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ボリビア・チリ・アルゼンチン:ラテンアメリカ地政学戦略センター、リチウム報告書を発表
ラテンアメリカ地政学戦略センター(CELAG)は2022年2月、「ラテンアメリカのリチウムのパノラマ(Panorama del litio en América Latina)」と題する報告書を発表した。報告書は、同センターのサイト(https://www.celag.org/panorama-del-litio-en-america-latina/)に掲載されている。この中で、地域の戦略的資源の状況とその将来の見通しを分析し、ラテンアメリカにおけるリチウム埋蔵のポテンシャルを考慮し、アルゼンチン、メキシコ、ボリビア各国元首の理解を活かして、「共同プロジェクトを進めて、経験、主な問題、共同合意の可能性について話し合うことが適切であろう。」と結論付けている。また、以下の点を報告している。
・ボリビア(21百万t)アルゼンチン(18.3百万t)、チリ(9.6百万t)、メキシコ、ペルーが世界のリチウム資源の67%以上を支配している。これらの中で、チリは採掘と輸出で最も進んでおり、豪州(48.8%)に次いで世界で2番目(22%)の生産国となっている。他方、ボリビア、ブラジル、チリ、ペルーは、リチウムが「戦略的資源」として定義されており、メキシコは憲法改正を通じてこれを承認しようとしている。
・国際エネルギー機関(IEA)の最近の報告によると、主に電気自動車(EV)用バッテリー製造の伸びで、リチウム需要が2040年までに42倍に増加する。2016~2019年のアルゼンチンとチリの米国への輸入は、91%がリチウムとなっており、現状でもリチウムへの高い戦略的依存を示している。軍事産業でのリチウム使用を考えると、リチウムへのアプローチは米国にとって戦略的であり、ラテンアメリカはその埋蔵量で重要視され始めている。
・国連ラテンアメリカ・カリブ経済委員会(ECLAC/CEPAL)によると、地域の対外債務が地域のGDPの79.3%に達し、これは天然資源の輸出が返済に関与することを意味する。天然資源への依存を深めることは、戦略的資源(石油、ガス、リチウム、銅)における主権に危機を及ぼす。
・リチウム価格の見通しは、中期的には、エネルギー転換用として高まる需要により、「上向き」の圧力があるが、石油価格に左右される。
