磁石材料輸出量の変動は主に最大の輸出先であるEUの影響を受けている。2021年2月は、中国の春節による輸出量減少のほか、欧州ではコロナ感染状況が深刻化し、生産活動に多大な影響を与えたため、欧州への輸出量は大きく下落したが、コロナ感染状況が改善すると輸出量も回復した。
 磁石材料の輸出品目としては、レアアースの永久磁石および磁化後永久磁石の部品であり、その比率は輸出量合計の86%を占める。他のネオジムフェロ合金の比率が最も小さい。
 以上のことから、中国のコロナ感染状況が落ち着くにつれ、レアアースと磁石材料の輸出量は回復し、新エネルギー車やクリーンエネルギー等の急成長に伴い、輸出量、額ともに拡大し続けている。我が国のレアアース輸出品目は、これまでは原材料を主に輸出していたが、現在は製品を輸出している。レアアースの産業構成は原材料製造から付加価値の高い製品製造に変わり始め、長年続いた“土を掘って、土を売る”という輸出方式から転換が起きている。

ページトップへ