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ニュース・フラッシュ

鉱種:
2023年5月18日 リマ 初谷和則

ペルー:Tia Maria銅プロジェクト再開に向けた政府方針に対する様々な反応

 エネルギー鉱山省(MINEM)のVera大臣が、社会争議が原因で停止中のTia Maria銅プロジェクト(Arequipa州)を政府の経済再生計画の一部とし、再開に向けた取り組みを行っていると発言したこと(2023年5月12日付 ニュース・フラッシュ:政府、Tia Maria銅プロジェクト再開に取り組む方針を言及参照)に対し、様々な反応が起こっている。
 2023年5月15日付け現地報道によると、プロジェクト反対派のMarroquin氏やMeza氏は、2021年の大統領選挙期間中Boluarte現大統領やCastillo前大統領、Peru Libre党議員候補らが、政権を獲得した場合Tia Maria銅プロジェクトの即時中止やSouthern Copper社の撤退強制を約束する文書に署名したことを指摘、今回の方針変更は鉱山開発反対派への挑発だとの考えを示した。また同月11日にはArequipa州Dean Valdivia区でデモ行進が行われ、Vera大臣を「好ましくない者(persona non grata)」と称した。
 一方地元ジャーナリストのBayron氏は、プロジェクトへの反対は存続するものの組織化されていないと指摘、かつてはTambo渓谷保護戦線(Frente de Defensa del Valle de Tambo)が抗議行動をコーディネートしていたが、指導者の一部が道路封鎖等の実施による実刑判決を受けたほか、Soutern Copper社の顧問に多額の現金を要求していたことが拡散され、現在は反対派の明確なリーダーが不在だと説明した。
 農産物輸出組合のCalderon代表は、プロジェクト反対派が全てではなく、農業環境や技術の改善、特に乾季における水資源の確保を条件として受け入れを可能とする住民も存在するが、残念ながらこの15年間様々な貯水池や灌漑プロジェクトの構想が実現することはなかったと指摘、まずは農業や生活用水の不足が解決されるべきだと意見した。
 Arequipa農業協会(SADA)は、鉱業と農業の共存を目指すほか、鉱業Canonの一部を農牧用水インフラに投資するための法案提出を目指して取り組んでいることを明らかにした。
 なおSouthern Copper社は、2022年に政府に対しPaltitureダムの建設を提案している。

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