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ニュース・フラッシュ

鉱種:
リチウム
2022年3月30日 北京 塚田裕之

中国:比亜迪、盛新リチウム能に30億元を投入し資本参加

 2022年3月22日、盛新リチウム能集団股份有限公司(Shenzhen Chengxin Lithium Group Co.,Ltd.、以下、盛新リチウム能)は、比亜迪股份有限公司(BYD、以下、比亜迪)が同社に資本参加すべく30億元を出資すると発表した。今後、両社はリチウムの共同開発を行うほか、比亜迪はリチウムの原料調達をさらに拡大し、供給の安定とコストの優位性を保つとしている。
 盛新リチウム能は比亜迪に原料を供給してきたが、今後、新エネルギー自動車産業、蓄電池産業の成長や比亜迪の生産能力増強への投資計画実行により、比亜迪のリチウム需要は増加が見込まれる。比亜迪が盛新リチウム能に資本参加することによって、盛新リチウム能の原料供給能力を高めるとともに、より適正価格での原料購入も目指し、比亜迪のコスト競争力拡大も見込まれる。
 2020年9月以降、炭酸リチウムが急騰したことで、リチウムイオン電池(LIB)のコストも上昇した。2022年、比亜迪は幾度も新車販売価格を調整し、多くの車種は6,000~10,000元の値上げとなった。このほか、比亜迪の車載用電池は自社需要を満たす以外に、外部への供給も増やしている。国内で10か所余りの車載用電池生産工場を敷設し、計画生産能力は400GWh以上である。2022年単年で、比亜迪の駆動用電池生産能力は70GWhを上回る見込みとの試算もある。
 盛新リチウム能は、2008年に深圳証券取引所に上場、主な業務はリチウム鉱石の採掘・加工及びリチウム製品の生産・販売であり、リチウム精鉱、炭酸リチウム、水酸化リチウム、塩化リチウム、金属リチウムを生産している。2020年9月末には木質パネル事業子会社の持株権益、2021年5月末にはレアアース事業を売却し、新エネルギー材料事業の開発に専念している。
 盛新リチウム能のリチウム塩事業は、子会社である致遠リチウム業有限公司、遂寧盛新リチウム業有限公司、インドネシア盛拓リチウム能有限公司が実施している。現在、四川省徳陽市及び遂寧市に生産能力7.2万t/年のリチウム塩生産工場を建設しているほか、インドネシアでも生産能力6万t/年のリチウム塩生産工場を新規に建設した。またアルゼンチンで2,500tの塩湖由来の炭酸リチウム生産ラインを運営しており、2023年に盛新リチウム能のリチウム塩生産能力は14万t/年に達する予想である。
 リチウム鉱石資源分野について、盛新リチウム能は阿埧州金川県業隆溝リシア輝石鉱山の採掘権を保有し、同鉱山は2019年に生産開始した。同鉱山の鉱石処理能力は40.5万t/年で、中国国内で安定的に生産しているリシア輝石鉱山2か所のうちの1か所である。
 また、盛新リチウム能は積極的に企業への資本参加を進めている。四川木絨リシア輝石鉱山を建設、稼働したほか、2021年、ジンバブエSabi Starリチウム・タンタル鉱山を買収、アルゼンチンの塩湖へ積極的に投資し、海外でのリチウム鉱山資源開発を広げた。
 国金証券の予測によると、2022年、盛新リチウム能の資源自給率は20%に達し、2025年には70%以上に達する可能性がある。

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