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ニュース・フラッシュ

鉱種:
コバルト マンガン リチウム
2022年6月9日 ヨハネスブルグ 栗原政臣

ザンビア・DRコンゴ:投資家がアフリカのCopperbelt地域に駆け戻っている

 2022年5月13日付けメディアによると、アフリカ中央部のCopperbelt地域から一度去ろうとした鉱業投資家達が、再びこの地域に戻ってきている。ザンビアとDRコンゴの国境にある森林地帯にあるCopperbelt地域は、銅やコバルトといった鉱物の世界で最も豊かな宝庫の一つである。しかし、欧米の鉱山会社は長年にわたる政策の変更や現金の強奪に不満を募らせCopperbelt地域から撤退してきた。しかし昨今、この地で活動する投資家は倍増している。BHP等も数年ぶりにこの地域を探索しているほか、First Quantum Minerals(FQM)社はザンビアでの1bUS$規模の拡張を承認し、Barrick Gold社はこれまでザンビアの鉱山売却を検討しDRコンゴ政府を露骨に批判していたが、現在は両国で新しいプロジェクトを探している。また、Anglo Americanは2022年5月12日にザンビアでの新しいJVを発表した。
 状況が変化した要因として、ザンビアではHakainde Hichilema新大統領が投資家を呼び寄せ、前政権が悪化させた関係を修復に奔走している。BMO Capital Marketsによると、Hichilema新大統領は今後10年間で銅の生産量を3倍にしたいと語っており、これは30bUS$の投資を必要とする野心的な目標である。また、さらに広く見れば、同地域で産出する銅とコバルトは世界的な再生可能エネルギーへのシフトの中心であり、今後数十年間は供給の安全保障が極めて重要になるという認識が広がっている。銅に関しては世界の市場は既に逼迫し新規鉱山の発見は困難であり、コバルトに関してはDRコンゴが非常に優位に立っている。同時にペルーやチリ等の他の銅資源国も、長い間業界では鉱山開発に安全な場所と見なされてきたが、友好的ではなくなりつつある。Barrick社のMark Bristow CEOは「投資環境の整備が、自国への投資誘致に不可欠である」とインタビューに答えた。Copperbelt地域においては米国、欧州、豪州の鉱山会社が過去10年間に撤退する一方で、中国の巨大資源企業が進出した。DRコンゴの都市Kolweziは1930年代に巨大な鉱床を開発するために設立された鉱業に依存した町であり、中国企業の存在感が色濃いが、昨今、他の鉱山会社が再びその存在感を増し活動の場を広げている。DRコンゴでは、加Ivanhoe Mines社のKamoa-Kakula銅鉱山が2024年までに世界第3位の生産量になる計画のもと急速に生産を拡大している。BHPは、Kamoa-Kakula銅鉱山に隣接する銅プロジェクトの買収についてIvanhoe社と協議していると2021年に報じられている。
 アフリカの役割は、政府レベルでも注目されている。米国のJose W. Fernandez経済成長・エネルギー・環境担当次官はMining Indaba 2022で講演し、クリティカルミネラルのサプライチェーンが発言の中心テーマとなった。Fernandez次官は記者会見で、「アフリカの鉱業部門は大きな可能性を秘めていると考えている」とし、「クリーンエネルギーの未来ではクリティカルミネラルが重要な解決策の一部となること、アフリカ諸国にはコバルト、マンガン、リチウムなど、タービンや電池に必要なクリティカルミネラルが多く存在すると認識している」と述べた。ザンビアのSitumbeko Musokotwane財務大臣は、2022年5月5日Lusakaでインタビューに応じ、「投資家にとって魅力的な環境を提供するため各省庁が一丸となって努力しており、政府は銅を『新しい石油』とみなし、石油産出国がエネルギーブームを利用したように電化による需要増から利益を得たいと考えている」と述べた。

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