閉じる

ニュース・フラッシュ

鉱種:
カドミウム その他 コバルト 水銀 ニッケル リチウム
2023年9月1日 ロンドン 平田哲人

EU:欧州委員会、改定バッテリー規制を採択

 2023年7月10日付けのプレスリリースによると、欧州委員会は、電池と使用済み電池に関する持続可能性ルールを強化する新たな規制を採択したと発表した。この規制は、バッテリーの生産から再利用、リサイクルまでの全ライフサイクルを規制するもので、使用済みの携帯用バッテリー、電気自動車(EV)バッテリー、産業用バッテリー、始動・点火(SLI)用バッテリーおよび軽量輸送手段用バッテリー(電動バイク、電動モペッド、電動スクーター等)を含むすべてのバッテリーに適用され、以下の3つの目的に沿って定められている。

(1)循環経済の促進
 ライフサイクルを通じたバッテリーの規制を導入することで、循環経済の促進を目指すことを目的に、使用済みバッテリーの回収目標と義務、材料のリサイクル目標、拡大生産者責任を含めた、使用済製品に係る要件を設定。

  • 製造者が使用済み携帯用バッテリーを回収する目標(2027年末までに63%、2030年末までに73%)を設定。軽輸送手段用の使用済みバッテリー専用回収目標(2028年末までに51%、2031年末までに61%)を導入。
  • 廃バッテリーからのリチウム回収率を2027年末までに50%、2031年末までに80%とする目標を設定。この目標は、市場や技術の発展、リチウムの入手可能性に応じて、委任法によって修正できる。
  • 産業用、SLI用、EV用のバッテリーに対して、リサイクル材料の最低利用基準を義務付け。これらは、コバルトで16%、鉛で85%、リチウムで6%、ニッケルで6%が初期設定されており、バッテリーにはこれらを証明する文書を添える必要がある。
  • リサイクル効率性目標について、ニッケル・カドミウム電池は2025年末までに80%、他の廃電池は2025年末までに50%に設定。
  • 機器に組み込まれた携帯用バッテリーは、2027年までにエンドユーザーが取り外しおよび交換できるようにし、軽移動手段用バッテリーは、専門家によって交換できるようにする。

(2)全事業者に対する公正なルール
 域内電池市場の機能を改善し、公正な競争環境を確保するため、安全性、持続可能性、表示に係る要件を設定。

  • 性能、耐久性、安全性に関する基準、水銀、カドミウム、鉛などの有害物質に対する厳しい規制、バッテリーのカーボンフットプリントに関する情報提供の義務付け。
  • バッテリーの構成部品やリサイクル材利用に関する表示・情報提供要件やバッテリーパスポート・QRコードの導入。加盟国や市場の経済主体らに十分な準備時間を与えるため、表示要件は2026年までに、QRコードは2027年までに適用される。

(3)環境と社会へ影響を低減
 電池のライフサイクルを通じた環境・社会への影響を低減するため、市販される電池に使用される原材料の出所を確認する事業者に対して厳格なデューディリジェンスルールを設定。なお、中小企業に対してはデューディリジェンスルールを適用しないこととしている。

ページトップへ