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ニュース・フラッシュ

鉱種:
グラファイト ニッケル リチウム
2022年10月21日 バンクーバー 武市知子

米:EVバッテリー生産と鉱物資源開発の促進のため、エネルギー省は2.8bUS$を拠出

 2022年10月19日付のホワイトハウスの発表によると、電気自動車(EV)用バッテリー生産と資源開発を促進するため、エネルギー省が国内12州にまたがる約20社を対象に2.8bUS$の補助金を拠出する。2021年11月に成立したインフラ投資法では、重要鉱物やEVバッテリー用に必要な部品の生産を促進するため7bUS$以上の予算が割り当てられており、今回の補助金はそこから拠出される。
 今回の補助金は、リチウムやグラファイト、ニッケルの採掘や米国初の大規模なリチウム処理施設、カソード材やその他のバッテリー部品の製造施設の建設、EVバッテリーのリサイクル施設の拡充に充てられる。
 主な対象プロジェクトは以下のとおり:
・米Albemarle社(約149.7mUS$):NC州Kings Mountainリチウム鉱山で生産予定のスポジュメン鉱石を処理する商業規模施設の建設。8千t/日(2.7百万t/年)のスポジュメン鉱石を処理して1.15~1.2千t/日(最大350千t/年)のスポジュメン精鉱を生産する予定である。
・米Piedmont Lithium社(約141.7mUS$):TN州の水酸化リチウム生産施設の建設。同施設では、2023年より加QC州North American Lithium鉱山、2024年よりガーナのEwoyaaリチウム鉱山から調達した鉱物を処理する予定で、フル稼働時には30千tの水酸化リチウムの生産が見込まれる。
・米Talon Nickel(USA)社(約114.8mUS$):MN州で開発中のTamarackニッケル・銅・コバルト鉱山から採掘したニッケル鉱石を処理する施設の建設。ND州で建設予定である。同社は米Tesla社と、75千tのニッケル精鉱の供給契約を締結している。
・米Ascend Elements社(約316.2mUS$):使用済みのリチウムイオン電池からカソード材を分離して、前駆体カソード活物質(pCAM)を生産する工場の建設。
・米Lilac Solutions社(50mUS$):かん水からのリチウム抽出技術を用いた、商業規模でのリチウム生産の実証。
・米Cirba Solutions社(約75mUS$):OH州のEVバッテリーリサイクル工場の拡張。同工場がフル稼働した場合、200千台以上のEVに搭載できる、バッテリー品位の重要鉱物が生産できる予定である。
・豪Syrah Technologies社(約219.8mUS$):LA州Vidaliaグラファイト精錬所の拡張。同社はモザンビークのBalamaグラファイト鉱山で生産されたグラファイトを用いて11.25千t/年のアノード材を生産する施設の建設を進めており、2023年Q3に稼働予定。第3フェーズでは生産量が45千t/年に拡大される予定。

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